転職活動や就職活動を進める際、多くの人はまず、どんな業界・業種を志すべきか考えると思います。しかし、どんな業界や業種を目指すべきかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、業界の定義や、業界を知るメリット、代表的な8つの業界の一覧とその特徴と現状、求められる主な職種などについて解説します。
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1. 【業界一覧】転職活動・就職活動における"業界"とは
転職活動・就職活動における「業界」とは、企業を事業内容ごとに分類したグループのことです。一般的には、以下の8種類に大別されます。
●メーカー
●商社
●小売
●金融
●サービス・インフラ
●ソフトウエア・通信
●マスコミ・出版・広告
●官公庁・公社・公的団体
なお、「業界」と似た言葉として、「産業」「商業」「業種」「職種」などが挙げられますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
1.1. 「産業」「商業」との違い
「産業」とは経済活動の総称であり、大きく3つに分類されます。
主に自然のものを採取する農業・林業・畜産業・漁業が「第一次産業」、自然から採取したものや技術的に生産された材料を加工する建設業・製造業・鉱業を「第二次産業」、その他の産業を「第三次産業」と呼びます。
「商業」とは、生産者と消費者の中間に位置し商品を売買することで、利益を得る事業活動のことです。上記でいう「第三次産業」に該当します。
1.2. 「業種」「職種」との違い
「業種」は事業活動の種類を指すのに対し、「職種」は個人が担う仕事の種類を意味します。職種の詳細な分類や種類はメディアごとに異なります。
例えば、マイナビエージェントでは職種と業種を以下のように分類しています。
【職種】
●SE・システムエンジニア
●機械/電気・電子/素材等
●営業職
●医療系専門職
●コンサルタント/監査法人/士業関連
●金融専門職
●開発/運用/投資銀行系業務/審査・査定 等
●不動産専門職
●クリエイティブ
●経営/企画/管理/事務
●販売/サービス
●建築設計/土木/プラント/設備等
【業種】
●IT/通信業界
●インターネット/広告業界/ゲーム
●メーカー/製造業
●人材サービス
●商社
●金融機関/金融業界
●コンサルティングファーム/監査法人・事務所
●不動産/建設業界
●小売/運輸・物流/飲食
●サービス業
●医療/介護サービス
●教育・学校/エネルギー/その他業界
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2. 業界を把握するメリット
転職活動・就職活動においては、初期段階で業界の分類とそれぞれの内容を把握しておく必要があります。
業界を把握するメリットとしては以下の2点が挙げられます。
2.1. 自分の関心が明確になる
業界を把握することで、自分の関心がどの業界に向いているのかが明確になります。
転職活動・就職活動を進める中で、自分の興味・関心を認識できていないことに気づく人もいるでしょう。
その際、業界の分類と内容を把握していれば、興味・関心の方向性を大まかに捉えられます。
2.2. 業界内で企業を比較検討できる
同じ業界内の複数の企業を比較し、より自分にマッチした企業を見つけるためにも、業界の内容と現在の傾向を把握しておくことが重要です。
同じ業界に属する企業でも、手がける事業や規模はそれぞれ細かい違いがあります。
業界を把握していれば同業界の企業をピックアップして比較できるので、各項目の比較検討がしやすくなるでしょう。
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キャリアアップを考えている方は、無料で相談できる転職エージェント「マイナビエージェント」がおすすめです。
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3. 8つの業界の特徴や職種
冒頭で触れたように、業界は大きく8つに分類されます。
ここでは、それぞれの業界の特徴や現状と併せ、具体的にどのような職種があるのかを紹介していきます。
3.1. メーカー
メーカーとは、ものづくりに携わる業界です。
3.1.1. メーカーの特徴
私たちの日常のまわりにある製品などを生み出しているのがメーカーです。製品の研究開発や企画、原材料の調達、生産、販売に至るまで、製品を世に送り出す工程を担います。
種類 | 主な分野・製品例 |
---|---|
食品 | 加工食品、飲料、調味料など |
電機・電子 | 家電、半導体、パソコン、スマートフォンなど |
自動車 | 自動車、バイク、関連部品 |
住宅 | 戸建住宅、マンション、注文住宅、住宅設備、リフォーム、不動産販売 |
衣料品 | 衣服、繊維製品、スポーツウェア、ファッション小物 |
3.1.2. メーカーの現状
新興国での工業生産が盛んになる中、そうした国々や地域にあるより低価格な製品を供給できるメーカーとの競争が激化しており、かつて「ものづくり大国」と呼ばれた日本を支えてきたメーカーの存在感も下降傾向であることは否めません。
しかし、事業の選択と集中によって得意分野に特化したり、製造・輸送コストの削減を狙って生産工場を海外に移転したりするなど、他国では真似できない事業展開や利益確保を狙うケースも増えています。
3.1.3. 職種
メーカーには主に以下のような職種が存在します。
●企画
●基礎研究
●商品開発
●商品企画
●資材調達
●購買
●品質管理
●生産管理
●メンテナンス
●営業
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3.2. 商社
商社は、貿易や国内企業からさまざまな商材を調達し販売する業界です。
3.2.1. 商社の特徴
商社は、取り扱い品目によって総合商社と専門商社の2つに分類されます。
種類 | 取扱品目 |
---|---|
総合商社 |
|
専門商社 |
|
3.2.2. 商社の現状
総合商社は、時代の流行り廃りの影響を受けながらも、大きな資金力と安定的な基盤を活かし、柔軟に事業形態を変化させてきました。
ただし、事業規模が大きいぶん、事業対象の先行きを読み誤ると莫大な損失を被るリスクもあります。
専門商社は特定の分野に関するノウハウと人脈が形成されるため業界動向がつかみやすく、事業展開の見通しが立ちやすい点がメリットです。
しかし、商材が限定的であることから、需要の見込みが下振れした場合に大きな打撃を受けることもあります。
3.2.3. 職種
商社には以下のような職種が存在します。
●営業
●カスタマーサポート
●物流・在庫管理
●海外事務
●貿易事務
●システムエンジニア
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3.3. 流通業界
流通業界には、主にメーカーなどから仕入れた製品を小売店に卸す「卸売業」と、消費者に商品を直接販売する「小売業」があります。
3.3.1. 小売・流通業界の特徴
卸売業は、メーカー(生産者)から商品を仕入れ、小売業者や飲食店・工場などに販売する業界です。消費者と直接取引することは基本的にありません。
一方で、小売業は、商品やサービスを最終的に使用・消費する個人や家庭向けに販売する業界です。メーカーや卸売業者とは異なり、消費者との距離が近いのが特徴です。
業種 | 業種・業態 |
---|---|
卸売業 |
|
小売業 |
|
3.3.2. 小売・流通業界の現状
コロナ禍での外出抑制によって流通業界は大きなダメージを受けましたが、在宅時間の増加に伴い「巣ごもり需要」が生まれたことで、今までにないビジネスチャンスを獲得した企業も多くあります。
また、昨今のインバウンド需要の復活によって、コロナ禍のダメージから業績が回復している企業があるのも特徴です。
3.3.3. 職種
流通業界には以下のような職種が存在します。
●接客・販売スタッフ
●店長
●スーパーバイザー(SV)
●バイヤー
●総務・人事・労務
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3.4. 金融業界
金融業界は、預金業務や融資、金融商品の販売などを手がけています。
3.4.1. 金融業界の特徴
金融業界は資金の流れを支え、経済活動を円滑にする重要な役割を担っています。金融業界の業種は多様であり、以下のように分類されます。
業種 | 分類 | 業務内容 |
---|---|---|
銀行 | 都市銀行、地方銀行、信用金庫 | 預金業務、貸付業務、為替業務、資金決済 |
証券 | 証券会社、ネット証券 | 株式・債券の売買仲介、資産運用、投資アドバイス |
クレジット | クレジットカード会社 | クレジットカード発行、決済サービス、与信管理 |
保険 | 生命保険、損害保険 | 保険商品の販売、リスク管理、保険金支払い |
信販 | 信販会社、リース会社 | 割賦販売、リース、ローンの提供 |
フィンテック (Fintech) |
決済サービス、AI活用型金融 | デジタル決済、AIによる審査・資産管理、ブロックチェーン |
3.4.2. 金融業界の現状
ここ数年、金融業界ではAIの活用がさらに進み、窓口業務や融資・ローン審査といった従来は人の手で行われていた業務の多くが自動化されています。
証券業界ではネット証券の普及に加え、銀行でもAIチャットボットやオンライン完結型サービスが一般化し、対面を前提とした業務形態は大きく見直されています。
金融業界全体が、デジタル化と業務効率化の流れの中で、新たなフェーズに入っていると言えるでしょう。
3.4.3. 職種
金融業界には、以下のような職種が存在します。
●融資・資産運用マネージャー
●ファイナンシャルアドバイザー
●証券アナリスト
●アクチュアリー
●営業
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3.5. サービス・インフラ業界
サービス・インフラ業界は、物ではなくサービスを提供したり、電気・ガス・航空などの社会的なインフラを担ったりする企業で構成されています。
3.5.1. サービス・インフラ業界の特徴
第三次産業に該当するサービス・インフラ業界は、個人・法人の顧客からの要望を受けそれを実現させること、かつ満足度の高いサービスを提供する仕事です。
種類 | 提供されるもの |
---|---|
サービス業界 |
|
インフラ業界 |
|
3.5.2. サービス・インフラ業界の現状
サービス・インフラ業界も、世界情勢の影響を受けやすい業界です。特に近年は、対面を必要としないサービスの需要が高まっており、これまでとは異なる方向性へシフトする企業も増えています。
その結果、新たなビジネスチャンスをつかむ企業も現れ、時代の変化に柔軟に対応することが求められています。
他業界と同様、AI技術の活用も期待されていますが、人の心を打つホスピタリティが求められるサービス業において、人とAIがどこまで共存できるかが課題となっています。
3.5.3. 職種
サービス・インフラ業界には、以下のような職種が存在します。
●接客・販売スタッフ
●店長
●営業
●宣伝・広報
●介護福祉士
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3.6. ソフトウエア・通信業界
ソフトウエア・通信業界は、各デバイスで用いられるソフトウエアの開発や、そのソフトウエアの稼働も含め今やライフラインの一部とも言える通信の領域を担います。
3.6.1. ソフトウエア・通信業界の特徴
ソフトウエア・通信業界の事業内容や特徴は、それぞれ以下の通りです。
種類 | 取扱品目・事業内容 |
---|---|
ソフトウエア業界 |
|
通信業界 |
|
ソフトウエア業界には、自社開発が可能な大企業もあれば、他社の開発業務を部分的に受託する中小企業もあります。
一方、通信業界には、自社で通信インフラを整備しサービスを展開する事業者や、通信インフラを借りて通信事業を行う事業者(「MVNO (仮想移動体通信事業者)」)、設備の保守や地域ネットワークの構築を請け負う中小企業も存在します。
3.6.2. ソフトウエア・通信業界の現状
ソフトウエア業界には、IoT(Internet of Things、モノのインターネット化)や5Gの全面的な普及に対応できる新たなソフトウエアの開発が求められています。
通信業界においても、Web会議システムやオンライン学習、映像配信などエンターテインメントビジネスなどにおいて需要が拡大している現状です。
3.6.3. 職種
ソフトウエア・通信業界には、以下のような職種が存在します。
●システムエンジニア
●ゲームクリエイター
●データサイエンティスト
●営業
●セールスエンジニア
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3.7. マスコミ・出版・広告業界
各種メディア(媒体)を活用して不特定多数の人々に情報を伝えるのが、マスコミ・出版・広告業界です。
3.7.1. マスコミ・出版・広告業界の特徴
マスコミ・出版・広告業界は、以下のような各種メディア(媒体)を通じてさまざまな情報を発信します。
分類 | 主な媒体・手段 |
---|---|
マスコミ |
|
出版 |
|
広告 |
|
マスコミは「マスコミュニケーション」の略称で、時事問題などの公共性の高い情報に関して、いかに過不足なく正確かつスピーディーな発信ができるかが重要となります。
出版業界は、上記のような媒体のほかに、著作権管理やデジタル配信、マーケティング、流通管理など、多岐にわたる業務を担っています。
広告業界は、広告スペースの販売や広告物の制作に加え、マーケティングやデジタル広告の運用など幅広い業務を行っています。
3.7.2. マスコミ・出版・広告業界の現状
情報発信の形が多様化したことによって従来型の媒体への広告出稿が減少し、マスコミ・出版・広告業界は大きな逆風を受けました。
新聞や雑誌の発行部数も下降傾向で、主な収入源である広告費を以前のように確保できなくなっています。
その中で好調なのがデジタルメディアです。時代の変化と共に働き方や生活様式も変化を遂げ、テレビ局や新聞社も動画配信サービスなどに参入し始めました。
従来の広告収入への依存体質を脱却し、デジタルコンテンツの販売など事業活動の安定化を目指しています。
3.7.3. 職種
マスコミ・出版・広告業界には以下のような職種が存在します。
●記者・ライター
●編集・制作
●広告デザイナー
●調査研究・マーケティング
●営業
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3.8. 官公庁・公社・公的団体
国や県、地方自治体、その管轄下にある組織などは、官公庁・公社・公共団体に分類されます。
3.8.1. 官公庁・公社・公共団体の特徴
官公庁は以下の表のように、財務省などの国の組織と都道府県庁や市町村役場などの地方自治体に大きく分かれます。それぞれに従事する職員は、国家公務員と地方公務員に分かれます。
公社・公共団体は、公益を目的として設立されており、行政機関とは異なる形で公共サービスを提供しています。
種類 | 主な組織例 | 職員の区分 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
官公庁(国) |
|
国家公務員 | 国の政策立案や行政を担う |
官公庁(地方自治体) |
|
地方公務員 | 地域行政や住民サービスを担当 |
公社・公共団体 |
|
公的組織の職員 | 営利を目的とせず、公益的な活動を行う |
3.8.2. 官公庁・公社・公共団体の現状
安定した仕事の代表として高い人気を誇る公務員ですが、働き方に対する価値観の変化に伴い、公務員の働き方も変化を求められています。近年では、より優秀な人材を確保するため、官公庁も民間企業との人材獲得競争に参入しています。
一方、公社・公共団体は官公庁によるサービスでは行き届かない部分にも柔軟に対応するなど、住民生活に寄り添ったサービス展開が期待されています。
3.8.3. 職種
官公庁・公社・公共団体には、以下のような職種が存在します。
●国家公務員
●地方公務員
●警察官・自衛官
●消防士
●公立学校教員
4. 自分に合う業界を見つけるには
自分に合った業界を見つけることは、長く働き続けるうえで非常に重要です。仕事内容や職場環境、将来の成長性など、さまざまな要素を踏まえて、自分の価値観やスキルに合う業界を見極める必要があります。
ここでは、自分に合う業界を探すためのポイントとして、「業界研究」と「自己分析」の2つの方法を紹介します。
4.1. 業界研究を行う
まず各業界の特徴や働き方、将来の見通しをしっかりと調べることが重要です。公式サイトや業界ニュース、企業説明会などを活用し、具体的な情報を集めて比較検討しましょう。そうすることで、自分の価値観や希望に合った業界を見極めやすくなります。
4.2. 自己分析を行う
自分の強みや興味、価値観を理解することは、適した業界を見つけるうえで欠かせません。過去の経験や得意なこと、仕事に求める条件を書き出し、自己理解を深めましょう。これにより、自分に合う業界や職種のイメージが具体的になります。
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転職を考え始めたら、
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5. まとめ
転職や就職活動での「業界」は、メーカーや商社、小売業など大きく8種類に分けられます。各業界の特徴や働き方、求められるスキルを理解することで、自分の関心や適性をより明確にできます。
また、気になる業界の実態や市場動向を把握することは、将来のキャリアプランを立てる上でも重要です。さらに、業界研究や自己分析を進めることで、自分に合った企業を見つけやすくなり、転職・就職活動を効率的に進められるでしょう。
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