レイオフの意味や目的をわかりやすく解説!日本で行われる可能性は?

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レイオフとは企業側の都合で実施される一時的解雇です。「海外の企業で大規模なレイオフが行われた」というニュースを目にしたことがある方も多いでしょう。この記事では、レイオフの意味と目的を詳しく紹介するとともに、具体的なレイオフの事例や日本で行われる可能性についても解説します。

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1 レイオフとは

レイオフは企業が業績悪化などを理由に、従業員を一時的または永続的に解雇する手段です。英語では「layoff」と表記します。企業は従業員を削減することで、経営の効率向上や経済的困難の克服を図ります。

レイオフの特徴は、業績回復後の再雇用が前提となっている点です。特に、アメリカやカナダなどの北米では雇用の自由があり、レイオフが比較的容易に行われる傾向があります。

なお、「先任権制度」によって、勤務年数の短い従業員からレイオフの対象者になり、再雇用時には勤続年数の長い従業員が優先されるケースもあります。

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2 リストラや一時帰休との違い

解雇に関連する言葉として、リストラや一時帰休があります。ここでは、それぞれの言葉について、レイオフとの違いを挙げながら説明します。

2.1 リストラとの違い

リストラは「restructuring(リストラクチャリング)」の略語で、再構築を意味する言葉ですが、日本では「人員整理を目的とした解雇」という意味で使用されています。レイオフとの大きな違いとして、リストラは再雇用を前提としていない点が挙げられます。

2.2 一時帰休との違い

一時帰休とは企業が業績悪化などを理由に、従業員を一時休業させることです。一時帰休はあくまでも一時的な休業であり、レイオフやリストラのような解雇とは異なります。従業員との雇用契約は継続しているため、一定割合以上の給与が支払われます。

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3 レイオフの目的

レイオフはどのような目的で実施されるのでしょうか。ここでは、企業がレイオフを実施する主な目的を3つ紹介します。

3.1 人件費を削減するため

企業の業績悪化を改善するために、経費削減はたいへん重要な施策となります。特に、経費の中でかなりの割合を占める人件費を削減することは、企業の経営にとって大きな効果をもたらします。

削減できた人件費を、企業の経営を改善するための取り組みに回し、いち早く業績を立て直すのがレイオフの目的です。

3.2 人材を確保しておくため

業績が回復した際の再雇用を前提としているのが、レイオフの大きな特徴です。そのため、企業は優秀な人材を確保したまま、経営面の立て直しを行えます。経営が立て直せれば、迅速に再雇用を実施して、企業を元の状態に戻すことができます。

ただし、レイオフを命じた従業員が転職活動をしたり、ほかの企業に就職したりするのを制限する権利はありません。そのため、完全な人材確保は難しく、再雇用ができない可能性もあります。

3.3 知識やノウハウの流出を防ぐため

再雇用を前提とすることで、知識やノウハウが他社へ流出するのを防ぐという目的もあります。ただし前述した通り、レイオフされた従業員の転職活動は自由です。従業員が他社に転職してしまう可能性も十分考えられることから、完全な流出防止は難しいでしょう。

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4 レイオフが従業員に与えるメリット

再雇用が前提とはいえ、解雇であるレイオフは従業員に大きなストレスがかかります。しかし、考え方次第では一定のメリットも存在します。ここでは、従業員にとってのメリットを紹介します。

4.1 手当や特別退職金をもらえる可能性がある

レイオフは企業の都合による一時解雇であるため、手当や特別退職金がもらえる可能性があります。

レイオフ後は給料が支給されなくなるため収入面の不安はあるものの、特別手当が支給されることで、再雇用までに新たなスキルを身につけたり、今後のキャリアについてゆっくり考え直したりすることもできます。

4.2 転職活動ができる

再雇用という一定の希望を残しながら、自由に転職活動が行えます。レイオフを言い渡された後は、企業との契約は一旦破棄となっているため、キャリアアップに向けて新たな道を探し始める人も多くいます。

企業に不満があったり、将来的なステップアップを考えていたりする場合は、レイオフが転職へのいいきっかけになることもあるでしょう。

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5 外資系企業におけるレイオフの事例

ここからは、実際に外資企業で行われたレイオフの事例を見ていきましょう。多くの外資系企業が、さまざまな理由でレイオフを実施しています。

5.1 大手ソフトウェア開発企業

アメリカが本拠地の大手ソフトウェア開発企業では、これまで5,000~1万人規模のレイオフを何度か実施しています。サービス需要の落ち込みや、組織の再編が主な理由です。

レイオフ後は、一部業務をクラウドサービスに移行したり、本業以外の事業から撤退したりと、業務改善に向けて積極的な取り組みを行っています。

5.2 ソーシャルネットワーキングサービス企業

日本でも利用者の多いソーシャルネットワーキングサービス企業でも、近年大規模なレイオフが実施されて話題となりました。トップが代わり、収益の見直しと改善を徹底的に進めた結果、多くの従業員にレイオフが言い渡されました。

5.3 大手テック企業

今や世界のインフラとしても重要な役割を果たしている大手テック企業でも、近年1万人以上の大規模なレイオフが実施されました。CEOはレイオフの理由として、経済状況の変化を挙げています。

これに伴い、そのほかのテック企業でもレイオフを実施したり、新規採用を見送ったりする動きが出ています。

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6 日本でもレイオフは可能?

北米を中心とした海外企業で実施されることの多いレイオフですが、日本でも行われることはあるのでしょうか。ここでは、日本でレイオフが実施される可能性について解説します。

6.1 「解雇規制」により現状は困難

日本には、正規労働者の権利を守るための厳しい解雇規制があります。労働契約法の第十六条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。

このように、法律上は一度正規雇用した労働者を会社都合で簡単に解雇することができないため、現状日本でレイオフを実施するのは困難であると言えます。

【出典】厚生労働省「労働契約法」

6.2 日本で行われている解雇は3種類

現在日本で行われている解雇は、大きく分けて3種類あります。

普通解雇 就業規則の違反や業務に支障をきたす能力不足が認められた場合
懲戒解雇 会社や社会の秩序を乱す重大な違反が認められた場合
整理解雇 業績悪化による人員削減など会社都合の場合

レイオフは上記3つのうち「整理解雇」に該当します。しかし、整理解雇を実施するためにはさらに、以下4つの条件を満たす必要があります。

  1. 本当に人員整理は必要か
  2. 解雇を回避するための努力は為されたか
  3. 解雇者を選定する上で合理性はあるか
  4. 解雇手続に妥当性はあるか

整理解雇の場合はこれらの条件と照らし合わせて、本当に解雇が妥当なのかどうかを厳しく判断されることになります。

【出典】厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」


6.3 将来的にはレイオフが行われる可能性も

前述のように、厳しい解雇規制が制定されている現在の日本において、欧米のようなレイオフを実施するのは難しいでしょう。

しかし、近年は雇用形態の多様化が進み、日本では当たり前だった終身雇用制度を見直す企業も多くなっています。また、経済の活性化には人材の流動化が必要であり、そのためには現状の厳しい解雇規制を緩和すべきという声もあります。

もしも、将来的に解雇規制が見直されるようであれば、日本でもレイオフが実施される可能性は十分にあると考えられます。

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7 日本の外資系企業でレイオフされた場合の対処法

外資系企業であっても、日本で働く労働者には日本の労働法が適用されます。つまり、簡単にレイオフは行えません。しかし、厳しい解雇規制を回避するため、退職を促す「退職勧奨」が行われることがあります。

もしも、レイオフや退職勧奨が行われた場合、どのように対処したらいいのでしょうか。ここでは3つのパターンについて解説します。

7.1 納得できなければ、拒否して撤回を求める

日本においては、退職を促す「退職勧奨」が行われる可能性があります。退職勧奨とは会社の都合で、労働者に退職を促す行為です。

しかし、退職勧奨は労働者の同意がなければ無効となります。もしも、退職勧奨に納得できないのであれば、毅然とした態度で拒否して撤回を求めましょう

【関連記事】「退職勧奨とは?違法になるケースや受けた場合の対処法を解説」

7.2 退職に抵抗がなければ、条件を交渉する

退職勧奨やレイオフをされた場合、退職に抵抗がないのであれば同意して、キャリアアップを目指すのも一つの方法です。

その際は、必ず条件交渉を行いましょう。会社都合の退職勧奨やレイオフの場合は、退職金に上乗せして特別手当などが支払われる可能性があります。退職後の生活も考慮して、「条件に納得するまでは同意しない」という姿勢で臨むことが大切です。

7.3 転職のプロに相談する

ある日、突然会社から退職勧奨やレイオフを言い渡されたら、ショックで気が動転してしまうという方も多いでしょう。次の職を見つけたくても、仕事をしながら転職活動を行うのはなかなか難しいものです。

そんなときは、転職のプロに相談するのがおすすめです。自分一人では見つけられないような条件のいい企業や、自分のスキルや希望にマッチする企業を提案してもらえる可能性があります。転職のプロに相談することで、さらなるキャリアアップが叶うかもしれません。

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8 まとめ

再雇用を前提とした一時解雇であるレイオフは、欧米では頻繁に実施されており、企業と労働者の双方にとってさまざまなメリットがある制度です。企業は労働者を確保しながら、経営の立て直しが図れます。また、労働者は再雇用の希望を持ちながら、自由に転職活動を行うことが可能です。

厳しい解雇規制のある日本では現状ほとんど実施されていませんが、もしも規制が緩和されれば、日本でも行われる可能性があります。時代の流れと共に、雇用条件も徐々に変化していきます。そのため、今のうちにレイオフについて正しい知識を身につけておきましょう。

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