仕事辞めたいけど次がない...辞める判断基準と退職前にできること

仕事の悩み・転職

仕事を辞めたいと感じても、次の仕事が決まっていない場合は、収入面などに不安を感じて退職をためらうこともあるでしょう。しかし、状況によっては早めに環境を変えることを検討したほうが良いケースもあります。

この記事では、「次がない状態で仕事を辞めたい」と感じたときの判断基準や、現職でできる対処法などを詳しく解説します。

1. 「仕事辞めたいけど次がない」と感じたときに考えたいこと

メリー先輩漫画_仕事辞めたいけど次がない.jpgイラスト:斉田直世 漫画の続きはこちら>

仕事を辞めたいと思ったときに次の仕事の目途が立っていないと、今後の生活への不安から退職をためらったり、我慢して働き続けることを選んだりする人もいるかもしれません。

ここでは、「仕事を辞めたいけど次がない」と感じたときに考えたいポイントや、状況に応じた選択肢について解説します。

1.1. 希望条件を整理すると、選択肢が広がる場合がある

希望に合う求人が見つかりにくい背景には、求人市場の状況や地域、これまでの経験、希望する職種・待遇など、さまざまな要因があります。そのうえで、希望条件を整理し直すことで、検討できる求人の幅が広がる場合もあります。

もちろん、給与や休日、勤務地など求める条件があることは自然なことです。ただし、「必ず求めたい条件」と「状況によっては柔軟に考えられる条件」を整理してみることで、これまで候補に入れていなかった仕事が選択肢に加わることもあります。

また、同じ職種であっても、企業によって仕事内容や働き方、福利厚生などは異なります。まずは求人の幅を広げて見直してみることで、自分に合った選択肢が見つかる場合もあるでしょう。

1.2. 「次がない」状態でも環境を変えることを検討したほうが良いケースもある

一時的な繁忙や、異動・担当業務の変更による環境の変化で「辞めたい」と感じている場合は、休養を取ったうえで状況を整理すると、考えが変わることもあります。

一方、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、残業代の未払いなど、法令違反が疑われる状況や、心身の不調が日常生活に及んでいる場合は、安全と健康を優先して対応を検討する必要があります。

まずは十分な休養を取り、必要に応じて上司や人事部門、社内外の相談窓口、産業医、医療機関へ相談してみることが大切です。

こうした対応を踏まえても、現在の職場では働き続けることが難しいと感じる場合には、環境を変えることについて考えることも一つの選択肢です。状況は人それぞれ異なるため、心身の状態や生活への影響も考慮しながら、無理のない形で今後の働き方を検討していきましょう。

ひとことコメント

【監修】社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表 特定社会保険労務士:岡佳伸

20260126_0005_original_oka.jpg退職を「次が決まってから」にするか「先に辞める」かは、心身の安全・生活資金・再就職可能性の3点を軸に判断することが重要です。特にハラスメントや過重労働が疑われる場合は、退職だけでなく健康保険の傷病手当金を受給しながらの休職、配置転換等も含め、早期に相談窓口や専門家へつなげてください。

2. 次の仕事が決まっていない状態でも「辞めたい」と感じる主な理由

「仕事を辞めたい」と感じる理由は人それぞれです。自分に合った対処法を考えるためにも、まずはその原因を整理しましょう。

ここでは、「仕事を辞めたいけど次がない」と感じる背景にある代表的な理由を4つ紹介します。

2.1. 人間関係に悩んでいる

人間関係に関する悩みは、「仕事を辞めたい」という感情につながりやすい理由の一つです。例えば、上司や部下との関係に悩む人もいれば、経営層と現場の調整に負担を感じる人もいます。

年代や立場によって悩みの内容はさまざまですが、職場での人間関係に負担を感じる状況が続くと、仕事への意欲や働きやすさに影響する場合もあるでしょう。

2.2. 業務内容が自分に合っていないと感じる

仕事内容が自分の興味や得意分野と合っていないと感じることは、「仕事を辞めたい」と考えるきっかけの一つになる場合があります。

例えば、「想像していた業務と実際の仕事内容に違いがあった」「自分の強みを生かせる場面が少ないと感じる」「同じ作業の繰り返しで成長実感を得にくい」など、さまざまな理由から仕事へのやりがいや達成感を感じにくくなることもあるでしょう。

2.3. 待遇面や評価制度に不満がある

給与や昇給の仕組みなどに不満がある場合も、「仕事を辞めたい」という感情につながる可能性があります。

例えば、仕事内容には不満がなくても、「業務量や責任に対して給与が見合わないと感じる」「評価の基準があいまいでキャリアをイメージしにくい」といった場合には、現在の環境を見直したいと考えるきっかけになることもあるでしょう。

2.4. ライフステージの変化で働き方を見直す必要が出てきた

仕事を続ける中で生活環境が変化すると、これまで問題なく続けられていた働き方が合わないと感じる場合があります。

業務内容に大きな変化がなくても、仕事に求める条件や優先したいことが変わることで、「勤務時間と生活リズムが合わない」「通勤時間や勤務地について負担を感じる」「家庭やプライベートとの両立が難しい」といった状況が生まれ、現在の働き方を見直したくなることもあるでしょう。

3. すぐに休養や相談・環境の見直しを検討したほうが良いケース

次の仕事が決まっていないことから、現在の職場で働き続けるべきか迷う方もいるでしょう。しかし、状況によっては、心身の状態や安全を優先し、休養や相談、業務調整、異動、休職、退職などを含めて今後の働き方を見直す必要があります。

3.1. セクハラやパワハラの疑いがある

職場でハラスメントに該当するような言動や対応を受けている場合は、一人で悩まず、適切な相談窓口に相談しながら今後の働き方を見直すことを検討しましょう。

心身の負担が大きいときは無理をせずに休養を取り、社内外の相談窓口、産業医、医療機関などに相談しながら、自分の状態や今後の対応について整理することが大切です。

相談のうえ、異動や配置転換などの調整がなされても現在の環境で働き続けることが難しいと感じる場合には、退職・転職を視野に入れて検討する必要があるでしょう。

3.2. 担当業務や職場環境とのミスマッチにより心身の不調が続いている

担当業務や役割、業務量、勤務時間、職場環境などが本人の希望や現在の状態と合っていない場合、心身への負担が大きくなり、不調として現れることがあります。

例えば、「仕事のことを考えると気分が重くなる」「仕事に行くのが憂うつでよく眠れない」「仕事が頭から離れず食欲がわかない」など、仕事の影響が日常生活にも及んでいると感じる場合は、無理を続けないことが大切です。

まずは十分な休養を取り、必要に応じて医療機関の受診も検討しましょう。そのうえで、上司や人事部門、社内の相談窓口へ相談し、業務内容の調整や異動・配置転換などの可能性を確認してみることも一つの方法です。

こうした対応では状況の改善が難しいと感じる場合は、環境を変えることを含めて今後の働き方を考えたほうが良いかもしれません。

3.3. 評価や待遇に納得できない状態が続いている

業務量や責任に対して給与が見合っていないと感じたり、努力や成果が十分に評価へ反映されていないと感じたりする場合は、将来への見通しを持ちにくくなる場合もあるでしょう。その結果、仕事への意欲を保つことが難しくなり、働き方を見直したいと考えるきっかけになる可能性があります。

評価制度や給与体系などは個人の取り組みだけで改善することが難しいこともあるため、納得できない状態が続く場合は、自社のルールを確認したうえで、上司や人事部門へ評価基準や今後のキャリアについて相談することが大切です。

そのうえで、現在の職場では希望する働き方の実現が難しいと感じる場合には、環境を変えることを含めて検討しましょう。

4. 仕事を辞めることを慎重に判断したほうが良いケース

「仕事を辞めたい」と感じても、社内で状況を改善できる可能性が残っていたり、退職後の生活に不安を感じたりする場合は、辞めることを慎重に判断したほうが良いかもしれません。

4.1. 社内で解決できる可能性が残っている

現在抱えている悩みが、担当業務や働き方に関するものである場合は、退職以外の方法で改善できる可能性もあります。

例えば、上司や人事部門へ相談することで、役割が見直されたり異動・配置転換が行われたりするケースもあるでしょう。また、評価制度や昇給の基準を確認すれば、自分に期待されている役割や評価のポイントが明確になることもあります。

安全に相談でき、状況を改善できる可能性がある場合は、社内で取れる選択肢がないか整理してみましょう。ただし、ハラスメントの行為者が上司である場合や、相談による不利益が懸念される場合、心身の不調が強い場合は、社内での解決を無理に優先する必要はありません。社外の相談窓口や医療機関などを利用し、安全と健康を優先してください。

4.2. 辞めてからの生活費に不安がある

仕事を辞めて収入が変化しても、家賃や住宅ローン、食費、水道・光熱費などの生活費は発生します。また、場合によっては税金や社会保険料の支払いが必要になることもあるでしょう。

そのため、退職を検討する際は現在の貯蓄を確認し、当面の生活費や支払い費用をどの程度確保できるか整理したうえで、慎重に判断することが大切です。

状況によっては失業保険(雇用保険の基本手当)や公的な支援制度を利用できる場合がありますので、こうした制度を確認しながら、無理のない形で今後の働き方を検討していきましょう。

ひとことコメント

20260126_0005_original_oka.jpg【監修】社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表 特定社会保険労務士:岡佳伸

退職後は、雇用保険の基本手当(失業保険)の確認に加え、健康保険は任意継続・国民健康保険・家族の扶養のいずれかを選ぶ必要があり、手続が遅れると無保険期間が生じ得ます。焦って結論を出さず、手続と準備を踏んで安全に次の選択肢へ進みましょう。

4.3. 転職先に求める条件が定まっていない

仕事を辞めたいと感じていても、次の仕事に求める条件が定まっていない場合もあるでしょう。求める条件が明確になっていない状態で仕事を探し始めると、求人を選ぶ基準が定まらず、判断に迷ってしまうかもしれません。

そのため、退職を決断する前に、自分が働くうえで大切にしたい条件や、現在の職場で負担を感じていることを整理してみることが大切です。希望する働き方や優先順位が明確になることで、自分に合った選択肢を検討しやすくなるでしょう。

ただし、ハラスメントや残業代の未払いなど法令違反の可能性があったり、心身の不調が続いたりしている場合は無理せず、休養や相談、働き方の見直しを優先的に検討しましょう。

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5. 次がない状態で仕事を辞めるメリット

次の仕事が決まっていない状態で退職することには、いくつかのメリットも存在します。ここでは、主なメリットを2つ紹介します。

5.1. 転職活動に集中できる

仕事を続けながら転職活動をする場合は、休日や空き時間を利用して応募書類を作成したり、面接の日程を調整したりする必要があります。そのため、転職活動のための十分な時間を確保することが難しいと感じる人もいるでしょう。

また、現在の仕事でストレスを感じている場合は、仕事と転職活動を並行することが負担になるケースもあります。

一方、仕事を辞めれば時間に余裕が生まれ、転職活動に集中しやすくなる可能性があります。状況によっては、仕事から離れて十分な休養を取ることで心身の負担が和らぎ、自分が希望する働き方や今後のキャリアについて落ち着いて考えやすくなる可能性もあるでしょう。

5.2. 資格の勉強やスキルの習得に時間を使える

在職中に資格を取得したり新しいスキルを学んだりするのは、時間的にも体力的にも簡単なことではありません。「ステップアップに向けて勉強したい気持ちはあるけれど、日々の業務に追われて余裕がない」と悩む方も多いのではないでしょうか。

退職後に時間を確保できる場合は、資格取得のための勉強やスキル習得に取り組むことも選択肢の一つです。ただし、退職すれば必ず学習に集中できるとは限らず、体調や生活資金の状況にも左右されます。 退職前に、希望する職種で求められる資格やスキルを求人情報などで確認し、学習に必要な期間・費用と当面の生活費を整理しておきましょう。

資格の取得やスキルの習得だけで転職が決まるわけではありませんが、応募先の選択肢を広げたり、知識を補ったりすることにつながる場合があります。

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6. 次がない状態で仕事を辞めるデメリット

前章で紹介したようなメリットがある一方、次がない状態で仕事を辞めることにはいくつかのデメリットも存在します。ここでは、主なデメリットを3つ解説します。

6.1. 経済的な不安を感じる場合がある

次の仕事が決まっていない状態で退職すると、収入が変化するため、生活費や今後の家計について不安を感じる人もいるでしょう。

そのため、退職を検討する際は、現在の貯蓄や毎月の支出を確認し、当面の生活をどのように維持していくかを整理しておくことが大切です。

状況によっては、失業保険(雇用保険の基本手当)や公的な支援制度を利用できる場合もありますので、制度を確認しながら、自分の状況に合った形で今後の働き方を検討していくと良いでしょう。

6.2. 職歴に空白期間が生じる場合がある

転職先を決めずに退職する場合、次の仕事が始まるまでに職歴の空白期間が生じることがあります。

空白期間がある場合、採用選考で退職後の過ごし方や、現在の就業意欲について確認されることがあります。 空白期間の過ごし方は人によって異なり、休養や療養が必要な場合もあれば、学習や転職準備に充てる場合もあります。

面接では、退職後に行ったことや現在の状態、今後の働き方について、説明できる範囲で事実に基づいて伝えられるよう整理しておきましょう。空白期間をどのように評価するかは企業や職種によって異なりますが、事情を簡潔に説明できれば、採用担当者の疑問を減らせる可能性があります。

6.3. 次の仕事とのミスマッチが起こる場合がある

退職して金銭的に不安を感じたり、空白期間が長くなったりすると、「早く次の仕事を決めなければ」という焦りを感じやすくなることがあります。

その結果、仕事内容や働き方、職場環境など自分が求める条件を十分に確認できない場合があり、入社後に「思っていた仕事と違う」「自分に合わないかもしれない」といったミスマッチを感じることもあるでしょう。

そのため、退職後は焦って結論を出すのではなく、自分が働くうえで大切にしたい条件や優先順位を整理しながら、求人情報をていねいに確認することが大切です。その際は、必要に応じて転職エージェントなどの支援サービスを活用し、客観的な情報やアドバイスを参考にすることも一つの方法です。

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7. 仕事を辞める前に現職でできる対処法

「仕事を辞めたい」と感じたとき、退職を決断する前に現職でできる対処法を紹介します。休養、相談、働きながらの転職活動など、状況に応じて自分に合った選択肢を検討しましょう。

7.1. 有給休暇を取得する

「仕事を辞めたい」と感じたときは、緊急性が高くない場合、可能であれば退職の決断を下す前に有給休暇などで仕事から離れる時間を確保し、心身を休めましょう

疲労やストレスが強い状態では、情報を整理したり、落ち着いて考えたりすることが難しくなる場合があります。

いったん仕事から距離を置くことで、現在の状態や今後の選択肢を整理しやすくなることもあるでしょう。心身の不調が続いている場合は、休養だけで解決しようとせず、医療機関や相談窓口の利用も検討してください。

7.2. 業務量や業務内容の調整を相談する

仕事を辞めたいと感じる背景には、業務量が多いことや、自分に合わない業務を担当していることなどが影響している場合があります。そのようなときは、退職を決断する前に、上司や人事部門へ業務量や業務内容について相談してみることも一つの方法です。

状況によっては、担当業務の見直しや業務量の調整、役割分担の変更などによって、働きやすさが変わる能性もあるでしょう。

7.3. 異動や転勤の希望を出す

仕事を辞めたいと感じる原因が、職場の人間関係や担当業務、働く環境にある場合は、異動や転勤を希望することで状況が変わる可能性があります。

異動や転勤の制度がある会社では、上司だけでなく人事部門や社内窓口へ相談し、自分が現在どのような点に負担を感じているのか、どのような働き方を希望しているのかを伝えてみることも一つの方法です。

7.4. 公的相談窓口や医療機関に相談する

上司や人事部門、社内の相談窓口へ相談しても状況が改善しない場合や、社内では相談しにくい内容がある場合は、公的相談窓口や医療機関を利用することも一つの方法です。

例えば、各都道府県の「総合労働相談コーナー」や、厚生労働省の「労働条件相談『ほっとライン』」「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」では、ハラスメントや労働条件に関する問題など、労働者のさまざまな悩みに対して相談を受け付けています。

また、心身の不調が続いている場合は、医療機関で現在の状態の評価や、必要な治療・休養について相談できます。一人で抱え込まず、公的相談窓口や医療機関などを利用しながら、今後の対応を検討しましょう。

【参考】厚生労働省「総合労働相談コーナー」

【参考】厚生労働省「労働条件相談『ほっとライン』」

【参考】厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」

7.5. 休職制度の利用を検討する

休職制度とは、病気やケガなどの理由で働くことが難しい場合に、一定期間仕事を休みながら雇用を継続できる制度です。

心身の負担が大きく働き続けることが難しいと感じる場合は、利用を検討することも一つの方法です。なお、休職制度の有無や利用条件、休職できる期間、休職中の給与の取り扱いなどは会社によって異なりますので、利用を検討する際は、就業規則を確認したり人事部門へ相談したりして、制度の内容を把握しておきましょう。

7.6. 転職エージェントに相談して働き方を見直す

有給休暇の取得や業務量の調整、異動の相談などを試しても、問題の改善が難しいと感じる場合は、働き方を見直すことを検討したほうが良いケースもあるでしょう。その際は、転職エージェントを活用するのも選択肢の一つです。

転職エージェントではキャリア相談や求人提案、応募書類・面接対策などの支援を受けられるほか、これまでの経験やスキルがどのような職種で生かせるのかについて、客観的な視点から意見をもらえることもあります。

なお、相談する時点で転職を決めている必要はありません。「今の仕事を続けるべきか迷っている」「他にどのような働き方があるのか知りたい」といった段階でも利用できますので、今後のキャリアをより広い視点で考えるために利用してみるのも良いでしょう。

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8. 退職後に利用できる公的支援制度

ここからは、退職後に利用可能な公的支援制度を紹介します。状況によって利用できる制度は異なりますので、内容や条件を確認しておきましょう。

8.1. 雇用保険の基本手当(失業手当)

退職後の生活を支える公的な制度として、雇用保険の基本手当(失業手当)があります。自己都合退職の場合は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12カ月以上あることが受給要件となります。

2025年4月1日以降に正当な理由なく自己都合で退職した場合は、ハローワークで受給資格の決定を受けた後、通算7日間の待期期間があり、その満了後、原則1カ月間は基本手当が支給されない給付制限期間となります。給付制限期間の終了後も、ハローワークで失業認定を受けてから基本手当が支給されます。なお、一定の教育訓練などを受けた場合は、給付制限が解除されることがあります。

ただし、過去5年間に正当な理由のない自己都合退職による給付制限を2回以上受けている場合などは、給付制限期間が3カ月となることがあります。

なお、受給できる金額や支給日数は、雇用保険の加入期間や離職時の年齢などによって異なります。受給条件や必要書類、手続きの流れなどの詳細については、管轄のハローワークで最新の情報を確認しましょう。

8.2. 傷病手当金

傷病手当金は、傷病手当金は、業務外の病気やケガの療養のために仕事に就くことができず、給与の支払いを受けられない場合などに、健康保険の被保険者へ支給される制度です。

退職後に新たに受給要件を満たす制度ではありませんが、一定の要件を満たしていれば、退職後も継続して受給できる場合があります 退職後も継続して受給するには、健康保険の被保険者資格を喪失した日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、かつ、資格喪失日の前日時点で傷病手当金を受給しているか、受給要件を満たしていることが必要です。

申請先は、加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)ですが、勤務先を通じて手続きを行う場合もあります。

8.3. 自立支援医療制度(精神通院医療)

自立支援医療制度(精神通院医療)は、精神疾患のため継続的な通院治療が必要な方の医療費負担を軽減する制度です。

医師により継続的な通院治療が必要と判断され、指定自立支援医療機関で治療を受けるなどの要件を満たすと、対象となる通院医療費や薬代の自己負担割合が原則1割になります。また、世帯所得や疾病の状態などに応じて、1カ月当たりの自己負担上限額が設けられます。

この制度は雇用の有無にかかわらず、要件を満たしていれば退職後も利用できます。また、自立支援医療制度は、雇用保険の基本手当(失業手当)または健康保険の傷病手当金と併用できる場合があります。

ただし、基本手当は「就職する意思と能力があること」、傷病手当金は「療養のため仕事に就けないこと」が要件となるため、両者を同じ期間に受給することは原則としてできません。申請は、居住する市区町村の担当窓口(障害福祉課や保健福祉課など)で行います。

8.4. 公的職業訓練(ハロートレーニング)

公的職業訓練(ハロートレーニング)は、希望する職業に就くための知識や技能を身に付けるための公的な職業訓練制度です。

雇用保険の受給資格者が、ハローワークの受講指示などを受けて職業訓練を受講する場合は、基本手当に加えて、受講手当や通所手当などの対象になることがあります。一方、雇用保険の基本手当を受給できない方なども、本人や世帯の収入・資産、訓練への出席状況などの要件を満たし、ハローワークの支援指示を受けた場合は、職業訓練受講給付金の対象になることがあります。職業訓練受講手当は月額10万円で、別途、要件に応じて通所手当などが支給されます。

受講できるコース・利用条件は地域や本人の状況によって異なるため、詳しくは居住地を管轄するハローワークで確認しましょう。

9. まとめ

「次の仕事はないけど仕事を辞めたい」と感じたとき、選択肢は「このまま続けるか辞めるか」だけではありません。

状況によっては、次の仕事が決まっていなくても、休職や退職を含めて現在の職場から距離を置くことを検討したほうがよい場合があります。一方、現職で改善の余地がある場合は、社内外の相談窓口に相談する、業務量や担当業務の調整を申し出る、異動・配置転換を希望するといった方法があります。

次の仕事が決まっていない状態で仕事を辞めるメリット・デメリットも踏まえながら、自分の状況に合った選択肢を慎重に検討しましょう。

【監修】社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表 特定社会保険労務士:岡佳伸

大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。各種講演会(東京商工会議所練馬支部、中央支部、各都道府県社会保険労務士会)講師及び各種WEB記事執筆、日経新聞、読売新聞、女性セブン等に取材記事掲載、NHKあさイチ2020年12月21日、2021年3月10日にTVスタジオ出演。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
https://oka-sr.jp/

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