【スキームとは】「〇〇スキーム」として使われる際の意味やプランとの違い

【スキームとは】「〇〇スキーム」として使われる際の意味やプランとの違い

ビジネスの世界で「スキーム」という言葉を耳にする事もあるかと思いますが、多くの場合、そのほかの言葉と組み合わせて複合語として使われる場合が多いです。

今回は、そうした「〇〇スキーム」という形で使われる場合の意味や、スキームという言葉とよく似た言葉であるプランやフローとの違いなどについて説明します。

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1.スキームとは

スキームとは目的を遂行するための枠組みのことです。事業スキームと言った場合には、その事業を遂行するためにどの企業、部署が何をするのかを定めた枠組み、構想のことです。複雑になるビジネス関係をスキーム図で表現することで、理解しやすくなります。

元々のスキーム(Scheme)という単語には、枠組み、体系、事業計画、構想、案、図式などの意味があります。

2.スキームと複合語としてよく使われる言葉

スキームは、単独で使われるよりも、「〇〇スキーム」という形で、他の言葉と複合して使われることが多い言葉です。

(1)事業スキーム

生産、販売、営業などを誰が担当するかを明確にしたものです。また、他社と提携、協力をする場合は、どのような関わり方をするのかを明確にします。事業を遂行するプレイヤーの関連図にあたるものです。

事業計画を作成する時は、この事業スキームをもとに、どのくらいの製品をいつまでに生産して、どのくらい販売するかなどを具体化していきます。

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(2)資金調達スキーム

資金調達の方法は、融資、借入、社債発行などさまざまな方法があります。事業に必要な資金を、それぞれの手法で誰からどの程度の額を調達するかを示したものが資金調達スキームです。

(3)M&Aスキーム

会社の合併、買収をするには、株式譲渡、事業譲渡などの手法がある上に、商法上、税務上などの課題を回避するために、新会社や持株会社などを設立することもあります。

どのようにM&Aを行い、M&A後の体制がどのような形になるのかを示したのがM&Aスキームです。

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(4)販売スキーム

商品を販売する時に、自社の店舗でのみ販売という単純な販売手法のみに頼ることは少なくなっています。

販売会社に商品を納入し、その販売会社が得意としている地域、販売網に販売をしてもらう、自社ECだけでなく、他社のECプラットフォームにも出品するなど、販売チャンネルは複雑になっています。

商品の特性に合わせて、このような複雑な販売チャンネルをどう活用していくのかを具体的に示したものが販売スキームです。

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(5)投資スキーム

企業に対する投資を行う場合も手法が多様化しています。その企業の株式を購入するという単純な投資だけではなく、融資をする、社債を購入するという方法もあります。

また、リスクを分散させつつ、その企業での発言権を獲得するため、投資団を形成して集団投資をする場合もあります。自社のリスクを抑えて、投資効果を最大にするためにどのような仕組みで投資を行うかを示したものが投資スキームです。

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3.プラン、フローなどの類義語との違い

スキームという言葉には、意味が近い言葉がいくつかあるために、認識のずれを生まないように気をつけて使う必要があります。

(1)プランとの違い

プランというのは計画のことですが、ビジネスの現場ではアイディアに近い意味で使われます。事業プランと言えば、「事業をどのように遂行するかを示した大まかなアイディア」というニュアンスがあり、関係者で検討して洗練させていくための叩き台の意味があります。

上司から「新規事業の事業プランを考えろ」と言われた場合には、暖めてきたアイディアを形にすることで充分ですが、「新規事業の事業スキームを考えろ」と言われた場合は、関係先にも打診をし、実行可能な枠組みにしておく必要があります。

プランは事業構想、スキームは事業計画に近い言葉です。ただし、このような使い分けは、企業文化によっても異なりますし、話者の感覚によってもニュアンスはずれます。

あやふやだと思った時は、言葉に振り回されず、どのレベルまで要求されているのかをしっかりと確認することが何よりも重要です。

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(2)フローとの違い

フローというのはワークフローのことで、業務フローというのは業務を行う手順のことです。

時間軸に着目した整理の仕方です。事業フローといった場合は、ひとつの製品が生産されて、お客様に納品されるまでに、時間軸にそって誰が何をするかを表します。スキームが、事業を遂行するためのプレイヤーの関係図で二次元的に展開した図になるのに対して、フローは時間軸に沿って一次元的(線状)に展開する図になることが多いです。

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4.スキームを別の言葉で言い換えるには

スキームという言葉が使いづらいのは、この言葉が表す範囲が広く、使う人によりどこに重点が置かれているのが異なることにより、意思疎通の齟齬が起きやすいからです。

不安を感じた場合は、スキームを別の言葉で置き換えてみることにより、双方のニュアンスのギャップを確認することができます。

事業スキームの場合、その事業を遂行するための構造、構成に重点が置かれている場合は「事業枠組み」「事業構想」という言葉が近くなります。

一方、具体性を帯びた計画に重点が置かれている場合は「事業計画」という言葉が近くなります。

スキームという言葉とともに、このように言い換えた言葉も同時に使ってみることで、互いの認識をすり合わせていくことができます。

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5.スキームは図解で表現することができる

スキームというのは構成図ですから、言葉ではなく、図解をするのが最も適しています。スキームを考える時も、図を描き、妥当性を検討し、修正していくということを繰り返していきます。

スキーム図が完成したら、このスキーム図に事業フローを番号をつけて書き込んでいくこともあります。この事業フローだけを抜き出して、線上に展開したものが事業フロー図になります。

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(一般的な住宅ローンのスキーム図。赤は、返済が滞った場合の保証会社によるローン債務処理スキーム。それぞれ番号順に線上に並べるとフロー図が作成できる)

6.英語でも使えるスキーム

英語でもschemeという言葉は、日本とほぼ同じような意味で使われます。ただし、詐欺の仕組みなどにも使われる言葉なので、英語圏であまりに多用すると信頼を得られなくなるかもしれません。

あまりいい意味でなく使われる場合として、投資を募りながら実際には投資をせず、別の出資者から集めた資金で配当を支払うフリをするポンジスキーム、いわゆる無限連鎖講のピラミッドスキームなどがあります。

7.まとめ

スキームとは目的を遂行するための枠組みのことです。事業スキームといった場合には、その事業を遂行するために何をするのかを定めた枠組み、構想のことです。

スキームは構成図として図解をすることが可能で、スキームを検討する時も図をベースに考えていくのが一般的です。

原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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