【リードタイムとは】用語の使い方の詳細、リードタイムを短縮する方法を解説

【リードタイムとは】用語の使い方の詳細、リードタイムを短縮する方法を解説

リードタイムという用語を聞いたことがあるという方も多いと思いますが、大まかな意味は知っていても、細かい内容は知らないという方もいらっしゃるかと思います。

今回は、リードタイムという用語のさまざまな形での使われ方リードタイムと納期の違いリードタイムを短縮する方法と短縮するメリット・デメリットを解説します。

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1.リードタイムとは

リードタイムとは、一般的には商品の発注から納品までにかかる時間のことを指します。具体的には商品の生産や輸送にかかる時間のことです。

リードタイムとはある時点からある時点までの時間のことで、使われる業界や商品、商慣習により、どこを起点にし、どこを到達点にするかが異なっています。

そのため、その時使われたリードタイムという言葉がどの時点からどの時点までのことを示しているのかを確認することが重要です。

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2.リードタイムにもいろいろある

リードタイムとは、ある時点からある時点までの時間のことですから、その言葉を使う人の視点により、具体的な定義は異なってきます。

そのため、不要な混乱を生じさせないように、「○○リードタイム」という使い方をすることが多くなっています。

以下では、リードタイムという用語のさまざまな形での使い方と意味を説明します。

2.1.出荷リードタイム

オーダーを受けてから、出荷可能な状態(輸送トラックへの積み込みなど)になるまでの時間です。

倉庫内でかかる出荷作業の時間になります。輸送業者の視点で、倉庫作業を見た時に使われる言葉です。

2.2.輸送リードタイム

倉庫から出荷してから、納品先に届くまでの時間です。

輸送にかかる時間になります。倉庫業者の視点で、輸送作業を見た時に使われる言葉です。

2.3.生産リードタイム

生産オーダーを受けてから、工場から出荷するまでの時間です。

工場内での生産作業にかかる時間になります。顧客の視点で、生産作業を見た時に使われる言葉です。

2.4.調達リードタイム

顧客企業が、必要な原材料などを発注して、納品されるまでの時間です。

生産、出荷、輸送にかかる時間になります。顧客の視点で、調達全体にかかる時間を示す時に使われる言葉です。

2.5.開発リードタイム

商品企画をしてから量産できる状態になるまでの時間です。

商品企画、設計、試作、試験、量産計画にかかる時間になります。販売チームの視点で、新商品が登場するまでの時間を示す時に使われる言葉です。

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3.リードタイムと納期の違い

3.1.リードタイムは日数、納期は日付

リードタイムとよく似た使い方をする言葉に納期があります。特に調達リードタイムと納期はほとんど同じことを指しています。

しかし、納期は「○月○日」と特定の日付で表されるのに対し、リードタイムは「○日間」という日数で示されるという違いがあります。

3.2.リードタイムは工程管理をする時に使う

納期というのは、取引ごとに取引業者と約束をするものです。

一方で、リードタイムは自社の作業工程を計画する時に必要となる情報です。

ある企業が製品を生産して出荷をするまでに10日間かかるとします。しかし、今日受けた注文を10日後に出荷できるかどうかはわかりません。原材料を調達しないと生産ができないからです。

そこで原材料メーカーに調達リードタイムが何日間になるかを聞き、それが5日であれば、合計15日間が出荷できるまでの時間となります。

このようにリードタイムを考慮にいれて、客先と納期を決める必要があり、また、事前発注をするなどの工夫が必要になります。

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4.リードタイムを短縮する手法

リードタイムは、取引先を待たせる時間であるため、短ければ短いほど優れているということになります。

そのため、各企業ともリードタイムを短縮する方法を日々模索しています。

4.1.出荷リードタイムの短縮

最も一般的な方法は倉庫管理システムを導入して、倉庫作業の効率化を図ることです。

検品、梱包作業の効率化、荷物の積み下ろしの効率化も必要です。場合によっては、倉庫作業の導線整備をした新しい倉庫に建て替える必要もあります。

4.2.輸送リードタイムの短縮

輸送そのものにかかる時間はほとんど短縮の可能性がありません。トラックを一定の速度以上速く走らせることはできないからです。

しかし、配送管理システムを導入し、トラックを効率よく使い、便数を多くすることで、輸送リードタイムを短縮することが可能です。

また、荷物の積み下ろしの機械化なども必要になってきます。

4.3.生産リードタイムの短縮

生産リードタイムを短縮するためには、生産設備の刷新が必要になります。

また、原材料などを事前注文しておき、適正な量の在庫を確保しておくことも必要です。

4.4.調達リードタイムの短縮

調達リードタイムを短縮する最も簡単な方法は、調達先を変えることです。よりリードタイムの短い調達先を選ぶことで短縮が可能になります。

また、調達先と協働でリードタイムの分析を行い、短縮を実現することも必要な場合があります。

4.5.開発リードタイムの短縮

企画判断を迅速にすることや、3Dプリンターなどを活用して試作品を短期間で制作できる環境を用意することなどが考えられます。

また、部品の共通化を進め、量産化までの時間を短くすることも必要です。

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5.タクトタイムとサイクルタイム

リードタイムを適切にする上で重要なのが、タクトタイムとサイクルタイムの2つの指標です。

5.1.タクトタイム

タクトタイムとは稼働時間を計画した生産数で割ったものになります。製品1つを生産するのに、どれだけの時間が与えられているかを示す数値になります。

5.2.サイクルタイム

サイクルタイムとは稼働時間を実際の生産数で割ったものになります。製品1つを生産するのに、どれだけの時間がかかったかを示す数値になります。

つまり、タクトタイムとは1つの製品を生産する予定時間であり、サイクルタイムは実際にかかった時間になります。

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6.リードタイムの分析手法

タクトタイムとサイクルタイムを測定することで、リードタイムの短縮に繋げられます。

6.1.タクトタイム=サイクルタイムの場合

タクトタイムとサイクルタイムが等しい場合は、予定通りに生産できていることになり、理想的な状態です。

6.2.タクトタイム<サイクルタイム

タクトタイムよりもサイクルタイムのほうが長い場合は、生産に予定外の時間がかかっていることになります。

全体のタクトタイム、サイクルタイムだけではなく、各工程のタクトタイム、サイクルタイムを測定して、どの工程に問題があるのか、ボトルネックになっているのはどの工程なのかを見極めて改善していく必要があります。

6.3.タクトタイム>サイクルタイム

タクトタイムのほうがサイクルタイムよりも長い場合は、予定以上に短い時間で生産できたことになり、問題はありません。

しかし、多くの場合、生産過剰になることがあるため、注意が必要です。

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7.リードタイムを短縮することのメリットとデメリット

リードタイムを短縮することは、顧客を待たせる時間を短くできるためメリットは小さくありません。他社のとの競争力も上昇します。

特にECの小売業では、同じ商品が同じ価格で販売されている場合、多くの顧客が「出荷1週間以内」の店よりも「3日以内に出荷」の店を利用します。リードタイムを短縮することは大きなメリットを生みます。

しかし、一方で、過剰な短縮はデメリットもあることを忘れてはいけません。

7.1.品質の維持が難しくなることがある

リードタイムを短くするということは、各作業工程が雑になっていく危険性があります。

そのため、品質やサービスが低下することには充分注意しなければなりません。

7.2.コストが上昇する場合がある

リードタイムを短縮するには、輸送リードタイムであれば、大型トラック1日1便を中型トラック1日3便にすることで、半日程度のリードタイムの短縮になります。扱うロットを小さくしていくことで、サイクルが早く回転することになりリードタイムを短くすることができます。

しかし、やりすぎるとコストは上昇することになります。このコストとの兼ね合いを常に考えなければなりません。

7.3.リスクが増大する

リードタイムを短縮した場合、自然災害などの外的要因によるトラブルが発生した場合、平常復帰までに時間がかかることになります。

例えば、出荷リードタイムを短縮するために、在庫量を極限まで少なくしていた場合、災害などで輸送ができなくなった場合、別の在庫を別の方法で緊急輸送するということもできなくなります。

また、調達リードタイムを限界まで短縮して生産計画を組んでいた場合、小さなトラブルでも原材料の調達が遅れ、その後の工程もずれ込んでしまうことになります。

このため、一般的な作業工程にはこのようなトラブルを吸収するための安全リードタイムを設定しておくのが基本になっています。あまりに効率を追求すると、それがうまくいかなかった時に、工程が乱れやすくなります。

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8.まとめ

リードタイムとは、一般的には商品の発注から納品までにかかる時間のことを指します。

しかし、どの時点からどの時点までの時間を指すのかは、使われる業界、場面によって異なるため、どのような定義をしているのか確認をしておくことが必要です。

リードタイムは短いほどメリットが生まれますが、過剰に短縮をするとデメリットも生まれます。その他の、タクトタイムやサイクルタイムなどの指標を使いながら、改善をしていくことが大切です。

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