仕事を辞めたいなら"来年4月以降"のほうがいい!? 「失業保険」の"給付制限期間"短縮など改正内容を解説

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失業した場合や、就職のための教育訓練を受けた場合、育児や介護のために休業した場合などに給付金を支給する雇用保険制度。2024年5月に「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立し、今後、雇用保険適用拡大や教育訓練給付拡充などが図られていくと見込まれています。

この改正を踏まえると、次の就職先は決まっていないけれど今の会社を辞めたいという人は、今すぐ退職しなければならないやむをえない事情がなければ、退職時期を来年まで待ったほうがいいかもしれません。

今回は、2024年の雇用保険法改正による変更点のうち、とくに再就職などに関わるポイントについて解説していきます。現在再就職を考える人などはぜひ参考にしてください。

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1.雇用保険法改正には2つのポイントがある

働き方やライフスタイルが多様化している近年の状況を背景にしてなされた雇用保険法改正には、さまざまな重要なポイントが含まれています。

その中でも、特に再就職にかかわる変更点として挙げられるのが、「自己都合離職者の給付制限の短縮」「教育訓練給付制度の拡充」の二つです。

以下では、それぞれの点について確認していきましょう。

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2.自己都合離職者の給付制限の見直し

2.1.自己都合離職をした人が失業給付を受給する際の給付制限期間を短縮

まず一つ目のポイントは、自己都合離職をした人が失業給付を受給する際の給付制限の見直しです。

現行法では、自己都合で退職した人が失業給付を受給するにあたって、7日間の待期期間の翌日から、原則2カ月間の給付制限期がかかります。

今回の改正を経て、この給付制限期間が1カ月へと変更となります。

2.2.離職期間中や離職日前1年以内に教育訓練を行った場合には給付制限が解除

さらに、離職期間中や離職日前1年以内に、雇用の安定・就職の促進に必要な教育訓練を行った場合には、給付制限が解除されます。

つまり、自分で教育訓練を受けた人は、自己都合離職であっても、会社都合などと同じように待機期間後にすぐに失業給付を受け取れるということです。

なお、施行は2025年4月となっています。

2.3.今までよりキャリアチェンジがしやすくなる

従来は自分から会社を辞めたいと思っても、「自己都合で離職するとすぐには失業給付がもらえないから」と考えて躊躇していた人も少なからずいたでしょう。

しかし自己都合離職でも給付が受け取りやすくなれば、すぐに支給される失業給付を再就職活動期間中の生活資金などに充てられるため、今までよりキャリアチェンジがしやすくなります。

そのため、冒頭で述べたように、今すぐ退職しなければならないやむをえない事情がなければ、自己都合での退職は来年まで待った方が得策だと言えるかもしれません。

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【出典】厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」

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3.教育訓練給付制度の拡充

もう一つのポイントは、教育訓練給付金の給付率の上限が引き上げられる点です。

3.1.教育訓練給付金の給付率の上限が引き上げ

教育訓練給付とは、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講した人に対して、入学料や受講料などの費用の一部を支給するという制度。今回の改正によって、この給付金の給付率の上限が10%引き上げられることになりました。

中長期的キャリア形成に資する教育訓練である「専門実践教育訓練給付金」、速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する教育訓練である「特定一般教育訓練給付金」の給付率が引き上げとなっていますが、それぞれ給付率上限は異なります。

3.1.1.「専門実践教育訓練給付金」の給付率上限

「専門実践教育訓練給付金」では、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、現行の追加給付に加えて、さらに受講費用の10%が支給されるため、給付率上限は80%。

3.1.2.「特定一般教育訓練給付金」の給付率上限

これに対して、「特定一般教育訓練給付金」では、資格取得し就職等した場合には、受講費用10%が追加支給され、最大で50%が支給されます。

なお、こちらの施行は、2024年10月1日からとなっています。

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【出典】厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」

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4.まとめ

改正された雇用保険法は、再就職を考えている人にとっては大きな後押しとなってくれます。

例えば、今年中に教育訓練を受けて、来年4月以降に退職すれば、教育訓練給付金を多く受け取りつつ、給付制限なくすぐに失業給付を受け取ることができます。

転職などを検討している人は、新たな制度をしっかり活用してください。

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【著者】酒井富士子

経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。 日経ホーム出版社(現日経BP)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。 リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。 「お金のことを誰よりも分かりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説。

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