「左遷」という言葉には、「忙しい部署から暇な部署への降格」「本社から支店への島流し」など、悪いイメージを持つ方が多いかもしれません。実際、左遷にはどういった意味があるのでしょうか。本記事では左遷の意味や左遷されやすい人の特徴に加えて、左遷されたときの対処法を詳しく解説していきます。
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1 左遷とは?
企業が行う人材の配置転換の一つに「左遷」があります。読み方は「させん」です。一度は耳にしたことがあるという方も多いかと思いますが、実際どのような意味があるのでしょうか。ここでは、左遷がどういうものなのかを詳しく解説します。
1.1 望まない異動や降格を意味する言葉
左遷とは職務や役職などの面で、今よりも低い位置へ配置転換になることを指します。簡単に言うと「降格」と似た意味を持つ言葉です。中国では古くから右を吉方向、左を不吉な方向と考える傾向があったことが左遷の由来とされています。
企業からの正式な辞令で「左遷」が使用されることはありませんが、望まない異動を命ぜられた場合や、明らかに降格ととれる異動が行われた場合は、一般的に「左遷された」「左遷になった」と表現します。
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1.2 栄転・出向・配置転換との違い
左遷と共によく使用される人事関係の言葉には、「栄転」「出向」「配置転換」があります。ここでは、それぞれの言葉の意味に加えて、左遷との違いについて解説します。
1.2.1 栄転
今の職務や役職より上の位置に異動になることで、左遷の対義語として使用されます。主にポジティブな意味で使われ、昇進と似た意味があります。
ただし、栄転は勤務地が変わる「転勤」が伴うことが条件です。転勤なしで役職や職位が上がっても、栄転とは言わないのが一般的です。
1.2.2 出向
出向とは、所属する企業に命じられて別の企業や事業所の仕事を担うことです。一般的には、出向することで現在の地位や職位が下がる場合は「左遷」、上がる場合は「栄転」と言われることがあります。
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1.2.3 配置転換
従業員の職務や勤務地などを変更することです。個々の能力や部署のバランス、業務の効率化などを考慮して行われます。配置転換という大きな枠組みの中に、左遷や栄転があるといったイメージです。
1.3 「これは左遷?」と感じる異動の特徴
通常、企業から従業員に対して「左遷」という言葉が使われることはありません。そのため、実際に異動になった場合、「この異動は左遷なのでは?」と不安になることもあるでしょう。左遷に明確な定義はないものの、左遷と感じやすい異動の特徴をいくつか紹介します。
- 企業の業績に関わらない仕事を担う職務への異動
- 本社から地方への異動
- 現在の職務に戻れる見込みのない異動
- 技術職から営業職、営業職から事務職など畑違いの異動
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1.4 「左遷」は捉え方次第で「栄転」にもなる
上述したように、左遷と思われる異動にはいくつかの種類があります。しかし、左遷だと思っていた異動が、実は栄転だったというケースもあります。
例えば、業績を立て直すために、能力のある優秀な人を地方営業所に転勤させるといった事例です。また、将来的に重要なポジションを任せる前提で、敢えて子会社へ異動させて経験を積ませるといった場合もあります。
さらに、閑散部署でもストレスなく自分の能力に合った仕事ができるのであれば、左遷とは言えないでしょう。このように、一般的に左遷と言われる異動でも、捉え方次第では栄転になる可能性があるのです。
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2 左遷の対象になりやすい人とは
ここでは、明らかな降格を意味する左遷の対象になりやすい人の特徴を2つ紹介します。一概には言えないものの、企業にとって不利益を生じさせる可能性がある人は、対象になりやすい傾向です。
2.1 大きなミスをした人
企業の業績に関わるような大きなミスをした人は、左遷の対象になる場合があります。とはいえ、ミスは誰にでも起こり得ることなので、一度のミスがすぐさま左遷に繋がるわけではありません。
しかし、「ミスの度合いが大きすぎる」「何度も同じミスを繰り返す」「改善の傾向が見られない」という場合は、そもそもその業務への適性がないと判断されて、降格を伴う左遷をされる可能性があります。
2.2 人間関係のトラブルが多い人
職場の雰囲気を乱すようなトラブルが多い人も、左遷の対象になりやすい傾向です。いくら能力がある人でも、周囲の人とコミュニケーションが取れない場合は、企業にとって好ましくない存在と認識されてしまいます。
また、部下への対応がパワハラ気味であったり、周囲からセクハラの可能性を指摘されたりした場合は、左遷はもちろん懲戒処分を受けることも考えられます。
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3 違法の可能性がある左遷とは
雇用契約書などで勤務地や職務が限定されていない限り、従業員は企業からの異動命令に従わなければなりません。しかし、場合によっては違法により拒否できる左遷もあります。ここでは、違法の可能性がある左遷を4つ紹介します。
3.1 上司の気分やパワハラによる左遷
パワハラ気質の上司が、自分の気に入らない部下を左遷の対象にするなど、正当な理由のないまま左遷が行われた場合は、違法となる可能性があります。
3.2 退職に応じさせるための左遷
業績の悪化で人員整理を行いたい場合、企業は従業員に退職勧奨を行う場合があります。退職勧奨とは、企業が従業員に自らの意思で退職してもらうよう促すことです。
しかし、従業員は退職勧奨を拒否することができます。このとき、拒否した従業員に対して、正当な理由なく左遷を行った場合は、退職に応じさせるための人事異動の可能性があります。
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3.3 賃金の減額を伴う左遷
就業規則や雇用契約書で賃金について規定されているにもかかわらず、左遷によって規定外の減額があった場合は、違法性が認められるでしょう。もしも、賃金の細かい規定がなかったとしても、度を超えた大幅な減額を伴う左遷は、違法とみなされる場合があります。
3.4 従業員に大きな不利益が生じる左遷
例えば、従業員が一人で育児や介護を担っている場合、勤務地の変更を伴う左遷がおこなわれれば、これまで通りの生活を送ることが困難になってしまいます。
このように、左遷によって従業員やその家族に大きな不利益が生じる場合は、左遷自体が違法と判断される可能性があります。
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4 左遷された際の対処法
もしも、実際に左遷された場合はどうすればいいのでしょうか。左遷を受け入れるのか、拒否するのかで対処法も変わってきます。
4.1 人事部や上司に左遷の理由を確認する
まず、左遷に納得がいかない場合は、人事部や上司に理由を確認しましょう。企業には、従業員に対して左遷の理由を説明する義務はありません。
しかし、本当に必要性のある左遷であれば明確な理由があるはずです。今後の対応を検討するためにも、左遷の理由を聞いておくことをおすすめします。
4.2 違法の可能性がある場合は弁護士に相談する
もしも、「左遷の理由を一切説明してくれない」「賃金の減額があり違法の可能性がある」といった場合は、弁護士に相談することで解決できるかもしれません。
ただし、「通勤の時間が長くなる」「子どもの転校手続きが大変」「新しい仕事を覚えられる自信がない」など、個人的な理由で左遷を拒否することは難しいでしょう。
4.3 左遷を前向きに捉えて結果を出す
上述したように、左遷は捉え方によって栄転にもなります。人数の少ない支店では、自分のアイデアがすぐに採用されたり、これまでになかった人脈を築けたりする可能性があります。
左遷された場所で結果を出せば、将来的にもっと大きな仕事を任せてもらえるようになるかもしれません。左遷を前向きに捉えて、与えられた仕事を精一杯こなすことは、企業にとっても自分にとってもプラスになるでしょう。
4.4 転職でキャリアアップを目指す
どうしても左遷に納得がいかないという場合は、思い切って転職するのも一つの方法です。転職することで、慣れない土地へ転勤したり得意な仕事を変更したりすることなく、これまでのキャリアを継続することができます。
勤務地や職種だけでなく、給与や各種手当など自分の希望に合う企業に出会えるかもしれません。拒否できない左遷や人事異動に悩む方は、一度求人情報などで条件をチェックしてみましょう。
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5 まとめ
左遷とは一般的に、ミスを犯した人やトラブルが多い人などが対象となりやすい、ネガティブなイメージの配置転換です。しかし、見方を変えれば、自分のポテンシャルを思う存分発揮できる栄転と捉えることもできます。
もしも、左遷に納得できない場合は、違法性がないかをしっかり確認することが大切です。拒否できない状況であれば、思い切って転職を考えるのも一つの選択肢です。左遷を正しく理解して、これからのキャリア形成に生かしていきましょう。
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