ものづくり業界では必ず理解すべき「OEM」とは!?【具体例で理解する「OEM」】

ものづくり業界では必ず理解すべき「OEM」とは!?【具体例で理解する「OEM」】

1.「OEM」とは!?

OEM(オーイーエム)とは、「Original:本来の」「Equipment:製品」「Manufacturere:製造業者」それぞれの頭文字をとった用語です。直訳すれば、「オリジナル製品の製造業者」で、さまざまな理由から、自社で製造した製品を、自社ブランドではなく、他社のブランドで販売する製造業社のことです。

ビジネスシーンでは、例えば、「この製品は、◯◯社によるOEM製品です」、「OEM生産も含めると生産台数は世界一です」、などと使われます。

でも、これだけだとまだよく分かりませんよね。具体的な例を見て、その意味するところをがっちり理解しましょう。

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2.OEMが最も進んでいるのが自動車業界

まず、OEMが最も進んでいるのが自動車業界です。見た目はまったく同じなのに、エンブレムと車名が違うという車の存在に気がついている方も多いでしょう。例えば、ダイハツの軽自動車「ウェイク」は、トヨタから「ピクシスメガ」として販売されています。もちろん、いずれもダイハツが製造しています。

なぜ、このようなOEMをするのでしょうか。それは、ダイハツにとってもトヨタにとってもメリットがあるからです。ダイハツにとっては、巨大な販売力を持っているトヨタブランドでも販売することで、販売台数が大幅に増加することが狙えます。

一方、トヨタにとっては、従来製造してこなかった軽自動車を、工場投資、開発投資なしでラインナップに加えることができる。トヨタの自動車を購入する人は、家族用のセカンドカーとして軽自動車を購入することがありますが、従来はこのような顧客を逃していました。それがOEM供給によってラインナップを充実することで、顧客の要望に応えることができるようになりました。

OEMは供給する方、供給される方の両方にメリットのある方式なのです。現在では、ホンダを除くほとんどの乗用車メーカーが、軽自動車メーカーからOEM供給を受けています。

3.受託生産に近いケースも

OEMは、OEMメーカーが製造販売している商品を、他の販売力のあるブランドに供給をして販売をするというのが基本ですが、受託生産に近いケースもあります。化粧品や雑貨などでは、販売力のあるブランドが商品の企画、設計を行い、実際の製造は他社に委託するという例があります。

この場合、商品のブランド価値を守るために、OEMメーカーは同じ商品を独自に販売しないという契約になっていることが多いようです。OEMというよりは、委託生産と呼んだ方がわかりやすいのですが、実際にはOEM生産と呼ばれることが多いようです。

4.OEM供給元の製品の方がお得なのが一般的

OEMでは、原則、同じ製品が複数のブランドから発売されることになります。では、どちらを買うのがお得でしょうか。自動車や家電製品、化粧品などの場合は、OEM供給元の製品の方がお得なのが一般的です

OEM供給を受けて販売する力のあるブランドは、ブランド力があるために価格を維持できますが、供給する側はブランド力がそこまでではないので、価格が下がりやすいのです。賢い買い物をする人は、欲しい商品のOEM供給元を調べて、そちらの製品を買ったりします。中身は同じ商品なので、お得ですよね。

ただし、自動車などの場合は、OEM供給を受けるブランドは、アフターケアなどのサービスを充実させていることが多いので、どちらで買うのがお得なのかは、よく考えて判断する必要があります。

5.OEM供給される側のブランドで購入した方がお得なOEM製品も

逆に、OEM供給される側のブランドで購入した方がお得なOEM製品もあります。スーパーやコンビニで販売しているPB(プライベートブランド)製品です。

スーパー、コンビニといった流通業は、原則製造拠点を持っていません。それがオリジナルのブランドの洗剤や飲料といったものを販売しているのです。これもOEM供給を受けているので、OEM製品と呼んでもおかしくありませんが、流通業界の慣習でPB製品と呼ばれています。

PB製品の場合は、オリジナルよりもPBの方が価格が低い場合がほとんどです。OEM生産企業では、生産工場を100%の稼働させることはできません。売れないのに作っても仕方がないからです。しかし、工場では、生産してもしなくても、人件費などの経費が勤務時間分かかってしまいます。

スーパーやコンビニは、この工場が空いている時間帯にPB商品を作ってもらいます。そのため、ものすごく安く生産することができ、価格もオリジナル製品よりも安くすることができるのです。パッケージは違うものの、中身は同じですから、お得です。

6.OEM供給関係は"秘密の関係"なの!?

ときどき「この商品、実は◯◯社のOEM生産なんだよ」と声を潜めて教えてくれる人がいますが、OEM供給関係は秘密でもタブーでもありません。大手企業では、OEM契約を提携したことをマスコミ発表していますし、商品ラベルや取扱説明書には製造業社の名前がしっかりと明記されています。

OEM生産は、消費者に隠すようなことではありません。OEM供給元は製造者としての責任を負い、OEMの供給を受け販売する側は販売者としての責任を負うという立派なビジネスモデルです。ただ、消費者に向けて積極的にアピールするようなことでもないというだけのことです。

商品を手にしたら、商品ラベルや取扱説明書の製造業社の名前を見るようにしてみてください。きっとあちこちで、意外なOEM関係を発見すると思います。

7.まとめ

なお、OEMは本来は「オリジナル製品の製造業者」の意味で、企業を指す言葉ですが、最近ではOriginal Equipment Manufacturing(オリジナル製品の製造)と理解して、OEM供給、OEM元、OEM先などと使うこともあります。誤用と言えば誤用なのですが、そういう使われ方が広がっていることも頭の隅にとどめておいてください。

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