「セグメント経営」など、社会人になると耳にすることが増える言葉の一つに「セグメント」があります。今回は、セグメントの意味やセグメントに分けること(セグメンテーション)の目的、セグメンテーションを評価するための4つのRなどについて説明します。
【関連記事】「【ビジネス用語一覧】職場でよく使うビジネス用語集100選、意味と例文を紹介」
1.セグメントとは
セグメント(Segment)とは、一定の基準によって何かを分割した断片のことを指します。
ビジネスの現場では、消費者などを「年齢」「性別」などの基準で分け、その一つ一つをセグメントと呼びます。
消費者を「男性」「女性」という性別の物差しで分類した時、女性は女性セグメントと呼ばれます。
また、このようなセグメントに分けることをセグメンテーションと呼びます。
【関連記事】「エビデンスの意味とは?類義語との違いや業界別の正しい使い方について解説」
2.セグメンテーションをする目的
どのような商品やサービスであっても、世界のすべての人に使ってもらえるものは数少ないです。
例えば、お酒であれば、日本においては20歳以上の人にしか飲んでもらうことができません。リキュールなどの甘いお酒であれば、女性に好まれやすいでしょう。
また、自社のブランドイメージに合致をするのは20代と30代の女性かもしれません。
このように消費者を「20歳以上」「女性」「20代と30代」といった物差しでセグメンテーションをしていき、最も適したセグメントをターゲットとしてマーケティングなどを行なっていきます。
【関連記事】「コアコンピタンスとは?活用ポイントや定義について詳しく紹介」
3.セグメンテーションに使われる指標
セグメンテーションを行うには、「年齢」「性別」などの物差しが必要になります。このような物差しには、大別して次の4つがよく使われます。
3.1.人口動態変数(デモグラフィック変数)
年齢、性別、家族構成、所得、職業など消費者の個人属性で分類をしてきます。
マーケティングでは基本とも言えるほどよく使われる変数です。
多くのサービスが、この人口動態変数によるセグメンテーションを行うと、ターゲットユーザーを見つけやすくなります。
また、人口動態の統計は、政府統計を始めとして入手可能であるため、精密な分析が可能になります。
3.2.地理的変数(ジオグラフィック変数)
国や地域、都市の規模、経済力、気候、文化などの地理的要因、つまり消費者の居住している地域の属性で分類をしていきます。
このジオグラフィック変数も、政府統計を始めとした統計が入手可能であるため、精密な分析が可能になります。
例えば、一般的なエアコンの販売を考える時、平均気温がある程度高い地域のセグメントをターゲットにします。寒冷地域の人にエアコンを売るには、また別の製品開発やマーケティングが必要になります。
3.3.心理的変数(サイコグラフィック変数)
価値観、嗜好、ライフスタイルなどの感性に関する属性で分類をしていきます。ブランドイメージに直結をするため、多くの企業がこの心理的変数を重視するようになっています。
例えば、低価格でコストパフォーマンスを重視する人なのか、高価格でも高級感を重視する人なのかによって、ブランドのイメージ戦略は変わってきます。
このような統計は、アンケート調査に基づくものが多くなります。さまざまな調査会社がアンケート調査の結果を公表、販売していますが、心理的変数は時期や調査方法によって大きく結果が異なることも多いため、精密に行うには自社で調査まで行うことを考える必要が出てくることもあります。
3.4.行動変数(ビヘイビオラル変数)
消費者の実際の購入行動に関する属性で分類してきます。最も簡単な例は、「月に1万円以上自社の商品を買ってくれる顧客かそうでないか」という分類です。
たくさん自社商品を買ってくれる忠誠度の高い消費者には、異なる優待マーケティングを行い、さらに購入してもらうことも可能になってきます。
また、購入頻度が少ない離脱の危険性がある消費者に対して対策を打つことも可能になってきます。
このような購入をする曜日、時間帯、頻度、単価などの行動変数は、ウェブでの販売を行うことで、精密に測定ができるようになりました。
【関連記事】「【KPIツリーとは】KGI設定からKPIツリーを作るポイント、作成するメリット」
4.セグメンテーションを評価する4つのR
4つの変数で消費者をセグメンテーションし、そのセグメントの中からターゲットになる消費者を選び出していきます。
このターゲットを選ぶ時に必要になるのが「4つのR」と呼ばれる原則です。
セグメントの現実的な質を評価する指標です。
4.1.Rank
各セグメントを自社の商品やサービスに適しているかどうかをランクづけし、最も高いものがターゲットになります。
4つの変数だけで評価するのではなく、競合の多さなど現実的な観点からも重要度を評価していきます。
4.2.Realistic
いくら優れたセグメントであっても、充分な売上が確保できなければ意味がありません。そのような収益の現実性を評価します。
例えば、自社の商品やサービスに非常に適したセグメントであっても、100人しかいない小さなセグメントであったとしたらビジネスは成立しません。
4.3.Reach
いくら自社の商品やサービスに適したセグメント=ターゲットが発見できても、その商品やサービスの存在を知ってもらわないことには利用してもらうことはできません。認知をしてもらう現実的な方法が存在するのかを評価します。
4.4.Response
ターゲットに定めたセグメントを対象にビジネスを行って、その反応を測定できるかも重要です。認知の後、購入に至るまでの行動やお客さまの声などのフィードバックが得られやすいかどうかを評価します。
一般には、インターネットを介することで、顧客の行動は把握しやすくなり、フィードバックも得られやすくなります。
【関連記事】「「定量」と「定性」の違いとは!?--ビジネスで活かせる「定量」「定性」分析」
5.セグメンテーションの次にすべきこと
セグメンテーションは消費者を、自社の商品やサービスを販売するという視点で分類整理をすることです。このセグメンテーションが終わったら、次にターゲッティングとポジショニングの2つを行います。
5.1.ターゲッティング
4つの指標でセグメンテーションを行い、4つのRでセグメントを評価したら、その中からターゲットにするセグメントを選び出します。
最も優先度の高いセグメントのみをターゲットにするという戦略もありますが、優先度の高い複数のセグメントをターゲットにする戦略もあります。
5.2.ポジショニング
具体的なターゲットが決まったら、それに合わせて、商品やサービスを微調整していきます。
例えば、元々は若い世代向けに開発された商品であっても、実際にターゲッティングを行なってみると、若い世代とともに、その親世代にも適しているということはよくあります。
親子では商品やサービスに対する嗜好、考え方が似る傾向があるからです。
このような複数ターゲットが想定される場合、それに合わせて、商品やサービスを微調整し、マーケティングの方法も修正する必要が生まれます。
また、場合によっては、いったん企画、開発フェーズまで戻って、商品やサービスを根本からつくり直す必要が生まれることもあります。
【関連記事】「【マネタイズとは】もともとの意味やマネタイズのさまざまな手法を解説」
6.まとめ
セグメントとは、一定の基準によって何かを分割した断片のことを指します。
ビジネスの現場では、消費者などを「年齢」「性別」などの基準で分け、そのひとつをセグメントと呼びます。
セグメンテーションをしたら、そのセグメントを評価し、自社の商品やサービスに適したセグメント=ターゲットを選び出します。