モジュールという言葉は聞いたことがあっても、その正確な意味は詳しく知らないという方も多いかと思います。今回はモジュールの分野別の意味やモジュール設計・生産のメリットなどについて解説します。
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1.モジュールとは
モジュール(module)とは、一定の機能を持った部品から構成され、交換可能な要素単位のことです。
例えば、パソコンは高度にモジュール化された製品で、ディスプレイ、マザーボード、キーボード、ストレージ、メモリーなどがモジュール化されているため、消費者はストレージやメモリー、キーボードを複数の選択肢から選ぶことができます。
また、製造者は、モジュールを入れ替えることで、初心者用、プロ用、ビジネス用など多彩なラインナップをそろえることができます。
このような製品を設計することはモジュール設計と呼ばれ、モジュール設計された製品を生産することはモジュール生産と呼ばれます。
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2.さまざまな分野でのモジュール
モジュールはほぼすべての製造業で重要な考え方になっています。
2.1.建築業界でのモジュール
建築でのモジュールは、計測の単位のことを示します。
以前の日本建築は伝統的な尺貫法に基づいて、窓枠や柱などの建材がつくられています。
しかし、最近ではメートル単位のメーターモジュールでの建築が増えています。
いずれの場合でも、一定の単位に基づいて建材やユニットを設計することで、建材を選べるようになり、多様性のある住宅を建築することができるようになります。
2.2.電子製品でのモジュール
パソコンは、高度にモジュール化された製品です。
マザーボード、ディスプレイ、メモリー、ストレージ、キーボードなどがモジュール化されており、さまざまなモジュールから選択して組み立てることができます。
これにより、多品種生産が可能になります。
また、特定のサプライヤーが特定のモジュールを大量生産することにより、製造コストが下がり、最終製品の価格を抑えることができます。
2.3.ソフトウェアでのモジュール
ソフトウェアを開発する時もモジュール設計が使われます。
ソフトウェアを機能ごとに分割をし、原則は1つの機能を実行するモジュールに分割していき、それを最終的に組み合わせてソフトウェアを開発します。
ソフトウェアの開発は多数のエンジニア、プログラマーが関わるため、モジュール設計であれば開発業務の分担しやすくなります。
また、モジュール設計だと、問題が発生した時に原因を特定しやすく、モジュールを修正することで回復ができるというメンテナンス性も確保できます。
2.4.モジュール経営
最近ではモジュール経営という言葉も使われるようになっています。
経営をモジュール化する試みです。
企業の各事業に事業責任者となる執行役員を置き、執行役員と経営役員は分離します。
これにより、執行役員からの報告を受け、経営役員が経営判断を素早く行うことができるようになります。
2.5.モジュール学習
モジュールに分割して学習する方法です。
数学であれば、講義ビデオ10分、ドリル演習10分、実践応用問題10分、反復学習10分などというモジュールをつくっておき、学習単元や学習進度に合わせて、適切なモジュールを組み合わせて学習を進めます。
学校の授業などでもモジュール化して授業計画が立案されています。
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3.モジュール設計・モジュール生産のメリット
モジュール設計、モジュール生産にはさまざまなメリットがあります。
3.1.多様な製品を生産できる
モジュールを交換することで、幅の広い製品ラインを生み出すことができます。
例えば、一般的なパソコンのストレージやグラフィックボードを別のモジュールに変更することで、映像処理用のパソコンにすることができます。
ソフトウェアのモジュールを交換することで、A社向けのソフトウェアをB社向けのソフトウェアにすることができます。
3.2.品質を向上させることができる
新製品を設計する場合でも、機能的に問題がなければ既存のモジュールを採用します。
既存のモジュールはすでに市場で試されているため、品質が安定しています。これにより、新製品全体の品質を向上させることができます。
3.3.メンテナンス性の向上
製品に問題が生じても、モジュール化されていると、原因を特定しやすくなります。
問題がないことが確認されているモジュールに交換をしてみて問題が解消されれば、そのモジュールに問題があることが確定をするからです。
修理もモジュール交換で済むため、短時間での修理が可能になります。
3.4.コストの削減
モジュールはひとつの製品だけでなく、他の製品にも使えます。
そのため、1つのモジュールの生産量は大きくなり、量産効果により、製造コストが大きく下がります。
3.5.開発時間の短縮
設計、生産はモジュールの組み立てが主体となるため、設計にかかる時間、生産にかかる時間が短縮されます。
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4.モジュールの強度と結合度
モジュール設計のよしあしを評価するのに使われる考え方が、モジュール強度とモジュール結合度の2つです。
モジュール強度とはそのモジュールがどの程度独立しているかを示します。
モジュール結合度とは、複数のモジュールの結びつきの強さを表します。
モジュールの独立性が強く(モジュール強度が大きい)、結合が弱い(モジュール結合度が小さい)ほど、優れた設計になります。
モジュールが独立していることにより、問題が発生した時に原因が特定しやすく、メンテナンス性が高くなるからです。
しかし、モジュール強度を高めようとすると、モジュール結合度も高くなってしまうという関係にあるため、そこに設計上の工夫が必要になります。
このモジュール強度と結合度は、主にソフトウェア開発で利用される概念ですが、その他の製品にも同様の考え方を当てはめることができます。
4.1.モジュール強度
1つのモジュールは1つの機能しか持っていないというのが理想です。
逆に1つのモジュールに複数の機能が内包されている場合、問題が発生した時、複数の機能に及ぶ可能性が生まれ、原因の特定にも時間がかかることになります。
一般にモジュール強度は次の7つの段階に分類できます。上に行くほどモジュール強度が大きく、優れた設計になります。
(モジュール強度の7つの分類。上に行くほどモジュール強度が大きく、優れた設計となる)
4.2.モジュール結合度
複数のモジュールがどのように結合しているかは、次の6つに分類されます。
上に行くほどモジュール結合度が小さく、優れた設計になります。
モジュール間はデータなどを受け渡しする必要がありますが、この結合が限定されているほど、モジュールの独立性が高まり、メンテナンス性が高まります。
(モジュール結合度の6つの分類。上に行くほどモジュール結合度は小さく、優れた設計になる)
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5.まとめ
モジュールとは、一定の機能を持った部品から構成され、交換可能な要素単位のことです。
製品やソフトウェアを設計する時に、モジュール構造をとるように設計することで、品質向上やコスト削減、メンテナンス性の向上などさまざまなメリットが得られます。モジュール化の度合いは、モジュール強度とモジュール結合度の2つの軸で評価をします。
モジュール化は、ソフトウェアだけでなく、一般の工業製品やその他の概念にも広く適用できる考え方です。
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