広報とは何をする仕事? 役割や仕事内容、必要なスキルを紹介

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広報は企業の情報を社内外に発信し、信頼やブランド価値を高める職種です。企業活動の拡大成長を実現する上で欠かせない役割を担っていますが、具体的にどのような仕事をしているのか、いまひとつ分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は広報の仕事内容や目的、求められるスキルなどを解説します。広報に興味がある方もそうでない方も、これから社会人として企業で働く上で知っておいて損はありません。ぜひ最後までご覧ください。

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1. 広報とは

広報とは、簡単に言うと企業情報を社内外へ発信することで、企業と社会、個人との良好な関係性を構築する仕事です。

元々は、戦後の日本でGHQが民主化政策の一環として導入した「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の訳語にあたり、「広報=PR」と見なされることもあります。

広報の業務には、自社やブランドの認知を広げるための社外向けの活動に加え、社員の意識を高めるための社内向け施策も含まれます。これらの活動には決まった正解があるわけではなく、社会の変化やメディア環境に合わせて柔軟に対応していく必要があります。

1.1. PRとの違い

日本では一般的に、「広報=プレスリリースなど外部への情報発信」、「PR=商品などの宣伝や販促活動」としてとらえられがちですが、実際には両者とも、企業や組織がステークホルダーと良好な関係を築くために行う活動を指します。

PR(Public Relations)は、より戦略的に関係性の構築を目指す広い概念であり、その中に「広報」が含まれます。広報は主にメディアを通じた社内外への情報発信に特化した役割で、PRの一部と言えるでしょう。なお、企業によっては広報とPRの業務を同じ部署で担当しているケースもあります。

1.2. マーケティングとの違い

広報と似た意味合いを持つ言葉として「マーケティング」があります。一般的には、「広報=企業のイメージ向上」、「マーケティング=売上を上げるための活動」という意味を持つ言葉として使い分けられることが多いですが、両者には明確な役割の違いがあります。

マーケティングは、商品やサービスを市場に届けるための仕組み作りや販売促進を目的とした活動です。一方、広報は、企業や組織に対する信頼や共感を高めるための情報発信を担います。マーケティングが「売る」ための活動であるのに対し、広報は「信頼される」ための活動と言えるでしょう。

なお、企業によっては広報とマーケティングを同じ部署で行っていたり、連携してプロジェクトを進めていたりするケースもあります。

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2. 広報の役割や目的

広報の仕事には、主に以下の3つの役割や目的が求められています。

2.1. ブランディングの促進

ブランディングとは、社会に自社ブランドのイメージを拡散し確立することを指しますが、広報はそのブランディングの促進を担っています

ブランディングの促進により、自社ブランドを正しい認知で社会に広めることは、自社のあらゆる事業展開をスムーズにする効果を生み出します。

2.2. 企業と関係者とのコミュニケーションを円滑にする

広報は、株主や投資家、取引先、顧客、従業員といった「ステークホルダー」と呼ばれる人たちとの円滑なコミュニケーションを保ち、良好な関係を構築する役割も担います。

一方向の情報発信に依存せず、双方向のコミュニケーションにより価値ある情報交流を行い、より強固な信頼関係の構築を目指します。

2.3. メディアリレーション構築と認知拡大

メディアリレーションとは、テレビや新聞、雑誌、WEBをはじめとしたメディアとつながり、良好な関係を構築することです。広報活動において基本的かつ重要な役割であり、広報活動の成功はメディアリレーションが左右するといっても過言ではありません。

社会に強い拡散力を持つメディアを活用することは、効率的な認知拡大に欠かせません。そのためにも、各メディア関係者と日頃のやり取りを通して、コツコツと信頼関係を構築していく地道さが必要です。

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3. 広報の主な職務内容

広報の職務内容は、主に「社外向け広報」と「社内向け広報」の2つに分けられます。それぞれで対象者は変わりますが、自社の認知拡大や良好な関係構築といった広報としての目的に変わりはありません。

この2つの広報活動について、それぞれ具体的にどのような業務が含まれるのか、具体的な例を交えて解説していきます。

3.1. 自社の事業と組織の把握

社外向け広報、社内向け広報に振り分けられる職務以前に、まずは広報として自社の事業や組織に関して把握する必要があります。

3.1.1. 広報は社長直轄の場合も多い

広報は、会社の運命を左右すると言っても過言ではない重要なポジションです。そのため、近年は社長直轄で広報業務が扱われるケースも多くなっています。

広報の役目を果たすためには常に自社の現状を知る必要があり、社長の目指すものや考え方を理解しておく必要があるのです。

3.1.2. 自社の経営陣や組織、事業内容の把握が重要

まずは基本中の基本として、自社の経営陣や組織体制、事業内容についての把握が大前提です。

広報として自社情報を伝える立場にいる以上、自社の内情に誰よりも深い理解がなければ、ステークホルダーの心に届く広報活動は行えません。誰からどのような質問を受けても的確に答えられるくらいの勉強が必要です。

さらに、手持ちの情報はすぐに古くなることを念頭に置き、常にアップデートしていく必要もあります。

3.1.3. 社内の各部署から情報収集できる人脈作り

情報収集は広報の肝と言っても過言ではありません。社内のあらゆる情報を効率良く収集するためには、各部署に信頼できる人脈を作ることが重要です。

人脈作りは1日、2日で行えるものではなく、日々のコミュニケーションを一つひとつ積み重ねていく必要があります。地道なプロセスではありますが、一度人脈ができれば何もせずとも情報が自然と集まってくるようになります。

3.2. 社外向け広報

社外向け広報業務は、世の中に広く自社を広めることが目的です。主に以下の3つの業務が挙げられます。

3.2.1. プレスリリースの作成

社外向け広報活動で最も多くの時間を用いるとされているのが、プレスリリースの作成です。新商品や新規サービス、事業展開などの自社の取り組みを、いち早く社会に広める手段となります。

プレスリリースはCMなどの自社発信の広告宣伝とは異なるため、テレビや新聞、WEBメディアに必ず取り上げられるものではありません。

しかし、取り上げられる際には第三者の立場として客観的な報道を行ってくれるため、独りよがりな発信とならずステークホルダーからの信頼を得やすいメリットがあります。

3.2.2. 報道関係者への対応

メディアリレーションも広報に欠かせない仕事の一つです。プレスリリースなどによる発信をきっかけにメディアから取材依頼がきた場合に対応します。

自社の企画で取り上げたいと思ってもらえるかという点も重要ですが、広報担当者の対応力や人柄もメディアリレーションの構築に大きな影響を及ぼします。そのため、メディア担当者とのコミュニケーションは配慮や迅速さを忘れないようにしましょう。

3.2.3. イベントの企画・開催

展示会などのイベントを企画・開催するのも広報の仕事です。イベントの開催は、参加者と企業側が直接コミュニケーションをとれる貴重な機会となります。

広報部では、イベントのテーマ設定からスケジュール調整や会場の手配、参加者への対応まで、イベント開催に必要な業務を広く担います。

また、企業の知名度やイメージ向上につながる重要な催しなので、一般の方々はもちろん、報道関係者の招待についても検討し、調整を行う必要があります。

3.2.4. SNSなどのメディアを活用した情報発信

ネット社会の現代においては、企業もメディアリレーションだけに依存せず、X(旧:Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNS、または自社メディアを活用し、積極的な情報発信を行うなどして拡散力をつけていかなければなりません。

ターゲット層に刺さる発信内容を工夫しながら、フォロワーを増やし拡散を狙っていきます。

3.3. 社内向け広報

広報というと社外向けの華やかな業務をイメージする方が多いかもしれませんが、社内に向けた広報活動も重要な業務です。社内向け広報の主な業務としては、以下の2つが挙げられます。

3.3.1. 社内の情報共有

多くの従業員は、会社として目指すべき方向性やビジョンに基づいて業務を行うのではなく、良くも悪くも自分の目の前にある業務に打ち込むことに終始しています。

しかし、定期的に広報から社長メッセージや経営方針などの情報共有を行うことで、全社に共通意識が芽生え、結束感も強まります

3.3.2. 社内の部署、個人間との良好な関係構築

日常業務では、所属する部署内での限定的な人間関係で完結することがほとんどです。他部署の人達と交流を深めたり新しい人間関係を広げたりという機会もあまりないかもしれません。

そこで、広報から社員が気軽に参加できるイベント情報を共有したり、社内報で社員紹介企画をしたりすることで、社員同士の良好な関係構築を促します。

3.4. 広報としてのIR職

「IR(Investor Relations)」とは、株主総会や決算説明会などの場で投資家や株主に向けて経営情報を発信し、長期的な関係を構築していく活動です。自社にとってプラスになる情報発信を行う広報とは異なり、IRは内容の良し悪しに関わらず、あくまでも事実に基づいた結果を伝えます。

その際、広報とIRが連携して情報発信を行うことで、投資家や株主たちにより自社の将来性を感じてもらえることが期待できるようになります。


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4. 広報に求められるスキル

広報の仕事には、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか?特に重要な7つのスキルを紹介します。以下のようなスキルがあれば、広報に向いている人であると言えるでしょう。

4.1. コミュニケーション能力

広報は企業と社会の架け橋となり、双方の良好な関係構築の実現を目指す役割を担っています。その実現には各ステークホルダーの求めるものを理解し、それぞれに適した手段でアプローチをしなければなりません。

また、自社が多くのステークホルダーから信頼を得るためには、まず広報担当者自身が目の前にいる一人ひとりから信頼を得られていることが大前提です。広報という役割を担う前に、一人の人間として、相手に対して誠実かつ謙虚であり続ける意識が求められます。

4.2. PDCA運用能力

広報の仕事は、PDCAサイクルを常に回していなければ大きな効果は得られません。例えば、プレスリリースを作成したことで満足してしまっていては、メディア掲載数や問い合わせ数、取材依頼数、自社ホームページへのアクセス数の変動などの効果測定ができず、次につなげる改善が行えません。

業務を多面的に捉え、PDCAサイクルを回し続けることで自社にフィットし、結果に結びつく効果的な手法にたどり着けるのです。

4.3. 正確な日本語力

広報の仕事では、文字を使って情報を伝えることがほとんどです。発信する情報は自社イメージや評価に直結するため、誤字脱字などの間違いは許されません。広報は会社の顔であるという自覚と、会社の代表者として情報発信をしているという緊張感が求められます。

また、広報活動は日本語に限定されるものではありません。広報担当者自身が英語などの外国語に精通していれば、海外メディアに対しても広報活動が行えるため、会社にとって大きな強みとなります。

4.4. 危機管理・対応能力

会社として想定し得るリスクの排除に万全を期していても、トラブルは想定外の方向からやってくるものです。広報は、いつ訪れるかわからないそうした事態に備え、危機管理体制を整えておく必要があります。

現代はSNSの普及により瞬時に情報が拡散される時代のため、いかに的確でスピーディーな対応を行えるかが、その後の自社のブランドや価値に大きく影響を及ぼします。

4.5. 客観性

広報の仕事には、高い視点で物事を見渡せる客観性がなくてはなりません。企業側の立場でありながらもそちらに偏り過ぎず、「見せ方」だけでなく「見え方」にまで気を配れる余裕が求められます。

ステークホルダー視点で自社ブランドを俯瞰できなければ、広報の成功は難しいかもしれません。

4.6. 企画力

企業名や事業内容、商品、サービスをより多くの人々に知ってもらうためには、「どんな方法でPRしたら人の目につくか?」という事を考えられることが重要です。

そのため、画一的な手法にとらわれずに常に新鮮で魅力的な企画を打ち出す必要があります。競合他社との差別化を図りつつ、自社の課題を解決できる効果的な広報活動を行うことが広報部の役割であり、広報として働く人に求められるスキルです。

4.7. 情報収集力

効果的な広報を行うには、市場の動向やトレンド、社会の変化などを素早くキャッチする情報収集力も必要です。

広報で成果を出すには、市場や世間のニーズを的確に理解し、それに合った手法を考えなければなりません。そのためには、企業を取り巻く環境の変化にいち早く気付き、柔軟に対応することが重要です。

このことから、広報は世の中で話題になっていることに敏感な人や、幅広い知識を持っている人に向いていると言えます。

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5. 広報になる方法とは

広報になるための必須資格はありません。実際に広報として業務をこなしていく中で、必要と思う資格が出てきた場合に取得すれば良いでしょう。とはいえ、広報の仕事にはさまざまなスキルが求められます。

未経験から広報を目指す場合は、社内で異動希望を出す、広報業務に関連する職種で経験を積む、といった方法があります。

5.1. 社内で異動希望を出す

広報業務は、企業内の専任部署やPR部門で行われることが一般的です。現在、別の部署で働いている場合でも、異動希望を出し、受理されれば広報部門で働くことができます

異動を希望する際は、まず現在の業務で広報に関連する経験ができるかを見極めるといいでしょう。例えば、社内報の作成や外部とのコミュニケーションを担当している場合、その実績が評価されることで、広報への異動希望が通る可能性があります。

ただし、基本的に異動は会社側が判断するものであり、必ずしも希望が通るわけではないことを覚えておきましょう。

5.2. 有利な職務経験を積む

広報になるには、前述したようなコミュニケーション能力や文章作成能力、情報収集力などが求められます。そのため、これらのスキルを活かせる職種での経験があると、転職時に有利です。

例えば、営業職で培われるコミュニケーション能力、記者やライターとしての文章作成力、マーケティング職での情報収集力などは、いずれも広報の実務に直結します。また、IRの業務では、経理・財務部門や経営企画室などでの経験が大いに活かされるでしょう。

このように、自分の強みを活かせる職種を選んで経験を積むことで、広報へのステップアップがしやすくなります。

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6. 広報になるためにおすすめの資格

広報担当として仕事をするための必須資格はありませんが、広報担当者として活躍するためにおすすめの資格を紹介します。

6.1. PRプランナー

PRプランナーとは、「日常的な広報・PR実務を幅広くこなし、かつ広報PR責任者をサポートする知識・提案能力を有する」ことを認定する資格です。

試験は1次・2次・3次に分かれており、3次試験に合格すると、申請・審査を経て資格を取得できます。広報PR業務に関する知識を幅広く体得したい人におすすめの試験です。

6.2. IRプランナー

IRプランナーとは、IR(インベスター・リレーションズ)と呼ばれる、企業が株主や投資家に向けて情報を発信する活動に関する知識を証明する資格の一つです。

資格取得すると名刺に記載することもできるため、社内だけでなく社外からの信頼獲得にもつながります。

6.3. 商品プランナー

商品プランナーとして、商品戦略・販売促進戦略などの基礎知識とスキルを身につけていることを示す、日本商品開発士会認定資格です。

市場と企業の橋渡しとして活躍したい方におすすめです。


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7. 広報職に転職するには

持っているスキルや知識を活かして広報の仕事に就きたいと考えている方は、転職を検討してみましょう

7.1. 就きたい職種を明確にする

ひとまとめに広報の仕事といっても前述の通り、社外広報、社内広報、IR職などさまざまです。まずは広報の中でも、「自分のやりたい仕事内容は何か?」「自分のスキルや知識を活かせるのは何か?」を明確にしておきましょう。

自分のやりたいことや、スキルを活かせる職に就くことで、自分の自信やモチベーションアップにもつながります。

7.2. 転職エージェントを利用する

目指す職業により近い転職先を見つけるには、仕事探しのサポートのプロである転職エージェントに相談してみましょう。

株式会社マイナビが運営する転職エージェントサービス「マイナビエージェント」は面談の時間を設け、悩みや転職先の希望を聞くことで、求職者の現状を見極めてより合う仕事を紹介してくれます。

また、「マイナビエージェント」に相談することで、自分だけでは気がつけない才能の活かし方や、向いている仕事を見つけられるかもしれません。

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8. まとめ

これまで解説してきたように、広報は企業活動になくてはならない重要な役割を担っており、業務は多岐に渡ります。企業の顔としての責任は重大ですが、その分大きなやりがいを感じられる仕事です。

広報の仕事に興味を持っている方は、まずは社会人としての基本的な仕事の仕方を学び、幅広い知識と経験を積むことを心がけましょう。そうすることで自社や業界についての理解が深まれば、広報としてのスキルは自然と身についていくはずです。

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