難しい仕事上の判断も、先輩や上司に相談すると簡単に解決することがあります。何でも教えてもらうのは少し違いますが、相談することで先輩や上司の経験やスキルを借り、自分の能力を補完できます。相談する力もスキルのひとつです。 (Misa)
先輩や上司に相談していますか?
報告・連絡・相談は社会人の基本です。しかし、報告と連絡にはどのタイミングで誰に対して行うかという明確な基準がありますが、相談についてはそうした決まりごとがありません。報告、連絡を行う上司に相談するのが妥当ですが、上司には遠慮があるなど、相談しづらい場合もあります。そのためか、相談が苦手という若手社員は意外に多いようです。
現在の状況や今後の予定など、すでに決まっていることを伝える「報告」に対して、未確定の事柄について指示やアドバイスを受けるのが「相談」です。つまり、報告をしたうえで、その先の対応や課題について指示を仰ぐ(相談)という流れが前提となっているため、明確な基準が決められていないと考えられます。取り返しのつかない事態に陥る前にリスクを回避するのが「相談」の役割であり、仕事上のセーフティネットでもあります。
「報告さえすれば上司が判断するべき」と考えるかもしれませんが、指示やアドバイスを必要としていることが伝わらなかったり、報告内容が不十分で適切な判断ができないでいたりするケースもあります。もっとも状況を把握している立場から、トラブルになる前に相談することも仕事上の責任です。
相談上手になるポイント
相談もコミュニケーションですから、人によって上手下手があります。相談上手な人はよいアドバイスが得られるだけでなく、相談を通して相談相手との人間関係を深めることもできます。
相談上手になるには、「相談は、自分の判断でタイミングや相手を選ぶ」という側面があることを理解してください。仕事上の利害関係や守秘義務がありますので、適した相談相手を選ぶ必要はありますが、上司に限らず、話しやすい先輩や詳しい人などの意見を聞いて参考にすることができます。
そして、相談する際は、相手に対して的確に情報共有をすることが大前提です。相談の趣旨や目的を明確に伝え、情報の後出しをしないことです。
また、自分なりの結論を裏付けるために相手の意見を求める場合は自分の考えをあらかじめ示し、異なる意見が出されても真摯に受けとめなければなりません。あくまで相談ですから相手の意見にすべて従う必要はありませんが、相手からの異論を否定することは非常に失礼なことです。
<相談上手になるポイント>
- 相談のタイミングや相手を選び、情報共有する(相談の趣旨や目的を明確に伝え、情報の後出しをしない)。
- 自分なりの結論がある場合は先に伝える。
- どんな意見でも真摯に受けとめる。
"相談する"メリットと最低限のマナー
相談上手な人は、上司や先輩のアドバイスを受けて自分のスキル以上の仕事ができるようになります。教えられたことが経験として身につき、スキルアップにつながります。独学で試行錯誤するよりも効率がよいです。相談は周囲の人の能力を活用する手段なのです。さらに相談することで周囲をまきこんで仕事ができるようになり、より大きな成果が期待できるようになります。日頃の人間関係が相談しやすさをつくりますので、職場でのコミュニケーションは大切にしましょう。
また、仕事上の相談では最低限のマナーがあります。たとえば、複数の人に相談するときは、相談相手にその旨を伝えておくとトラブルを避けられます。また、相談相手に時間を割いてもらうことになりますので、相談ごとの結果を報告して感謝の気持ちを伝えることを忘れてはいけません。
プロフィール
原稿:Misa
ITベンチャーで企画、人材開発、広報などを経て独立。現在はコンサルタント、ときどきライター。ライターとしては、IT系以外、アニメ・マンガ、車から美容・健康まで何でもチャレンジ中。