「社畜」とは、会社に飼いならされているかのように言いなりになって働く人のことを指す言葉です。仕事に対する過剰な責任感や断りきれない性格、完璧主義などの要因が重なって、結果的に長時間労働や過労を招くこともあります。
この記事では、社畜の特徴やその原因、社畜から抜け出すための具体的な対策について詳しく解説します。社畜を生み出しやすい企業の特徴も紹介するので、ぜひご覧ください。
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1 社畜とは?
そもそも社畜とは具体的にどういった状態を指すのでしょうか。ここではまず、社畜の意味と、社畜という言葉が生まれた背景について解説します。
1.1 社畜の意味
「社畜」とは「会社」と「家畜」からできた造語であり、家畜のように会社に飼いならされて、自分の生活や健康を犠牲にしながら盲目的に働く社員を揶揄した言葉です。
外部の人間が、過酷な環境で文句も言わずに働いている人をからかったり、働いている当事者が「どうせ自分たちは社畜だから」と自虐的に使用したりすることもあります。
1.2 社畜が生まれた背景
社畜というネガティブな言葉が生まれた背景には、日本特有のさまざまな慣習が関係していると考えられます。例えば、日本では仕事に多くの時間を注ぐことが美徳とされ、会社に対して従順であることが求められる企業文化が根付いている場合があります。
また、近年は長時間労働に対する規制も厳しくなってはいるものの、経済や雇用の不安から仕事に対して過剰に依存する傾向があり、これが「社畜」の概念を助長する一因となっているという声もあります。
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2 社畜とよく似た言葉
「社畜」はネガティブな意味を持つ言葉ですが、ポジティブなイメージをもつ言葉や、かっこいい言い方に変えることもできます。ここでは、「社畜」とよく似た言葉を4つ紹介します。
2.1 仕事人間
仕事に対して強い熱意を持ち、多くの時間やエネルギーを仕事に費やす人を指します。「仕事ばかりしている」という点は「社畜」と同じですが、「仕事人間」は自らの意思で前向きに仕事をこなしている人というポジティブなニュアンスがあります。
ただし、仕事に打ち込み過ぎてプライベートや健康、家庭生活を犠牲にすることもあることから、「仕事第一主義の利己的な人」というネガティブな意味で使われるケースもあります。
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2.2 企業戦士
企業のために、自己犠牲を厭わず全力で働く人を指します。高度経済成長期やバブル経済期の日本で多く見られ、「モーレツ社員」と呼ばれることもありました。「社畜」と同じく会社に対して強い忠誠心を持ち、長時間労働や厳しい業務をこなす姿が特徴です。
目標達成のためにプライベートの時間を犠牲にすることが多いものの、自ら率先して働く意識が強いことは、社畜とは少し異なる点です。
2.3 ワーカホリック
英語の「work(仕事)」と「alcoholic(アルコール依存症)」を組み合わせた造語であり、日本語では「仕事中毒」と訳すことができます。働くことに没頭するあまり、仕事以外の生活を顧みない人を指します。
ワーカホリックは成果や評価への強い執着と、仕事を手放せない不安感から生じることが多く、その状態が長期に渡れば精神的・肉体的に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.4 会社の犬
会社の言いなりになって自己の意見を持たず、盲目的に従う人を指す批判的な表現です。会社の利益や上司からの指示を無条件に優先して、自分の意志を持たない姿勢を揶揄するものであり、「社畜」とほぼ同じ意味で使用されます。
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3 社畜になりやすい人の特徴
ここからは、どういった人が「社畜」になりやすいのかを紹介します。「必死で働いているだけなのに、周囲から社畜と言われた」「友人の働き方を見て、自分は社畜なのかもしれないと不安になる」という方は、当てはまる特徴がないか確認してみましょう。
3.1 責任感が強すぎる人
責任感が強すぎる人は、会社のために自分が犠牲になっても仕方ないと考える傾向があります。「自分がやらなければ皆が困る」「誰にも頼らずにやり遂げなければならない」と過度のプレッシャーを感じ、その結果、長時間労働や過度のストレスを抱えることになりがちです。
3.2 頼みごとを断れない人
頼みごとを断れず、他者からの依頼を全て引き受けてしまえば、一人ではこなせないほどの仕事量を抱えてしまうリスクがあります。そうなると、プライベートな時間を削る必要があり、仕事と私生活の境界線が曖昧になってしまうでしょう。
このように自己犠牲が常態化している状況では、会社に対する盲従的な姿勢が生まれやすくなります。
3.3 他人からの評価に敏感な人
他人からの評価を気にするあまり、期待に応えようと無理して働くことが多くなります。また、自分の価値を他人の評価に依存することで、自分の意志よりも周囲からの期待を優先してしまいます。
そうなれば主体性を失い、会社の要求に対して従順になってしまうでしょう。さらに、他人からの評価を損なうことを恐れて自己主張ができず、苦手な仕事を引き受けてしまうリスクもあります。
3.4 仕事以外の趣味がない人
趣味はストレスを解消し、生活をリフレッシュするための重要な手段です。趣味がない人は仕事のストレスを解消する機会が減り、疲労やストレスが蓄積しやすくなってしまいます。
また、趣味で充実感を味わえない人は、仕事から得られる充実感に依存しがちです。これが、仕事にのめり込みすぎる原因となり、社畜的な働き方を助長することがあります。趣味は、仕事とプライベートの境界線を明確にするためにも必要です。
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3.5 変化を嫌う人
変化を嫌う人は、現状を維持することに強い安心感を持つため、現在の職場に固執しやすい傾向があります。これにより、たとえ過酷な労働環境であっても、変化を避けてその状態に留まり続けてしまうことが考えられます。
また、新しいことを提案するのが苦手なので、会社の方針や既存のプロセスに従うことを選びがちです。このような人は、会社からの無理な要求や過剰な業務量に対しても、反抗せずに受け入れてしまうことが多いでしょう。
3.6 有給休暇を取得しない人
有給休暇を取得していない人は、無意識のうちに社畜的な働き方をしているかもしれません。有給休暇を取得しない理由としては、「仕事が気になって休めないから」「自分が休むことで同僚や上司に迷惑をかけてしまうから」といったことが考えられます。
プライベートを優先することを悪いと思ったり、休みを取ることに過度な罪悪感を感じたりする場合は、既に社畜と呼ばれる状態に陥っている可能性があるため注意が必要です。
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4 社畜を生み出しやすい企業の特徴
社畜が生み出される原因は、個人だけでなく企業にもあることが多いです。ここでは、社畜を生み出しやすい企業の特徴を4つ紹介するので、現在働いている企業が当てはまっていないかチェックしてみましょう。
4.1 長時間残業が常態化している
企業の中には長時間労働が当たり前になっていて、残業をすることが「当然」「美徳」とされる文化が根付いていることがあります。また、人気の職種では経営者が労働者の「やりがい」を悪用し、長時間労働を強いてくることも考えられます。
このように、企業全体、職場全体で長時間労働が常態化している場合は、社畜的な働き方になってしまう可能性があります。
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4.2 上司が帰るまで退社できない
就業規則などで決められているわけではないものの、「上司より先に帰るのは失礼」という暗黙のルールがあり、自分の仕事が終わってもすぐに退社できない場合があります。
このような職場では上司が絶対的な権利を持っていることが多く、部下はより従順な姿勢を求められます。その結果、上司や会社の言いなりで働く社畜が生まれやすくなります。
4.3 昇給の基準が不明瞭
昇給の基準が不明瞭だと、従業員は何をもって評価をされるのか不安なため、結果的に過労働となる可能性があります。自分の成果がどのように昇給へ反映されるのかわからず、業務量を増やしてでも評価を得ようとする社畜的な働き方を助長してしまいます。
これは、固定給をもらう正社員だけでなく、時間給で働くバイトでもあり得ることです。評価を求める過労働を避けるには、昇給の基準を明確にしておくことが重要です。
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4.4 休日にも頻繁に行事がある
休日に行事が多いと、仕事とプライベートのバランスが崩れ、仕事中心の生活に陥りやすくなります。必要な休息やリフレッシュの時間が確保できなければ、心身の疲労が蓄積してしまうでしょう。
自分の時間を犠牲にしてでも、企業文化である休日行事に出席すべきという慣習は、企業の言いなりになる社畜を生み出す原因と言えます。
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5 社畜から脱却する方法
自己犠牲と過労働を伴う社畜的な働き方を続けていると、いずれ心身に支障をきたしてしまうかもしれません。そのため、自分が社畜状態にあると気付いたら、一刻も早く抜け出すことが重要です。ここでは、社畜から脱却する主な方法を5つ紹介します。
5.1 現状を把握して優先順位を確認する
まずは、自分が今どういう状況にあるのかという現状をしっかり把握することが大切です。「労働時間は適切か」「給与は労働に見合っているか」「何をストレスに感じるか」といったことを客観的に洗い出してみましょう。
その上で、生活の質を高めるには何を優先すべきかを確認します。社畜状態に陥っている方は、会社の利益や上司からの評価を優先している傾向がありますが、それではいつまで経っても社畜から抜け出せません。
社畜から脱却するには、時間の使い方を見直し、仕事以外のプライベートな時間をしっかり確保することが重要です。家族や友人と過ごしたり十分な休息を取ったりすることが、生活の質を高めることを理解しましょう。
5.2 リフレッシュできる趣味を見つける
仕事から離れてリフレッシュできる趣味に没頭できれば、ストレスが軽減され、心身の健康に繋がります。社畜は仕事に対して過度に依存している状態でもあるため、仕事以外の時間を確保することはとても大切です。
また、趣味を通じて新しいスキルを身につけたり、多くの仲間と交流したりすることで自己肯定感が向上し、職場環境に対する新たな視点を持つきっかけにもなるでしょう。
5.3 断るスキルを身につける
評価が下がることを恐れて頼みごとを断れず、過労働になっているという方も多いでしょう。そのような方は、きっぱりと断るスキルを身につける必要があります。
断るコツはいくつかありますが、早めにはっきり断ることが最も重要です。返答を長引かせたり曖昧にしたりしていると、断りづらくなる上に相手にも迷惑がかかる場合があります。
また、「今は難しいが、この仕事が終わり次第サポートします」など、ポジティブな代替案を提示するのもおすすめです。何より断るのは悪いことではなく、自分の時間や労力を守るためには正しいことであるという意識を持つようにしましょう。
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5.4 周囲にサポートを求める
社畜状態に陥っている方は、なかなか周囲に相談できず、一人で辛さを抱え込んでしまうことがあります。しかし、周囲の人に話を聞いてもらうことで、自分では気づかない解決策を見つけられるかもしれません。
また、上司や同僚に自分の状況を正直に伝えれば、職場環境を見直してもらえる可能性があります。チームでの業務分担や効率化のアイデアを共有できれば、社畜から抜け出すきっかけになるでしょう。
5.5 転職を検討する
上記の方法を試しても、そもそも企業自体に社畜を生み出す特徴がある場合、脱却するのはかなり難しくなります。そんなときは、思い切って転職を検討するのがおすすめです。
ただし、一般的な求人情報を見ただけでは、企業の慣習や職場の雰囲気まで確認できません。せっかく転職しても、また社畜に戻ってしまう可能性もあります。そのため、転職の際は転職エージェントを利用するのがいいでしょう。
転職エージェントでは、一般的に知ることができない細かい情報も把握しているので、転職前におおよその雰囲気が確認でき、安心して転職活動を進められます。
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6 まとめ
日本では仕事に多くの時間を注ぎ、自己犠牲を払っても会社に対して従順であることを美徳とする企業文化が根付いている場合があります。そのため、自分でも気付かないうちに社畜化している方が多くいます。
しかし、生活の質を高めて充実した人生を送るにはワークライフバランスが大切です。自分の働き方に疑問を感じる方は、自分が社畜になっていないかを確認し、もしもその可能性があるなら1日も早く抜け出せるよう対処しましょう。
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