日経平均株価とは? 最近の株価上昇の理由は!?--"金融スキマ世代"に送る『鈴木ともみのわかりやすい経済ニュース解説』(11)

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経済キャスターの鈴木ともみです。

この連載では、私が経済キャスターとして培ってきた経済や金融の知識をもとに、旬の経済ニュースを「キーワード」で解説していき、若手社会人の方の「経済や金融の話はちょっと...」といった苦手意識を取り除くとともに、激動の時代を乗り超えるための一助となるようなコラムを綴って参ります。

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1.日経平均株価が34年ぶりの高値水準に

2024年がスタートしました。新年早々に能登半島を襲った地震や日本航空の航空機炎上事故など、心を痛めるニュースが続きましたが、金融・経済分野においては東京株式市場で日経平均株価が34年ぶりの高値水準をつけるなど、前向きになるニュースもありました。

そこで、今年最初の記事として、

『日経平均、一時34年ぶり高値 円安進み3万6000円上回る』(出典:毎日新聞)

を取り上げます。

今回のキーワードは『日経平均株価』です。

(今回のキーワード)

『日経平均株価』

記事にもある通り、日経平均株価は取引時間中としてバブル経済期の1990年2月以来、約34年ぶりの高値を付け、節目の3万6,000円を上回る場面もありました。

「外国為替市場で円安・ドル高が進み、輸出関連企業の業績が改善するとの期待から買い注文が優勢となった」という要因が大きいと記されています。

そこでまずは、日本経済の動向が報道される際に、必ずと言っていいほど取り上げられるこの「日経平均株価」について、基本を押さえておいてもらえたらと思います。

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2.「日経平均株価」とは?

日経平均株価(日経225)とは、日本経済新聞社が東京証券取引所のプライム市場に上場している銘柄の中から225銘柄を選び、それらの株価を元にして算出している株価指数のことです。

単純な平均株価ではなく、株式の分割や併合、入れ替えで生じる株価変動などを考慮して修正された数値となっています。

日本経済新聞社は日経平均株価の構成銘柄を定期的に見直しており、春と秋の年2回、市場流動性などを考慮して銘入れ替えを行っています。

2023年9月の銘柄入れ替えでは、メルカリ、レーザーテック、ニトリが構成銘柄に組み入れられ、日本板硝子、松井証券、三井E&Sが構成銘柄から外されました。

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3. 今回の株価上昇は企業業績の好調さが大きな一因

この日経平均株価(日経平均)は市場全体の流れや、場合によっては日本経済全体の状況をつかむために便利な株価指数であると言えます。

日経平均はさまざまな要因で変動しますが、取り上げた記事にもある通り、企業業績の動向をはじめ、株式市場を取り巻く経済環境の影響を受けます。

今回の株価上昇は、企業業績の好調さが大きな一因であるとされています。デフレ脱却を掲げた2013年以降、日本企業は大きく体質を改善させてきました。

主要企業を中心に変革と新たなビジネスモデルを構築する努力を重ね、過去最高利益を更新し続け、企業業績は好調さを維持しています。

企業業績が好調ということは好景気にも繋がります。

景気は経済活動全体の動向であり、企業が生産する財(モノやサービス)の売れ行きが良ければ好景気となり、悪ければ不景気となります。

好景気が予想されると、企業業績を先取りするように日経平均株価が上昇します。

一方、不景気が予想されると業績悪化を見越して日経平均株価が下落します。

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4. 内部留保に回されがちだった企業利益が賃上げなどに繋がるかが今後のカギ

これまでの日本企業の動向を振り返ると、業績の好調さによって形成された価値は内部留保(※)として蓄えられる傾向にありました。

(※企業が生み出した利益から税金、配当、役員報酬等の社外流出分を差し引き社内に蓄積されている利益)

その流れが変わるかどうかが今後の日経平均株価の動向を左右することになります。

企業が内部留保に回していた分を賃上げに繋げ、3月に本格化する2024年の春闘で2023年を上回る賃上げを実現できれば、消費も活発になり、企業の売上げも上昇し、業績の好調さに弾みがつく中で経済の好循環が生まれ、さらなる株価上昇の追い風になり得るのです。

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5. 「新NISA」スタートも株価上昇の一因か

この内部留保を始めとする企業に滞留するお金を還流させようという目的で、政府は「貯蓄から投資へ」という好循環を引き起こすための新たな政策を遂行しています。

その政策の中心にあるのが、今年からスタートした「新NISA(少額投資非課税制度)」です。

新NISAでは、株式などを非課税で保有できる金額の上限が1,800万円まで増えたほか、非課税となる期間が無期限になりました。この新NISAのスタートも、今回の株価上昇の一因とされています。

新NISAはまだスタートしたばかりですので、今後も日経平均株価が上昇するための後ろ盾になると予測できます。

6. 経済に関連する動向が報じられる中で日経平均株価は変動

上記の通り、今回の株価上昇は企業業績の好調さと新NISAのスタートが主な要因とされていますが、日経平均株価の変動要因にはその他にもさまざまな要素があり、日本国内の政治動向金利動向為替動向国際情勢など、経済に関連する動向が報じられる中で日経平均株価は変動します。

過去の日経平均株価と経済ニュースとの関連を紐解くと、金利が高いと企業はお金が借りにくいため経済活動が鈍くなり、投資家は株式よりも債券や預金を優先するようになり、日経平均株価は下落しやすくなります。

一方、金利が低いと企業はお金を借りやすくなり、新規事業を開始したり、事業規模を拡大させたりして経済活動が活発になり、投資家は企業業績が良くなることを見越して株式に投資するため、日経平均株価は上昇しやすくなります。

また、為替においては、一般的に円高になると輸入関連企業の株価が上昇しやすくなり、一方、円安になると輸出関連企業の株価が上昇する傾向にあります。

日経平均株価への影響は、そのときの構成銘柄によって決まり、構成銘柄が輸入関連企業が中心の場合には円高の方が上昇しやすく、輸出関連企業が中心の場合には、円安の方が上昇しやすくなります。

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7. 経済のグローバル化で国際的な出来事も日経平均に大きく影響

その他、世界で起きている地政学リスクやさまざまな出来事国際関係等も、日経平均株価を動かす要因となります。

例えば、2008年にリーマンショック(9月15日)が起こる直前の9月12日の日経平均株価は12,214円76銭でしたが、その後に急落し、一ヵ月半後の10月29日には取引時間中に6,994円90銭という安値をつけています。

日本の株式市場もグローバル経済と一体であるため、国際的な出来事に大きく影響されるのです。

このように日本に関するニュースだけでなく、世界全体を見渡した上で、広く俯瞰した目で日経平均株価及び株式市場全体の動向を見極めていくことが大切です。

この連載におきましても、世界全体を見渡し、広く俯瞰した目で「キーワード」を取り上げ、私たちを取り巻く社会を理解し、激動の時代を乗り超えるための一助となるようなコラムをつづって参る所存です。

引き続き、どうぞ本年もよろしく願いいたします。
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鈴木ともみがキャスターを務める『WORLD MARKETZ』(東京MXテレビ・ストックボイスTV)は平日夜22:00~23:00生放送(鈴木ともみは月曜日担当)。最新のグローバルな金融経済ニュースをリアルタイムでお伝えする国際金融報道番組。
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著者:鈴木ともみ

経済キャスター、国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、日本記者クラブ会員記者、ファイナンシャル・プランナー。
埼玉大学大学院人文社会科学研究科経済経営専攻博士前期課程を修了し、経済学修士を取得。地上波初の株式市況中継TV番組『東京マーケットワイド』『WORLD MARKETZ』、『Tokyo Financial Street』(ストックボイスTV)にてキャスターを務める他、TOKYO-FM、ラジオNIKKEI等ラジオ番組にも出演。NIKKEI STYLE、マイナビ、FinTech Journal、日経QUICK等にてコラムを連載。国内外の政治家、企業経営者、ハリウッドスター等へのインタビュー多数。主な著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)『資産寿命を延ばす逆算力』(シャスタインターナショナル刊)。

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