【インバウンドマーケティングとは】企業の成功事例や手法を徹底解説!

【インバウンドマーケティングとは】企業の成功事例や手法を徹底解説!

新たなマーケティング手法の一つとして注目されるインバウンドマーケティングですが、従来のプッシュ型のアプローチとは対照的に、消費者の自発的な行動により成立するマーケティングの手法となります。

今回は、インバウンドマーケティングの概要や、企業が注力するメリット、課題などを解説していきます。現在マーケティングに携わっている方や、今後マーケティング分野に挑戦したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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1.インバウンドとは

まず、インバウンドという単語にどのような意味があるのかを解説します。

1.1.そもそもインバウンドとは?

インバウンド(inbound)とは、「in(内側)」と「bound(~行き)」が組み合わされた英単語で、日本語では「外から中に入り込む」といった意味を持ちます。

この言葉が最も広く用いられるのは旅行・観光業界でしょう。訪日する外国人旅行者やその行動を指して、このインバウンドという言葉がよく用いられます。

しかし、インバウンドは業界によって細かい意味合いが異なり、旅行業界や観光業界だけでなく、マーケティングやIT、営業など各業界でも使用される言葉です。

1.2.インバウンドとアウトバウンドとの違い

インバウンドの対義語はアウトバウンド(outbound)となります。「out(外側)」と「bound(~行き)」から構成される英単語であり、日本語では「内から外へ出ていく」といった意味を持ちます。インバウンドと同様、各業界で使用される言葉で、旅行業界では海外を訪ねる日本人旅行者を指す言葉となります。

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2.インバウンドマーケティングとは?

インバウンドマーケティングは、消費者に自社の存在を認知してもらい、商品やサービスの購入につなげ、その後リピーターへと育て上げるマーケティング手法です。

顧客獲得はもちろん、イベントやセミナーの集客にも用いられています。

企業は、SNSやオウンドメディア、動画、音声、ブログなどの各種コンテンツを通して、潜在顧客や見込み顧客の興味関心を引くコンテンツや体験を提供します。

消費者の自発的な行動の結果、求める情報にたどり着き購買に至る、というルートを目指すことから、この言葉で呼ばれるようになりました。

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2.1.アウトバウンドマーケティングとの違い

インバウンドマーケティングに対してアウトバウンドマーケティングは、屋外広告やテレビCM、ダイレクトメール、新聞・雑誌広告、インターネット広告、テレマーケティングなど、自らの意思にかかわらず自動的に見聞きするコンテンツを活用したマーケティング手法です。

潜在顧客や見込み顧客の興味や関心、状況などを度外視した一方向のアプローチとなるため、場合によっては不快感や拒絶を覚える方もいらっしゃるでしょう。しかし、意図しない場面で遭遇する宣伝だからこそ印象に残りやすいケースもあります。

2.2.コンテンツマーケティングとの違い

コンテンツマーケティングとは、潜在顧客や見込み顧客のニーズに合致した価値ある情報を発信することで集客するマーケティング手法です。インバウンドマーケティングと混同しやすい位置づけですが、インバウンドマーケティングという大枠の中にコンテンツマーケティングが含まれるというイメージです。

コンテンツマーケティングは後述の「インバウンドマーケティングの手法」において、特に「Attract」や「Convert」に有効な手法です。

3.なぜインバウンドマーケティングの重要性が高まったのか

ここでは、近年インバウンドマーケティングが重要視されるようになった主な理由を4つ解説します。

3.1.情報が増え過ぎたため

日本では長年、テレビや新聞、雑誌などを活用したアウトバウンドマーケティングが主流で、消費者はそこから多くの情報を取得していました。

しかし、IT技術の目覚ましい発達によりコンテンツが数え切れないほどに増加したことで、その量は消費者が自ら処理できるキャパシティを遥かに超えてしまいました。

そのため、従来のアウトバウンドマーケティングに依存していては潜在顧客や見込み顧客に情報を届けることが難しくなってきたことが、インバウンドマーケティングを重要視される大きな理由です。

3.2.情報は待つものから取りに行くものへと変化したため

さまざまな情報が溢れる現代社会において、消費者は情報の取捨選択を迫られています。

従来のように、与えられる情報をただ待っているだけでは、本当に必要な情報にたどり着けない可能性があるのです。

ただし、現代は、消費者が自ら興味関心のある情報を自ら取得しにいく時代でもあります。

そのため、インバウンドマーケティングを効果的に運用できれば、より高い確率で潜在顧客や見込み顧客に購買を促すことが可能となります。

3.3.口コミや評価の信頼度がアップしたため

SNSや口コミサイトが広まったことで、一般の消費者が気軽に商品の使用感や感想を拡散できるようになりました。

これらの口コミでは、実際使用した人の正直な声が聞けるため、「メリットを前面に打ち出した企業が提供する広告よりも信頼できる」という声もあります。

このような口コミの影響も、従来のアウトバウンドマーケティングが衰退している一つの理由です。

3.4.企業活動のデジタル化が加速したため

テレワークの普及により、これまでは対面で営業や広報活動を主に行っていた多くの企業が、WebサイトやSNSの運用により力を入れるようになりました。

オンラインでの可視性を向上させて、消費者が自社にアクセスする流れを確立するために、インバウンドマーケティングを実行する企業が増えています。

デジタル社会において、顧客からの信頼構築や持続可能な成長を目指すには、効果的なインバウンドマーケティング戦略を取り入れることが重要です。

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4.インバウンドマーケティングを行うメリット

インバウンドマーケティングをおこなうメリットとしては、主に以下の6つのポイントが挙げられます。

4.1.資産として残すことができる

インバウンドマーケティングによって生み出されたコンテンツは自社の資産として蓄積されていきます。アウトバウンドマーケティングの広告の場合、出稿が終了すれば、通常それ以降のマーケティング効果は得られません。

4.2.精度の高いマーケティング戦略を立てられる

インバウンドマーケティングに注力すると、経年とともにコンテンツとマーケティングデータが蓄積されていきます。そのデータを分析すれば、よりブラッシュアップした精度の高いマーケティング戦略を打ち出すことができます。

4.3.コストの削減につながる

インバウンドマーケティングはコスト削減にも大きな効果をもたらします。外部媒体で広告を打ち出すには相応のコストが発生しますが、自社のオウンドメディアを使用すれば出稿費の大幅な削減が実現します。

4.4.顧客との信頼関係の向上が期待できる

顧客との距離感を縮め、信頼関係の向上をもたらすことも期待できます。顧客の興味関心にマッチした情報を提供し続けられれば、顧客から楽しみやワクワク感といった「ポジティブな感情をもたらしてくれる存在」として認知されます。

4.5.質・硬度の高いリードが獲得できる

質や硬度の高い見込み顧客(リード)の獲得を着実に実現できます。すぐに成果に直結しなくても、中長期視点を持ちフェーズごとに最適なアプローチで情報提供をおこなうことが重要です。

4.6.SNSとの相性が良い

インバウンドマーケティングはSNSとの相性が良いのが特徴です。各SNSには検索機能やハッシュタグなどが存在することから、潜在顧客や見込み顧客は自分の欲しい情報をピンポイントに取得することができます。

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5.インバウンドマーケティングの課題とは

メリットの一方、インバウンドマーケティングにはいくつかの課題も存在します。それらを踏まえたうえでインバウンドマーケティングの戦略を構築していきましょう。

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5.1.短期間で効果を出すことが難しい

インバウンドマーケティングに注力し情報を発信しても、それが成果として現れるまでには時間がかかるため、長期的な計画が必要となります。目に見える効果を得るためには、一方的な発信に終始せず、顧客との良好なWin-Winの関係性を構築する意識が欠かせません。

5.2.体制の整備が必要となる

インバウンドマーケティングを効果的に実施するためには、社内体制の整備が必須です。安定的なコンテンツ提供をおこなえるように、企画の立案や作成、運用の担当者を設置しましょう。

5.3.費用対効果が見えにくい

費用対効果が見えにくいことはインバウンドマーケティングの弱点でもあります。前述の通り短期間で十分な効果を得るのが難しいため、場合によってはアウトバウンドマーケティングの活用のほうが適しているケースもあります。

6.インバウンドマーケティングの手法

続いて、インバウンドマーケティングの手法をステップごとに解説していきます。

6.1.Attract:潜在層に向けた認知の拡大

まずは、SNSやWebサイト、ブログなど各種コンテンツを活用し、潜在顧客に向けて自社の認知拡大を目指しましょう。潜在的な顧客の興味関心を惹く価値ある情報を、適切なタイミングで提供し、自発的に自社サイトへ訪問してもらうための導線を作ります。

6.2.Convert:見込み顧客への転換

Convertは、獲得した潜在顧客を見込み顧客へ転換し、名前やメールアドレスなどの情報を提供してもらうことが目的です。そのためには、メールマガジンや動画、音声コンテンツ、ホワイトペーパーなどを用いて、Attractからさらに一歩深い情報を見込み顧客へ提供する必要があります。

定期的なコミュニケーションを通して、見込み顧客の自社への興味関心を維持するのと同時に、最も刺さる価値ある情報とは何なのかを適切に探り当てていきます。

6.3.Close:見込み客から顧客化する

Closeは、見込み顧客から商品やサービスを実際に購入してもらい、顧客になってもらうフェーズです。見込み顧客の行動分析をおこない、より購買意欲が高い顧客を見極め、購入の決め手となるアプローチを施します。

この際、たとえばメールを送付する場合は、不特定多数に送るダイレクトメールのような印象を抱かれないよう、件名に顧客の名前を入れ込むなどの工夫が有効です。ただし、タイミングや手法を見誤ると不快感を与えてまい、今までのアプローチが水の泡となってしまうリスクもあるため、慎重な判断が求められます。

6.4.Delight:リピーター・ファン化させる

Delightでは、Closeで獲得した顧客を自社のリピーターやファン化させることに焦点を置きます。ファンが増えれば友人関係やオンライン上で口コミが広まり、新たな顧客の開拓につながります。

そのためには、顧客に限定したクローズドコンテンツや、コミュニケーションを取れる窓口などを設置し、より強固な関係性を構築する取り組みが必要です。顧客に「これからも購入し続けたい」と感じてもらえることが、リピーター、ファン化を促す必須条件です。

7.インバウンドマーケティングの成功事例

ここでは、インバウンドマーケティングに成功している企業が具体的にどのような手法を取り入れているのかをご紹介します。

7.1.レシピを紹介するメディア運営

企業の公式サイトといえば、商品の詳細を説明したり商品を直接購入できたりするケースが多い中、自社製品を使用したレシピの情報発信を積極的に行う企業があります。

手軽に美味しく作れるアレンジレシピを紹介することで、直接的に商品を宣伝しなくても消費者の興味を商品へ向けさせられるからです。

売り上げには直結しないかもしれませんが、消費者に有益な情報を与えて自社製品への購買意欲を高めさせているケースであり、インバウンドマーケティングの代表的な成功例です。

7.2.SNSからWEBサイトへの誘導

アパレル企業を中心に、SNSを活用したインバウンドマーケティングに成功している企業も増えています。

たくさんのおしゃれな画像や動画で、製品の使い方やコーディネートを紹介することでファンを増やしています。

結果として、SNSから自社のWEBサイトへの流入が増えて、売り上げにもいい影響をもたらしています。

WEBサイトでは製品の紹介だけでなく、製品が誕生した経緯や製作の裏側などのコンテンツを盛り込んで、ブランドの価値を高める工夫がされているのも特徴です。

8.インバウンドマーケティングはペルソナ設定が大事?

インバウンドマーケティングでは、「いかに見込み客が価値を感じるコンテンツを提供できるか」が鍵となります。

そのため、自社にとっての見込み客が一体どのような人物なのか、具体的なイメージを定めなければ、効果的なマーケティングは実践できません。マーケティングの基本とも言える「ペルソナ設定」が必須であると認識しましょう。

ペルソナ設定の方法については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

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9.まとめ

インバウンドマーケティングは、インターネットが発達した現代において非常に効果的なマーケティング手法です。消費者の変化を敏感に察知し、迅速に対処できるようになります。

ただし、インバウンドマーケティングは日々の積み重ねがあってこそ効果を発揮するものです。コアなファンを獲得することを目標に、長期的な視点で取り組みを強化していくことが大切です。

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