ペルソナとは、特にマーケティング領域で「その商品やサービスを利用する架空の顧客像」を指す言葉として使われています。
本記事では、ペルソナの意味やビジネスにおける重要性、設定方法などを解説します。ペルソナ設定の有無によって得られる成果が大きく変わることがありますので、この機会にペルソナの使い方をしっかり理解しておきましょう。
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1. 「ペルソナ」とは?
「ペルソナ」とは特にマーケティング領域で、その商品やサービスを利用する架空の顧客像を指します。元々はラテン語で「仮面」を意味する「persona」から生まれた心理学用語で、「表面的な人格」を意味します。
マーケティングにおけるペルソナは、性別や年齢層はもちろん、学歴や職歴、年収、ライフスタイル、家族構成、趣味嗜好などあらゆる属性が具体的に決まっています。実際にそのような人がいるとイメージできるような架空の顧客像を作り上げていくのです。
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1.1. ペルソナとターゲットの違い
「ターゲット」も、製品やサービスの開発・マーケティングを行う際に必要とされます。ペルソナと似ていますが、ターゲットの場合は狙いとする「層」を表す年代や性別などの設定にとどまり、人物像であるペルソナほど詳細な項目設定は行いません。
●ターゲットの場合
- 20代
- 男性
- 会社員
- 独身
●ペルソナの場合
- 名前:田中 次郎
- 性別:男性
- 年齢:24歳
- 結婚:未婚
- 居住地:東京都(実家暮らし)
- 学歴:高等学校→四年制大学経営学部卒
- 職業:メーカー、営業部、総合職
- 年収:350万円
- 最近の悩み:営業成績が頭打ちになっている
- 将来のビジョン:30代のうちに部長クラスのポストに就きたい
- 家族構成:父(52歳)・母(47歳)・弟(20歳・17歳)
- 趣味:筋トレ、サッカー観戦
- 特技:英語
- 性格:明るくリーダーシップがあり、人から相談されることが多い。
- 休日の過ごし方:アクティブで外出することが多い。日曜日は仲間と立ち上げたフットサルチームで活動している。
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2. ビジネスにおけるペルソナの重要性
多数のスタッフが携わるプロジェクトでは、メンバーがプロジェクトの全体像を認識しているか、方向性の統一が図れているかでゴールまでのスピードや得られる成果がが左右されます。ペルソナは、そういった認識や方向性の統一に役立ちます。
商品やサービスについては、それを誰に届けたいのかという視点が関係者の共通認識として欠かせません。ペルソナを設定することでどのような人に届けたいのか具体的なイメージが共有され、商品・サービスの内容やデザイン、マーケティング手法まで、メンバー間でずれが生じることなくスムーズな提案・意思決定ができるでしょう。
また、ペルソナという具体的な人物像に沿ってビジネスを進めることで、顧客視点をも持ちやすくなります。顧客視点は、ユーザーの共感や満足度を得るために欠かせません。
2.1. ペルソナの手法は昨今のトレンドに合わない?
昨今、ペルソナを設定する手法はもう古いのではないかとの声が聞かれることもあります。しかし、ペルソナは変化が激しい現代でも有効なものです。
例えば、インターネットやAIの登場で顧客行動や、顧客とのタッチポイントが多様化している状況では、ざっくりとしたターゲット像だけでなく、ペルソナを設定することでより細やかにニーズを汲み取ることが必要です。
特に、BtoBビジネスや高額な商品を扱う場合は、「まさにこれが欲しかった」という細かなニーズをとらえた商品・サービスをつくる必要があります。その場合、ニーズを的確に捉えられるよう、ペルソナを設定することが有効でしょう。
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3. ペルソナを設定するメリット
ペルソナを設定すると、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは主な4つのメリットを挙げます。
3.1. 課題や問題を解決しやすくなる
プロジェクト内で課題や迷い、誤解などが生じても、ペルソナという根幹に立ち返ることで困難な状況からスムーズに脱却できます。
一人の人物像を共有することで共通認識を持ちやすくなるため、方向性がブレにくく、軌道修正も容易に行うことができるでしょう。
3.2. ユーザーのニーズを反映できる
ペルソナの設定を行えばユーザー側の視点を具体的に持てるため、よりニーズを満たす商品やサービスの開発を実現できます。
企業が利益を上げるためには、自分たちの都合ばかりを優先するのではなく、ユーザーから認められ、求められる商品やサービスを開発しなければなりません。
ペルソナ設定によって、ユーザーが日々何を思いどのような生活しているのかをリアルに想像でき、開発に生かせるでしょう。
3.3. 商品やサービスの訴求力を高められる
具体的でリアルなペルソナをもとにすることで、ある顧客層にとって魅力的な商品・サービスや広告などを提供しやすくなります。
例えば、ビジネス書を売り出そうと考えたとき、特定の職位にいる顧客に焦点を当て、彼らが抱える課題を解決できる内容を盛り込めば、共感を呼び起こして購買意欲を高めることができます。
結果として顧客との信頼関係を築き、市場での競争優位性を確立することにもつながるのです。
3.4. コスト削減ができる
適切なペルソナ設定ができていれば、成果を出しやすい効果的な開発・施策を集中的に行えるようになるため、コストの削減が期待できます。
顧客像が具体的にイメージできていないと、需要に合わない商品やサービスになってしまったり、明確な効果予測ができないまま施策を実行したりしがちです。結果として、費用対効果が薄れてしまうこともあります。
ペルソナを軸に据えることで、成果までのスピードや確実性を高めつつ、コストを最小限に抑えることができるでしょう。
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4. ペルソナの設定方法
ここからは、基本的なペルソナ設定の方法を解説します。以下の手順に沿って設定を進めていきましょう。
4.1. まずは自社の分析を行う
具体的な項目の設定に取りかかる前に、まず自社について正しい認識を持つことが重要です。
市場や競合他社の動きを踏まえたうえで自社の立ち位置や強みを見極めましょう。それによって初めて、自社がどのような領域でユーザーに価値を提供できるかが把握できます。
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4.2. ペルソナの要素を決める
次に、どのような要素(設定項目)でペルソナを設定していくかを決定します。より詳細な項目を設けたほうがユーザーに訴求しやすい商品やサービスを展開できる可能性が高まります。
ただし、やみくもに項目を増やすことは逆効果となり得るため、あくまでも自社に必要な要素に絞り込みましょう。
4.3. ペルソナ設定に必要な情報の収集
要素を確定したら、それらを設定するうえで必要となる情報の収集を行います。リアリティがより重要となるため、社内から得られる情報だけでなく世間一般の幅広い意見を取り入れることが必要です。
最も手軽なのは、SNSや掲示板、口コミサイトなどオンライン上から情報を取得する方法ですが、さらに解像度の高い情報を得るためには、既存顧客へのアンケート調査やインタビュー、クライアントやユーザーと直接関わる担当者へのヒアリングなども有効です。
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4.4. 具体的な内容に落とし込んでいく
必要な情報が収集できたらそれを各項目に落とし込んでいきますが、より解像度の高いペルソナ設定をするためには、一度に完成形を目指さないほうが良いでしょう。
具体性に欠ける、方向性がぶれるなど、何らかの歪みが生じるリスクを避けるため、まずは大枠を作ってから詳細情報を肉付けしていくイメージで行いましょう。
4.5. PDCAサイクルを回す
一度ペルソナを設定できたら、継続的にPDCAサイクルを回していきましょう。ペルソナの方向性やクオリティを定期的に見直すことが適切なマーケティングにつながります。
ペルソナをもとにした施策に問題が見られれば、早急に対処して軌道修正を図りましょう。必要があれば情報収集のステップに立ち返り、ペルソナを再度構築していきます。
コンバージョンなどの成果を検証するためのKPI(重要業績評価指標)などを設定し、PDCAに生かすと良いでしょう。
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5. ペルソナ設定の際のコツや注意点
ペルソナを設定する際は、コツや注意するべき点を把握しておかないと、想定とは異なる結果を招くリスクもあります。あらかじめ以下のポイントを理解しておきましょう。
5.1. 思い込み・理想で作成しない
ペルソナ設定では、「こうであるだろう」という思い込みや「こうであってほしい」という希望的観測でペルソナを設定しないように気をつけることが重要です。多角的な視野を持ってつくられた、客観性が担保されたペルソナでなければ、狙った成果は得られません。
そのためにも、客観的な視点から分析を実施し、より多くの情報を収集するようにしましょう。その後、取得した情報を適切に扱うためにチーム内でブレインストーミングのような取り組みを行うのも良いでしょう。
5.2. 一度設定したら終わりではない
ペルソナは一度設定したらそれで終わりではありません。時間経過や状況に応じて最新の状態に常にアップデートしていく必要があります。
ペルソナは、まるで実在するかのようなリアルな人格を持たせるところに意義があります。そのため、私たちの思考や行動に日々変化が生まれるように、ペルソナも変化すると考えるのが自然です。
また、内部的な要因でペルソナの見直しが必要になるケースもあります。商品やサービスのターゲット層、事業戦略の変更などが発生したり、プロジェクトを進めたりする中でペルソナの問題が浮上した場合などは、ペルソナを再設定する必要があります。
5.3. 設定にかかる時間的コストも考慮する
前述のように、ペルソナを設定する際はそれ相応の工数がかかります。多くの時間を割いたのに、効果的な施策が行えなかったということのないように、設定を始める際は時間的コストを考慮しておくことが大切です。
自社で行ってきた営業データを分析して、ターゲット層の特徴や行動パターンを把握する必要が出てくるケースなどもあります。あらかじめフローを明確にし、工数とコストの見積もりを出しておきましょう。
5.4. 身近な人を参考にしてみる
ペルソナを設定する際には、身近な人を参考にしてみるもの良いでしょう。より詳細にイメージしやすい身近な人物を参考にして設定に落とし込めば、リアルな人物像を作り上げやすく、実際の顧客ともマッチしやすいです。
反対に芸能人や有名人のような詳しくは知らない人をイメージすると、具体性や共感を得られるペルソナ設定が難しくなることもあります。
5.5. 設定は細かくしすぎない
顧客の層だけでなく人物像まで深掘りしたものがペルソナであると前述しましたが、細かすぎる設定をすることは避けましょう。設定が複雑化しすぎると、ビジネスを進める中で方向性を見誤る可能性があります。
例えば、BtoBとBtoCでは設定すべき項目が異なります。自社にとって何が必要なのかを見極めたうえで、適切な設定項目でペルソナを構築していくことが大切です。
5.6. 複数のペルソナが必要な場合もある
ペルソナは、基本的には方針のブレを防ぐために一つの人物像に絞り込むのがベストです。しかし、商品やサービスの性質によっては、一つのペルソナでは適切なアプローチが行えない場合もあります。
そのような場合は複数のペルソナを設定し、多角的なアプローチを検討しましょう。なお、複数のペルソナを設定する際は、必要な人数を明確にしたうえで設定していくのがポイントです。
6. ペルソナの活用方法
これまでも解説したように、ペルソナは製品・サービスの開発やマーケティングでのさまざまなフェーズで役立ちます。
例えば、顧客が商品を認知し、購入にいたるまでの行動や心理変化を時系列で整理する「カスタマージャーニーマップ」をつくる上では、ペルソナの設定が欠かせません。
広告プロモーションやコンテンツマーケティングなどでも、ペルソナに合わせて広告の掲載媒体を選んだり、コンテンツ設計をすることで効率的なアプローチにつながります。
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7. まとめ
さまざまな技術が発達した現代では、数え切れないほどの商品やサービスが溢れています。その中でユーザーに選ばれ続ける商品やサービスを開発し、効果的に訴求を行うためには、ペルソナの設定が欠かせません。
「マーケティング分野でなかなか成果が得られない」といった悩みを抱えている場合は、ぜひペルソナの設定を基本から実践してみましょう。
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