日本の月平均残業時間は? 残業の減らし方やホワイト企業への転職方法

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日本で働く正社員の平均残業時間をご存知ですか?厚生労働省の統計(令和6年度)ではたった12.9時間とされていますが、これはサービス残業が含まれない数字のため、あまりあてにならない数値といえます。

本記事では業種別の平均残業時間を紹介するとともに、今後の日本における残業時間・残業代がどうなっていくのか、平均より残業が多い人はどう行動するべきかについて解説します。

【関連記事】「残業が多い理由とは?多い人や仕事の特徴、改善方法を紹介」

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1.業種別【最新】日本の残業時間平均(正社員)

世界でも、日本人は良く働き、遅くまで残業をしていると思われることが多いですよね。たしかに、日本人は勤勉で、私生活よりも仕事を重視するといわれていた時代もありました。しかし、時は流れ、日本人の仕事に対する意識も変化してきています。現在の日本における、正社員の残業時間の平均は、どのようになっているのでしょうか?

令和6年度に公表された厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、産業全体で平均12.9時間の残業が行われていることが分かりました。正社員の多くは週休2日が基本ですので、1ヵ月の勤務日数は約20日です。もしも、1日に1時間残業をすると20時間、2時間なら40時間の残業となります。そう考えると、現在の日本では残業はあまり行われていないように思えます。

ところが、このデータにサービス残業(※)の時間は含まれていません日本はサービス残業が多い風潮があるため、その時間を入れると、おそらく40時間以上の残業を行っている方が多くなるのではないでしょうか?

また、世界の国々の労働時間と比較すると、2022年の日本の年間労働時間は1,607時間であり、アメリカやイギリスなどを含む44ヵ国中30位というデータが報告されています。しかし、このデータにも残業時間は含まれておらず、非正規社員のデータをあわせた数字のため、正社員の実質労働時間はもっと長いことがうかがえます。

(※サービス残業とは、雇用主が正規の賃金(日本の場合、労働基準法が定める時間外労働手当)の全額を支払わず、その責任を免れる時間外労働の俗称。雇用主がその立場を悪用することで労働者に対して強制を強いる場合が一般化している)

【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果確報|第2表 月間実労働時間及び出勤日数」

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2.残業は何時間からきついと感じやすい?

前述のような動向から考えると、あなたがもし40時間以上の残業をしていたならば、平均残業時間が多めだと言えます。

さらに、平均80時間を超えると十分な休息が取れず体調を崩すなど健康に影響が出てしまうリスクが高まります。その場合は、効率を考えて仕事をしたり、会社側に労働状況の改善を要求する必要性が出てくるかもしれません。

改善されない場合は転職を考えてみましょう。

【関連記事】「残業削減だけじゃない!真の働き方改革とは!?会社でプライベートも充実させる「公私融合」サービスが登場!!」

3.日本における「残業」のこれから

そもそも、残業とは、労働時間内に今日のノルマが終わらない場合など、必要性を持って、上司の指示により行われることが基本です。そのため、必要性がないサービス残業は減らしていかなければならないという考え方が生まれ始めています。

1)進んでいる「働き方改革」

近年、日本の労働環境は「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立」といった多くの課題に直面しています。

そのような中、労働者一人ひとりが自由な働き方を選択し、将来に向けた希望を持てるようにという観点から働き方改革が進められています。

正規・非正規の格差解消や、女性と高齢者の就労環境整備のほか、長時間労働の改善も働き方改革の大きな柱です。

例えば、時間外労働の詳細を定めている法律に、労働基準法第36条(36(サブロク)協定)があります。36協定は、労働組合などの労働者側と使用者側との間で時間外労働などについて定め、それを行政官庁へと届け出た場合は、法定労働時間を超えた勤務が許されるというものです。

原則として、時間外労働の上限は月45時間以内、年360時間以内とされていますが、これまで建設業では特別な事情がある場合、この上限を猶予されていました。しかし、令和6年4月からは、建設業にも一定の上限が設けられています。

このように、今後は残業を前提としない働き方に変化していく傾向にあるといわれています。さらに、子育てをしながら仕事をする社員の短時間勤務やフレックス制度の推進など、勤務スタイルも多様化・多元化していくことがうかがえます。とはいえ、働き方改革の進め方については、企業によって差が激しくなる可能性があることは否めない事実でもあります。

【出典】厚生労働省「時間外労働の上限規制」

【関連記事】「社会人のための「労働基準法」講座~残業編~」

2)「残業代ゼロ法案」とは?残業代は支払われる?

「残業代ゼロ法案」は、「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んだ労働基準法などの一部を改正する法案であり、2019年4月に施行されました。その内容を簡単に説明すると、コンサルタントや研究開発など高度な専門職に就く、年収が1,075万円以上の人の残業代を支払いの対象にしないというものです。
この法案の考え方は、労働時間ではなく、どの程度成果が出たかで評価されることを望む労働者の視点に立っています。

この法案の問題点としては、主に「労働時間の増加」と「残業代の廃止」という2点が挙げられています。実際、対象者には「1日8時間、週40時間」の労働時間の規制が適用されないため、たとえ24時間労働を行ったとしても、違法にはなりません。さらに、どんなに労働者が働いても使用者は残業代を一切支払わなくてよくなるので、場合によっては労働時間が増加することが危惧されています。

年収が高く、特殊な専門職に携わる人に限定する法案であり、自分には関係ないと感じる方もいるかもしれませんが、こういった考え方が当たり前になってしまうと、残業時間が少々長くなっても、違和感を感じなくなってしまう恐れがあります。

今後、日本の残業時間は状況に合わせながら、減少していくことが考えられるものの、その方法については未だ活発に議論されている最中です。

【関連記事】「残業時間とは? 法律で定める時間外労働の定義や36協定、新たな上限を解説」

4.残業時間を減らすために行うべきこと

どうしても期日中に終わらせなければならない仕事がある場合など、残業を行うのは必ずしも悪いことではありません。しかし、特に理由もなく残業時間が月に40時間以上になっている場合は、残業を減らす工夫や取り組みが必要になってくるといえるでしょう。

1)残業が多いことを自覚する

いつも定時に仕事を終わらせることがなく、残業を日課のように続けていると、自分が残業をし過ぎていることが分からなくなってしまうことがあり得ます。また、それが習慣化してしまうと、自分自身が残業を前提にしか仕事ができなくなってしまうだけでなく、同僚など周りの人に対しても、「残業をすることが当たり前だ」というメッセージを無意識のうちに送り、定時で帰りにくい雰囲気を作ってしまっていることもあるかもしれません。もし、自分が毎日残業を繰り返しているのなら、その事実を客観的に見つめ、残業をしない日を意識的に作るなどの変化を起こしてみましょう。

2)優先順位を考えて業務を行う

本当は残業をしたくないけれど、仕事の効率が上がらず、仕方なしに残業をしなければならない状況に陥っている方もいるでしょう。そういう場合は、仕事の優先順位を考えずに業務をこなしている可能性あります。たとえば、時間のかかる案件ばかりに集中していたり、納期のことは頭に入れずに、目についた仕事からこなしていたりすることが考えられます。このような状況に対しては、比較的容易な仕事納期の早い仕事から取り掛かることが有効です。時間を有効に使えば、残業時間の削減も期待できるでしょう。

3)進捗状況を可視化して共有する

ツールやシステムを使い、業務の進捗状況を可視化して、上司やチームに共有するのも良い方法です。

自分以外の人に進捗状況を確認してもらうことで、より効率的に進めようという意識も生まれやすくなります。また、業務内容を共有すれば、手が空いている人に仕事を振り分けることもできるうえに、一人では解決が難しかった事案にも、的確なアドバイスや気づきをもらえるかもしれません。

4)目標時間を設定する

仕事の量が多いと、一気に片づけなくてはという思いから、休憩も取らずに仕事をし続けてしまうことがあります。しかし、長時間業務にあたっていると、気づかないうちに集中力が途切れて、結果的に時間を無駄にしてしまうかもしれません。

そのため、「12時までにこの業務を終わらせて1時間休憩を取る」など、目標時間を決めて取り掛かるのがおすすめです。仕事と休憩のメリハリをつけることで、適度な緊張感と集中力を保ったまま業務にあたれるでしょう。

【関連記事】「「残業したくない」と言っても大丈夫?職場で嫌われずに意思表示する方法」

5.残業時間に改善が見られない場合の対処法

上記のような努力をしても、なかなか残業時間が減らないという場合は、仕事自体に問題がある可能性があります。その場合は、職場に働きかけたり、転職を視野に入れたりといった行動が必要でしょう。

1)職場に働きかける

業務の効率化に成功し、残業をする必要性が減ったとします。しかし、「職場の上司が残業をしない部下に嫌悪感を示している」「残業することが当たり前な雰囲気がある」という場合、残業時間を減らすのは難しいでしょう。そういうときは、信頼できる役付きの人や人事部などに相談することも大切です。会社内部からの介入で、残業体制についての環境調整が行われる可能性もあります。

2)転職も選択肢にいれる

自分の残業への意識改革と、会社内の環境調整ができる限り行われても、残業が一向に減らない場合もあるでしょう。残業を続けると、仕事のパフォーマンスに影響が出たり、心身に不調が現れたりといった問題が生じることがあります。そういう状況を避けるためにも、自分にとって働きやすい環境の会社が別にあるのなら、転職も視野に入れてみましょう。

勤務時間の一部として捉えられていたことも多い残業ですが、国は残業時間を減らしていくための方策を盛り込んだ「働き方改革」の実現に向けた動きを見せています。また、残業時間の短縮とともに、労働者それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方も模索され始めています。もちろん、国の制度が変わることは大切なことですが、まずは自分でできることから始めて、残業時間が減るように取り組んでみてはいかがでしょうか。

【関連記事】「4~6月に集中的に残業すると9月以降はお給料が減る場合があるってホント?」

6.ホワイト企業に転職するには?

現在の日本は月平均残業時間20時間程度が一般的で、40時間を超えるとなると「きつい」「辞めたい」と感じる方も多いのではないでしょうか。

十分な休息を取れない環境で働くのは、仕事の効率が悪くなり悪循環陥りやすくなります。無理して体や心に不調をきたす前に、理想の環境で働ける会社への転職を検討しましょう。

無理して体や心に不調をきたす前に、理想の環境で働ける会社への転職を検討しましょう。

残業時間だけで見ると、20時間を切るとホワイト企業と認識されています。

残業時間が多くて辛いと感じている方は、ホワイト企業への転職を考えてみましょう。

【関連記事】「"ホワイト企業"ってどんな企業? 主な特徴や見分け方、健康経営との関係を解説」

1)離職率をチェックする

転職する前に、ホワイト企業の見分け方の1つとして、「離職率をチェックする」が挙げられます。

ホワイト企業=待遇が良くて働きやすい企業であるため、ホワイト企業は総じて離職率が低めなのが特徴的です。

反対に、離職率が高い=ブラック企業と捉えられがちですが、退職する理由は人それぞれであるため、一概に離職率の高さがブラック企業だと断定できるものではありません。したがって、離職率についてはあくまでも参考程度に捉えておきましょう。

【関連記事】「残業代が出ないのは法律違反? とるべき対応と会社と交渉するときのポイント」

2)常に求人を出しているところは要注意

離職率とやや関連しますが、常に求人を出しており、いつ見ても求人サイトに掲載しているような企業は、人材が定着しない傾向があることが疑われます。

常に人材が不足している状態なので、採用する基準が低く、選考に時間を要しない場合もあります。

就職はしやすいですが、人が定着しない企業には何か問題がある可能性も考えられるため、応募する前に口コミや評判などをリサーチしておきましょう。

3)転職エージェントを活用する

転職エージェントでは、幅広い分野の中から一人ひとりに最適な企業を紹介してくれます。

まずは、転職するにあたって自分の気持ちを面談で伝えられるよう、明確にしておくことが大切です。また、今の仕事に対する悩みや就きたい職業、条件を書き出して漏れがないようにするといいでしょう。

転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談することで、転職サイトを探すだけでは見つけられない、細かい情報を得られるかもしれません。

一見残業時間が少なくホワイトに見える企業でも、仕事量が多くサービス残業をしている場合もあります。こういった情報を個人で見つけるのは難しいため、不安な場合はぜひ転職のプロである転職エージェントを活用してみましょう。

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