ヒューマンスキルとは?高めるメリットや構成要素、具体的な方法について

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ヒューマンスキルとは、円滑な人間関係を築くために必要な能力のことを指し、どの業界・職種においても求められるスキルです。

この記事では、ヒューマンスキルの定義や高めるメリット、構成要素について解説します。

併せて、ヒューマンスキルを向上させる具体的な方法やポイント、注意点もまとめました。ヒューマンスキルを自身に落とし込むことで、ビジネスパーソンとしての能力向上につながるでしょう。

【関連記事】「スキルの定義とは?能力・知識との違いや種類、それぞれの意味について解説」

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1. ヒューマンスキルとは

ヒューマンスキル(対人関係能力)とは、円滑なコミュニケーションを図り、良好な人間関係を築くために必要なスキルです。

具体的には、相手を理解する気持ちを持ち、意見を正確に引き出したり、相手に物事を的確に伝えられる技術のことを指します。

1.1. ビジネススキルの一つ

ヒューマンスキルは、1950年代に米国のハーバード大学の教授であるロバート・カッツ氏(経済学者)が提唱したビジネススキルの1つで、業界や業種問わず、必須の能力として注目されています。

ロバート・カッツ氏は、マネジメント層に必要なビジネススキルを「ヒューマンスキル」のほか、「コンセプチュアルスキル」と「テクニカルスキル」の3段階に分類しました。

この理論は、「カッツ理論(カッツ・モデル)」と呼ばれ、カッツ氏が提唱してから人材育成や組織開発の方針などとしてさまざまな企業で取り入れられています。

1.2. コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキル(概念化能力)とは、物事を概念化して捉えたり、抽象的に物事を考えたりできる能力のことです。

コンセプチュアルスキルがあれば、自分の持つ知識や得た情報などを組み合わせて、問題の本質を捉えることができます。複雑な問題やトラブルが起きても、自身の頭で整理し、的確な判断を下せることが特徴です。

曖昧な事象や事柄に対して、創造的に取り組むことができたり、鮮明な将来ビジョンを描けたりする能力が高いため、マネジメント層に必須な人材だと言えるでしょう。

【関連記事】「コンセプチュアルスキルとは?構成する要素や重要性、高める方法とは」

1.3. テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務遂行能力や業務知識のことを指します。業務を正確に遂行するために必要な能力のことを意味しており、構成要素は以下の2つです。

  • 汎用スキル:ビジネスパーソンとして必要なスキル(ビジネスマナー・PCスキルなど)
  • 専門的スキル:特定の業界・職種における専門的な知識

専門的スキルでは、会計職であれば経理・財務の知識、営業職ならマーケティングやプレゼンテーションといった専門分野に特化した知識・技術・能力が求められます。

カッツ氏は、マネージャーの階層が上がるにつれて、テクニカル・スキルの重要度が下がり、コンセプチュアル・スキルとヒューマン・スキルが高まると述べています。

カッツ氏の提唱する「カッツ理論」について深く理解し、ビジネススキルを高めれば、企業価値や組織力の向上に生かせるでしょう。

【出典】看護教育研究学会誌第 10 巻 2 号「中堅看護師の職場で求められているコンセプチュアルスキル・ヒューマンスキル・テクニカルスキル尺度の開発」

post1131_img1.png【関連記事】「ビジネススキルにはどんなものがある?自分にあったスキルの見つけ方や習得方法について」

2. ヒューマンスキルを構成する要素

ヒューマンスキルは、8つの要素で構成されています。ヒューマンスキルを高めたい方は、どのような要素が必要で、自分に不足しているものがないか確認してみましょう。

構成要素特徴
コミュニケーション 円滑で良好な人間関係を構築するスキル
リーダーシップ 組織全体を統率し、目標達成へと導くスキル
コーチング
社員を指導・育成するスキル
ファシリテーション
会議やミーティングをスムーズに進行するスキル
ネゴシエーション
良好な関係を築きながら交渉や調整を進めるスキル
プレゼンテーション
自分の意見や考えを正確に伝えるスキル
ヒアリング
相手の意見や考えに共感しながら話を聴くスキル
向上心
目標達成のために積極的に取り組むスキル

【出典】グロービス経営大学「ヒューマン・スキル」

2.1. コミュニケーション

コミュニケーションスキルとは、円滑な人間関係を構築し、意思疎通を図る能力のことです。

業務を円滑に遂行し、目標達成へと導くためには、社内外の人から信頼を得て、良好な関係を築く必要があります。

ヒューマンスキルの根幹を成す要素ですので、相手の価値観を尊重したり、日頃から何気ない会話をしたりしてコミュニケーション能力の向上を図りましょう。

2.2. リーダーシップ

リーダーシップとは、働きやすい環境を構築し、チームメンバーの意欲を高め、成長させながら目標を達成へと導く能力のことです。

リーダーシップのある人は、組織の模範となる発言や行動をして、周囲から高い評価を得られています。

リーダーシップを身につければ、設定した目標を達成へと導き、成果を残しやすいため、ここ数年では、リーダー以外の社員にも求められています。

2.3. コーチング

コーチング能力とは、一方的に知識や技術、ノウハウなどを教えるのではなく、対象者のやる気やアイデア、可能性を最大限に引き出せる能力のことです。

コーチング能力が優れた人から指導を受けた対象者は、自分で物事を考えて行動する「自発性」を身につけることができます。

ヒューマンスキルの1つであるコーチング力に長けている人がいれば、社内の人材育成がスムーズに進み、組織全体のパフォーマンスが向上するでしょう。

2.4. ファシリテーション

ファシリテーションは、多様な意見を瞬時に理解・整理し、会議やミーティングを円滑に進行するサポート力のことを指します。

この能力を持つ人が進行すれば、参加者全員に発言を促し、さまざまな意見を取り入れられるので、会議・ミーティングの生産性が向上します。

さらに、複数の意見に対して、結論付けと合意形成を図れるため、会議やミーティング後に社員一人ひとりが今後のアクションについて理解できる点もメリットです。

2.5. ネゴシエーション

ネゴシエーションとは、交渉や調整を円滑に進め、信頼関係を構築する能力のことを指します。
「交渉」という言葉を使うと、議論で相手を打ち負かすなど、一方的に自分の主張を押し通すといった印象を持つ人もいるかもしれません。

ネゴシエーションは、どちらか一方が有利な条件で交渉を進める形ではなく、当事者同士の最善を探る建設的な話し合いをサポートできる能力です。

2.6. プレゼンテーション

プレゼンテーション能力は、自分の意見や考え、価値観を正確に相手に伝えるスキルのことを指します。

一方的に自分の考えを主張するのではなく、双方向のコミュニケーションをとり、相手の理解度を把握したうえで効果的なプレゼンを行えることが特徴です。

プレゼンテーション能力があれば、取引先に自社の製品やサービスを前向きに検討してもらえたり、社内で自分の企画や提案が採用されたりとさまざまな場面で役立ちます。

2.7. ヒアリング

ヒアリング能力は、相手の意見や要望を正確に把握できるスキルのことです。

会話の内容はもちろんのこと、表情や仕草にも注目しながら、その決断に至った背景や、発言の意図まで瞬時に考察し、共感しながら理解を示すことができます。

ヒアリング能力を身につけると、周囲から信頼を得られたり、顧客満足度の向上につながったりとさまざまなメリットがあります。

2.8. 向上心

向上心とは、設定した目標や目的に向かって、前向きに取り組む能力のことです。

より良い状態・状況を目指して努力を積み重ねる姿勢や、自己成長しようとする思いなどが含まれます。

向上心のある人は、困難なことでも前向きに乗り越えられたり、周囲にポジティブな影響を与えたりするので企業にとって「貴重な人材」だと言えるでしょう。

post1131_img2.png【関連記事】「スキルアップとは?メリットや高めるための方法について徹底解説」

3. ヒューマンスキルを身につけるメリット

ヒューマンスキルは、自分自身で「この能力は必要」だと確信しなければ、飛躍的に向上させることができません。

「ヒューマンスキルが本当に自分に必要な能力なのかよく分からない」という方は、身につけることで得られるメリットをチェックしましょう。

3.1. チームワークや組織力の向上につながる

ヒューマンスキルを身につけると、チームワークや組織力の向上へとつなげることができます。

例えば、ヒューマンスキルを構成する要素の1つである「ファシリテーション」が身に付けば、会議やミーティングで参加者に発言を促したり、相手の意見を受け入れて、合意形成を図れたりするため、社員の自信やモチベーションアップにつながります。

また、社内では多様性を受け入れて、良好な関係を築くことができるため、離職率の低下にも貢献できるでしょう。

3.2. 人材の育成につながる

ヒューマンスキルを構成する要素には、人材育成につながるスキルが多く含まれます。

例えば、「コーチング」「コミュニケーション」「ヒアリング」といった能力が高い人が育成を行えば、部下や後輩の価値観を尊重しながら、知識や技術、ノウハウを伝達できます。

さらに、相手のやる気を高めたり、自分で物事を考えて行動する「自発性」を身につけたりできるので、優秀な人材を排出することが可能です。

3.3. 企業価値の向上につながる

ヒューマンスキルの高い人材の存在は、企業価値の向上につながります。ヒューマンスキルに長けている人材は、仕事に対するモチベーションが高く、常に前向きな姿勢で取り組むため周囲に良い影響を与えるからです。

組織全体の意欲が高まり、生産性の向上を図ることもできるでしょう。また、取引先や顧客と良好な関係を構築できるため、企業のイメージアップにつながるメリットもあります。

post1131_img3.png【関連記事】「リスキル(リスキリング)とは?注目されるようになった背景やリカレントとの違いについて紹介」

4. ヒューマンスキルを高める方法

ヒューマンスキルは、自然と身につくスキルではないので、この能力を高めるためには意欲的に思考・行動する必要があります。

ここでは、ヒューマンスキルを高める方法を4つ紹介します。

4.1. ワークショップや研修に参加する

ワークショップや研修に参加することで、ヒューマンスキルを効率的に身につけられます。

ビジネススキルの分野に精通した指導者から学べるため、プロの視点を取り入れて自分に落とし込むことが可能です。

また、ヒューマンスキルの重要性に気づくことができます。インプットした内容を社内研修などでアウトプットすることにより、実践的なヒューマンスキルの形成が見込めます。

4.2. 相手に関心を持つようにする

ヒューマンスキルは、相手に無関心な状態だとなかなか習得できません。ヒューマンスキルの重要性に気づくことができ、必要なスキルも押さえているのに定着しない場合は、相手への関心度を高める必要があります。

例えば、ヒアリング能力について学習したけど、相手の発言に対して無関心の場合、価値観や考えを理解したり、共感したりできません。まずは周囲の人に興味を持って、何気ない会話を楽しんでみると良いでしょう。

4.3. 1on1ミーティングを実施する

1on1ミーティングとは、上司が部下の能力向上やモチベーションアップを図るために実施する個人面談のことです。

人事評価のために行う「評価面談」や、日常の業務指導である「OJT」とは異なり、重要度の低い内容や部下にとってためになる話題をテーマにします。

上司と部下がお互いにリラックスした状態で、ヒューマンスキルを高める場を設けましょう。

4.4. 評価対象に取り入れる

ヒューマンスキルを評価対象を加えることで、日頃から意識するため能力の向上に役立ちます。

社員が能動的にスキルアップを図る意識付けができるので、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ただし、評価制度が曖昧な状態では、社員のモチベーション低下につながるので、評価対象に取り入れる場合は明確化させることが大切です。具体的には、社員や顧客にアンケート調査を実施するなどして、客観的な評価を取り入れるようにしましょう。

post1131_img4.png【関連記事】「若手ビジネスパーソンが準備しておくべき「スキルセット」とは」

5. ヒューマンスキルを高めるポイントや注意点

ヒューマンスキルは、ビジネスパーソンが社会で活躍するために、身につけておきたい能力ですが、すぐに定着するものではありません。

PDCAサイクルというフレームワークを意識して、実践と改善を繰り返すことで少しずつ身につきます。

  • Plan(計画):目標達成に向けた計画を立てる
  • Do(実行):行動を繰り返す
  • Check(評価):成果を評価する
  • Action(改善):評価を分析して改善する

短期的にヒューマンスキルの向上を目指すのではなく、日常的に意識して、着実に伸ばしていきましょう。

【関連記事】「社会人一年目で身につけておきたい! 転職しても通用するスキルと能力、心得」

6. ビジネスパーソンが身に付けたい、その他のスキル

その他、ビジネスで必要なスキルに関して、以下の記事でもご紹介しています。併せてご覧ください。

【関連記事】「相談力は最強スキルのひとつ! 相談上手は能力以上の仕事ができる?」

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【関連記事】「分析力とは?自己PRで効果的に伝える方法や高め方について解説」

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7. まとめ

ヒューマンスキルとは、円滑なコミュニケーションを図り、良好な人間関係を築くために必要なスキルのことで、どの業界・職種においても求められる能力です。

ヒューマンスキルを高めることで、チームワークや組織力、企業価値の向上につながるので、マネジメント層は身につけるメリットが大きいと言えるでしょう。

ヒューマンスキルを構成する8つの能力要素を理解したうえで、ワークショップや研修に参加したり、相手に関心を持つように意識したりすれば、能力の向上を図ることができます。

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