リストラとは?代表的なやり方やリストラされた場合の対処法を解説

ビジネススキル・マナー

本来、リストラには「企業の再編や再構築」という意味がありますが、日本においては「解雇」や「人員整理」を表す言葉として使用されています。この記事では、リストラのやり方や類似語との違い、実際リストラされた場合の対処法などを詳しく解説します。

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1 リストラとは

日本では一般的に「解雇」の意味で使用している方も多いでしょう。しかし、実際リストラには異なる意味があります。ここでは、リストラとはなんの略なのか、本来の意味は何なのかといった点を中心に解説します。

1.1 リストラの本来の意味

リストラは英語で「再構築」を意味する「Restructuring(リストラクチャリング)」の略語です。このことから、本来リストラには「企業の再構築」という意味があり、成長部門へのテコ入れや業務の効率化、労働環境の整備もリストラに含まれます。

しかし、日本では「人件費削減のための人員カット」、つまり「人員整理」や「解雇」という意味合いで使用されることが多くなっています。

1.2 日本における解雇は3種類

現在日本では、大きく分けて3種類の解雇が行われています。それぞれの特徴は以下の通りです。

普通解雇 就業規則の違反や、業務に支障をきたす能力不足が認められた場合に行われる
懲戒解雇 会社や社会の秩序を乱す重大な違反が認められた場合に行われる
整理解雇 業績悪化や経営難などの理由により会社都合で行われる


1.3 リストラは「整理解雇」にあたる

日本でいうリストラは、上記3つの解雇のうち「整理解雇」にあたります。整理解雇は企業が経済的・業績的な理由で、人員の削減や組織の再編成が不可避であると判断した場合に実施される手段の一つです。

ただし、整理解雇の実施にあたっては厳格な基準が設けられており、企業の都合で簡単に行うことはできません。

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2 リストラに必要な4つの要件

整理解雇にあたるリストラを実施するためには、厳しい条件をクリアしなければなりません。ここではリストラに必要な4つの要件を解説します。

2.1 人員整理の必要性

本当に人員整理を行う必要があるのかが判断されます。判断に明確な基準はないものの、「経営状態が著しく悪化している」「人件費削減以外に経営改善の方法がない」といった場合は、必要性が認められる可能性が高くなります。

2.2 解雇回避のための努力義務

解雇を回避するためにあらゆる努力をしたかが判断されます。経営状態が悪化したからといって、即整理解雇を実施することはできません。

まずは「残業を規制する」「役員報酬をカットする」「新規採用を中止する」「希望退職者を募る」といった施策を行い、経費削減のために最大限努力する必要があります。

2.3 人選の合理性

整理解雇の対象者を選ぶ際に合理性はあったのかが判断されます。人選の際は、上司や人事担当者の主観が入らないように、「勤続年数」「会社への貢献度」「業務実績」など、客観的な基準を設けておくことが大切です。

2.4 手続の妥当性

解雇に至るまでの手続きに、妥当性はあったのかが判断されます。雇用契約書などで解雇についての記載がある場合は、その内容に則って適切な手続きが行われなければなりません。

もしも、記載がなかった場合でも、「解雇や人選の理由」「退職金や退職日の条件」などを、解雇対象者や組合にしっかり説明することが必要です。これらを怠った場合は、解雇自体が無効になる可能性もあります。

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3 退職勧奨・レイオフ・クビとの違い

リストラと同様に、人員整理の場面で使用される言葉には「退職勧奨」「レイオフ」「クビ」などがあります。ここでは、それぞれの意味とリストラとの違いを解説します。

3.1 リストラと退職勧奨との違い

退職勧奨とは、企業が従業員に対して自発的な退職を促す行為です。従業員の同意を得て自ら退職を申し出てもらうことで、円満な人員削減が実現できます。ただし、従業員が同意しなければ無理矢理辞めさせることはできません。

一方、リストラは必要な要件を満たしていれば正当な解雇と認められるので、従業員は従わなければなりません。

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3.2 リストラとレイオフとの違い

レイオフとは、従業員を一時的または永続的に解雇する手段であり、主に北米の企業などで行われています。レイオフの特徴は、業績回復後の再雇用を前提としている点です。レイオフされた従業員は、再雇用の希望をもちながら、自由に転職活動を行うことが可能です。

リストラが企業を再構築するための施策であるのに対して、レイオフは一時的な経営改善のための施策であると言えます。

現在、日本には正規労働者の権利を守る厳しい解雇規制があるため、レイオフを行うのは困難とされています。ただし、今後規制緩和が進めば、日本国内で実施される可能性もあります。

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3.3 リストラとクビとの違い

「クビ」は一般的に解雇全体を指す言葉です。会社から解雇されたときに「会社をクビになった」という形で日常的に使用します。整理解雇であるリストラだけでなく、普通解雇や懲戒解雇になった際も使用される場合があります。

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4 企業がリストラを検討する理由

企業はさまざまな理由からリストラを検討します。ここでは、主に3つの理由について説明します。

4.1 業績の悪化

典型的な理由として挙げられるのが業績の悪化です。業績悪化により経営が困難になった場合や、急激な収益の減少に直面した場合は、経費の多くを占める人件費を軽減するために、リストラを検討する場合があります。

4.2 企業の吸収合併

企業の吸収合併も、リストラが検討される理由の一つです。吸収合併が行われると、部署や仕事内容に重複が発生して、人員が余ってしまうことがあります。また、新しい部署が誕生したことで、従業員の能力が仕事に合わなくなってしまうことも考えられます。

4.3 業務改善に向けた黒字リストラ

経営が順調な中、さらなる業績アップを狙って実施されるリストラを「黒字リストラ」と呼びます。黒字リストラでは、スキルのある従業員を新規採用する代わりに能力の低い従業員を削減したり、若返りを図るために中高年を削減したりといった例が挙げられます。

また、現在は黒字ではあるものの、今後経営が悪化することを予測して、早めの黒字リストラで対処するといったケースもあります。

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5 代表的なリストラのやり方

実際に、リストラはどのような方法で実施されるのでしょうか。具体的なやり方は企業によって異なりますが、ここでは主な2つの方法について紹介します。

5.1 大企業では希望退職者の募集が一般的

大企業などで行われる比較的規模の大きなリストラでは、希望退職者の募集により進められることが多い傾向です。企業によっては、リストラとは言わずに「希望退職制度」「早期退職制度」と呼ぶこともあります。希望退職者を募れば、従業員からの苦情や社会的非難が起こりにくく、リスクを押さえて円満な人員削減が実行できます。

ただし、どれだけの人員をリストラできるか不明だったり、企業にとって必要で優秀な人材が退職してしまったりするリスクがあります。また、応募人数が多い場合、退職金の上乗せ額が膨大になる可能性がある点も企業にとってのデメリットです。

5.2 中小企業は退職勧奨から進める場合も

中小企業などで行われる少人数のリストラでは、企業が対象者に直接退職を促す「退職勧奨」から進めていく場合もあります。退職勧奨も結果的には従業員の同意を得て退職してもらうことになるため、企業はトラブルを回避しながらリストラを進められます。

ただし、退職勧奨はあくまでも従業員に退職を促す行為であり、本人が同意しなければ辞めさせることはできません。退職を強く迫ったり、圧力をかけたりすると、違法とみなされることもあります。

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6 リストラされた場合の対処法

もしも、自分がリストラされたらどのように対処すればいいのでしょうか。ここでは、直接リストラの告知を受けた際、拒否する場合と受け入れる場合に分けて、それぞれの対処法を詳しく解説します。

6.1 リストラを拒否する場合

リストラを拒否したい場合は、まず要件が満たされているのかを確認する必要があります。もしも、満たされていなければ、しっかり拒否する姿勢を示しましょう。

6.1.1 リストラの要件が満たされているか確認する

リストラを拒否するには、まず先述した「リストラに必要な4つの要件」が満たされているかどうかの確認が必要です。

そのために、企業からリストラの告知を受けたら、解雇の理由が記載されている解雇理由証明書を請求しましょう。解雇理由証明書は、従業員から求められれば企業は必ず発行しなければならないものです。

6.1.2 要件が満たされていなければ撤回を求める

解雇理由とリストラに必要な要件を照らし合わせて、満たされていないと判断できた場合は不当解雇の可能性があるため、しっかりと拒否する姿勢を示しましょう。この際、企業からの提案に応じてうっかり退職届を提出してしまうと、退職の意思があると判断されてしまう可能性があるので注意が必要です。

企業がリストラの撤回に応じない場合は、労働組合や労働基準監督署に相談することをおすすめします。

6.2 リストラを受け入れる場合

リストラを受け入れて退職する意思を固めたら、まずは退職の条件を確認しましょう。また、なるべく早く転職活動を始めることも大切です。

6.2.1 退職金など退職条件について確認する

会社都合の解雇であるリストラでは、退職金が増額される場合があります。また、場合によっては、残った有給休暇の買い上げを要求することも可能です。

もしも、会社から提示された退職金や条件に納得できないのであれば、すぐに同意せず、より有利な条件で退職できるよう粘り強く交渉しましょう。

6.2.2 転職先を探す

退職金の増額や失業手当の給付があっても、基本的に退職後は無収入の状態になってしまいます。そのため、リストラを受け入れると決めたら、できるだけ早く転職活動をスタートさせることが大切です。

業績悪化や経営難など会社都合のリストラは、転職の際に悪い印象を持たれにくい傾向があります。これまでの経験を生かすことで、さらなるキャリアアップが目指せる可能性があります。

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7 まとめ

リストラには本来「再構築」という意味がありますが、日本では「会社都合の人員削減」を指す言葉として使用されています。リストラは業績悪化、企業の吸収合併などを理由に行われます。また、業績アップに向けた経営戦略の一つとして実施されることもあります。

整理解雇にあたるリストラを実施する際は、4つの要件を満たさなければなりません。リストラされた場合は、これらの要件や退職条件をしっかり確認したうえで、拒否するのか受け入れるのかを慎重に検討しましょう。

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