【サードパーティーとは】「3rd Party・third party」の意味を業界別に解説

【サードパーティーとは】「3rd Party・third party」の意味を業界別に解説

ビジネスの世界で良く使われる用語として「サードパーティー(3rd Party・third party)」がありますが、この用語はさまざまな業界で使われるため、業界ごとに意味を確認する必要があります。今回は、インターネットや物流の世界などにおける「サードパーティー(3rd Party・third party)」の意味や使われ方について説明します。

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1.サードパーティー(3rd Party・third party)の意味とは

サードパーティー(3rd Party・third party)とは第三派閥、第三者の意味です。

例えば製造業の場合、一般的にはメーカーが1st Party(第一者)、顧客が2nd Party(第二者)と考え、それ以外の事業者をサードパーティー(3rd Party・third party)と呼びます。

外部から関わる人のことですが、サードパーティーの存在がビジネスを大きく加速させることがあるため、多くの業界でサードパーティーの存在が重要になっています。

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2.コンピューター業界におけるサードパーティー

サードパーティーという言葉が広く知られるようになったのは、コンピューター業界です。

この業界では、コンピューターの製造、販売をするメーカーがファーストパーティーで、それを利用するユーザーがセカンドパーティーということになります。

2.1.サードパーティーが存在しない以前の家電業界

コンピューターが登場する以前の家電製品などでは、メーカーは製品をつくるだけでなく、必要なソフトウェアや周辺機器もすべて提供するのが一般的でした。

例えばエアコンであれば、本体と制御ソフトウェアを合わせて製品として提供するだけでなく、交換用のフィルターや洗浄液などもメーカーが提供します。

ファーストパーティーが必要なものをすべて提供し、セカンドパーティーのユーザーは「純正品」を購入して使うというもので、サードパーティーは存在しないような状況でした。

2.2.サードパーティーの存在が重要なコンピューター業界

しかし、コンピューターの世界では、セカンドパーティー(ユーザー)が多様なソフトウェア、周辺機器を必要とするため、ファーストパーティー(メーカー)だけでは供給することができないことが多いです。

そこで、仕様を公開することで、メーカー以外の企業がソフトウェアや周辺機器を開発して販売するということが起こりました。

このような外部の企業がサードパーティーです。

例えば、PCを提供するIBMがファーストパーティー、それを使うユーザーがセカンドパーティーとなり、さらにWindowsやOfficeを提供するマイクロソフト、外付けハードディスクドライブを提供するメーカーなどがサードパーティーにあたります。

コンピューター業界では、サードパーティーを排除するのではなく、うまく活用することでエコシステム(生態系)と呼ばれる「1st Party、2nd Party、3rd Party」の世界を構築することで、ビジネスを構築しています。

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(サードパーティーのイメージ。製品を提供するメーカーがファーストパーティー、それを使うユーザーがセカンドパーティー。その関係の外からソフトウェアや周辺機器などの製品を提供する事業者がサードパーティーになる)

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3.ゲーム業界におけるサードパーティー

ゲーム機の世界でもサードパーティーが大きく貢献をしました。

日本での本格的なゲーム機は1983年7月に発売された任天堂の「ファミリーコンピュータ」ですが、通称ファミコンはサードパーティーをうまく活用しました。

任天堂はハードウェアだけでなく、ソフトウェア(ゲームソフト)も開発をし、マリオをキャラクターとして起用することで人気となりましたが、それだけではユーザーを満足させることはできません。

そこで、外部の企業にゲームソフト開発を依頼することで、さまざまなゲームソフトを供給しました。

この外部でゲーム開発を行った企業がサードパーティーで、ナムコ、タイトー、スクウェア・エニックス、カプコンなど、今日のゲーム産業につながる企業が登場してきました。

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4.プリンター業界におけるサードパーティー

サードパーティーがあまり活躍できていないといわれるのが、プリンターインクの世界です。

家庭用プリンターでは、プリンターを開発し、インクを提供するメーカーがファーストパーティー、それを使用するユーザーがセカンドパーティーになります。

しかし、ファーストパーティーが提供するインクの品質は高いものの高価であるため、値段の安い互換インクを製造販売するメーカーが登場してきました。このような互換インクメーカーがサードパーティーです。

ユーザーの中にはサードパーティーのインクを利用する人もいます。

ただ、メーカーは自社のインクを「純正インク」と呼び、印刷品質や本体の故障予防の観点から、純正インクを使用するよう推奨しています。

5.インターネットの世界におけるサードパーティー

プライバシー保護の観点から、近年、問題になっているのがサードパーティーCookieです。

Cookie(クッキー)は、EdgeやSafariなどのウェブブラウザーでウェブを閲覧した時に保存される小さなファイルのことです。

この仕組みがあるためにログイン情報を保持したり、閲覧した項目を記録したり、ユーザーにさまざまな利便性がもたらされます。

5.1.ファーストパーティークッキー

例えば、A社のサイトを閲覧すると、さまざまな情報がCookieに記録をされます。

一度ログインをしておけば、次に閲覧した時にログイン状態が維持されているのも、Cookieにログイン情報が記憶されるからです。

A社のサイトを閲覧した時に保存されるのはA社専用のCookieでこれはファーストパーティークッキーと呼ばれます。

A社以外のウェブがこのファーストパーティークッキーにアクセスすることはできないため、プライバシー上の懸念はありません。

また、クッキーを利用する時には、事前に利用者の了承を取るダイアログが出るのが一般的です。

5.2.サードパーティークッキー

ウェブの中にはバナー広告などを表示していることがあり、この場合、広告プラットフォームの運営者は、ファーストパーティークッキーと同時に広告プラットフォームのクッキーを保存させることが可能になります。

これが第三者のクッキー=サードパーティークッキーと呼ばれます。

この広告プラットフォームのサードパーティークッキーは、広告を表示しているウェブでは、そのウェブのファーストパーティークッキーといっしょに保存をすることができます。その広告プラットフォームが広告を配信しているウェブすべて保存することができます。

すると、広告プラットフォーム側では、自社のサードパーティークッキーにアクセスすることで、その人がどのウェブをいつ見たかがわかるようになります。これでその人のネット上の行動が追跡できるようになります。

これは広告の効果を高めることに役立ちますが、個人の行動を追跡できることから、プライバシー上問題のある仕組みだと指摘されるようになっています。

そのため、各ブラウザーでは、サードパーティークッキーの仕組みを廃止する方向に進んでいます。

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6.物流業界におけるサードパーティー

サードパーティーロジスティクスとは、第三者による物流のことです。

一般的にメーカーは工場で製品を製造して、それを地域の自社倉庫に運び、そこから販売店に届けるという物流業務を行う必要があります。

しかし、自社で倉庫やトラックを持ち、物流業務を行うのは大きなコストがかかります。また、一部をその都度、物流企業に委託をするというのもコスト高につながります。

そこで、物流業務を引き受けるのがサードパーティーロジスティクス(3PL)です。ファーストパーティー(メーカー)ではない物流という意味です。

3PLは一般に物流専門企業であるため、すでに大型の倉庫やトラックなどの運搬手段を持っています。

また、一社のために専用の物流網を用意するのではなく、メーカーと相談をしながら、共同倉庫、共同物流を進めていくことで、物流コストを下げながら、効率を高めることが可能になってきます。

メーカーにとっては物流コストが下げられ、小売店や消費者にとっては商品が早く届くことになります。現在は、このような3PLが主流になってきています。

7.まとめ

サードパーティーとは第三派閥、第三者の意味です。製造業の場合、一般的にはメーカーがファーストパーティー(第一者)、顧客がセカンドパーティー(第二者)と考え、それ以外の事業者をサードパーティーと呼びます。

サードパーティーの存在が、そのビジネス生態系を豊かにすることが多く、重要な役割を果たしています。

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原稿:牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。

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