ビジネス文書とは、ビジネス上で付き合いのある相手と交わす文書のことです。
一口に「ビジネス文書」といっても、いくつか種類があり、それぞれ押さえておくべき基本マナーがあります。
今回は、ビジネス文書の種類と基本的なマナーについて紹介します。
具体例を挙げながら、社内・社外別の書き方のポイントも解説しているので、参考にすることでスムーズに適切なビジネス文書を作成できるでしょう。
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1. ビジネス文書とは
ビジネス文書とは、ビジネスの場で使われるさまざまな種類の文書のことです。社内に向けて発信する「社内文書」や社外に向けて作成される「社外文書」などいくつか種類があります。
ここでは、ビジネスシーンにおいて頻繁に使われる社内文書・社外文書・社交文書の3つについて解説します。
1.1. 社内文書
社内文書は、社内の人に向けて発信され、各部署間・支店間・営業所と本社の間などでやり取りされます。
社内文書を交わす目的は、指示や連絡、報告、相談といった情報の伝達を確実に行い、業務を円滑に進めるためです。
そのため、社外文書や社交文書とは異なり、挨拶などの儀礼的な部分を省略し、迅速かつ正確に伝えることが求められます。
社内文書の例
● 報告書
● 議事録
● 稟議書
● 申請書
● 通達
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1.2. 社外文書
社外文書は、取引先や得意先など社外の人に向けて発信するビジネス文書です。
社外の人向けに作成するため、文書を受け取る相手を尊重した礼儀正しい文書でなければなりません。尊敬語や謙譲語などを適切に使用し、情報の伝達を行うことが求められます。
社外文書の例
● 依頼書
● 案内状
● 督促状
● 照会状
1.3. 社交文書
社交文書は、社外文書と同様に社外の人に向けて作成される文書のことです。
取引先やお得意様に対して、「お祝い」や「お悔み」などの気持ちを伝えるための儀礼的な文書ですので、格式を守ることが求められます。
一定の形式を整え、適切な表現でタイミングよく発信しなければなりません。
社交文書の例
● 挨拶状
● お礼状
● 招待状
● 見舞状
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2. ビジネス文書の基本マナーやポイント
ビジネス文書は、相手を尊重しつつ、適切に情報を伝達する必要があります。そのため、押さえておかなければならないマナーがあります。ここでは、マナーやポイントについて紹介します。
2.1. 読む人や目的を明確化する
まずは、ビジネス文書を誰が読むのか、何を伝えたいのかを明確化させることが大切です。
ターゲットを明確にすることで、要点を押さえた簡潔な文書を作成できます。
また、敬語は相手によって使用方法や種類を変える必要があるので、読み手にふさわしい文書を作成できるようになるでしょう。
相手が読むタイミングや関心度、要件に関する知識、理解度などを踏まえたうえで、適切な文書に仕上げます。
2.2. 正しい敬語を使い分ける
ビジネス文書を作成する際には、正しいビジネス敬語の使い方や言い回しをよく理解しておく必要があります。
誤った敬語を使用してしまうと、常識のない人だと思われる可能性があるので、送る相手に応じて、適切な敬語を使いましょう。
例えば、「とんでもございません」「お見えになられる」「お休みをいただく」などは、間違いやすい敬語として挙げられます。
自分では正しいと思い込んでいる場合もあるので、この機会に敬語の種類や使い方、言い回しなどをおさらいしておくと良いかもしれません。
【関連記事】「【正しいビジネス敬語の使い方】間違いやすい言い回しや実例を紹介」
2.3. 誤字脱字に気をつける
誤字脱字が目立つ文章は、受け取った相手を不快にしてしまう可能性があるので、注意が必要です。
ビジネス文書は、相手への敬意が伝わるように意識して作成することが大切ですので、事前にマナーを押さえたうえで、別の用紙に下書きをしてから記載しましょう。
また、Web上で文書作成する場合は、誤字脱字をチェックできるツールを活用するのも良いでしょう。社外へ発信する文書であれば、ツールで確認してから上司や先輩にダブルチェックをお願いするようにしましょう。
2.4. 結論を最初に持ってくる
ビジネス文書では、結論をはじめに伝えることが大切です。冒頭に結論がない文書は、何を伝えたいのかわかりにくく、読み手がストレスを受ける可能性もあります。
「○○のお知らせ」「書類添付について」などと結論が明記されていれば、自分に必要な内容であるかがひと目で判断できるでしょう。
また、結論の後に理由や経緯、背景を記載すれば、内容を理解しやすくなります。
2.5. 5W3Hを意識し、内容は簡潔に
5W3Hとは、 When(いつ)・Where(どこで)・Who(誰が)・Why(なぜ)・What(何を)・How(どのように)・How many(どのくらい)・How much(いくら)という8つの英単語の頭文字を取った言葉です。
5W3Hを用いて文書を作成すると、抜け漏れなく必要な内容を簡潔に伝えることができます。ビジネスシーンでは、下記のように5W3Hを活用しながら文書を作成すると良いでしょう。
● When(いつ):時期、時間帯
● Where(どこで):場所
● Who(誰が):対象者
● Why(なぜ):動機
● What(何を):課題
● How(どのように):手段
● How many(どのくらい):規模
● How much(いくら):価格・予算
2.6. 箇条書きを活用する
長文で記載されているビジネス文書は、読み手にとって負担となってしまいます。
相手が忙しい人であれば、内容を読んでもらうこと自体難しいでしょう。箇条書きを用いると、読み手の負担を軽減でき、視覚的に理解しやすくなります。
日時や場所、対象者、内容などの重要事項に関しては箇条書きを使用して、メリハリのあるわかりやすい文書に仕上げましょう。
【関連記事】「【年間の月別「時候の挨拶・季節の挨拶」一覧】例文や注意点も紹介」
3. 【社内】ビジネス文書の例
社内向けに発信するビジネス文書の場合、一般的に以下の項目を含めて作成します。
必要な項目 | 詳細 |
---|---|
文書番号 | 文書管理を効率化するために通し番号を付けます。企業によっては文書番号を必要としないケースもあるので、自社の表記ルールを確認しましょう。 |
文書の発信日付 | 文書を発信する日の年月日を記載します。 |
受信対象者名 |
文書を受け取る人の会社名・部署名・氏名の順に記します。 受取人が複数人いる場合は、「社員各位」と記載しましょう。 |
文書の発信者名 |
発信者の部署・氏名を記載します。必要であれば、会社名や電話番号、メールアドレスも追加しましょう。 |
本文 | 要件を結論から先に簡潔に記載します。 |
以上 |
内容に続きがないことを示すために「以上」と記載します。 |
担当者名・連絡先 |
担当者名と連絡先を記載します。 |
上記のフォーマットに沿った具体例を紹介するので、社内文書を作成する際に参考にしましょう。
第○○○号(文書番号)
令和5年11月30日(日付)
社員各位
営業部 〇〇印(発信者)
080‐●●●‐○○○(電話番号またはメールアドレス)
社内ミーティングのお知らせ(タイトル)
○○に関する社内ミーティングを下記の通り実施しますので、対象者はご参加ください。
記
1. 日時:12月5日(水)午前10:30~11:45
2. 対象者:正社員・契約社員
3. 場所:第二会議室
4. 持ち物:PC
なお、参加できない場合は、12月4日までに営業部 ○○ または ●●までメールでご連絡ください。
以上
担当者:営業部 ○○
メール:○○@~
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4. 【社外】ビジネス文書の例
社外の人に向けて発信するビジネス文書の場合、以下の項目を含めて記載しましょう。
必要な項目 | 詳細 |
---|---|
文書の発信日付 | 文書を発信する日の年月日を右寄せに記載します。 文書番号を含める場合は発信日付の上に記載しましょう。 |
受信対象者名 |
略称ではなく、正式名称で左寄せに記載します。 複数人に対して発信する場合は、「取引先各位」「お客様各位」というような表現を使いましょう。 |
文書の発信者名 |
受信対象者名と同様に、正式名称で右寄せに記載します。 会社名・部署名・氏名の順に記載し、必要に応じて社印を押印、所在地や電話番号、メールアドレスなどの連絡先を明記しましょう。 |
本文 | 中央にタイトルを記載し、何に関する文書であるのかをひと目でわかるようにします。 「拝啓」などの頭語、時候の挨拶からはじまり、要件を記載し、頭語につながる結語を右寄せで記入して文書を締めましょう。 |
記書き |
重要なことを箇条書きで記載します。 記書きの締めとして「以上」を記載して文書に続きがないことを示しましょう |
担当者名・連絡先 |
担当者名や連絡先を記載します。 |
社外文書のフォーマットに沿って、具体例を紹介するので参考にしてみてください。
令和5年11月30日(日付)
○○株式会社
○○部 ご担当者様
●●株式会社
営業部 〇〇印(発信者)
080‐●●●‐○○○(電話番号またはメールアドレス)
書類送付のお知らせ
拝啓
初冬の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り、心よりお礼申し上げます。
さて、○○に関する書類一式を〇月〇日に〇〇運輸便にて弊社より発送いたしました。何卒ご査収、ご高覧賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
同封書類
● ~~~ 1部
● ~~~ 1部
● ~~~ 1部
以上
担当者:営業部 ○○
メール:○○@~
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5. 【社交】ビジネス文書の例
社交文書は、頭語・前文・主文・末文・結語・日付・発信者名という構成に基づいて記載します。
構成 | 詳細 |
---|---|
頭語 | 冒頭に「拝啓」や「謹啓」などの頭語を記載します。 |
前文 | 時候の挨拶と受取人のことを気遣う挨拶、日頃の感謝を記します。 |
主文 |
主文の書きはじめには「さて」や「ところで」などを用いて、要件を記載します。 |
末文 |
本文を締めくくるために、「まずは略儀ながら、書中にて御礼申し上げます」や「まずはお礼申し上げます」などの定型文を添えます。 |
結語 |
「敬具」や「敬白」など結語を記載します。 頭語と結語は、組み合わせにルールがあるので、事前に確認しておきましょう。 |
日付 |
日付は発信日を記載します。 |
発信者名 |
「会社名」「部署名」「役職名」「氏名」の順に発信者名を記載します。構成 詳細 |
以下では、お礼状の例文を紹介するので、作成する際の参考にしてみてください。なお、社交文書は基本的に縦書きで記載します。
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6. まとめ
ビジネス文書は、仕事を円滑に進めるうえで欠かせない要素の1つです。社内文書・社外文書・社交文書などの種類があり、それぞれ書き方にルールやマナーがあるので、それらを押さえておく必要があります。
相手や状況に適したビジネス文書を書けるようになれば、ビジネスパーソンとして信頼され、良い関係を構築できたり、正確な情報伝達により業務を効率化できたりといったメリットがあります。
日頃からさまざまな文書に触れ、受け取った相手のことを考えながら丁寧なビジネス文書を作成しましょう。
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