アライアンスの意味をわかりやすく解説!M&Aとの違い・重要性は?

アライアンスの意味をわかりやすく解説!M&Aとの違い・重要性は?

ニュースや新聞、実際のビジネスシーンで見聞きする「アライアンス」という言葉の意味をご存じでしょうか。アライアンスは、企業の成長拡大において有効な経営手法の一つです。

今回は、アライアンスの意味やビジネスにおいての役割、M&Aや資本提携との違いなどを解説していきます。

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1.アライアンスの意味とは?

まずは、アライアンスの意味とその言葉が使用されるようになった背景について述べていきます。

1.1.「アライアンス」という言葉の一般的な意味

アライアンスとは、利益追求という同じ目標に向かって、複数企業が協力し合う経営スタイルを指します。新規事業の立ち上げ、既存事業の拡大など、業務提携を結びながらあらゆる取り組みをおこなっていくものです。提携や同盟、連合を意味する英単語の「alliance」が由来となっています。

1.2.ビジネス用語として使われるようになった背景

アライアンスがビジネス用語として浸透したのは、1990年代に起こった航空業界での業務提携がきっかけです。急速なグローバル化が進む中、規制緩和が後押しする形でアライアンスが推し進められ、事業拡大のあらゆる試みや路線網の利便性向上が実現しています。その後、日本においても、自動車業界などを中心に、アライアンスという言葉がビジネスシーンで多用されるようになっていきました。

1.3.ビジネスにおける「アライアンス」とは

ビジネスにおけるアライアンスとは、リスクを可能な限り抑えながらも効果的に事業拡大を狙える経営手法を意味しています。不足しているリソースをお互いに補い合い、自社ならではの「コアコンピタンス(企業の中核を担う強み)」を生かしながら、新たな領域の強化を目指せることから、有効な経営手法として注目されています。

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2.アライアンスパートナーとは?

アライアンスとは、前述の通り2社以上の企業が同じ目標に向かって協力し合う経営スタイルを指します。

このアライアンス契約を結んだ企業を「アライアンスパートナー」と呼びます。

企業同士が協力し合うことで、自社だけでは達成が難しいプロジェクトを成功に導く効果が期待されます。

また、契約を結んだ企業はパートナー企業から新たな情報や技術を得られるため、従業員や企業自体の成長を促すことができるのも一つのポイントです。

3.M&Aや資本提携・業務提携との違いは?

アライアンスと混同しやすい言葉として、以下の2つが挙げられます。両者の使い分けについて正しく理解し、誤用しないよう注意しましょう。

3.1.M&Aとの違い

M&A(Mergers and Acquisitions)は複数の企業や事業の合併や売買を意味する言葉です。

M&Aもアライアンスも、共に新規事業の立ち上げや拡大を狙うものです。しかし、アライアンスはあくまでそれぞれの企業やその事業を維持しながら互いに協力体制を築く手法であるのに対し、M&Aはどちらか一方に吸収される形となり、経営権の移動が発生します。

3.2.資本提携・業務提携との違い

資本提携とは、複数の企業が資金面や業務面で協力関係を結ぶことで、資本の移動が発生するのが特徴です。一方の業務提携はアライアンスと同様に業務面にフォーカスした協力関係を結ぶことであり、資本の移動は発生しません。

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4.アライアンスの目的やメリット

アライアンスの目的や実行することで得られるメリットは、具体的にどのような点にあるのでしょうか。

4.1.「アライアンス」がビジネスで重要視されている背景

ビジネスにおいてアライアンスが重要視される背景には、アライアンスにより得られる以下の要素が関係しています。

  • より広い事業展開が実現し、多くの顧客に価値提供が行えるようになる
  • 自社の強みを最大限に生かし、かつ強化できる
  • 相手企業とお互いの強みを活かせる関係性を構築できる

確実な成果を保障するものではありませんが、それでも多くの企業がアライアンスに踏み切るのは、自社だけでは得ることができない価値の創出が期待できるからでしょう。

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4.2.「アライアンス」の目的・メリットとは

アライアンスは、独立した企業同士の協力関係で成立するものです。そのため、かかる資金や労力をある程度は抑えることができ、契約締結、解約も容易です。企業間での上下関係もなく対等な立場としてビジネスが進められるため、スピーディーな事業展開が実現します。そして、お互いのリソースを活用することにより、顧客に対してより高い価値を提供することができます。

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5.アライアンスの注意点やデメリット

アライアンスのデメリットは、あくまでも経営手法の一つであり、その成果は保障されたものではないという点です。そのため、アライアンスを行う際にはあらゆる想定を持っておくことに越したことはありません。

また、企業間で技術やノウハウを共有すれば、必然的に情報漏洩リスクが高まります。あらかじめ相手企業のセキュリティ意識や対策を把握し、自社の守るべき資産を安心して共有できる相手なのかを見極める必要があるでしょう。

6.アライアンスの3つの戦略

アライアンスでは、主に以下3つの戦略の立案が考えられます。

6.1.生産提携

生産提携とは、自社のリソースが不足している製造工程に関してアライアンス先の企業にサポートしてもらうことです。商品の安定供給や顧客満足度の維持に有効な手法となりますが、自社製造と変わらない品質を維持するため、業務指示や管理は自社で担う必要があります。

6.2.販売提携

販売提携とは、アライアンス企業同士で販路を共有しあうことです。新製品であるために販路を持っていないケースはもちろん、既存製品でも販路開拓が弱いケースなどに有効な手段です。すでに構築されている販路を活用することで効率的な事業展開が推進できます。

6.3.技術提携

技術提携とは、ノウハウや技術、人材を両社の間で共有しあうことです。どの要素も新たな構築に膨大な時間や労力を要するものですが、アライアンスによりこの課題は解消できます。それぞれが持つ有効な能力を適所で活用できれば、技術力の底上げや高度な領域への進出を実現したり、優秀な能力を持つ従業員の存在が他の従業員の刺激となったりするなど、あらゆる好影響がもたらされます。

7.アライアンス契約締結からアクティブ化の流れ

実際に契約を結ぶには、アライアンス先候補の選定から契約締結後のプロジェクト開始までの一連の流れを全て担う「アライアンス営業」を行います。

アライアンス営業の主な内容としては以下の通りです。

  • アライアンス先候補の選定
  • 企業の調査
  • 条件設定・交渉・商談
  • 契約締結
  • プロジェクト始動への取り組み


アライアンス営業は一般的な営業職とは異なり、エンドユーザーと直接向き合うことはあまりありません。

企業同士で契約を行うため、「ビジネス上自社にリスクがないか」「契約の抜け漏れはないか」などを書面から読み取る力が必要です。

また、条件設定など企業間の商談の場ではスムーズにことが進まないケースも多いため、交渉に行き詰まっても常に前向きに取り組む姿勢も大切です。

8.ビジネス用語としての「アライアンス」の使い方の例

続いて、ビジネスシーンで「アライアンス」という言葉をどのように使うべきか、3つの例文を紹介します。実際に使いこなせるよう、イメージを膨らませてみましょう。

例文(1)

「自社とA社がアライアンスを組むことで日本の生産技術はさらに向上し、世界に誇れるものとなるはずです。」

例文(2)

「競合のA社とB社がついにアライアンスに乗り出したようです。」

例文(3)

「弊社の介護業界の拡大成長のため、A社とのアライアンスによって、より満足度の高いサービス展開を目指すべきだ。」

9.「アライアンス」に関する企業事例

アライアンスに乗り出す企業は数多くありますが、その中から事例を2つご紹介します。

9.1.飲食業界での例

ラーメン店を展開する幸楽苑とエンターテインメントコンテンツを提供するアソビシステムは、アライアンスを結ぶことで「らーめん×エンターテイメント」の新たな価値創造に挑んでいます。互いの強みを生かし、老若男女問わず楽しめるラーメンカルチャーの創造、浸透を目指しています。

9.2.自動車業界での例

世界的な自動車メーカーではアライアンスの動きが多く見られてきました。BMWグループとメルセデスベンツは、自動車業界全体での情報共有を目指してアライアンスを締結し、標準化された業務システムを構築することを決定しました。自動車業界における競争力の強化や効率の向上、事業の加速がその大きな狙いです。

10.まとめ

アライアンスは企業活動において有効な経営手法の一つです。一般のビジネスパーソンが直接的に関わる機会はそう多くないかもしれませんが、言葉の意味を知ることで、競合他社や業界の動向をより正しく読み取れるようになります。そして、そこから自分なりの考察を深めることで、新たな学びや気づきのチャンスを得ることもできます。

ぜひ今後のビジネスシーンにおけるアライアンスに注目してみてはいかがでしょうか。

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