担当する業務が少なく、会社にいながらまるで無職であるかのような状態を「社内ニート」と表現されることがあります。「暇で楽しそう」と思われる方もいますが、キャリアにおいてリスクも大きく、改善すべき状態です。
この記事では、いわゆる「社内ニート」の意味やそのような状態に陥る原因などを紹介した上で、そこから抜け出す方法についても解説します。
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1. 社内ニートとは
イラスト:斉田直世 漫画の続きはこちら>
会社に所属していて出社しているにも関わらず、担当する仕事が少なく、ほとんど何もしていないような状態のことを「社内ニート」と呼ぶことがあります。
「社内失業」「オフィスニート」などとも呼ばれ、このような状態は本人のモチベーションや企業の生産性といった面で問題とされます。
1.1. 社内ニートの意味
そもそも「ニート」とは、就職も就学もしていない若者を指す言葉です。そのため会社に所属している人はニートではありませんが、「会社にいるのにやることがなく、まるでニートのようだ」という意味で「社内ニート」と表現されます。
俗語であるため明確な定義はありませんが、勤務中に時間を持て余し、職場での役割がないと感じると「自分は社内ニートなのでは」と不安や危機感を覚える人が多いようです。
1.2. 社内ニートと窓際族の違い
社内ニートと似た言葉に「窓際族」があります。「主要な業務から外され、オフィスの隅に追いやられている」というイメージからこう呼ばれ、出世コースから外れて閑職に就いた中高年層を指すことが多い言葉です。
社内ニートは年代を問わず使われる表現である点で違いがありますが、「仕事量が少ない」「重要な仕事を任されない」という点では共通しています。
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2. 社内ニートとされる特徴
出社しても仕事がない状態が社内ニートと呼ばれますが、具体的には以下のような特徴に当てはまることが多いようです。
2.1. 雑用以外に仕事を任せてもらえない
書類のコピー、資料のファイリング、会議室の片づけ、文房具の管理、ゴミの収集など、一般的に雑用と言われる仕事しか任せてもらえないのは、いわゆる「社内ニート」の特徴の一つとされます。
これらの雑用はもちろん企業にとって必要な作業ですが、特別なスキルがなくてもこなすことができます。明確な役割や責任がないために、こうした誰がやっても良い仕事しかない状態に陥ってしまうと考えられます。
2.2. 休憩時間が多い
仕事を任されないことで手持ち無沙汰な時間が増え、結果として休憩時間が増えてしまうこともあります。時間に余裕があるために、頻繁にトイレ休憩に行ったり、そうした1回の休憩が長かったりするのが特徴です。
休憩にあてられる時間が多いことだけでなく、何もせずにオフィスにいるのが気まずい、居心地が悪いといった心理状態も休憩が増える一因と思われます。
2.3. 暇つぶしをして過ごしている
社内ニートとされる人は、仕事のない暇な時間をやり過ごすために、仕事をしているかのように装って暇つぶしをしていることがあります。
暇つぶしの仕方はさまざまありますが、デスク周りの掃除や整理整頓、資格などに向けての勉強など、一人で作業できるものが多い傾向です。また、中にはネットサーフィンやSNSの閲覧で時間をつぶす人もいるようです。
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3. 社内ニートに陥る原因【個人の問題】
いわゆる社内ニート状態に陥る原因としては、個人の問題と職場の問題があると考えられます。ここではまず、個人の問題について解説します。
3.1. 仕事のミスが多い
ミスを繰り返している人は、仕事における信用を失うことがあります。上司は、ミスを重ねる人の能力に疑問を抱くようになり、結果として重要な業務を任せるのをためらうようになります。
責任あるポジションから外されたり、プロジェクトメンバーに選ばれなかったりして、仕事量が減少し、気付けば社内ニート状態になっていたという事態も考えられます。
3.2. 仕事への意欲が感じられない
職場では、積極的に取り組む姿勢や責任感ある行動が重視されるため、意欲が低い人は重要な業務から外されてしまうことがあります。意欲のない人は、ミスを犯したり業務を中途半端に終わらせたりするリスクが高いことも要因の一つです。
単純な作業や雑用を任され、やりがいある仕事を与えられなくなれば、さらに意欲が低下し悪循環に陥ることもあります。
3.3. コミュニケーション能力が低い
仕事をスムーズに進めるためには、「報連相」に代表されるような適切なコミュニケーションが必要です。コミュニケーションが不十分だと、指示が正しく伝わらなかったり、フィードバックが適切に行われなかったりして、重大なミスを招きかねません。
結果的に、コミュニケーションが重要でない雑用だけを任される状態になってしまう恐れがあります。
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4. 社内ニートに陥る原因【職場の問題】
社内ニートに陥る原因は、個人にあるとは限りません。職場環境に何らかの問題があることも考えられます。
4.1. 人員過多または人員不足
業務の量に対して人員が多い人員過多の場合、何もすることがない手持ち無沙汰な社員が生まれることがあります。
一方で人員不足の場合も、業務の内容によっては一部の経験豊富な社員に仕事が集中し、スキルを持たない社員はいわゆる社内ニートのようになってしまうことがあります。
4.2. 教育体制が整っていない
教育体制が不十分だと、新入社員や異動した社員は必要なスキルを身につけられないまま時間が過ぎることになります。そうなると、仕事をしようと思ってもやり方がわからず、できることが限られてしまいます。
また、スキルが身に付かないことでモチベーションが低下し、社内ニート状態に陥りやすくなることもあります。
4.3. 上司のハラスメントが黙認されている
上司によるパワハラなどが横行しているような職場では、上司が自分の気に入らない部下に仕事を与えないなどして、その結果いわゆる社内ニートを生んでしまうことも考えられます。
そういった理不尽な扱いを受けている場合は、社内の窓口や適切な機関に相談をして、改善を図る必要があります。
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5. 社内ニートの状態が続くリスク
「仕事をしなくてもお給料をもらえるのだから、社内ニートはラクで楽しいのでは?」と思う人もいるようですが、そのような状態が続くと自身のキャリアに悪影響が出る可能性が高くなります。具体的には、以下のようなリスクが考えられます。
5.1. キャリアアップが見込めず将来が不安になる
業務を任せてもらえないと経験やスキル、実績を積む機会が限られるため、昇進や昇給のチャンスが減ってしまうでしょう。
仕事がない状態が長く続くほどに周囲との差を感じ、長期的なキャリアの展望が見えにくくなって、将来への不安が募る可能性があります。
5.2. 社会人としての意義を見失う
仕事や役割が与えられない状態が続くと、自分が組織にとって必要な存在であるという実感が薄れ、社会人としての意義も見失ってしまうことになりかねません。
その末路として、毎日出社するのが嫌になってしまったり、「自分は何のためにいるのか」「会社に来ない方がいいのではないか」といった劣等感や無力感が強まったりして、心身の不調につながることもあります。
5.3. リストラの対象になる可能性も
経営合理化や人員削減を目的に企業がリストラを行う際は、企業への貢献度が低い社員を対象とすることが多いです。社内ニートの状態では、仕事の成果も少ないことから、リストラの対象に挙げられるリスクが高くなります。
企業がおかれている状況は変化することもあり、将来的な雇用が保障されているわけではないことを理解しておかなければなりません。
6. 社内ニートから抜け出すには
いわゆる社内ニートになってしまうと、上記のようなリスクも相まって辛いと感じる場合が多いです。では、その辛い状況からどのようにどうやって抜け出したら良いのでしょうか。
6.1. 社内ニートになった原因を見つける
まずは、自分に与えられる業務がないことの原因を探りましょう。原因を特定することで、社内ニートから抜け出すための解決策を見つけやすくなり、具体的な行動を起こすきっかけも生まれます。
原因が自分にあると感じるのなら、改善もしやすいでしょう。また、職場側に原因がある場合も、上司や先輩、会社の窓口などに相談することで解決の糸口が見えてくるかもしれません。
6.2. 自ら仕事を探しに行く
受動的な姿勢で待っていても、仕事はなかなか回ってこないかもしれません。そこで、自ら積極的に仕事を探しに動くことが重要となります。
例えば、「何かお手伝いできることはありますか?」などと周りの人に声をかけたり、新しいプロジェクトの提案などを行ったりすれば、自分で自分の仕事を生み出すことができ、仕事を求める姿勢のアピールにもなります。
6.3. スキルを身につける
業務に役立つスキルを習得すれば仕事の幅が広がり、より多くの業務をこなせるようになります。特に資格などでスキルを証明できると、職場での存在価値が高まり、新しい仕事を任せてもらえるかもしれません。
確かなスキルを獲得することで自分に自信もつきますし、キャリアの選択肢も広がるので、将来的なキャリアパスの改善にもつながります。
6.4. 異動願いを出す
自分のいる部署の環境に問題がある場合、他部署への異動を希望するのも良いでしょう。新しい役割を任される機会が得られるので、活躍できるようになる可能性があります。
新しい環境での挑戦は、仕事へのモチベーションを高めるきっかけともなるでしょう。ただし、異動願いを出したからといって、必ずしも希望の部署に異動できるとは限らない点には注意が必要です。
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6.5. 転職を視野に入れる
現在の職場に限界を感じたら、心機一転新たな気持ちでスタートを切るのもおすすめです。転職し、新しい環境に身を置けば、自分のスキルや特性を活かして生き生きと働くことが可能になるかもしれません。
もしも、「自分に合った職種がわからない」「仕事探しが大変」「求人情報に載っていない職場の雰囲気が知りたい」など、転職に関して疑問や不安がある場合は、転職のプロである転職エージェントを利用するのがいいでしょう。
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7. まとめ
職場で担当する仕事が少なく、時間を持て余している状態は、社内ニートと呼ばれることもあります。主な原因にはコミュニケーションの欠如や人員の過不足などが上げられますが、そのような状態が続くことはキャリアにおいてリスクです。
自分が社内ニートだと感じる場合は、まず自分の状況を分析し、原因を特定することが重要です。職場での存在感や価値を高められるよう工夫することが大切ですが、もし職場環境に疑問を感じているなら、異動や転職も選択肢となるでしょう。
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