マーケティングで必ず出てくる言葉の一つが「コンバージョン」ですが、ビジネスではどのように活用すればいいのでしょうか。今回は、そのいくつかの方法についてご紹介します。
(※もしかしたら仕事頑張りすぎ!? ... そんな方におすすめ『仕事どうする!? 診断』)
【関連記事】「【マーケティングとは】マーケティングの3要素と4つの手順、成功例を紹介」
1.コンバージョンとは
コンバージョンとは、ウェブ、店舗などで、訪問客のうち、何人が目的としている行動をとってくれたかを示す数値です。コンバージョン(Conversion)とは変換、転換の意味です。訪問客のうち、何人を目的の行動に誘導できたかという意味で、一般的にはコンバージョン率(Conversion Rate=CVR)のことを指します。
目的とする行動とは、購入、会員登録、広告クリック、資料請求、問い合わせなどです。店舗の場合、「購入客数/来店客数」で計算をすることができます。
【関連記事】「【ビジネス用語一覧】よく使う用語集100選|意味を例文付きで紹介」
【関連記事】「インプレッション(インプレ)とは? 意味や類似語との違い、関連する指標も解説」
今の仕事、会社がつらい...無料で相談できる転職エージェント「マイナビエージェント」に相談してみる。
2.売上を表す重要公式
コンバージョン率(CVR)はビジネス成果をあげるのに重要な値ですが、重要なのはコンバージョンだけではありません。ECや店舗小売の場合、売上は次のような式で表すことができます。
売上=訪問客数×コンバージョン率×客単価
1日に100人のお客さんがやってきて、そのうちの13人が商品を購入し、平均の購入額は1200円だとすると、訪問客数は100人、コンバージョン率は0.13、客単価は1200円となり、
売上は、
100×0.13×1200=1万5600円
となります。
【関連記事】「「定量」と「定性」の違いとは!?--ビジネスで活かせる「定量」「定性」分析」
【関連記事】「【重要指標MAUとは?】売上改善に活かせる計算方法と注意点」
【関連記事】「【エンゲージメントとは】SNSや企業活動で重視される理由」
3.公式に分解し、施策を考える手法
なぜ、このわかりきったことをわざわざ式で表す必要があるのでしょうか。それは式で表すことによって、施策を具体的に考えていくことができるようになるからです。
売上=訪問客数×コンバージョン率×客単価
の式から、売上というのは3つの項目で決まることがわかります。「訪問客数」「コンバージョン率」「客単価」の3つで、このそれぞれの数値を改善させることで売上が上がるということがわかります。
訪問客数を上げるには、広告を出す、来店者に景品を配るなど。コンバージョン率を上げるには割引クーポンを配布する、タイムセールを行うなど。客単価を上げるには2つ目以降の商品購入は割引率を上げるなどです。
漠然と、「売上をあげるにはどうしたらいいか?」と考えると、考えることが多すぎて何も思いつかなくなるので、式で分解をし、「訪問客数」「コンバージョン率」「客単価」それぞれについて分けて考えることで、具体的な策を考えやすくなります。
【関連記事】「コアコンピタンスとは?活用ポイントや定義について詳しく紹介」
【関連記事】「KPIツリーとは? 作り方のポイントやメリット・デメリットを紹介」
【関連記事】「【マネタイズとは?】意味や使い方、4つのマネタイズ手法を解説」
4.マイクロコンバージョンとは
ECの場合、コンバージョンをさらに分解することができます。ECで商品を購入するときは、「商品ページを閲覧する」→「カートに入れる」→「購入ボタンを押す」→「キャンセル可能時間が終わり、購入が確定する」という流れがあります。このそれぞれのステップで、コンバージョンを計算することができます。このような細分化されたコンバージョンは、マイクロコンバージョンと呼ばれることがあります。
このような分析をすると、さらにきめ細い施策を打つことができるようになります。例えば、購入ボタンを押す段階のマイクロコンバージョンの数値を改善するのであれば、どうやって購入ボタンを気軽に押してもらうかを考え、例えば「商品到着後でも、無料で返品できます」という文言を表示してみたらどうかなどという施策を思いつくことができます。
このように、売上の式をどんどん細かく分解していき、それぞれの項目の数値を改善していくことで、最終的な売上をあげていくことが可能になります。
【関連記事】「【カスタマージャーニーマップとは】作成に必要な要素と方法、活用メリット」
【関連記事】「【インバウンドマーケティングとは】企業の成功事例や手法を徹底解説!」
【関連記事】「【SWOT分析とは】分析のポイント、応用方法や"町中華"での分析例も解説」
5.ユニークコンバージョンとは
このようなコンバージョンは、ECの領域だけではなく、広告や会員登録、資料請求の領域でも使われます。考え方は同じです。広告クリック率、成約率などを式で分解をして、それぞれの項目を改善する施策を考えていくことになります。
ただし、気をつけなければならないのが、ユニークコンバージョンという考え方です。ECの場合は、同じ人がECサイトを4回訪れ、2回購入するということが起こります。この場合、訪問客数は4、コンバージョン率は2/4=0.5ということになります。
しかし、例えば会員登録などの場合、ある人が1日に4回登録サイトを訪れ、最後の1回で会員登録をした場合、訪問者数を4、コンバージョン率を1/4=0.25と考えてしまうと実態からずれてしまいます。なぜなら、会員登録は1人1回しか行わないものだからです。
資料請求なども同じで、期待をする行動が1回で終わる性質のものの場合は、同じ人が何回訪れてもダブって数えずに1人と数える、つまりユニーク訪問者数を利用します。このユニーク訪問者数をベースにしてコンバージョンを計算した場合、区別をするためにユニークコンバージョンと呼ぶことがあります。この例ではユニーク訪問者数1となり、ユニークコンバージョン率は1/1=1.0となります。
ただし、この人は、3回会員登録サイトを訪れたのに、会員登録をせずに2回離脱をしているということになります。この離脱行動をより細分化をして、マイクロコンバージョンを計算し、より細かい施策を行なっていくようにします。
【関連記事】「【ターゲティングとは】ターゲティングの手順やメリットなどについて解説」
【関連記事】「OODA(ウーダ)ループとは?具体例でわかりやすく解説!」
【関連記事】「【ペルソナとは】ターゲットとの違いやペルソナ設定のメリット・設定方法」
6.コンバージョンだけではない重要指標
「コンバージョンを改善するには」「コンバージョンを取りに行く」などという会話がビジネスの現場で交わされ、あたかもコンバージョンだけが重要な指標であるかのように誤解をされている方もいますが、重要なのはコンバージョンだけではありません。
このコンバージョンという言葉は、ウェブ広告の業界の人たちが最初に使い始めました。ウェブ広告では、訪問客数は広告表示サイトの運営者次第であり、広告の客単価は契約によって決まっているため、売上を上げるのに自分たちで改善できるのはコンバージョンしかありません。ですから、ウェブ広告の業界の人たちはコンバージョンを重要視するのです。
一方で、ファストフード店であれば、店舗にきたお客さんはほぼ全員商品を買う(つまり、コンバージョン率1.0に近い)でしょうから、コンバージョンに注目することは無意味です。改善できるのは訪問客数と客単価であり、そのためにはクーポンを配布してお店にきてもらい、「ご一緒にポテトはいかがですか?」とアナウンスして客単価を上げようとします。
売上を分解した式の項目のうち、どれを重要するかは、業態、企業戦略によって異なってきます。そこを熟慮し、自社のビジネスに適切な式を作り、重要な項目についてはさらに細分化をして、項目ごとの施策を考案し、実行していくことが重要です。
【関連記事】「【ハッシュタグとは】マーケティングでの活用法やメリット、分析ツールを紹介」
【関連記事】「【クッキー(Cookie)とは】利用するメリットとプライバシー保護上の問題点」
【関連記事】「【セグメントとは】セグメントに分ける目的、分けた後にすべき事」
7.まとめ
コンバージョンとは、ウェブ、店舗などで、訪問客のうち、何人が目的としている行動をとってくれたかを示す数値です。売上は、「訪問客数×コンバージョン率×客単価」という式で分解ができるので、業態や目的に合わせて「訪問客数」「コンバージョン率」「客単価」それぞれの数値を改善する施策を実行することで、売上を増やすことができます。
また、さらにコンバージョン部分を細分化して、マイクロコンバージョンを測定し、きめ細かい施策を考案することも可能になります。
業態、企業戦略に合わせて、最適な指標に分解した式を作り、項目ごとに数値を改善する施策を考えることで、より効果的に目的を達することができます。
【関連記事】「【ブルーオーシャン戦略とは】見つけ方から戦略のフレームワークまで」
【関連記事】「【キャズム理論とは】キャズムが生まれる理由と"キャズム超え"のための戦略」
【関連記事】「【強調スニペットとは】採用された際のメリットと採用されやすい条件」