【SWOT分析とは】分析のポイント、応用方法や

【SWOT分析とは】分析のポイント、応用方法や"町中華"での分析例も解説

企業が経営戦略を立てる上ではさまざまな手法がありますが、その最もポピュラーなものの一つが「SWOT分析」です。ただ、「SWOT分析」の名前は知っているけれども、何をどのように分析して、どうやって経営戦略に活かせばいいのか、詳しくは知らない方もいらっしゃると思います。

今回はSWOT分析とはどんな分析手法なのか、またSWOT分析を応用してどのような分析ができるのかなどについて解説します。

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1.SWOT分析とは

SWOT(スウォット)分析とは、自社の事業状況などを、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4項目に整理をして分析をする手法です。

強みと弱みは内部要因であり、機会と脅威は外部要因になります。この二軸マトリクスから、クロスSWOT分析をすることで、自社の事業が取るべき戦略を導き出す出すことができます。

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2.SWOT分析を進める上でのポイント

SWOT分析を行うには、関係者が集まって意見を出し合い、マトリクスを埋めていくのが基本になります。ただし、思いつきだけでなく、関係者や顧客のヒヤリングなども進め、確度の高い表にしておく必要があります。

なぜなら、後ほど、このSWOT分析表に基づいてクロスSWOT分析を行い、事業戦略を導き出すからです。基礎となるSWOT分析表に曖昧さが残っていると、導き出される戦略にも曖昧さが生まれてしまいます。

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(SWOT分析は、「内部要因」「外部要因」の軸、「ポジティブ要素」「ネガティブ要素」の軸の二軸で「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つにまとめることで、事業の状況を把握する)

SWOT分析表をつくるには次のような点がポイントになります。

(1)内部要因と外部要因を切り分ける

「弱み」と「脅威」は混同しがちです。

例えば、「円安が進むと、原材料コストが高騰する」というのは弱みでしょうか、脅威でしょうか。弱みは内部要因であり自社で制御可能なもので、脅威は外部要因であり自社で制御不可能なものです。

そのため、弱みは「原材料を海外資源に依存をしている」であり、脅威は「円安が進むと、原材料コストが高騰する」となります。

(2)1つの事実がポジティブ要因にもなり、ネガティブ要因になる

「原材料を海外資源に依存している」ため、「円安が進むと、原材料コストが高騰する」という脅威は、その裏を返せば「円高が進むと、原材料コストが低減できる」という機会にもなります。

多くの要因が、ポジティブ効果とネガティブ効果の両方を持っているため、「強み」「弱み」あるいは「機会」「脅威」の両方に記入しておきます。

(3)強みに関してはヒヤリングも併用する

多くの経営者が、事業の「弱み」については普段から心配をして改善策を考えようとするために、すぐに表を埋めることができます。

しかし、「強み」については、意外にもなかなか思いつかないことがあります。中にいると、それがあたりまえのことになってしまって、特に強みと感じられなくなってしまうからです。

例えば、海外生産に進出する機会を逸してしまい、仕方なく国内生産をしている事業であっても、それは消費者から見れば、国内原料を使い国内生産をしている安心の商品に映っているかもしれません。

中からは「海外進出の機会を逸した」という弱みに移っているかもしれませんが、顧客から見ると「安心の国内生産」という強みに移っていることもあり得ます。

このような「強み」を把握するには、消費者や取引先に対して、ライバル事業と比較をして、なぜ選んでもらえているのかというアンケート調査などを行う必要があります。

(4)外部要因に関しては、マクロ環境とミクロ環境の2段階で考える

「機会」と「脅威」に関しては、範囲が絞りづらく、なかなか思いつかなかったり、焦点がぼやけたりした項目しか出てこないことがあります。この場合、まずはマクロ環境とミクロ環境の2つに分けて考えます。

マクロ環境とは、経済動向、法律の整備、人口動態など国レベルの大きなもので、「政策」「経済」「社会」「技術」の4つについて考えます。

一方、ミクロ環境はその事業の市場やライバル社の動向などについて考えます。

例えば、子ども市場を対象にしている事業で、少子化はマクロ環境の脅威となりますが、同時に「少子化による同業他社の減少」はミクロ環境での機会になるかもしれません。

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3.クロスSWOT分析の進め方

クロスSWOT分析は、作成したSWOT分析表に基づいて、自社事業が取るべき戦略を導き出す分析です。

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(SWOT分析表にまとめた要素を組み合わせて、4つの戦略を導き出すのがクロスSWOT分析)

クロスSWOT分析では、次の4つの戦略を導き出すことができます。

(1)積極化戦略(強み×機会)

機会=ビジネスチャンスに対して、自社の強みをどう活かして事業を拡大するかを考えます。4つの戦略の中で最も重要な戦略になります。

企業のリソースは限られています。その中で、最大の効果を上げるためには、この積極化戦略にリソースを集中させます。

(2)差別化戦略(強み×脅威)

競合の出現や市場環境の悪化に対して、自社の強みを活かしてどのように切り抜けるかを考えます。

強みというのは他社が持っていない自社の優れた点であるので、自然に差別化をする戦略になります。4つの戦略の中で、2番目に重要な戦略になります。

(3)改善戦略(弱み×機会)

せっかく機会=ビジネスチャンスが訪れても、弱みがあるために活かせない部分を洗い出します。

事業の可能性を限定させてしまうことになるので、その弱みを改善して克服しておく必要があります。多くの場合、長期戦略になりがちです。

(4)防衛戦略(弱み×脅威)

市場環境が悪化した時に、弱みがあるために事業に悪影響を与えてしまう事態を想定します。弱みはすぐに解消できないため、影響を最小限に食い止める防衛戦略を考えておく必要があります。

また、その内容によっては事業が維持できないこともあり得るため、あらかじめ撤退ラインを想定しておくことも必要です。

事業が好調な時に、このような撤退について考えることはしたくないかもしれませんが、あらかじめ撤退ラインを想定しておくことにより、万が一の事態になっても、冷静に素早く次の方針、次の事業に切り替えることができるようになります。

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4.SWOT分析の応用をする

(1)事業以外にSWOT分析を応用する

このSWOT分析は、事業を評価し、事業戦略を導き出すために使われるフレームワークですが、その基本になるのは事業の強みと弱みを書き出して並べてみるというシンプルな作業で、事業だけでなく、企業、部署、個人などに容易に応用が効きます。

SWOT分析の実習では、自分自身のSWOT分析表を作成し、自分の成長戦略を導き出すということもよく行われます。

(2)ライバル企業のSWOT分析を行う

また、ライバル企業のSWOT分析を行い、事業戦略を導き出すことで、ライバル企業がどのような戦略を取ってくるかを予測することも可能です。

シンプルな分析手法であるだけに応用範囲は広く、スタッフの誰もが分析に慣れておくと力を発揮できるようになります。

(3)SWOT分析の定量化手法も研究されている

このSWOT分析が生まれたのは1960年代と古く、現在では、単に項目を列挙するだけでなく、各項目のスコアリングを行い、重要戦略を自動的に導き出すという手法の研究も進んでいます。手法に慣れてきたら、そのような専門書を読んでみることも視野を大きく広げてくれます。

5.まとめと"町中華"での応用例

SWOT分析は、自社の事業状況を「強み」「弱み」、「機会」「脅威」のマトリクスにまとめ、そこから事業戦略を導き出す基本フレームワークのひとつです。シンプルな手法であるために、応用範囲は広く、さまざまな分析に使われます。

項目を列挙していくだけでなく、スコアリングを行い、定量的に事業戦略を導き出す手法も研究されるようになっています。企画やマーケティング業務に関わる人にとっては、基本スキルのひとつといっても過言ではなくなっています。

実例として、住宅地の駅近くにある町中華店のSWOT分析をつくってみました。より精度の高いSWOT分析を行うには、ヒヤリングや調査をする必要がありますが、最初につくるSWOT分析表としてはこの程度でじゅうぶん役に立ちます。参考にしていただき、ご自身の事業のSWOT分析を行なってみてください。

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(架空の町中華店でのSWOT分析。住宅地を控えた駅近にあるという想定)

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(架空のSWOT分析から導き出した4つの戦略)

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。