コロナ禍によって、生活者の消費行動のデジタル化が進んでいます。電通デジタルの調査によれば、Z世代/ミレニアル世代(1980年代~2000年代生まれ)に代表されるデジタルネイティブ世代(※1)では、消費行動にも自分らしさを求める「自己表現消費」の傾向が強化されていることが分かりました。
調査は電通デジタルのデジタルネイティブ世代に特化した事業開発・マーケティングを専門とするチーム「YNGpot.(TM)」(※2)が実施。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の一都三県の15~59才男女を対象に、2021年10月4日~10月11日にインターネットで行われました。算出サンプル数は1200ssで、比較サンプルはZ世代(15-24歳):600ss、ミレニアル世代(25-34歳):400ss、大人世代(35-59歳):200ss、となっています。
(※1 デジタルネイティブ世代とは生まれた時からインターネットやパソコン・スマートフォンなどの環境がある、現在の10~20代/30代前半に該当する世代を指します。今回の調査ではより細かな兆しを捉えるべく、15-25歳をZ世代、26-35歳をミレニアル世代と区分し調査しています)
(※2 デジタルネイティブ世代専門チーム「YNGpot.(TM)」とは、デジタルネイティブ世代のインサイトや購買行動等のデータを軸に、最新トレンドを踏まえた戦略立案から実装までワンストップで行うマーケティングの専門チーム。デジタルネイティブ世代のプランナー・データサイエンティスト・ITコンサルタント・UI/UXデザイナー・クリエイターのメンバーが所属しており、プロジェクトに合わせ柔軟かつ最適な体制を組むことが可能)
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1.理想の自分のために挑戦し続けるデジタルネイティブ世代
デジタルネイティブ世代は、「理想の自分のために、積極的にチャレンジしたい」(Z世代:56.0%・ミレニアル世代48.3%)、「より多様な人と出会い、刺激をもらいながら生きていきたい」(Z世代:56.5%・ミレニアル世代:47.3%)、と回答しました。
また、コロナ禍以前と比べて両者の傾向が強くなったと約3割(現状維持も含めると約9割)が回答、「活動の制限など多くの苦難があった中でも、SNS上などで多様な人と出会いながら、理想の自分を描き、その未来に向けて挑戦し続ける世代であることが伺えます」(電通デジタル)。
(【画像出典】「電通デジタルプレスリリース」)
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2.理想の自分に近づくために、消費にも自己表現を意識
また、商品・サービスの消費価値観について聴取したところ、「好きな商品やサービスを通して、誰かと繋がることがある」(Z世代:45.7%・ミレニアル世代:39.5%)、「自分がどのような商品・サービスを利用しているかは、自分らしさを表現する上で重要だと思う」(Z世代:55.0%・ミレニアル世代:51.5%)と回答しています。
電通デジタルが2020年7月に実施した調査結果では、デジタルネイティブ世代に特徴的な「熱中消費」について6つのスタンスを取り上げ、消費活動が自己表現へとつながる傾向についても取り上げましたが、「今回の調査結果からこの傾向はより強くなったことが伺えます」(同社)。
同社では、「デジタルネイティブ世代にとって商品・サービスとは、単なる機能としての役割だけでなく、理想の自分に近づくための「自己表現・コミュニティ選び」といった役割も持つと考えられます」としています。
(【画像出典】「電通デジタルプレスリリース」)
3.デジタルネイティブ世代の「自己表現消費」における3つの購買フェーズ
「YNGpot.(TM)」では、消費行動にも自分らしさを求めるデジタルネイティブ世代の行動を「自己表現消費」と名付け、その消費行動を「(1)日常フェーズ→(2)商品検討フェーズ→(3)購入決定フェーズ」の3つのフェーズに分け、それぞれの特徴を明らかにしました。
(【画像出典】「電通デジタルプレスリリース」)
購入検討の前段階では、日頃の暇つぶしの中でSNSを利用し、様々な情報に出会い、その中で気になった情報をお気に入りボタンや保存ボタン、スクリーンショットなどを用いてストックする傾向が明らかになりました。
(【画像出典】「電通デジタルプレスリリース」)
商品検討時には、自身で日常的に保存・ストックしている情報や、ネット/SNS上でまとめられている情報など、事前に絞られた情報を参考に、商品購入の検討を行っていることがわかりました。
「そのため、自社の商品・サービスが選ばれるためには、デジタルネイティブ世代の情報収集行動を意識した体験設計・情報発信が重要であると考えます」(電通デジタル)。
また、購入決定時には、上記5つのポイントから多角的な判断をしていることがわかりました。
(【画像出典】「電通デジタルプレスリリース」)
電通デジタルでは、「「自己表現消費」を行うデジタルネイティブ世代は「壮大なビジョン」や「社会に貢献」しているブランド・商品を選択することで、自身もそのビジョン・社会貢献に参画している一部であることを表現していると考えられます」としています。
4.まとめ
同社では、今回の調査を通じ、「デジタルネイティブ世代では消費活動を自己表現の手段としている傾向が強まっており、「自己表現消費」は以下の3つのプロセスと特徴を内包していることが分かった」としています。
(1)日常フェーズ:日常的に気になった情報を保存・ストックし、
(2)商品検討フェーズ:自身のストックリストや、まとめ情報の中で検討を行い、
(3)購入決定フェーズ:企業のビジョンや社会貢献性、若者理解度などの5つの視点で決定
「ブランドの視点では、これまで企業が主体となってブランド価値を築いてきましたが、SNSで情報発信・情報収集をすることが当たり前なデジタルネイティブ世代におけるブランド価値を築く要素は、インターネット・SNS上での評判や、その商品・サービスを通じて出会える人にまで拡張してきていると言えるでしょう」(同社)。
電通デジタルでは、「このように、デジタルネイティブ世代に向けたマーケティング活動では、購入フェーズを意識した情報発信や、ブランドについての発話者を増やすこと。さらには、ブランドを起点とした生活者同士のつながりやコミュニティを注視し、日常的な接点を設けることにより、検討の前段階から選択肢に入っておくことが非常に重要であると考えます」と結論づけています。
(【記事出典】電通デジタルプレスリリース「デジタルネイティブ世代の「自己表現消費」傾向が強化-コロナ禍で変化したデジタルネイティブの消費・価値観調査 '21-」)