コアコンピタンスとは?活用ポイントや定義について詳しく紹介

コアコンピタンスとは?活用ポイントや定義について詳しく紹介

企業が拡大成長しながら長きに渡り利益を生み出すための概念である「コアコンピタンス」。会議やミーティングでこの言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。

現代は各領域で競争が激化し、表向きの利益追求だけでは企業の存続が厳しい時代です。そのため、コアコンピタンスの確立はすべての企業において急務であるといっても過言ではありません。

今回は、企業の成長に欠かせないコアコンピタンスについて詳しく解説していきます。

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1.コアコンピタンスの意味や定義

コアコンピタンスという言葉は1990年、『ハーバード・ビジネスレビュー』においてゲイリー・ハメル氏とプラハラード氏が定義した概念が紹介され、広く知られるようになったものです。コア(中核)とコンピタンス(能力)を組み合わせた言葉で、ビジネスにおいては「企業の中核を担う強み」を示します。

他社には容易にマネできない自社ならではのノウハウや経営手法、競争領域を指す際にもよく使われます。

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2.混合しやすい「ケイパビリティ」との違い

「コアコンピタンス」と似た言葉として知られるのが「ケイパビリティ」です。この2つは混同されやすく、曖昧な認識で使用している方も多いかもしれません。

この2つの言葉の違いは、「バリューチェーンに対する強みの発揮方法」にあります。

  • コアコンピタンスバリューチェーンの特定領域に対する強み
  • ケイパビリティバリューチェーン全体に対する組織的な強み

バリューチェーンとは、調達や製造、物流、販売、カスタマーサポートなど、事業活動で発生する複数の領域を「価値の連鎖」として一つの流れで捉えることです。

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3.経営戦略に活かす「コアコンピタンス経営」とは

コアコンピタンス経営とは、自社のコアコンピタンスを武器に経営を推し進めることを指しています。それにより他社との差別化が実現し、優位な事業展開が可能となります。

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4.コアコンピタンスを確立するのに重要な要素

コアコンピタンスを確立するためには以下の3つの要素が重要なポイントとなります。

4.1.商品やサービスが顧客に利益をもたらす力

事業は顧客がいて初めて成立するものである以上、顧客に有効な価値提供を行えるかどうかがコアコンピタンスの大前提となります。顧客目線で価値が認められるものでなければ、結果的に自社の利益にもつながりません。

4.2.競合に模倣されにくい力

唯一無二の力を発揮できるかも重要です。競合他社に容易に模倣されては瞬間的な価値提供で終わってしまい、自社ならではの強みとはいえなくなってしまいます。より強固で揺るがないコアコンピタンスの確立には、紆余曲折を経ながら成長拡大してきた実績や、熟練された技術力が求められるのです。

4.3.多くの分野に応用できる力

より少ない工数で多くの分野に適応できる応用力もコアコンピタンスの確立に欠かせない要素です。応用力をもつことは、柔軟性と瞬発力を兼ね備えていることを意味しています。

そのため、市場動向の振れ幅が大きくなっても振り回されることなく、想定の範囲内の出来事として対処することができます。

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5.コアコンピタンスを見極めるポイントは5つ

コアコンピタンスの見極めには以下の5つのポイントを分析することが有効です。ただし分析にあたっては、競合他社や市場状況により浮き沈みを伴う変動が起こることを心得なければなりません。そのため、定期的な定義付けや、現状に甘んじることなく新たな領域へと進出を試みるチャレンジ精神が重要となります。

5.1.模倣可能性(Imitability)

模倣可能性とは、自社製品やサービスが競合他社に真似をされる可能性を指します。どんなに素晴らしい製品を生み出しても、一瞬のうちに他社に模倣されてしまっては、自社の強みはあっという間に世間の当たり前となってしまいます。自社特有のノウハウや技術があればあるほど模倣可能性を低くでき、コアコンピタンスが維持できるでしょう。

5.2.移動可能性(Transferability)

移動可能性とは、特定の製品に依存しない汎用性のあるノウハウや技術であることを意味しています。一つの技術を幅広い製品に応用することで、それ自体が事業活動を支える基盤となり、少ない労力でスピーディーな展開が実現できます。

5.3.代替可能性(Substitutability)

代替可能性とは、自社が選ばれる唯一無二の理由を指します。たとえば、類似品が並ぶ場合、多くの消費者はより低価格な製品を選択しがちですが、コアコンピタンス確立のためにはこの次元を脱しなければなりません。市場の価格競争に巻き込まれることなく、自社ならではの強みで選ばれる製品を作り出すことが求められます。

5.4.希少性(Scarcity)

希少性とは、市場で希有な技術や組織を指します。たとえば「〇〇技術の応用で製品開発に成功した日本で唯一の企業」などと謳うことができれば、それは強固な希少性であるといえるでしょう。また、希少性が維持されるということは、模倣可能性や代替可能性も確立していることにもなります。

5.5.耐久性(Durability)

耐久性は、自社特有の強みが市場で長期に渡り維持されることを指します。これまで説明した4つのポイントも耐久性がなければ真のコアコンピタンスとは言い切れません。市場動向に左右されずに優位性を保てることが、揺るがない自社の組織体制やビジネスモデルを証明することにつながるのです。

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6.コアコンピタンスの言葉としての活用例

コアコンピタンスはビジネスシーンで多く使われる言葉です。具体的には以下のような使い方をよく聞きます。

「今回のイベントでは、自社のコアコンピタンスがもっと消費者に伝わる打ち出し方をすべきです。」

「3年後、5年後を見越したコアコンピタンスをいかに拡大していくかが、今後自社が発展できるかどうかの分かれ道だ。」

「チーム全体がコアコンピタンス経営の方向性を理解しなければならない。」

7.コアコンピタンスを活かして成功した企業の事例

世界のフィールドで活躍している企業はいずれもコアコンピタンスの確立に成功しています。日本企業では以下の2つの大企業がコアコンピタンスの成功事例として広く知られています。

7.1.ソニー

ソニーは、今なお語り継がれる「ウォークマン」を生み出した企業です。従来の製品はどれも大型で高価格であり、一般消費者にはなかなか手が届かないものでした。そのような中、創業者の井深大氏による「もっと小さくできないか」という口癖を実現しようと従業員が懸命に努力を重ねた結果、十分な機能を兼ね備えた低価格商品として「ウォークマン」が誕生しました。

販売直後は実績が振るわなかったものの、その後驚異的なスピードで人気が広まり、世界進出にまで至りました。この実績により、製品の小型化は同社の揺るがないコアコンピタンスとして確立されました。

7.2.富士フイルム

デジタルカメラの普及とともに、かつて事業基盤として浸透していたカラーフィルム領域の衰退が顕著となった富士フイルム。しかしカラーフィルム事業で培った知識や経験、技術を応用し、ヘルスケア分野に進出しました。自社の高機能材料を目的に応じて3次元構造化する技術を同社のコアコンピタンスとして掲げ、ヘルスケア業界のオンリーワンを目指しています。

代替可能性で遅れを見せたものの、高い移動可能性がコアコンピタンス確立につながった事例です。

8.まとめ

コアコンピタンスの確立は、企業の持続的な成長に欠かせない課題です。対外的な好影響だけでなく、従業員が自分たちの事業に自信や誇りを持つようになり、愛着や帰属意識が高まる要素ともなります。

これから先の時代において事業をより優位に進めるためにも、今一度コアコンピタンス確立の重要性を認識し、社内で共通認識を持てるよう施策を検討してみてはいかがでしょうか。

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