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DAY 2018.02.08 キャリア

日本における平均残業時間と残業のこれから

日本の正社員の平均残業時間をご存知ですか?厚生労働省の統計(平成28年度)ではたった14時間というデータがありますが、これはサービス残業が含まれない数字になります。業種別の残業平均と今後の日本における残業時間・残業代がどうなっているか、平均より残業が多い人はどう行動するべきかを解説します。

業種別【最新】日本の残業時間平均(正社員)

世界でも、日本人は良く働き、遅くまで残業をしていると思われていることが多いですよね。たしかに、日本人は勤勉で、私生活よりも仕事を重視するといわれていた時代もありました。しかし、時は流れ、日本人の仕事に対する意識も変化してきています。現在の日本における、正社員の残業時間の平均は、どのようになっているのでしょうか?

「毎月勤労統計調査 平成28年度分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数」(厚生労働省)

上記のグラフは、職種別の日本の1ヵ月当たりの残業時間を表しています。このデータから、産業全体で平均14時間以上の残業が行われていることが分かります。正社員の多くは、週休2日制で1日8時間労働が基本ですので、1ヵ月の勤務日数が20日とすると、月に160時間働くことになると言えます。そのため、1日に1時間残業をすると、20時間。2時間なら40時間の残業になることが分かりますよね。その観点から見ると、現在の日本では残業はあまり行っていないというように映ります。

ところが、このデータには、サービス残業(※)の時間は含まれていません。日本は、サービス残業が多い風潮がありますので、その数を入れれば、おそらく40時間以上の残業を行っているのではないでしょうか?また、世界の国々の労働時間と比較すると、年間の労働時間が1,713時間で、アメリカやイギリスなどを含む38ヵ国中22位というデータが報告されており、日本は労働時間がやや長い方となっています。しかし、世界と比較したデータにも、残業時間などは含まれていませんので、実質はもっと労働時間が長いことがうかがえます。

(※サービス残業とは、雇用主が正規の賃金(日本の場合、労働基準法が定める時間外労働手当)の全額を支払わず、その責任を免れる時間外労働の俗称。雇用主がその立場を悪用することで労働者に対して強制を強いる場合が一般化している)


このような動向から考えると、あなたがもし40時間以上の残業をしていたならば、平均残業時間が多めだと言えます。その場合は、効率を考えて仕事をしたり、会社側に労働状況の改善を要求する必要性が出てくるかもしれません。

日本における「残業」のこれから

そもそも、残業とは、労働時間内に今日のノルマが終わらない場合など、必要性を持って、上司の指示により行われることが基本です。そのため、必要性がないサービス残業は減らしていかなければならないという考え方が生まれ始めています。

進んでいる「働き方改革」

現在は、「働き方改革」に取り組む企業も増加してきました。某データ研究所の調査によると、2015年には、働き方改革に焦点を当てている企業が22.2%であったのに対し、2017年では36.4%へと推移していることが報告されています。

また、時間外労働の詳細を定めている法律に、労働基準法第36条(36(サブロク)協定)があります。36協定は、労働組合などの労働者側と使用者側との間で時間外労働などについて定め、それを行政官庁へと届け出た場合は、法定労働時間を超えた勤務が許されるというものです。しかし、長時間労働の抑制や柔軟な働き方の実現などに対して目が向けられるようになったことにより、36協定の再検討が国会で提言されるようになりました。

従来までは、残業をすることは一般的だという考え方もありましたが、この流れとともに、今後は残業を前提としない働き方に変化していく傾向にあるといわれています。さらに、子育てをしながら仕事をする社員の短時間勤務やフレックス制度の推進など、勤務スタイルも多様化・多元化していくことがうかがえます。しかし、働き方改革は、企業によって程度に差が出てくる可能性があることは否めない事実でもあります。

参考:
ニッセイ基礎研究所 『残業があたり前の時代は終わる―正社員の「働き方改革」のこれから』 2016年10月7日
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=54037?site=nli
ニッセイ基礎研究所 『働き方改革はどこに向かうのか~時間制約のあるフルタイム勤務への「移行」と「多元化」』 2016年9月8日
http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=53797?site=nli

「残業ゼロ法案」は大丈夫?残業代は払われる?

「残業ゼロ法案」は、高度プロフェッショナル制度などを盛り込んだ労働基準法などの一部を改正する法案です。その内容を簡単に説明すると、高度な専門職(コンサルタントや研究開発など)に就いており、年収が1,075万円以上の人の残業代を支払いの対象にしないというものです。
この法案の考え方は、労働時間ではなく、どの程度成果が出たかで評価されることを望む労働者の視点に立っています。

年収が高く、特殊な専門職に携わる人に限定する法案なので、自分には問題ないと感じる方もいるかもしれません。しかし、今後残業ゼロ法案が通った場合、対象となる労働者には「1日8時間、週40時間」の労働時間の規制が適用されなくなり、たとえ24時間労働を行ったとしても、違法にはならないということになってしまうのです。さらに、どんなに労働者が働いても使用者は残業代を一切支払わなくてよくなるため、場合によっては長時間労働が増加することが危惧されています。また、労働時間に対するこのような考え方が当たり前になってしまえば、私たちの残業時間が少々長くなっても、抵抗が少なくなってしまう恐れもあります。

このように、日本の残業時間については、現在活発に議論されている最中です。また、昔と現代の仕事に対する考え方の変化などによって、残業を前提とする働き方が時代にマッチしにくい部分も大いに出てきています。今後の日本の残業時間は、状況に合わせながら、減少させていくという方向に進むことが考えられます。

残業が平均より多い「あなた」が明日から行うこと

どうしても期日中に終わらせなければならない仕事などがある場合、残業を行うのは悪いことではありません。しかし、そうではないにもかかわらず、残業時間が月に40時間以上になっている場合には、以下のように、残業を減らす工夫や取り組みが必要になってくるといえるでしょう。

1)残業を減らす取り組み

①自分は残業をしすぎだという事実に気づくこと
いつも定時に仕事を終わらせることがなく、残業を日課のように続けていると、自分が残業をし過ぎていることが分からなくなってしまうことがあり得ます。また、それが習慣化してしまうと、自分自身が残業を前提にしか仕事ができなくなってしまうだけでなく、同僚など周りの人に対しても、「残業をすることが当たり前だ」というメッセージを無意識のうちに送り、定時で帰りにくい雰囲気を作ってしまっていることもあるかもしれません。もし、自分が毎日残業を繰り返しているのなら、その事実を客観的に見つめ、残業をしない日を意識的に作るなどの変化を起こしてみましょう。

②仕事の優先順位を考えた上で、業務を行う
本当は残業をしたくないけれど、仕事の効率が上がらず、仕方なしに残業をしなければならない状況に陥っている方もいることでしょう。そういう場合は、仕事の優先順位を考えずに業務をこなしている可能性もあります。たとえば、時間のかかる案件ばかりに集中していたり、納期のことは頭に入れずに、目についた仕事からこなしていたりすることなどが考えられます。このような状況に対しては、比較的容易な仕事から取り掛かることや、納期の早い順に仕事を片付けていくという工夫を行うことで、時間を有効に使うことができ、残業を減らすことが大いにできることでしょう。

2)改善が見られない場合

①自分だけの問題ではなく、職場環境にも働きかける
自分がどのぐらい残業しているかに気づくことで、その習慣を変化させることや、仕事の優先順位を考えたうえで業務をすることで残業をする必要性が減ったとします。しかし、職場の上司が残業をしない部下に嫌悪感を示していたり、残業することが当たり前というような雰囲気の職場だったとしたら、個人の努力だけでは解決しない場合も多くあります。そういうときは、信頼できる役付きの人や人事部などに相談することも大切です。会社内部からの介入で、残業体制についての環境調整が行われる可能性もあります。

②積極的に改善策が得られない場合は、転職も選択肢に入れる
自分の残業への意識改革と、会社内の環境調整ができる限り行われても、残業が一向に減らない場合もあるでしょう。残業を続けると、仕事のパフォーマンスに影響が出たり、私生活でもゆとりを持って過ごすことができず心身の不調が現れるといった問題が生じることがあります。そういう状況を避けるためにも、自分にとって働きやすい環境の会社が別にあるのなら、転職も視野に入れてみましょう

勤務時間の一部として捉えられていたことも多い残業ですが、国は残業時間を減らしていくための方策を盛り込んだ「働き方改革」の実現に向けた動きを見せています。また、残業時間の短縮とともに、労働者それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方も模索され始めています。国の制度が変わることは大切なことですが、まずは自分でできることから始めて、残業時間が減るように取り組んでみてはいかがでしょうか。

マイナビCanvas編集部

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