部署異動とは?行われる理由や拒否できるケース、希望の伝え方を紹介

ビジネススキル・マナー

部署異動は、企業や個人の成長において重要な役割を果たします。しかし、実際に異動が言い渡されると、その理由や対応方法に不安を感じることも少なくないでしょう。そこで、本記事では部署異動が行われる具体的な理由や異動を希望する際の伝え方、異動を拒否できるケースなどを徹底解説します。新しい部署でスムーズなスタートを切るために必要な情報をお届けするので、ぜひ参考にご覧ください。

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1 部署異動とは?

部署異動とは、従業員が同じ会社内で別の部署に転属することを指します。通常、異動先の部署では業務内容が変わるため、部署異動によって新たなスキルや知識を習得できる可能性があります。部署異動の主な目的としては、個人の成長や業務の効率化などが挙げられます。

1.1 部署異動と人事異動の違い

部署異動が「同じ会社内で別の部署に異動すること」なのに対し、人事異動は「部署異動を含む広い範囲の異動」を指します。

例えば、勤務地が変わる「転勤」、他の企業に移る「出向」、役職が変わる「昇進・降職」のほか、「昇格・降格」「転籍」「退職・解雇」なども人事異動の一つです。

1.2 部署異動が行われやすい時期

部署異動が行われる時期は企業によって異なるものの、一般的には新年度が始まる4月や、下半期が始まる10月が多い傾向にあります。なお、部署異動を従業員に周知する内示は、約1ヶ月前の3月や9月頃に出されることもあります。

また、新規のプロジェクトが始まる際は、必要なスキルと人材を確保するため、部署異動が実施されるケースも考えられます。

2 部署異動が行われる5つの理由

なぜ慣れ親しんだ部署から、わざわざ他の部署へ異動になるのでしょうか。ここでは、部署異動が行われる主な理由を5つ紹介します。

2.1 欠員が発生したため

例えば、退職や長期休職、他部署への異動などで人手が不足すると、業務が滞ってしまう恐れがあります。このような状況を解消するために、社内で適任者を配置し直す部署異動が実施されます。

また、既存メンバーの負担軽減や、部署全体のバランスを取るためにも欠員補充は重要です。異動により、新たな人材が加わることで、新しい視点やスキルが部署に取り入れられる効果も期待されます。

2.2 適材適所の人材配置を行うため

組織全体の効率を向上させるには、従業員一人ひとりのスキルや経験、特性を考慮し、それを最大限に活かせる部署への配置が必要不可欠です。どんなに高いスキルを持った従業員がいても、適材適所の人材配置がなされていなければ、業務の効率は低下してしまいます。

また、自分の能力が発揮できる環境で働くことで、やりがいや成長の機会が得られるため、従業員のモチベーション向上にもつながります。

2.3 従業員に経験を積ませるため

異なる部署での業務を経験することで、従業員は新しい知識やスキルを習得し、視野を広げる機会を得ることができます。さらに、会社全体の仕組みや業務プロセスへの理解が深まり、より柔軟な対応力を備えた人材への成長が期待できます。

こうした部署異動は、従業員のキャリア形成を支援すると同時に、企業全体の競争力を高めるためにも重要です。

2.4 従業員の不正を防止するため

特定の業務やポジションに長期間留まると、業務の慣れや閉鎖的な環境から不正行為が発生する恐れがあります。部署異動を定期的に行うことで、業務の透明性を保ち、不正を未然に防ぐ効果が期待されます。

また、新しい部署での業務に携わることで、従業員自身の意識も引き締まり、規律を維持することにもつながります。

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3 部署異動させられる人の特徴

部署異動の基準は企業によって異なるものの、対象になりやすい人はいます。ここでは主に3つのポイントに絞って、部署異動になりやすい人の特徴を紹介します。

3.1 適応力があり、スキルや経験が豊富な人

幅広い経験を持つ人は、異なる業務や部門間の橋渡し役としても活躍できるため、会社にとって重要な存在です。さらに、適応力とスキルを備えた人は、新たな価値観をもたらし、部署全体の活性化や業務効率の向上にも貢献してくれる可能性があります。

このように、企業から信頼される人材は、異動先の環境に素早く順応して成果を上げることが期待されるため、部署異動の対象になりやすいといえます。

3.2 今後の成長が期待されている人

部署異動は新しい環境での挑戦を通じ、スキルや経験を磨ける絶好の機会です。そのため、将来的に重要な役割を担うと見込まれる人が対象になる可能性があります。

企業は有望な人材に多様な経験を積ませることで、将来的に組織を引っ張る存在への成長を期待しています。このように、部署異動は単なる配置替えではなく、従業員の可能性を引き出し、キャリア形成を支援するための重要な手段です。

3.3 今の部署で結果を出せていない人

現在の部署で十分な結果を出せていない人も、部署異動の対象になることがあります。こうした部署異動は一見ネガティブに捉えられがちですが、実際は個人の能力を最大化し、本人と組織の双方に利益をもたらすことを目指した前向きな施策であることが多いです。

特に、能力が発揮できていない理由が部署や業務内容とのミスマッチにある場合は、部署異動によって潜在的な能力が引き出され、十分な成果を上げられる可能性があります。

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4 部署異動のメリットとデメリット

部署異動が嬉しいという人もいれば、嫌だと思う人もいるでしょう。ここでは、部署異動の具体的なメリットとデメリットを紹介します。

4.1 部署異動のメリット

まずは、部署異動のメリットを、会社側と従業員側に分けて見ていきましょう。

会社側のメリット

  • 組織が柔軟化する
  • 業務の効率がアップする
  • 多様な人材が育成できる
  • 人材を適材適所に配置できる
  • 組織全体で連携が強化される

部署異動を通じて業務負担が分散するため、組織全体の効率性向上が期待できます。また、幅広い知識やスキルを持つ人材の育成や、強みを最大限に活かした適材適所の人材配置、部署間の連携の強化なども会社側における部署異動のメリットです。

従業員側のメリット

  • スキルアップできる
  • 人間関係が広がる
  • モチベーションが向上する
  • 適性が再発見できる
  • キャリアパスが明確になる

新しい業務に取り組むことで、専門知識やスキルが増え、キャリアの幅が広がります。また、新たな部署での人間関係構築は、将来的にも大きなメリットです。さらに、マンネリやストレスからの解放によるモチベーションの向上、適性の再発見といった利点も考えられます。

4.2 部署異動のデメリット

続いて、部署異動のデメリットを、会社側と従業員側に分けて見ていきましょう。

会社側のデメリット

  • 業務が一時的に混乱する恐れがある
  • 従業員の適応に時間がかかる場合がある
  • 専門的なスキルが不足する可能性がある
  • 人事管理の負担が増加することがある

部署異動直後は、一時的な業務の混乱が生じる可能性があり、従業員によっては新しい部署への適応に時間がかかるため、結果的に業務の効率が低下してしまうことが考えられます。また、頻繁な部署異動により専門のスキルが積み上げられず、計画的な人材育成が難しくなる恐れもあります。

従業員側のデメリット

  • 不安を感じることがある
  • 人間関係の再構築が求められる
  • キャリアの方向性が不明確になる
  • 家族や生活に影響を与える可能性がある

新しい業務に慣れて成果を出すまでには一定の時間がかかるため、従業員は自身の能力が十分に発揮できないことに不安を感じることがあります。また、一から人間関係を構築することにストレスを感じたり、転勤を伴う部署異動によって生活に大きな影響が出たりすることも考えられます。

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5 部署異動の拒否は基本的にNG!断れるケースとは?

企業はスムーズな業務運営を行うため、適材適所の人材配置を行う「人事権」を有しています。そのため、基本的に企業から指示された部署異動を、従業員が拒否することはできません。ただし、以下のようなケースでは、部署異動を拒否できる可能性があります。

5.1 介護や病気などで職務の変更が難しい場合

従業員に介護を必要としている家族がいる場合や、自身の健康状態が異動先の業務に支障をきたす場合、企業はその状況を考慮する責任があります。

「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする」と、労働契約法第3条3項において定められているため、部署異動が従業員の肉体や精神に大きな負担をかける場合は、他の対応策を見つけることが重要です。

ただし、「自分には向いていないから」「子供がまだ小さいから」「通勤時間が長くなるから」といった理由では、基本的に拒否できないため注意しましょう。

5.2 労働契約書で職務内容が限定されている場合

労働契約で特定の職務が明記されている場合、従業員はその職務に従事することが義務付けられています。

例えば、「営業部で営業の職務を行う」と明記されているにもかかわらず、その範囲を超える部署異動が発生した場合は雇用契約違反とみなすことができ、異動を拒否する正当な理由となります。また、勤務地が限定されている場合も、原則として転勤を伴う部署異動は拒否できます。

5.3 不当な理由による部署異動の場合

不当な理由とは、例えば「使えないと感じた社員を異動させる」「気が合わないから閑職に追いやる」など、上司の個人的な理由や差別的な意図に基づく部署異動が該当します。このような部署異動は、人事権の濫用にあたる可能性があります。

ただし、不当な部署異動として拒否するためには、人事権の濫用であることを証明しなければならず、現実的に拒否するのは難しいといえます。

6 部署異動を希望する際の伝え方

基本的に、部署異動は会社側が決定するため、従業員の希望が通ることが少ないと言えます。しかし、どうしても異動が必要だと感じる場合は、以下の方法を試してみましょう。

6.1 上司との面談で直接伝える

まずは、上司に部署異動の意思を伝えてみましょう。異動を希望する理由や目的、異動先でどのように貢献できるかを具体的に説明することで、上司の理解を得やすくなります。

また、異動が自分のキャリアにどのようにプラスになるかを示すことも効果的です。面談を通じて上司との信頼関係を築けば、将来的な異動の可能性を高められます。

6.2 人事部に相談する

人事部は、組織全体の人員配置や異動の計画を把握している部署です。そのため、相談することで異動のチャンスが高まることがあります。

本来は、まず直属の上司に相談するのが正しい手順ですが、上司のパワハラやセクハラが原因で部署異動を希望するといった場合は、直接人事部に相談することをおすすめします。

なお、パワハラやセクハラは専門の相談窓口が設けられているケースもあるため、併用して事態の解決に努めましょう。

6.3 異動申請書を提出する

異動申請書とは、従業員の異動希望を企業へ申請するための正式な書類です。もしも、異動申請書がある場合は、積極的に提出して異動の意思を示しましょう。

ただし、異動申請書を提出したからといって、必ずしも希望が通るとは限りません。部署異動は、あくまでも企業の判断によって決定されることを覚えておきましょう。

7 部署異動が決定した後にすべきこと

部署異動が決定した後は、業務の引継ぎや関係者への挨拶などが必要になります。異動日までの日数を計算し、ぎりぎりで慌てることのないよう計画的に進めましょう。

7.1 業務の引継ぎ

引継ぎをしっかり行えば、業務が滞ることなく効率の低下も防げます。まずは、引き継ぐ業務内容を整理し、重要な情報の洗い出しを行いましょう。そのうえで、業務の手順などをまとめたマニュアルを作成するのがおすすめです。

引継ぎ期間中は、実際の業務を通じて説明し、後任者の疑問を解消できるようサポートしなければなりません。

7.2 社内外に向けた異動の挨拶

社内の関係者には、異動先の部署での目標や意気込みを伝えるとともに、これまでの協力に感謝の意を示します。また、異動先の部署や関係者への挨拶も忘れずに行い、新しい環境でのスタートを円滑にするための下準備を行いましょう。

外部の取引先には、担当が変わることをお知らせし、これまでの感謝と今後も引き続きの協力をお願いする内容の挨拶をします。取引先には対面での挨拶が基本ですが、都合が付かない場合はメールを送りましょう。

7.3 社内外に向けた着任の挨拶

社内では、新しい部署の上司や同僚に自己紹介をし、これからの意気込みや目標を伝えることで、円滑なスタートを切ることができます。

外部の取引先や顧客には、担当者が変わることをお知らせし、今後も変わらぬご支援をお願いする挨拶をします。この際、まずはメールで簡単に挨拶をしてから、改めて対面で挨拶を行うのが適切です。

8 部署異動でストレスを感じた際の対処法

特に、望まない部署異動を言い渡された場合は、モチベーションが下がり、働く意欲が低下してしまうことも少なくありません。部署異動でストレスを感じた場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、具体的な対処方法を4つ紹介します。

8.1 ポジティブな目標を設定する

新しい環境への不安を軽減するには、具体的な目標を掲げるのがおすすめです。例えば、 「3カ月以内にこのシステムをマスターする」「毎日1人以上の同僚と積極的にコミュニケーションを取る」など、達成可能で前向きな目標を設定します。

目標に向かって努力することで、ストレスを感じる状況でも自分の成長を実感し、モチベーションを保ちながら乗り越えることができるでしょう。

8.2 オンオフの切り替えを大事にする

異動後は新しい業務や人間関係に慣れるため、精神的な負担が大きくなることがあります。そのため、仕事が終わった後はリラックスできる時間を確保し、プライベートな時間を充実させることがストレスを軽減するポイントです。

趣味や運動、友人との交流など、気分がリフレッシュすることを見つけましょう。オンとオフを上手に切り替えバランスを保つことで、異動先でもより良いパフォーマンスが発揮できるようになります。

8.3 上司や同僚に相談する

異動による不安を一人で抱え込むと、さらにストレスが増してしまいます。そんなときは、上司や同僚に自分の悩みを打ち明けて適切なアドバイスをもらえば、気持ちが軽くなるかもしれません。

また、上司や同僚に相談することで、自分では思いつかなかった改善点が見つかる可能性もあります。ストレスを感じたときこそ、周囲と積極的にコミュニケーションをとるよう心掛けましょう。

8.4 どうしても辛い場合は転職を検討する

「新しい業務に対応できない」「職場の人間関係が気まずい」「通勤時間が長くなり辛い」など精神的・身体的な負担が大きい場合は、思い切って転職を検討するのも一つの方法です。自分のキャリアや健康を守るために転職を考えることは、決して悪いことではありません。

もしも、転職に対して不安を感じる場合は、転職のプロである転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントでは、求職者のスキルや希望に合った求人を提案し、履歴書の作成や面接対策などのサポートも行ってくれます。

また、非公開求人にアクセスできる場合もあり、より良い条件の職場を見つけるチャンスが広がります。一人で悩まず、専門家の力を借りることで新たな道が開けるかもしれません。

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9 まとめ

部署異動は、同じ会社内の異なる部署へ異動する人事異動の一つです。組織の人員配置や業務の最適化を目的に行われ、健康や家庭の事情など、一部の例外を除いて基本的に従業員が拒否することはできません。

部署異動にはメリットが多いものの、デメリットも少なからずあるため、大きなストレスを抱えてしまう方もいます。その際は、一人で抱えることなく上司や人事に相談し、場合によっては転職を視野に入れて行動するのもおすすめです。

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