事務職に興味があるものの、「事務職ってどんな仕事をするの?」「自分は事務職に向いているのかな...。」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
一口に「事務職」といっても、営業事務や経理事務、医療事務など複数の種類が存在します。
本記事では8つの職種別に事務職の仕事内容について解説します。併せて、どのようなスキルが求められるのか、どのような人に向いている仕事なのかもまとめました。具体的な仕事内容も明確になるので事務職で働くイメージが湧いてくるでしょう。
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【関連記事】「【マイペースの人に向いてる仕事10選】共通の特徴やおすすめする理由を解説」
1.事務職とは? 種類や仕事内容について
事務職とは、データ入力や書類作成、処理、整理、電話・来客対応などのバックオフィス業務全般を担う職種です。
企業が事業経営をする上で発生する事務作業を担当するため、社内のサポート役というイメージを持つ人もいるでしょう。
「事務職=一般事務」と解釈する人が多くいますが、実は営業事務や経理事務、総務事務など複数の種類が存在し、種類によって仕事内容や働く場所が大きく異なります。
まずは、事務職の種類と仕事内容について解説していきます。なお、仕事内容は厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト」の各事務職のタスク実施率調査を基にまとめています。
職業情報提供サイト(日本版O-NET)のインプットデータ開発に関する研究
1.1.一般事務
一般事務とは、書類作成や管理、データ入力、電話・メール・来客対応などを担うポジションのことです。
PCを用いた業務を行うため「OA(Office Automation)事務」と呼ばれることもあります。
一般事務の仕事内容は、基本的な事務処理が中心です。
●書類やデータの内容をチェック
●ビジネス文書を作成
●データ入力、図の作成など、PCで資料を作成
●コピー機、FAXなどのオフィス機器を操作
●書類やデータを整理し、保管
●電話応対、社内・社外に対して電話・文書・メールでの連絡
●郵便物の発送や受け取り
●事務用品など消耗品の発注および在庫の管理
●案内やお茶出しなどの来客応対
●スケジュール管理や出張の手配
●給与計算、現金出納・小口現金の管理
●会社行事を企画および運営
●福利厚生に関する事務処理
一般事務では、文書作成ソフト(Word)や表計算ソフト(Excel、スプレッドシート)などを使用する事が多いです。
1.2.営業事務
営業事務とは、営業担当者のサポート役を担う職種のことです。
営業担当者から指示を受けて、資料や見積もり書などを作成します。
クライアント対応や管理業務、クレーム処理を行う場合もあります。
●メールチェック・問い合わせ確認事項への返信
●顧客の問い合わせに対応
●来客対応
●販売先に見積書を作成し担当営業へ提出
●仕入先に発注書を作成し連絡
●注文に対し在庫状況を確認、欠品については納期調整
●日報作成
●営業担当の要請を受け出荷の手配
●企業間で交わされた契約書のチェックを法務室へ依頼
自分が作成した書類や資料が取引先に評価されたり、顧客対応によって契約件数が増えたりと結果につながりやすいのでやりがいを感じやすい職種です。
就職・転職先は、営業部門が配置されている一般企業がメインとなります。
営業事務について詳しくは下記記事をご覧ください。
【関連記事】「営業事務の仕事内容とは?役割や魅力、活かせるスキル」
1.3.人事・労務事務
人事・労務事務とは、従業員の人事管理業務を担う職種のことです。
具体的には、採用や人員配置、異動、昇進、退職に関する手続きを行います。
●採用、配置、異動、昇進、退職などの人事に関する事務手続き
●採用試験や面接
●求人への応募者の資格や適性を評価し、選考
●従業員の在籍記録を維持管理
●社内からの欠員の連絡を受け、求人広告を打つ
●従業員に行う教育訓練や能力開発に関する事務手続き
●従業員の勤怠管理と給与や賞与を算出
●従業員の労働条件や賃金体系の企画立案
●新入社員に会社の方針の説明や会社生活などをガイダンス
●社会保険、退職金、保養所、社員寮などの福利厚生に関する事務処理
●労働組合に対する窓口として、労働条件の交渉
●従業員の査定
人事事務は、採用や育成、人事評価などで求職者や従業員と直接関わりますが、労務事務の場合は給与や経費、交通費の計算、社会保険や入退社手続きといった事務処理が中心です。
企業によっては人事・労務をどちらも担当するケースもありますが、区別されている場合は自分に適した方を選択しましょう。
1.4.経理事務
経理事務とは、経理や会計管理のソフトウェアを使い、会社の資金管理を行う職種のことです。
具体的には、現金の受け取り・支払いや、帳簿の作成、経費の精算などを行います。
経理事務の仕事は、「日次業務」「月次業務」「年次業務」の3つに分類され、3~6月(決算処理)、12~1月(年末調整)が繁忙期となります。
●金額記録、計算、帳簿記入・報告書作成
●帳簿への記録に間違いや、実際との矛盾がないかチェック
●毎日の金銭的な活動に対して伝票を起こし、帳簿に記録
●月単位で各勘定科目について集計(月次決算)
●決算期ごとに各勘定科目を集計し、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成して、決算
●会計検査、税務調査などへの立会い
●現金や小切手の処理と管理
●請求書を発行し、入金を確認して顧客を管理
●予算の編成や経営計画のための資料作成
●社員の給与計算
●棚卸を行って在庫商品の残高を把握し、棚卸表を作成
●製造原価の管理
経理事務は、会計・財務に関する専門知識が必要になります。
「日本商工会議所簿記検定試験」や「給与計算実務能力検定試験(R)」などの資格を取得することでキャリアアップも目指せる職種だと言えるでしょう。
経理事務について詳しくは下記記事をご覧ください。
【関連記事】「経理(経理事務)と財務の違いとは?仕事内容と必要スキルを徹底比較」
1.5.総務事務
総務事務は、企業経営に必要なものを準備・管理する業務を担います。
従業員が働きやすい環境を整えるために、幅広くサポートする仕事です。
●社員の問い合わせ対応
●文書の管理
●各種手続き書類のチェック
●郵便物をチェックし、支店・営業所など拠点への発送物準備
●備品等の管理
●社内規定の策定と改定
●勤務表をチェック
●福利厚生関連の事務手続き、手配・対応
●緊急連絡網の作成・施行・管理
●慶弔関係の手配(社内外の祝金・見舞金、弔電・祝電など)
上記に加え、社内会議や役員会、株主総会における招集~運営、議事録の作成まで幅広く担当する場合もあります。
経理事務が管理するのは「カネ」、人事・労務事務は「ヒト」であったのに対し、総務事務は「モノ」の管理を行います。
1.6. 法務事務
法務事務とは、登記や商取引に関する事務作業を行う仕事のことです。
関連法改正時の業務見直しや、法的なトラブルが発生した際の対応をします。
法務事務は、法律や特許などの専門的知識が必要なため、未経験求人はほとんどありません。
●契約書の確認
●顧問弁護士とのやり取り
●公式文書の管理・更新
●関連法改正時の業務見直し
●法的トラブル発生時の対処
特許やライセンスの取得業務を担う「特許事務」がいない場合は、法務事務が兼任することもあります。
1.7.金融事務
金融事務とは、金融関連の事務作業を行う職種です。
金融事務は、銀行や信用金庫、信用組合、証券会社などの金融機関で働きます。「銀行等窓口事務」と呼ばれることもあります。
お金や金融商品に関する知識を求められることが多いので、勉強を怠らない向上心も必要です。
●窓口での応対・接客
●新規口座開設や住所変更などの諸届の受付業務
●現金・小切手などを数えて金額と伝票に記録
●現金の預け入れ、払い出し、送金
●各種ローン、定期預金、貯蓄債券などの商品やサービスを顧客に説明・販売
●営業時間終了時に紙幣、硬貨、小切手の帳尻を合わせ、一日の取引高を計算
●顧客の取引をコンピュータに入力して記録
●ATM機の運用管理
●外国為替について顧客に情報を提供・両替の金額と手数料を計算
顧客の資金形成や相続などの相談に乗って、顧客に適した金融商品を提案することもあります。
そのため、金融関係の専門知識に加え、コミュニケーション能力・提案力も必要です。
金融事務について詳しくは下記記事をご覧ください。
1.8.医療事務
医療事務とは、病院やクリニックなどの医療機関にて事務作業を行う職種です。
具体的には、診療報酬の請求や、必要書類の作成、窓口での受付、医療費の請求、入院の手続きといった医療現場・スタッフのサポートを行います。
●医療費の窓口会計・受付
●カルテ・診察券の作成
●コピー機・ファックス・PCなどのオフィス機器を操作
●電話対応
●診療費用の請求を行う(レセプト作成業務)
●カルテや検査機器・データ準備(クラーク業務)
医療事務は、とくに資格が必要とされないことが多い職種です。
しかし、医療知識や会計知識が求められるので入社後にスキルを身に付けなければなりません。
労働時間や条件は勤務先によって異なりますが、基本的には病院の開院時間中に勤務するケースが多いです。
1.9.貿易事務
貿易事務とは、輸出・輸入といった海外との取引を行う際に、営業部門と連携しながら契約に必要な書類を作成したり、貨物輸送の手配を行ったりする職種です。
貿易関連の商社、海外から原材料や商品を輸出入するメーカー、海運会社などの企業、あるいは商社等から通関手続きを委託されている通関業者で働く人もいます。
企業によっては、法務、経理、運輸・通関などの部門の中で貿易事務を行っている場合もあります。
●輸出入に必要な情報の収集・整理
●輸出入の許認可や検査などについて相手国と国内の法律を調査
●インボイス、船荷証券、梱包明細等、各種書類の作成
●到着予定や船便の運行状況を把握
●関係者からの問い合わせ対応
●輸入後の国内配送の手続き
●輸出入品の在庫管理
貿易事務では輸出入に関わる法的な知識が必要になるほか、海外とのやりとりを行うために英語を始めとした言語スキルを求められることもあります。他の事務職と比べても専門性が高い職種といえます。
【関連記事】「【人のためになる仕事がしたい】やりがいを実感しやすい仕事と転職方法」
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2.事務職に求められるスキル
事務職として働くには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
必須スキルを理解しておくことで、面接時に説得力のあるアピールを行えるでしょう。
2.1.PCスキル
事務職は、データ入力・書類作成などPCを扱う時間が長いため、ある程度のPCスキルを身に付けておきましょう。
とくに、使用する頻度が高い「Excel」「Word」「PowerPoint」といったソフトは、使えた方が採用されやすくなります。
しかし、一から指導してもらえる企業もあるので、経験がなく不安な方は「未経験可」の求人を選択しましょう。
【関連記事】「基本的なパソコンスキルとは?身につける方法からおすすめ資格まで」
2.2.コミュニケーションスキル
事務職は、社内外の多くの人と関わりを持つので、コミュニケーションスキルが必要です。
また営業事務の場合、営業担当者と連携して業務を遂行し、顧客対応を行うこともあるので、提案力なども必要です。
事務職は、会社の顔として社外の人の対応をすることも多いので、身だしなみや言葉遣い、名刺の渡し方といったビジネスマナーを押さえておく必要もあります。
2.3.スケジュール管理能力
事務職は、「〇日までに〇〇を提出する」「〇日までに税務署に書類を送付する」といった期日が決まっている業務が中心となります。
さらに、従業員や顧客のスケジュール管理を行い、最適なタイミングでアナウンスする業務もあるのでスケジュール管理能力が必要です。
定められた日から逆算して、「〇日までに終わらせる」といった計画性を持って業務を遂行できる人に向いています。
2.4.情報収集力
事務職として働く場合、数多くの情報を収集し、活用する能力が必要です。
さらに、集めた情報を整理するために理解力・読解力の高さも求められます。
情報収集後に文章や資料にまとめる場合は、文章力や論理的思考力も必要だと言えるでしょう。
【関連記事】「【ジョブチェンジとは】意味やメリット、成功させる人の特徴や経験を活かすコツ」
【関連記事】「【例文あり】面接結果の合否連絡が遅い・来ない場合の対処法を解説」
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3.事務職に向いている人の特徴
事務職は、向き不向きがあるので、自分が向いているのか把握しておきましょう。
事務職は種類によって仕事内容が大きく異なります。
ここで紹介した特徴が必ずしも当てはまるというわけではありませんが、どの職種であっても共通して必要な要素をピックアップしていますので、参考にしてみてください。
3.1.何事も臨機応変に対応できる人
事務職は、毎日同じタスクをこなす定型業務が中心だと思われがちですが、電話や来客対応、クレーム対応なども発生します。
自分の通常業務の期限が迫っているときに、他者から依頼を受けるケースも少なくありません。
このような場合でも冷静かつ着実に対応できる人が向いていると言えるでしょう。
3.2.スケジュール管理が得意な人
事務職は、期日の定められた業務が多いのでスケジュール管理能力が高い人に向いています。
日々の通常業務に加え、日次・月次・年次と分かれた業務も遂行しなければなりません。
特定の期間に処理すべきタスクや具体的な順序、一つのタスクに必要な時間などを把握し、確実に実行できる人は適任だと言えるでしょう。
3.3.コツコツと仕事を進めることが得意な人
事務職は、責任を持って最後まで仕事を成し遂げられる人に向いています。
書類作成や整理、データ入力などは継続的に行う必要があるので、コツコツと仕事を進めて期日までに達成することが重要です。
「一つの業務に集中して取り組める」「黙々と仕事に打ち込める」という人には、事務職の仕事が合っています。
3.4.正確性とスピードを両立できる人
事務職の代表的な業務として書類の作成やファイリング、データ入力などが挙げられますが、これらの作業はミスなく行わなければ重大なトラブルに発展する可能性もあります。そのため、正確性は最も重要な要素の1つです。
ただし、締め切りがある業務が多く、作業のスピードも落とすことはできません。正確性とスピードを両立できるだけの集中力と処理能力が必要になると言えるでしょう
3.5.周囲への気遣いができる人
事務職は、従業員や顧客のサポートを行うことが多いため、周囲への気配りができる人に向いています。
具体的には、周囲の状況を的確に把握できたり、思いやりがあり、自ら進んで行動できたりする人は、気配り上手だと言えるでしょう。
反対に気分の浮き沈みが激しい人は、職場の雰囲気を悪くし、業務を依頼しにくくなるので会社全体の生産性を低下させる可能性もあります。
事務職は、相手が求めていることを考え、先回りして行動できる人におすすめです。
【関連記事】「【天職とは】適職との違いや天職の見つけ方について徹底解説」
4.事務職に必要な資格はある?
「事務職に就くには何か資格が必要なのでは?」と疑問に思っている人もいるかもしれませんが、基本的に資格は必要ないことが多いです。ただし、企業によっては保有資格を問われる場合もあります。
また、金融事務や法務事務、経理事務などの、財務や会計・金融に関する専門知識を求められる職種もあります。
例として、一般事務や営業事務などで活かせる資格について以下にまとめたので参考にしてみてください。
職種 | 活かせる資格 |
---|---|
一般事務 | ●MOS(マイクロソフトスペシャリスト) ●ビジネス文書検定 ●日商PC検定試験 ●秘書技能検定 |
営業事務 | ●MOS(マイクロソフトスペシャリスト) ●PowerPointプレゼンテーション技能認定 ●Excel表計算処理技能認定試験 ●秘書検定 ●日商PC検定 ●ビジネスキャリア検定 ●ビジネス実務法務検定 ●ビジネス電話検定 |
法務事務 | ●ビジネス実務法務検定試験 ●知的財産管理技能検定 ●個人情報保護士認定試験 ●会社法法務士認定試験 |
医療事務 | ●医科医療事務管理士(R)技能認定試験 ●医療事務技能審査試験(メディカル クラークR) ●診療報酬請求事務能力認定試験 |
企業や病院、金融機関などによって求められる資格が異なるので、入社後に取得するのも良いでしょう。
【関連記事】「【職務経歴書のPCスキルの書き方】書き方の例やアピール方法について紹介」
【関連記事】「パソコンスキルを証明する資格は?国家資格や初心者向け資格を一覧で紹介」
5.未経験から事務職に転職することは可能?
事務職は、未経験で資格を保有していない人でも比較的チャレンジしやすい仕事です。
未経験でも応募できる求人が多いので、これまでにデスクワークや事務作業を経験したことがない人にも挑戦しやすい職業です。
また、事務職は仕事を通してPCの操作やビジネスマナー、専門知識などさまざまな知識を身に付けることができます。
一般事務や営業事務、金融事務などほかのデスクワークへ転職し、キャリアアップ・年収アップも目指せるでしょう。
6.事務職への就職・転職を成功させるには
事務職への就職・転職を検討する際に悩む人が多いのが、志望動機についてです。事務職に就きたいと考えるようになった動機として「残業時間が少ない」「転勤がない」「売上ノルマがない」などが理由になっている人も多いかもしれませんが、それでは効果的に自分をアピールできる動機とは言い難いです。
企業の運営や人の仕事をサポートするといった事務職の特徴ややりがい、その会社や業界の魅力、自分自身のスキルや特性、事務職としての将来の展望などに焦点を当てて志望動機をまとめると良いでしょう。
また、企業選びなど就職・転職活動の進め方に不安を持っている人にはエージェントの活用がおすすめです。自分に合った企業を見つけやすく、採用選考におけるサポートも受けられます。
【関連記事】「「好きなことを仕事にする」メリットは? そのための方法やデメリットも解説」
【関連記事】「【例文あり】面接結果の合否連絡が遅い・来ない場合の対処法を解説」
はじめての転職には、
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7.まとめ
事務職は、同じ職場で働くスタッフのサポートや、環境を整えるポジションです。
書類作成やデータ入力、電話対応など地道にコツコツと取り組む仕事が多いですが、事務職がいてこそ会社は利益を挙げられます。
さまざまな企業や機関に必要となる職種ですので、スキルや経験を身に付けることでキャリアアップを図れるでしょう。
事務職に興味があるものの「どの職種を選べばいいのか分からない」という方は、転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。
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