「残業が多くて仕事が辛い」「残業が多い理由は自分のせい?」、このように悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
残業が多い理由は、大きく分けて、人手不足や体制が整っていないなど「会社側の問題」である場合と、業務効率が悪い・依頼を断れないなど「自分自身の問題」である場合の2つの場合に分類されます。
本記事では残業が多い理由や多い人の特徴、改善方法をご紹介します。職場環境や仕事に対する姿勢や価値観を見直すきっかけになるでしょう。
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1. 残業時間の定義とは
労働基準法 第32条によると、「法定労働時間」は1日8時間かつ週40時間を上限と定めています。つまり、残業時間とは1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働いた時間のことを指します。
企業では、法定労働時間内であれば就業時間を自由に定めることが可能で、就業規則や雇用契約書に記載されている就業時間のことを「所定労働時間」といいます。
例えば、所定労働時間が7時間とされている会社で1時間残業した場合、法定労働時間の上限である8時間を超過していないため「法定内残業」となります。
【関連記事】「残業時間とは? 定義や36協定、新たな上限をわかりやすく解説」
2. 一般労働者の平均残業時間
一般労働者はひと月にどれくらいの残業をしているのでしょうか。ここでは、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計調査」を基に平均残業時間を月ごとにまとめました。
幅(中) | 総実労働時間 | 所定内労働時間 | 所定外労働時間 | 出勤日数 |
---|---|---|---|---|
令和5年5月 | 133.6時間 | 123.9時間 | 9.7時間 | 17.3日 |
令和5年4月 | 140.8時間 |
130.3時間 |
10.5時間 |
18.2日 |
令和5年3月 |
138.0時間 |
127.5時間 |
10.5時間 |
17.8日 |
月間の残業時間を把握したい場合は、所定外労働時間の項目を確認します。
上記のデータは、企業側の調査結果を基にしているため、実際にはこれよりも多い可能性があるので注意しましょう。
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年5月分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数」
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年4月分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数」
【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年3月分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数」
3. 残業が多くなる原因
そもそもどうして残業が多くなるのでしょうか。ここでは、残業が多い人や企業において残業が多くなる原因を5つにわけて紹介します。
3.1. 人手不足によるもの
業界全体的に人手不足で、業務に必要な人員を確保できていない場合があります。
例えば、医療や福祉、物流、IT業界では人手不足の深刻化が問題視されており、残業時間が多くなる傾向にあります。
10人で取り組むべき仕事を5人でこなしているといったような場合は、単純計算で仕事量が2倍に増えるので、残業が発生してしまうことになります。
3.2. 繁忙期のため
仕事が集中して忙しくなる「繁忙期」は、作業量が大幅に増えるため残業が多くなりがちです。繁忙期は業界や業種、取り扱うサービスや製品によって異なることが特徴です。
例えば、物流業界は人や物の移動が増える年末年始や3月中旬〜4月中旬が繁忙期にあたります。経理職であれば、決算関連の業務が増える3月〜5月、年末調整に関する業務が多い11月〜1月にかけて繁忙期となります。
会社は、残業を増やさずに繁忙期を乗り切る方法を考えなければなりません。
3.3. 業務フロー体制が整っていない
仕事の手順や段取りなどを分かりやすく示した業務フローがなければ、仕事をスムーズに遂行していくことが難しくなります。
業務を効率的に進めるために、次に何をすべきか、誰に業務を依頼・共有すべきかを明確にして流れを把握できるように体制を整えましょう。
業務フロー体制を整える方法としては、はじめに現状を把握し、問題点を洗い出して改善計画を実行することが大切です。なお、実行した後で結果を検証しながら、より最適な業務フローを確立しましょう。
3.4. 業務が属人化している
業務の属人化とは、ある特定の社員が1つの業務を担当し、業務関連情報をその担当者だけが知っている状態のことを指します。
業務の属人化が起こると、誰が何の業務を進めているのか周囲の人が判断できず、協力し合うことが難しくなるでしょう。
また、属人化している場合、「自分にしか業務を遂行できない」と思い、大量な仕事量を抱え込んでしまう可能性もあります。
3.5. 残業が当たり前といった風潮がある
「残業するのが当たり前」「定時に上がるのはおかしい」というように定時で帰りにくい雰囲気の職場もあります。
「上司が残っているのに先に帰るのは気が引ける」と考える人も多いでしょう。残業が当たり前になると、プライベートの時間が減り、心身ともに疲れてしまいます。
【関連記事】「【仕事が終わらない】残業の原因とすぐに実践できる対処法10選」
4. 残業が多い人の特徴
残業が多い理由は、企業側に改善が必要な場合と社員側に問題があるケースに分けられます。ここでは、社員側の問題に着目して残業が多い人の特徴をまとめました。
4.1. 仕事の量が多い
仕事量が多すぎて処理が追いつかず、残業をせざるを得ない状況の人もいるでしょう。1人あたりに割り振られる仕事量が多すぎると、業務時間内に終わらせることができなくなります。
周りの社員よりも自分だけ明らかに業務量が多いといったような場合は、効率的に遂行できる優秀さが認められていたり、期待されている可能性もあります。
4.2. 人に仕事を振るのが苦手
複数人でこなさなければならない仕事であっても、ほとんどの業務を自分1人で引き受けてしまい業務量が増える可能性があります。
業界や業種によって異なりますが、仕事を進めるうえでは、1人で抱え込まずに的確に業務を分担してもらうことが大切です。
協力し合う体勢が整っていなければ、業務量にバラつきが出てしまいます。相手が抱えている仕事量や状況を把握したうえで、進捗を管理しながらともに遂行するようにしましょう。
4.3. 頼まれたことはなんでも引き受けてしまう
頼まれたことを何でも引き受けてしまい、仕事量が調整できていない可能性があります。自分の業務だけで手一杯なのに、ほかの人の顔色をうかがい、断れないケースもあるでしょう。
「断ったら今後、頼ってもらえなくなるかも」「自分が我慢すればいい」と考えてしまう人もいます。
しかしすべてを引き受けてしまうと、キャパシティオーバー(許容量の超過)になってしまうので、仕事を引き受けられない理由と代替案を伝えるようにしましょう。
4.4. 仕事の進みが遅い
仕事の進め方が非効率的で、ほかの人と同じ業務量なのに「自分だけ仕事が終わらない」というケースもあるでしょう。
仕事が遅くなる原因として、「取り掛かりが遅い」「仕事に優先順位をつけられない」「思考が止まる時間が多い」などが挙げられます。
仕事を円滑に進めるには、締め切りまでの期間やかかる時間を明確にしてゴールから逆算して優先順位をつけたり、仕事が早い人を参考にしたりといった工夫が必要です。
4.5. 優先順位がつけられない
仕事は、タスクを細分化させて優先順位をつけることが大切です。緊急度の高いものから低いものまで優先度を分けることからはじめましょう。
例えば、今週末に締め切りの業務があるのに後回しにして、月末の処理を先に着手してしまうと、週末に慌てて業務を進めることになります。
また、優先順位をつけて仕事を進めなければ、メリハリがなく、重要な業務なのに集中力が切れた状態で行うことにもつながります。
【関連記事】「仕事が遅くて落ち込む...遅くなる原因5つと仕事を円滑に進めるコツ」
5. 残業が多いと言われている仕事
厚生労働省が公開する「1か月の法定時間外労働の実績」によると、下記の業界・業種は、比較的残業時間が多い傾向にあります。
● 製造業
● 建設業
● 運輸交通業
● 貨物取扱業
● 商業
● 教育・研究業
● 保健衛生業
● 接客娯楽業
上記の業界・業種のなかからさらに労働時間が比較的長い職種をピックアップしました。
職種 | 労働時間 |
---|---|
システムエンジニア | 166時間 |
コンサルタント | 168時間 |
営業 |
167時間 |
一般的に「人手不足」と言われている業界・職種では、一人当たりの業務量が多く、残業時間が長い傾向にあります。
【出典】厚生労働省「資料2.長時間労働の指摘がある業種・職種の実態について(例)」
【出典】厚生労働省「システムエンジニア(基盤システム)」
【出典】厚生労働省「経営コンサルタント」
【出典】厚生労働省「食品営業(食品メーカー)」
6. 残業が多いと感じた時の改善方法
残業が多くて悩んでいる時には、下記の改善方法を試してみましょう。
● まずは残業の原因を考える
● 作業フローを見直す
● タスクの優先順位を見直す
● 自分しかできない仕事なのか考える
● 転職を検討してみる
残業が多い原因にあわせて対処法を選択することが大切です。
6.1. まずは残業の原因を考える
残業が多いと感じた時には、なぜ業務が終わらないのか原因を明確にしましょう。
自分自身に問題がある場合と、会社の体制・環境に問題がある場合で取るべき対処法が異なります。原因に適した対処法を試して、改善を図ることができるか確認してみましょう。
6.2. 作業フローを見直す
普段の作業フローのなかから「必要な作業」と「不要な作業」に分類します。長い間同じ作業を繰り返していると、「不要な作業はない」と思い込んでしまいがちですが、細分化することで見えてくる可能性があります。
不要な作業を取り除くことで効率がよくなったり、いつもよりも早く仕事が終わったりと良い方向に向かうかもしれません。
6.3. タスクの優先順位を見直す
作業フローを見直して、タスクを細分化させたら、そのタスクに優先順位をつけましょう。
GoogleスプレッドシートやExcel、Wordなどに、緊急度の高いものから順にまとめてみたり、タスク管理ツールを活用するなどして、優先順位つけを行いましょう。
また、タスクにはそれぞれ納期などがあるはずですので、ゴールから逆算していつまでに終わらせれば良いのか考えてタスクごとに締め切りを設けます。
6.4. 自分しかできない仕事なのか考える
周囲に比べて1人だけ業務量が多い場合は、自分にしかできない仕事なのかを考えてみましょう。
誰にでもできる仕事であれば、協力してくれる人を探して声をかけてみてください。
周囲の人へ気軽に依頼できない状態の場合は、日頃から積極的にコミュニケーションをとって距離を縮めることからはじめましょう。
周りと協力し合いながら仕事を進められない人は、職場環境を見直すことが大切です。
6.5. 転職を検討してみる
残業が多い理由を考えたときに、ほとんどが会社側の問題で解決の糸口が見つからない場合は、転職を検討するのも1つの手段です。
例えば、人手不足が深刻化している業界だったり、属人化しやすい仕事で1人あたりの負担が大きかったりする場合は転職をすることで解決できるかもしれません。
転職活動をはじめてほかの企業に触れることで、視野が広くなる可能性もあります。理想的な働き方を実現させるために、何を重要視するのかを決めてから転職先を探してみてはいかがでしょうか。
【関連記事】「【残業したくない】職場で嫌われずに意思表示する方法」
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7. まとめ
残業が多くて悩んでいる方は、仕事が終わらない原因を明確にして、その原因に合う対処法を試してみましょう。
残業が多い理由は、会社側と社員側の大きく2つに分けられるので、自分の業務効率や、断れない性格が問題なら、考えや仕事の進め方を見直してみてはいかがでしょうか。
仕事が終わらない時の対処法を参考に改善していくことで、効率的に業務を遂行できるはずです。
なお、会社側の問題で残業が続いており、改善がみられない場合は、転職を検討しても良いかもしれません。
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