「ホワイト企業」とは? 主な特徴や見分け方、選ぶ際のポイントを解説

仕事の悩み・転職

ホワイト企業とは、労働環境が良好で、社員が安心して働ける企業のことです。しかし、ホワイト企業に明確な定義はないため、「残業〇時間以内ならホワイト企業」「年収〇万円以上であればホワイト企業」といった断定はできません。

そこで、今回はホワイト企業と言われる会社の特徴や、見分け方、選ぶ際のポイントを解説します。ホワイト企業についての理解を深めて、理想的な働き方を実現できるよう、ぜひ最後までご覧ください。

【関連記事】「【30代|ホワイト企業への転職】企業の見極めポイント&成功の秘訣」

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1.「ホワイト企業」の特徴とは?

ホワイト企業とは、一般的に「働きやすい会社」を表すときに使われる言葉です。具体的には、「適正な労働時間」「十分な給与と福利厚生」「ハラスメントのない環境」などが整っている企業を指します。

ホワイト企業は、「上司のパワハラが酷い」「労働時間に対して給与が見合わない」といった企業を表すときに使う「ブラック企業」の対義語として生まれました。

ホワイト企業に明確な定義はありませんが、ここでは一般的にホワイト企業と言われる会社の主な特徴を7つ紹介していきます。

1.1.残業が少なく有給休暇を取得しやすい

ホワイト企業は残業時間が少ないうえに有給休暇を取りやすいことが多いため、従業員はプライベートと仕事の両立を図りやすいです。

例えば、フレックスタイム制やノー残業デーなどを導入している企業は、理想的なワークライフバランスを実現しやすくなるでしょう。

また、厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等」によると、一般労働者の時間外労働の平均は13.7時間となっています。

毎月の時間外労働はどれくらいなのか有給休暇を取得しやすいのか、口コミを調べてみたり、転職エージェントなどで詳しく話を聞いたりしてみましょう。

【出典】厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等」

1.2.福利厚生が充実している

ホワイト企業と言われる会社では、福利厚生制度が充実しており、従業員の満足度が高い傾向にあります。福利厚生とは、企業が従業員に対して提供するサービスのことです。

福利厚生制度が充実している企業は、従業員が安心して働くことができることが多く、私生活での必要経費も抑えられるケースもあるので離職率が低くなります。

主な福利厚生制度の種類は、法律で定められている「法定福利厚生」と、企業が独自で提供する「法定外福利厚生」の2つです。

なかでも法定外福利厚生は、企業の経営が安定していなければ充実度が低くなる傾向がありますので、資金的な余裕を図る指標にもなります。

具体的には、育児・介護休暇や時短勤務制度旅行・レジャーの優待資格取得支援ジム法人会員などを取り入れている企業は、経営が安定していることが多いです。

1.3.業績・給与が安定している

景気に左右されにくく、業績・給与が安定している会社は、ホワイト企業と言えます。

業績が安定していれば、福利厚生を充実させたり、従業員にとって働きやすい環境づくりに力を入れたりできるでしょう。

反対に業績が悪化すると、福利厚生制度の廃止や賃下げ、賞与(ボーナス)減額・不支給など労働環境が低下する可能性もあります。最悪の場合はリストラや倒産の恐れもあるので、長く働き続けたい方は企業の財務諸表を確認しておきましょう。

上場企業の場合、財務諸表で企業の公式サイト内のIR情報を確認でき、非上場企業の場合は、有価証券報告書や決算公告で業績を確認することができます。売上や営業利益、内部留保(社内に保有しておくお金)などを見るようにしましょう。

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【関連記事】「転職でワークライフバランスを実現するには?ポイントとおすすめの業界・職種」

1.4.コンプライアンス意識が浸透している

ホワイト企業は、従業員にとって快適な労働環境を実現するために、コンプライアンス意識が高く、社内でも浸透している傾向にあります。

例えば、全社員が対象のコンプライアンス研修を定期的に行っていたり、相談窓口が用意されていたり、内部監査を実施したりと、さまざまな対策を講じていることが特徴です。

コンプライアンス意識が低い企業では、パワハラやモラハラ、過労問題、内部情報の漏れなどのトラブルが発生しやすくなります。

転職前には必ず情報収集をしたり、OB・OG訪問に参加したりしてコンプライアンスを遵守する意識が高い企業かどうかを見極めていきましょう。

1.5. 教育・研修に関する環境・制度が整っている

ホワイト企業は、従業員を長期的に雇用することを前提としているため、教育制度や研修制度が充実しています。

従業員がスキルを高めることで「働きがい」「モチベーションアップ」「年収アップ」に繋がり、好循環が生まれると考える経営者が多いからです。

ホワイト企業は、従業員のスキルを最大限に高め、自社に貢献できる人材を育成することに長けています。

例として以下のような教育・研修に関する制度が挙げられます

  • 新卒社員向けの新人研修
  • 中途採用社員向けの新人研修
  • OAスキルアップ研修
  • DX研修
  • 情報セキュリティ研修
  • コンプライアンス研修
  • 労務管理研修
  • リーダーシップ研修

また、福利厚生として資格取得や書籍購入の支援を実施している企業も多くあります。

1.6.設備などハードの面で働きやすい環境が整っている

ホワイト企業では、業務効率化を図るために勤務先の関連設備などが整っている傾向にあります。

例えば、重量のある荷物を運ぶ場合、従業員の肉体的負担を考慮し、自動運搬機器を導入するといった対策を講じているなどです。ハードワークは、従業員のモチベーション低下につながり、生産性も下がってしまうことが多いです。

1.7.人事評価の制度が整っている

ホワイト企業と言われる会社では、正当な評価を行い、従業員のモチベーションを維持する傾向にあります。

そもそも人事評価制度とは、従業員のパフォーマンスを査定し、報酬制度(賃金・賞与)や等級制度(職務・職能・役割)に反映させる仕組みのことです。

人事評価制度が曖昧(あいまい)だと、従業員が目標を見失ってしまったり、不平・不満を抱いたりしてしまう可能性があります。

ホワイト企業では、そのような状態が起こらないように評価者の教育を徹底する、または評価項目・基準を明確にするなどして、人事評価制度を整えているのです。

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2回目以降の転職で気を付けるべきポイントを確認する。

2.「ホワイト企業」を見分ける方法

どのようにしてホワイト企業を見分けることができるのでしょうか。ここでは、ホワイト企業を見分ける9つの方法をご紹介します。

2.1.クチコミサイトを確認してみる

企業の公式サイトを見てホワイト企業であると感じたものの、いざ入社してみるとブラック企業だったというケースもあります。

そのため、実際に働いている人のリアルな意見を確認してみましょう。

ネット上では、社員や元社員によるクチコミが集まっているサイトが複数あります。目を通してみると、具体的な残業時間や、給与、職場での人間関係などが見えてくることもありますのでチェックしておきましょう。

また、従業員や経営者がX(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどを運用している場合、投稿している内容から人柄や経営状況を確認できるかもしれません。

2.2.求人掲載の時期や頻度を確認する

就職・転職活動のシーズン以外の時期に高頻度で求人情報を出している会社は、ホワイト企業とはいえない可能性があります。求人情報を頻繁に出している企業は、従業員の定着率が低いとみることもできるからです。

また、業界や業種にもよりますが、常に人員不足が深刻化している会社は、労働環境や待遇が好ましくない可能性もあります。

反対にホワイト企業の場合、働きやすい環境を整えているので離職率が低く、人員に空きが出ることが少ない傾向にあるのです。

企業によっては業績が好調で業務拡大のために、高頻度で求人広告を打つケースもあるため断定はできませんが、確認しておくと良いでしょう。

2.3.残業の有無や月の残業時間がどれくらいかを確認する

採用情報や求人票に記載されている残業時間を確認しましょう。

ホワイト企業の場合、入社後のミスマッチを避けるため、残業の有無や具体的な時間も明記している傾向にあります。

一方で、残業時間の記載がない、または以下の表記がある場合は基本給に残業代が含まれている可能性もあるので注意しましょう。

  • みなし残業代
  • 固定残業代

ちなみに「みなし残業代10時間」と記載されている場合は、月に10時間前後の残業があるということになります。

2.4.インターンシップ制度を活用する

インターンシップとは、学生などが在学中に企業で労働体験を行う制度のことです。インターンシップ制度を利用できるようでしたら、実際に働いてみることをおすすめします。

文部科学省の「令和3年度大学・短期大学・高等専門学校におけるインターンシップ実施状況について」では、単位認定されるインターンシップに参加した学生は50,899人となっており、多くの学生が企業で就労体験をしていることが明らかになりました。

希望する企業へインターンシップができれば、入社後のミスマッチも避けられます

【出典】文部科学省「令和3年度大学・短期大学・高等専門学校におけるインターンシップ実施状況について」

【関連記事】「ブラック企業に転職しないために。ホワイト企業の探し方のコツ」

2.5.「ホワイト企業認定」を受けているかどうか

「ホワイト企業認定」とは、一般財団法人 日本次世代企業普及機構(JWS)が運営する認定制度です。

1,000社以上の調査から、企業のホワイト化に必要な設問を70問作成し、それを「ビジネスモデル/生産性」「ダイバーシティ&インクルージョン」「柔軟な働き方」「健康経営」「人材育成/働きがい」「リスクマネジメント」「労働法遵守」という7つの項目に分けて評価を行います

「ホワイト企業認定」を受けているかどうかは、ホワイト企業かどうかを判断する一つの指標となります。

2.6.「ホワイトマーク(安全衛生優良企業認定)」を取得しているかどうか

厚生労働省の「ホワイトマーク(安全衛生優良企業認定)」を取得しているかどうかも、ホワイト企業を見分けるのに有効です。

2.6.1. 「ホワイトマーク」とは

ホワイトマークとは、厚生労働省により、従業員の安全や健康を確保するための対策・改善に積極的に取り組んでいると認められた企業のことです。

正式名称は、「安全衛生優良企業認定」となっています。

この認証を受けるためには、約80もの基準をクリアする必要があります。具体的には以下のような項目があります。

  • 過去3年間労働安全衛生関連の法違反がない
  • 従業員の健康保持増進やメンタルヘルス、過重労働防止への対策など幅広い取組を実施している

【出典】厚生労働省 「安全衛生優良企業公表制度について」

2.6.2.ホワイトマーク企業の確認方法

ホワイトマークを取得した企業は、「認定マーク」が付与されるため、公式サイトや自社商品・サービス、求人広告などに掲載します。

ホワイトマークは、企業にとっての強みとなるので、求人広告や公式サイトなど目立つ場所に付けられていることが多いでしょう。

また、ホワイトマークの認証期間である3年間は、厚生労働省の公式サイトに企業名が掲載されるため簡単に確認できます。

2.7.「健康経営優良法人」に認定されているどうか

「健康経営優良法人」に認定されている企業は、従業員が健康的に働けるよう、さまざまな対策を講じています。

そのため離職率が低く、働きやすい環境が整っている可能性が高いのです。

2.7.1.健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を行っている会社を認定する制度のことです。

企業は、従業員が健康的に働けるように環境を整えたり、健康維持や管理に対する取り組みをしたりすると認定されます。

経済産業省が設計した健康経営の顕彰制度と言えるでしょう。

2.7.2.健康経営優良法人の確認方法

健康経営優良法人に認定された企業は、ロゴマークを使用できるようになります。

企業は、自社の公式サイトや求人情報に明記したり、製品やサービスにロゴマークをつけたりするため、すぐに確認できるでしょう。

ロゴマークには、年度ごとに数字が入るためいつ取得したのかまで把握できます。

また、経済産業省の公式サイト「認定法人一覧」に社名が記載されるので、気になる企業の取得情報を調べてみてはいかがでしょうか。

2.8.その他の認定や受賞歴を参考にする

労働者に寄り添った働きやすい職場を見分けるには、「ホワイト企業認定」「ホワイトマーク」「健康経営優良法人」以外の認定や受賞歴を参考にするのも良いでしょう。

例えば、厚生労働省では以下の認定や表彰を実施しています。

【厚生労働省の認定制度】

  • くるみん認定
  • えるぼし認定
  • ユースエール認定
  • トモニンマーク

【厚生労働省の表彰・選定制度】

  • なでしこ銘柄
  • Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業

【出典】厚生労働省「くるみん認定」
【出典】厚生労働省「えるぼし認定」
【出典】厚生労働省「ユースエール認定」
【出典】厚生労働省「トモニンマーク」
【出典】厚生労働省「なでしこ銘柄・Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」

2.9.ホワイト企業情報を入手しにくい場合は転職エージェントを活用する

ホワイト企業を見つけようと情報収集している際に、口コミが1件もない、または公的な認定を受けているのか分からないというケースもあるでしょう。

情報を入手できない場合は、転職エージェントの活用をおすすめします。

転職エージェントは、企業の内部情報まで把握していることが多く、公式サイトを見るだけでは得られない情報まで知り得ています。

また、企業へ実際に入社した人のリアルな意見も知っているので、転職前に企業を深く理解できるでしょう。

例えば、マイナビエージェントでは、業界専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、業界の転職事情にも詳しいため、求職者のキャリアに沿った優良求人を案内してくれます。

また、社内の雰囲気や働く人の様子など、求人票だけでは分からない情報を知ることができます

プロのキャリアアドバイザーによる手厚いサポートを受けて、理想の働き方を実現できる企業への入社を目指しましょう。

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【関連記事】「「好きなことを仕事にする」メリットは? そのための方法やデメリットも解説」

3.「ホワイト企業」を選ぶ際のポイント

ホワイト企業に入社して、理想的なライフワークバランスを実現するためのポイントを押さえておきましょう。

3.1.離職率の低さ・勤続年数の長さをチェックする

ホワイト企業は、従業員が働きやすい環境を整えることに注力しており、「辞めたい」と思う従業員が少ないことから、離職率が低く勤続年数が長い傾向です。

離職率とは、一定の期間のうちに、どれくらいの従業員が会社を辞めたのかを示す割合のことです。「離職率が低い=会社の居心地が良い」と考えられるでしょう。

国税庁と厚生労働省の調査によると、令和5年の平均離職率と平均勤続年数は以下のとおりです。離職率の低さや、勤続年数の長さをチェックする際の参考にしてみてください。

平均離職率 15.4%
平均勤続年数 12.5年

ただし、ベンチャー企業のように創業年数が短い場合は、平均勤務年数が短くなる傾向にありますので注意しましょう。

【出典】国税庁「民令和5年分民間給与実態統計調査」

【出典】厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果」

3.2.求人情報にあいまいな表現や誇張がないかを確認する

求人情報で、給与や労働時間、福利厚生などの情報が明確に記載されているかどうかを確認しましょう。具体的な仕事内容が示されていなかったり、勤務時間や給与があいまいにされていたりする会社は注意が必要です。

また、「誰でも高収入確実!」「未経験でも即年収〇千万円!」などの強調表現が多すぎる場合も、実際に働いてみると労働条件が全く違うといった事態になりかねません。ホワイト企業を選ぶ際は、あいまいな表現や誇張がないかをしっかりと見極めることが重要です。

3.3.市場シェアが高い企業かどうかを確認する

どんなに優良企業であっても、業績が悪化すると、それに伴い待遇も悪くなる可能性があります。そのため、市場シェアが高い業界であるか、といった企業の成長性・将来性を見極める必要があります。

市場シェアは、以下の方法で調べられるのでぜひチェックしてみてください。

  • 日本経済新聞社の国内シェア調査結果
  • 市場調査会社の市場動向資料を入手する
  • 事業会社のIRデータを入手する
  • 官公庁が発行する資料から調べる

なお、経済産業省の公式サイト「統計」項目内では、さまざまな業界の調査結果が一覧で確認できます。

【出典】経済産業省

3.4.自分が企業に求めているものは何かが重要

本記事で紹介したホワイト企業の特徴が、必ずしも自分に合っているとは限りません。たとえ、ホワイト企業ランキングの上位に入る優良企業であっても、自分自身がやりたい仕事でなければ、やりがいを持って働くことはできないでしょう。

そのため、「どうして転職したいのか」「転職先の企業でどんな風に働きたいのか」などを細かく分析をして、自分が企業に求めているものは何かを見極めることが重要です。

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【関連記事】「【自分に向いてる仕事がわからない】仕事が向いてないと判断する方法を紹介」

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4.まとめ

ホワイト企業は、明確な定義がないため特徴を断定することはできません。また「ホワイト企業に入社できれば確実に転職が成功する」とも限りません。

理想的な働き方を実現するためには、自分が企業に求めるものが何なのかを明確化させ、それらと企業が合うか確認することが大切です。

マイナビエージェントでは、転職相談から自己分析、面接の練習、書類作成などをサポートしてくれるので、自分に合う企業を見つけられるでしょう。ぜひ、活用してみてください。


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