【ターゲティングとは】ターゲティングの手順やメリットなどについて解説

【ターゲティングとは】ターゲティングの手順やメリットなどについて解説

Webマーケティングの世界で重要な要素の1つとして「ターゲティング」があります。今回はターゲティングの手順やターゲティングを行うメリットなどについて解説します。

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1.ターゲティングとは

ターゲティング(Targeting)とは、市場を細分化し、その中から自社の製品やサービスのねらう市場を定めるマーケティング手法のひとつです。

一般的には、STP(Segmentation、Tageting、Positioning)というフレームワークに基づいて行われます。

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2.STPフレームワークとは

STPフレームワークとは、ターゲティングをするためのフレームワークです。

市場を細分化し、その中から適切な市場を定め、そこに対して適切なマーケティングを行います。

STPフレームワークでは、次の3つの手順を行います。

2.1.セグメンテーション(Segmentation)

市場をさまざまな軸で細分化することです。

2.2.ターゲティング(Targeting)

セグメンテーションにより市場を細分化し、その中から適切な市場を選定することです。

2.3.ポジショニング(Positioning)

定めた市場に対し、マーケティング活動を行っていくことです。

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3.セグメンテーションの手順

市場を細分化するということは、商品やサービスを販売したい消費者を何らかの指標によって分割をすることです。

どのような切り口で分割をするかで、ターゲティングによるマーケティング活動の効果が大きく変わってくるため、STPフレームワークの中で最も重要な部分になります。

セグメンテーションでは、次のような属性を用いて市場を分割していきます。

3.1.デモグラフィック属性

消費者の性別、年齢、居住地、職業、所得など、人口統計のような基本的な切り口です。

どのようなターゲティングでも必ず使われることになります。

3.2.サイコグラフィック属性

心理的な属性です。趣味やライフスタイル、性格などです。

多くの場合、アンケート調査などで知ることができる属性です。

3.3.ビヘイビオラル属性

行動属性です。自社製品や類似製品の購入履歴、使用率などです。

また、近年ではインターネット上の行動属性が計測しやすいことから、よく見るウェブの傾向やデバイスの利用頻度なども使われます。

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4.ターゲティングの手順

セグメンテーションができたら、次はその中から自社の製品やサービスの対象として適切な市場を選びます。

選ぶ時は「6つのR」により評価を行います。

4.1.市場規模(Realistic Scale)

細分化した市場のそれぞれについて市場規模を評価します。

一般には市場規模の大きな細分化市場にアプローチするのが効果的です。

いくら自社の製品やサービスが浸透しやすい細分化市場を発見できたとしても、その市場規模があまりに小さければ、成果は限定的になってしまいます。

4.2.成長性(Rate of Growth)

細分化市場を選定する場合に最も重要な指標となります。

成長性が期待できる市場であれば、規模が小さくても将来は大きくなることが期待できます。

規模が小さなうちに浸透をすることで、低コストでアプローチすることができ、大きな投資効果を得ることができます。

一方、いくら他の指標が優れていても成長性を失った市場を選定することは避けるべきです。

4.3.波及効果(Rank/Ripple Effect)

ひとつの細分化市場が、隣接する別の細分化市場に与える影響の大きさを評価します。

他の市場に与える影響が大きい市場は、当然優先されることになります。

うまくいけば、ひとつの細分化市場を攻略することで、芋づる式に他の細分化市場も攻略していくことができるようになります。

4.4.到達可能性(Reach)

市場にいる潜在顧客にアプローチできる可能性を評価します。

潜在顧客がいても、コンタクトをするチャネルがなければマーケティングはできません。

マスメディアだけでなく、SNSなども考慮して、潜在顧客にアプローチする方法があるかどうかを評価します。

4.5.競合状況(Rival)

参入をする市場は、競合がいないブルーオーシャンが理想的です。

いくら魅力的な市場であっても、競合がひしめくレッドオーシャンでは、マーケティングコストがかかるだけでリターンを得ることは難しくなります。

競合状況を評価します。

4.6.測定可能性(Response)

マーケティング活動に対して、顧客の反応が測定できるかどうかを評価します。

例えば、屋外広告が有効である細分化市場は、反応の測定が非常にしづらくなります。認知度などのアンケート調査などでしか反応を測定できません。

そのような市場では、効果的なマーケティング活動が難しくなり、次の適切な手を打つことができなくなります。

測定可能性の低い市場にアプローチをしたい場合は、反応を測定する手法も合わせて準備する必要があります。

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5.ポジショニングの手順

市場の評価ができたら、次はその市場に対して、どのようなアプローチをするかを考えます。

5.1.無差別型マーケティング

細分化された市場の中で、規模が最大の市場に対してアプローチをする手法です。

いわゆる最大公約数をねらう手法で、単価の小さい日用品などでよく使われる手法です。

本来ならば、市場全体にアプローチをすべきであるところを、最大の細分化市場にのみアプローチをすることで、マーケティング費用を抑えることができます。

ただし、競合と価格競争になりやすいのが欠点です。そのため、日用品メーカーの多くが、ベーシックラインの製品で無差別マーケティングを行い、それとは別に個性的な製品を発売し、異なる細分化市場をターゲティングするという組み合わせ手法を取るようになっています。

5.2.差別型マーケティング

細分化された市場すべて(あるいは複数)に対して、個別アプローチをする手法です。フルライン戦略とも呼ばれます。

実行するには企業体力も必要となります。

例えば、大手自動車メーカーでは、市場をセグメンテーションした上で、そのすべての市場に、軽自動車から高級車までの製品を提供します。

すべての細分化市場に対し、適切な商品を用意する方法です。

企業体力は必要になりますが、ブランドの認知が進むために、競合に対して圧倒的な強みを持つことができます。

5.3.集中型マーケティング

特定の細分化市場をターゲットにし、そこにマーケティングリソースのすべてを集中させる戦略です。

顧客の急速な拡大をねらうのは難しいものの、特定の市場に深く浸透することが可能になります。新製品や特徴のある製品に向いている戦略です。

5.4.段階的ターゲティング

集中型マーケティングの戦略をとった場合、その市場を攻略するだけでなく、一定の段階に達したら別の市場をねらうことで市場を拡大していくことが可能です。

このようなことを当初から設計しておくのが段階的ターゲティングです。

段階的ターゲティングは、当初から計画をしておくこともありますが、実際の市場動向を見て、臨機応変に別市場にターゲットを移していくこともあります。

例えば、屋外作業着という細分化市場に特化をしていた衣料小売が、顧客分析を行うことで、デモグラフィック属性が同じでありながら、サイコグラフィック属性がまったく異なる若い男性層にファッション衣料として提供し成功した事例があります。

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6.ペルソナとの違い

ターゲティングと似たような手法にペルソナがあります。

ペルソナとは、ターゲットとする顧客の属性や設定を仮定する手法です。

例えば、「27歳女性。東京都葛飾区在住。3歳の娘がいて、都内商社で時短勤務。趣味はアウトドアで、週末は家族でオートキャンプに行く」など、具体的な人格像を設定するやり方です。

一見、ターゲティングと似ていますが、ターゲティングはマーケティングの戦略レベルを定める手法であり、ペルソナは戦術レベルを定める手法です。

具体的には、ペルソナの設定を見て、具体的にどのようなプロモーションが効果があるかを考え(例えば、クーポン配布、インフルエンサーの活用など)、それをターゲティングから立案した戦略の中に組み込んでいきます。

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7.ターゲティングのメリット

ターゲティング手法をとると、次のようなメリットがあります。

7.1.新規顧客を獲得できる

ターゲティングは、最小の投資で最大の効果をねらうマーケティング手法です。

ターゲティングを行うことで、ニーズを潜在させている顧客に効果的にアプローチできるようになり、新規顧客を効率よく獲得することができます。

7.2.客単価の向上

ターゲティングは、一言で言えば、ニーズを潜在させている顧客との適切なマッチングをするということです。

本当に欲しい人に商品やサービスを届けることになるため、適切な価格設定が可能になります。

ターゲティングをせずに全市場を狙おうとすると、ほんとうにほしいわけではない、ニーズの希薄な顧客にも購入をしてもらおうとして、価格競争に巻き込まれがちです。

事業活動を持続可能にするためにもターゲティングは貢献します。

7.3.一貫したマーケティング立案

ターゲティングの最も大きな効果は、マーケティング戦略に一貫性が生まれることです。

市場を細分化し、ターゲットを選定し、マーケティング活動を実施するというSTPフレームワークに基づくため、それぞれのマーケティング活動に整合性が生まれます。

ターゲティングを行わずに、マーケティング活動を行うと、単発的なプロモーションを繰り返すことが多くなり、費やしたコストに対する利得は少なくなり、知見やノウハウの蓄積も期待できません。

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8.ターゲティングで陥りやすい間違い

ターゲティングでは、しばしば見られる典型的な誤りがあります。

8.1.ターゲティングを曖昧にしてしまう

せっかくSTPフレームワークを使ってターゲティングを行ったのに、実行する段になると、複数の細分化市場を視野に入れてしまい、マーケティング活動が曖昧になってしまうことがあります。

ひとつの細分化市場に特化するのは勇気がいることで、「ターゲットはもっと広くとった方が安全だ」と指摘されると反論は難しいものです。

日本の白物家電製品の中には、この罠に陥ってしまった製品もあり、あちらの市場にも対応、こちらの市場にも対応を繰り返すことで、無駄な機能が多数つけられ、使いづらく高価なものになってしまうという誤りを犯しました。

これにより、掃除機や空気清浄機、トースターなどの分野で、ターゲティングをしっかり行った製品に市場を奪われてしまうことになりました。

8.2.セグメンテーションにデモグラフィック属性のみを使う

ターゲティングで最も緻密に行わなければならないのは、セグメンテーションです。

市場を細分化する時に、どのような切り口を使うのかで、その後のターゲティングの成果がまったく違ってきます。

このセグメンテーションを行う時に、性別や年齢といったデモグラフィック属性だけで細分化をしてターゲットを定めてしまう誤りがよく見られます。

例えば、「この製品のターゲットは20代女性です」というような例です。しかし、これではセグメンテーションができているとは言えません。同じ20代女性でも、大学生もいれば単身者もいれば既婚者もいます。所得もさまざまです。

さらに、消費性向や嗜好などのサイコグラフィック属性もさまざまで、ビヘイビアル属性もさまざまです。

つまり、「20代女性」という切り方は、あたかもセグメンテーションができているようで、実はほぼ全市場を見ている無差別マーケティングをしていることになります。

しかし、立案はターゲティング規模であるため、常にマーケティングリソースが不足した状態になり、期待した効果は得られません。

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9.まとめ

ターゲティングとは、市場を細分化し、その中から自社の製品やサービスのねらう市場を定めるマーケティング手法のひとつです。

STPフレームワークの中で使われる手法です。

市場をさまざまな切り口で細分化をし、6つのRの観点に基づいて細分化市場を評価し、自社の製品やサービスがねらうべき細分化市場を定めます。

ひとつの市場に集中をしてマーケティング活動を行うことで、最小のコストで最大の効果が得られる手法です。

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