情報技術の急速な進化により、パソコンは日常生活のあらゆる場面で重要な役割を果たしています。企業においてもパソコンは欠かせない存在であり、求人の際は基本的なパソコンスキルを条件としているケースが少なくありません。では、実際にどの程度のパソコンスキルが求められるのでしょうか。
本記事では、就職の際に身につけておきたいパソコンスキルに加えて、スキルの習得方法やおすすめ資格などを詳しく解説します。
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1 企業が必要とする「基本的なパソコンスキル」とは
現代のビジネス環境では、コンピュータやインターネットが不可欠なツールとなっており、求人でも「基本的なパソコンスキルがある人」といった条件が記されていることがあります。今や、パソコンスキルはビジネススキルと言い換えられるほど重要な能力です。
実際に求められるパソコンスキルは職種によって異なるものの、一般的にはタイピング技術やショートカットの知識に加えて、Word、Excel、PowerPointなどOfficeソフトのスキルを指すことが多いでしょう。Officeソフトは多くの企業で使用されているため、どういった職種に就くとしても、スキルを身につけておいて損はありません。
さらに、メールの送受信やファイル管理、セキュリティの知識などが必要になることもあります。ただし、高度なパソコンスキルが必要になる場合は、「〇〇ができること」「〇〇の実務経験があること」など、詳細な条件が提示されていることがほとんどです。
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2 身につけておきたいパソコンスキル一覧
ここからは、最初にとりあえず身につけておきたいパソコンスキルを、それぞれの項目ごとに紹介します。以下のスキルを身につけておけば、「基本的なパソコンスキルがある人」という求人条件もクリアできる可能性が高いでしょう。
2.1 パソコンの操作に関わるスキル
パソコンの操作に関わるスキルは、パソコンを扱う上で基本中の基本であるため、真っ先に身につけておかなければなりません。具体的には以下のようなものが基本スキルと呼ばれています。
- マウスやキーボードを使ったクリック&ドラッグ
- かなやアルファベットの切り替え
- 文字の装飾やコピー&ペースト
- ブラインドタッチによるタイピング(1分間に100~120文字程度)
- インターネットの閲覧
- ショートカットの活用
2.2 ワード(Word)のスキル
文書作成用のソフトであるWordは、報告書や議事録、案内状など、書類を作成する場面では欠かせない存在です。そんなWordの基本的なスキルには以下のようなものがあります。また、さらに、即戦力として活躍するために身につけておきたい中・上級レベルのスキルもあわせて紹介します。
【Wordの基本的なスキル】
- 通常の文字入力
- フォントや文字サイズの変更などの書式設定
- 表や罫線、画像の挿入
- レイアウトや行間の調整
- 指定通りの印刷
【Wordの中・上級レベルのスキル】
- セクション区切りの挿入
- 目次作成
- 段落の書式設定
- 校閲機能の活用
- Wordマクロの活用
2.3 エクセル(Excel)のスキル
表計算ソフトであるExcelは、売上予測や予算管理、財務分析など多くの場面で使用されています。Excelの基本的なスキルと、中・上級レベルのスキルには以下のようなものが挙げられます。
【Excelの基本的なスキル】
- 表の作成
- 四則演算などの計算
- セルの書式設定
- 図表や画像の挿入
- グラフや図の作成
- SUMなど基礎的な関数の活用
【Excelの中・上級レベルのスキル】
- データの並べ替え、抽出
- IF、VLOOKUPなど複雑な関数の活用
- 別シート・ファイルの参照
- 条件付き書式の詳細設定
- スパークライン、画像、透かしの挿入
- ピボットテーブルの活用
- Excelマクロ・VBAの活用
2.4 パワーポイント(PowerPoint)のスキル
PowerPointは主にプレゼン用の資料作りで使用されるソフトです。PowerPointを使えば、画像や図形、チャートを組み合わせた見やすいスライドを作成することができます。PowerPointの基本的なスキルと、中・上級レベルのスキルには以下のようなものがあります。
【PowerPointの基本スキル】
- 文字入力、画像挿入、図の調整
- スライドの作成
- レイアウト調整
- アニメーションなどの活用
【PowerPointの中・上級レベルのスキル】
- WordやExcelとのデータ統合
- スライドマスターの利用
- グラフィック機能の操作
- ビデオ・音楽の挿入
- 校閲機能の活用
2.5 メールのスキル
ほとんどの企業が、情報のやり取りやコミュニケーションにおける通信手段として、メールを使用しています。そのため、基本的なパソコンスキルには、メールの操作スキルも含まれていると考えられます。メールの基本スキルには以下のようなものが挙げられます。
- ビジネスマナーに基づいたメールの作成
- TO、CC、BCCの使い分け
- 添付データの圧縮や解凍
- 迷惑メールの管理
2.6 ファイルのスキル
パソコンに保存されたファイルを適切に取り扱えることも、業務を行う上では欠かせないスキルです。基本的なパソコンスキルとして求められるファイルのスキルには、以下のようなものがあります。
- ファイル作成と保存
- ZIPファイルの作成と解凍
- ファイル名の変更
- フォルダ管理
2.7 セキュリティのスキル
重要なデータを取り扱うことが多い職場では、セキュリティに関するスキルが求められることもあります。高度なスキルは必要ないとしても、情報漏洩防止のため、以下のような認識を備えておくことが重要です。
- 離席時の画面ロック
- パスワードの管理
- ウィルス対策
- ソフトウェアのアップデート
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3 面接の際にパソコンスキルで好印象を与える方法
企業の面接では、パソコンスキルについて聞かれることがあります。その際、面接官に好印象を与え、即戦力として採用してもらいやすくするための方法を3つ紹介します。
3.1 企業が求めるパソコンスキルを事前に確認しておく
職種や職場によって求められるパソコンスキルは大きく異なるため、まずは企業が求めるパソコンスキルを事前に確認しておくことが重要です。
例えば、経理業務ではExcelの複雑な関数を使用することが多いでしょう。一方、報告書や資料の作成が多い営業職では、WordやPowerPointのスキルが高く評価される可能性があります。
このように、自分が就きたい職種で求められるパソコンスキルを把握しておけば、事前に足りないスキルを身につけることもできるため、自信を持って面接に臨めるでしょう。
3.2 具体的な例を挙げてスキルをアピールする
パソコンスキルを聞かれた際、「パソコン歴10年です」「WordやExcelは使えます」といった抽象的な内容では、どの程度のスキルがあるのかを示すことができません。
そのため、スキルをアピールするときは、できるだけ具体的な例を挙げることが重要です。「どういったソフトを何年くらい使用しているか」「どういった操作ができるのか」といった内容を詳しく説明しましょう。
パソコンスキルを重要視している企業であれば、実際にパソコンで作成した成果物を持参して、どれくらいの時間で作成したのかをアピールするのも良い方法です。
3.3 足りないスキルは勉強中であることを伝える
面接の段階では、企業が求めるレベルに達していないこともあるでしょう。そんなときは、パソコンスキルがないことをネガティブに捉えられないよう、スキルを習得するため前向きに勉強していることを伝えるのがおすすめです。
実際にどういった勉強法で取得を目指しているのか具体的な方法を示して、パソコンスキルアップに向けたやる気をアピールすることが大切です。
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4 履歴書にパソコンスキルを記載する際の注意点
履歴書にパソコンスキルを記載する際も、面接と同様、できるだけ具体的に記入するようにしましょう。「文書作成ソフトを基本的なレベルで使用可能」といった書き方では、パソコンスキルをアピールすることができません。
「使用ソフト名」「使用年数」「実際にできること」「対応可能な業務」などを箇条書きでまとめると、スキルレベルが伝わりやすくなります。
また、履歴書自体をパソコンで作成するのもスキル証明として良い方法です。その際は、フォントや文字の大きさ、レイアウトを調整して、見やすい履歴書になるよう工夫しましょう。
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5 パソコンスキルを身につける方法
企業で必要なパソコンスキルを身につけるには、どういった方法があるのでしょうか。ここでは、パソコンスキルを身につける主な方法を3つ紹介します。
5.1 書籍やネットを使い独学で学ぶ
最も気軽に始めやすいのが、書籍やネットを使用する方法です。独学であれば、勉強の時間がなかなか確保できない忙しい方でも、自分のペースで学習を進められます。近年、パソコンスキルに関する書籍は非常に豊富なため、自分のレベルに合わせて勉強を進められます。
また、ネットは無料で利用できるものも多く、低コストでスキルを習得したい方にはおすすめの方法です。ただし、毎日コツコツ勉強する必要があり、自己管理ができないとスキル習得までに多くの時間を要する可能性もあります。
5.2 スクールに通う
独学での習得が難しい場合は、スクールに通うのがおすすめです。ある程度の費用はかかるものの、用意されたカリキュラムをこなすことで、より確実に必要なスキルを身につけることができます。
また、わからないことを気軽に質問できるのも、スクールのメリットです。「短期間で効率的にスキルを習得したい」「独学ではどうしても怠けてしまう」といった場合は、スクールを選択肢に入れましょう。
5.3 資格取得を目指す
パソコンスキルを身につけようと漠然と勉強していても、なかなかモチベーションが保てないこともあります。そんなときは、「パソコンに関する資格を取得する」という目標を立てるのも一つの方法です。
パソコン資格の中には実務で必要なスキルが試されるものも多く、取得することで履歴書に記載できるなど企業へのアピールにも繋がります。勉強のやる気が起きないという方は、ぜひ簡単な資格取得から始めてみましょう。
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6 パソコンスキル習得におすすめの資格6選
ここからは、パソコンスキル習得におすすめの資格を6つ紹介します。合格に向けて勉強することで、自然とパソコンスキルが高められるでしょう。
6.1 MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど、Microsoft Office製品のスキルを証明するための国際資格です。2023年9月時点で累計500万人以上が受験している認知度の高い資格のため、就職や転職でも役立つ資格と言えます。
WordとExcelはスペシャリストレベル(一般レベル)とエキスパートレベル(上級レベル)の2種類の科目が用意されており、試験の解答は本物のアプリケーションソフトをマウスやキーボードで操作して行うのが特徴です。
【出典】「MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト」
6.2 P検(ICTプロフィシエンシー検定試験)
ICT(情報通信技術)を活用した問題解決能力を証明するための資格です。基礎的なコンピューター知識が問われる5級から、企業内ネットワーク構築など幅広い知識が必要な1級まで、6つのレベルに分かれています。
基本的なパソコンスキルの証明には、タイピングや表計算、情報セキュリティなどが出題範囲とされている3級以上が必要とされます。
6.3 日商PC検定
商工会議所が実施している公的資格であり、実務に即した試験内容として企業からも高い評価を受けています。文書作成(Word)、データ活用(Excel)、プレゼン資料作成(PowerPoint)と3種類の試験があり、それぞれ3~4段階のレベルが設定されています。
全ての試験で2級以上に合格すると、「日商PCプロフェッショナル認定証」が交付されます。知識と実技、両方の能力が問われるため、勉強を進めるうちに実用的な能力が身につけられるのもメリットです。
【出典】「日商 PC検定」
6.4 ITパスポート
ITに関する基礎的なスキルを証明できる国家資格です。IT関連の国家資格としては入門レベルにあたるため、上位資格を受験する前に、まず取得を目指すという人が多い資格でもあります。
パソコンの操作スキルというよりは、ITを活用するために必要な基礎知識が問われる試験内容ですが、IT業界への就職を目指している方はぜひ取得を目指してみましょう。
【出典】IPA 独立行政法人情報処理推進機構「ITパスポート試験 」
6.5 VBAエキスパート
ExcelとAccessにおける、マクロ・VBAのスキルを証明する資格です。マクロ・VBAを活用すると、作業の自動化や大量データの一括処理など、業務効率を飛躍的に向上させることができます。業務で活用している企業も多く、資格を取得すれば就職や転職で優位に立てる可能性があります。
ExcelとAccessのそれぞれに、ベーシック(基礎)とスタンダード(一般)という2つの試験が設けられており、条件なくどの試験からでも受験可能です。
【出典】「VBAエキスパート公式サイト」
6.6 サーティファイの認定試験
サーティファイでは7分野28種類の資格検定試験が実施されています。その中で、パソコンスキル習得におすすめの資格としては、「Word文書処理技能認定試験」「Excel®表計算処理技能認定試験」「PowerPoint®プレゼンテーション技能認定試験」「Access®ビジネスデータベース技能認定試験」などが挙げられます。
Word、Excel、Accessは3~1級、PowerPointは初級・上級にレベル分けされているので、自分のレベルに合わせて取得を目指しましょう。
【出典】資格検定のサーティファイ
【関連記事】「パソコンスキルを証明する資格は?国家資格や初心者向け資格を一覧で紹介」
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7 まとめ
今やパソコンスキルは、多くの企業で当たり前のように求められる能力です。どの程度のスキルが必要になるかは、職種や業務内容によって異なるものの、基本的なOfficeソフトの操作やファイルの管理などは、身につけておいて損はありません。
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