インフルエンサーの主な分類とインフルエンサーマーケティングの始め方

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「インフルエンサー」という言葉を聞いた方も多いと思いますが、一言でいえば「影響力のある人」という事になるかと思います。

今回は、インフルエンサーを活用したマーケティング「インフルエンサーマーケティング」について詳しく見ていきたいと思います。

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1.インフルエンサーマーケティングとは

インフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで影響力を持つインフルエンサーの方に、商品やサービスを紹介してもらうことです。トップクラスのインフルエンサーになると1000万人以上のフォロワーを持っています。その多くが、そのインフルエンサーに好感を持っている人であるため、商品やサービスの購入/資料請求などに結びつく割合(コンバージョン)が大きいため、マスメディア広告よりも高い効果をあげられるケースもあります。

2.インフルエンサーとは

インフルエンサーとは「影響力を持っている」人のことです。YouTube、TikTok、インスタグラムなどの動画共有サイトやSNSでは、発信をする人をフォローできる仕組みになっています。このフォロワーが多い人は、その人の発言、行動などが多くの人から注目されているためインフルエンサーと呼ばれます。

インフルエンサーは、その人により、フォロワーの年齢、性別、趣向などが異なっており、自社がターゲットとしたい消費者群と適合するインフルエンサーに依頼をすることで、マスメディアよりも効率よく、深く商品やサービスの情報を伝えることができるケースもあります。

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3.インフルエンサーの規模による分類

インフルエンサーはフォロワー規模によって分けることができます。しかし、どのような商品、サービスでもトップインフルエンサーに依頼をすればうまくいくというわけではありません。

フォロワーの数が多くなればなるほど、さまざまな趣味趣向の人が増え、母集団である全消費者に近づくため、購入、資料請求などの反応(コンバージョン)率は小さくなっていきます。一方、マイクロインフルエンサー、ナノインフルエンサーは、フォロワー数は少ないものの、志向がそろったフォロワーであるため、適合するインフルエンサーを見つけることで、高いコンバージョン率を得ることができます。

一般に、トップ、パワーはブランドの浸透のために、マイクロ、ナノは商品やサービスそのものの認知率を上げるために活用されます。

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(インフルエンサーのフォロワー数による分類。フォロワー数の多いインフルエンサーマーケティングではリーチ数(到達数)は多くなるが、コンバージョン率(反応率)は低くなる。そのため、マーケティングの目的に応じて、適切な規模のインフルエンサーを選定することが重要になってくる)

4.インフルエンサーの種類による分類

インフルエンサーと一口に言っても、同じではありません。

(1)芸能系有名人

芸能人やアーティスト、ユーチューバーら、幅広い人気を獲得している人です。多くがトップインフルエンサーになります。特定の商品やサービスを紹介してもらうと、いわゆるステマなどの反発が起きることもあります。一般には、ブランドの認知力を高めるために活用します。

また、有名人の中には、特定の趣味を持っていることが広く知られている場合もあり、その場合は、その趣味に合致する商品、サービスを紹介するために活用するケースもあります。

(2)専門分野系有名人

世間に広く知られている言論人、企業経営者、アスリート、ミュージシャン、アーティストなどです。多くの場合、パワーインフルエンサーです。一般芸能人と異なり、それぞれの専門領域を持っているため、その領域と合致をする商品、サービスであれば高いコンバージョンが期待できます。ただし、このような方々は、その専門領域を本業としているため、どんな商品、サービスでも報酬を支払えば紹介してくれるわけではありません。本人が自信を持って紹介できると納得することが重要になります。

(3)商品の目利きのプロ

いわゆる評論家ですが、特定の領域の商品、サービスに関する知識を持ち、SNSやテレビ、雑誌などで紹介することを本業にしている方々です。多くの場合、マイクロインフルエンサーですが、その領域に対する信用度は高く、高いコンバージョンが期待できます。ただし、このような方々も紹介することを本業としているため、報酬をもらえばなんでも紹介してくれるわけではありません。そのようなことをすると、自身の信用度を毀損してしまうため、商品選びには慎重です。

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(4)特定の領域の消費者代表(KOL)

立場としては消費者ですが、他の消費者から信頼をされている方々です。消費者に重要な影響力を持つことから「Key Opinion Leader(KOL)」とも呼ばれます。多くの場合、ナノインフルエンサーですが、数は少なくても高いコンバージョンが期待でき、さらにはKOLの発信が発火点となって、一般の消費者に認知が広がっていく現象も起きています。特に、若者カルチャーに属する商品やサービスは、KOLを起点として口コミが拡散する傾向があります。

(5)CEO(責任者)

近年、米国や中国で登場している新しいインフルエンサーの潮流がCEOです。CEOといっても役職が代表取締役社長である必要はなく、商品やサービスを提供する責任者のことで、自社の製品やサービスを公式アカウントなどの自分自身で紹介するマーケティング手法です。

多くのSNSでは、消費者がコメントを寄せることができるため、気軽に質問ができます。食品であれば「添加物は使用されていますか?」などという質問が送られてきますが、責任者が嘘を答えるわけにはいきません。また、質問を無視したとすると、その様子は他のフォロワーにもわかってしまいます。このため、責任者本人がPRをする場合、多くの消費者がその発言を信頼するため、安心感を得ることができます。トップインフルエンサーのような爆発力はありませんが、地道にファンを増やしていく手法として注目されています。

5.インフルエンサーマーケティングの手法

(1)ギフティング

最も手軽なのが、商品をインフルエンサーに進呈するという方法です。運がよければ、インフルエンサーが紹介をしてくれます。しかし、現在は、どのインフルエンサーもステルスマーケティングなどによる炎上に慎重になっているため、ただ贈っただけではなかなか取り上げてはもらえません。また、企業のマーケティング依頼を数多くこなしているトップ、パワーインフルエンサーでは、競合商品の紹介はしない契約を結んでいることが多く、贈っても無駄になります。マイクロ以下に効果的な手法です。

(2)コラボレーション

インフルエンサーと商談をして、きちんと契約を交わして商品を紹介してもらう方法です。このような場合、企業依頼案件であることを公にしてツイートや動画を作るため、インフルエンサー側でも炎上の不安がありません。

ただし、そのインフルエンサーの特性とまったく噛み合わない商品やサービスを紹介すると、フォロワーが反発するなど、インフルエンサーの人気も低下をするため、適切なインフルエンサーを選定することが必要です。

また、動画の場合は、工場訪問やゲストとの対談など、番組内容についても一緒に考える必要があります。企業としては認知力の向上に寄与し、インフルエンサーとしてはフォロワーが増える面白い内容の番組にする必要があります。

(3)アンバサダー

長期契約を結んで、アンバサダー、エバンジェリストになってもらう方法です。定期的に商品やサービスを紹介してもらう長期戦略が必要になります。また、企業がマスメディアで展開する広告活動にインフルエンサーの名前を使ったり、出演してもらったりすることも可能になり、総合マーケティング戦略を立てやすくなります。

6.インフルエンサーマーケティングの始め方

インフルエンサーマーケティングの最大の難関は、最適なインフルエンサーを発見することです。「有名だから」という理由だけで依頼をしても、ほとんどの場合、うまくいきません。今の消費者は、企業の宣伝活動はすぐ見抜き、それを無視したり、反発したりする傾向があるからです。

まず、やるべきは自社の商品やサービスのSNSなどでの口コミ評価です。このようなマーケティング調査を行ってくれる企業はたくさんあり、自社の商品やサービスがどの程度拡散しているのか、どのような層に拡散しているのか、好意的な内容が多いのか少ないのかなどを調べてくれます。

その過程で、好意的なツイートをしているインフルエンサーやKOLを発見できます。このような人にPRを依頼すると、相手側も積極的に応じてくれる確率が高くなります。また、以前のツイート内容とも整合性が取れるため、フォロワーも素直に受け入れてくれます。

インフルエンサーマーケティングは、季節キャンペーンのように短期間行なって効果が上がるものではなく、長期にわたって行なって初めて効果が生まれます。「トップインフルエンサーに紹介してもらったら、売り切れ続出の爆売れ」というのは稀なことであり、もはや過去のものになっています。地道に、ブランドや商品、サービスの認知を高めていく長期的なマーケティング活動がインフルエンサーマーケティングです。そのため、マーケティング活動全体の長期戦略の中での位置付けを明確にしておくことが成功への鍵になります。

7.まとめ

インフルエンサーは、SNSや動画共有サイトなどで多数のフォロワーを獲得し、大きな影響力を持つ人のことです。このようなインフルエンサーに、自社の商品やサービスの紹介をするのがインフルエンサーマーケティングです。

フォロワーには特定の傾向を持つ消費者が集まっていることが多く、マスメディア広告に比べるとリーチ数は小さくなりますが、一方で、購入や資料請求という反応を得る高いコンバージョンが期待できます。

ただし、長期のマーケティング戦略を立てて、適切なインフルエンサーを選定し、炎上や反発が起こらない高度な運営も要求されます。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)

テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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