一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が実施した「副業・兼業に関するアンケート調査結果(※)」によると、2022年時点で自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」「認める予定」と回答した企業数は70.5%にのぼっています。
((※)一般社団法人日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケート調査結果」2022年10月実施)
同調査をみても、コロナ禍以降は特に働き方の多様性が注目されるようになり、収入の増加やキャリアアップなどの目的で副業を始める人が増えてきていることがみてとれます。そこで今回は、副業を経験したことがあるビジネスパーソンにアンケートを行い、副業のメリットや収入の実態を調査しました。副業に興味を持っている方や、これから副業を始めたいと考えている方はぜひ最後までお読みください。
【アンケート実施概要】
期間:2024年10月24日~11月3日
方法:インターネット調査(ランサーズ)
対象:副業を経験したことがある社会人
回答数:248名
(※仕事辞めたい、会社がつらい...悩んでいる方は『仕事どうする!? 診断』の診断結果もご参考にしてください)
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1.収入増加やキャリアアップ、趣味の一環などが副業のきっかけ
副業を経験したことがあるビジネスパーソン248名のうち、現在も副業を継続している人が68%にのぼりました。
それでは「現在副業をしている人」「過去に副業をしていた人」は、なぜ副業を始めたのでしょうか。アンケート結果をもとに深掘りしていきましょう。
副業のきっかけで最も多いのは「本業の収入に満足していないから」となりました。そのほかには、「キャリアアップ」や「本業の仕事内容に満足していない」など仕事やキャリアの観点があがりました。
また、自分の好きな事柄や得意な事柄を活かすために副業を行う人も多く見られました。
総じて、収入面や仕事内容面での満足感を得たい、自分の成長につなげたいといったポジティブな変化を求める傾向があると言えます。加えて、「将来への備え」「隙間時間の活用」「不用品の有効活用」などの視点から副業を始めた人もいるようです。
●将来への備え
・時代に左右されない収入源を持ちたかったから。(その他/20代/男性)
・将来カフェのオーナーになりたいから、店舗を経験しておきたかった。(その他/30代/女性)
・老後に自分の居場所になるものを探すため。(運輸・物流/50代/男性)
●隙間時間の活用
・隙間時間を活用したかった。(サービス/40代/女性)
・本業は時間の空きがあることが多かったため。(その他/30代/男性)
●不用品の有効活用
・友人から聞いてやってみたいと思ったし、家の中のいらないものがなくなるから。(流通・小売/40代/女性)
・不用品やまだ使えるのに廃棄していたものを有効に使えないかと思って始めたのがきっかけ。(不動産・建設/50代/男性)
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2.副業経験者の本業の年収は「301~400万円」が最多
副業経験者の本業の年収に関しては、「300万円未満」「301〜400万円」「401〜500万円」の順となりました。
副業経験者全体の実に50%が年収「300万円未満」となり、次いで「301〜400万円」が約20%を占めました。
一方で、副業のみの収入については、年間「10万円未満」が63.1%で最多の結果となりました。
これらのデータからは、副業で高額な収入を得るというよりも、本業の収入をカバーしたい思いが強いことが分かります。実際に、副業の年収が本業の年収を上回る方は見受けられませんでした。
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3.回答者の8割が「本業に関係のない」副業を経験
本業と副業との関連性については、「ない」と回答した人が81%にのぼりました。現在の仕事と近しい内容で副業を行う人は少なく、異なる内容の仕事を選択するケースが多いことが分かります。会社によっては、副業が許可されていても同業や現業務との関連性があるものは認められない場合もあることも影響しているかもしれません。
なお、副業の具体的な内容は「ライター」が全体の15%を占め、最多となりました。ほかには「アンケート・モニター」「データ入力・処理」「動画作成」「ポイント活用」「オークション」「ハンドメイドの制作・販売」「アルバイト」などが上位にあがりました。
また、回答数は多くないものの、複数の人が「アフィリエイト」「せどり」「投資」「家庭教師・塾講師」と回答していました。
副業を始めたいものの、何をするか悩んでいる方は、上記などの仕事の中から興味のある内容を調べてみるとイメージが湧きやすいかもしれません。特に昨今は、業務請負として成果物を納品する仕事、労働契約による時給制勤務、資産を用いた投資、手軽に行えるアンケート・モニター・ポイント活用など、多岐にわたる仕事があります。自身の環境やワークライフスタイルに合ったものを考えてみてはいかがでしょうか。
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4.副業のメリットは収入増のほか「新しい経験」や「人脈拡大」も
副業のきっかけにも共通しますが、副業のメリットは「収入が増える」と回答した人が大半でした。また、新しい経験やスキルの獲得、人脈の拡大などのメリットを感じている人もいるようです。なかには収入を増やすために始めた副業が、収入以外でも良い結果が得られたというケースもあるでしょう。自分に合った副業を見つけることで、人生を豊かにするきっかけが得られると言っても過言ではありません。
一方で、副業のデメリットは「ワークライフバランスが崩れる」「確定申告などの税務上の処理が増える」といった意見が上位にあがりました。収入が増えるとはいえ、生活や健康を損なうようでは副業としては安定しません。これから副業を始める人は、まずは少しずつ取り組み、慣れてきたら量を増やすなど無理のない調整をしたほうがよさそうです。
また、副業により確定申告などの税務処理が発生するケースもあります。副業の税務を知らずに始めてしまうと、脱税につながったり、ペナルティを受けてしまったりする懸念があります。事前の情報収集もしっかりと行うようにしてください。
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5.本業と副業を両立するコツは「目的の明確化」
副業経験者に本業と副業を両立するコツを聞いたところ、「副業の目的の明確化」「心身の健康維持」「スケジュール調整」「副業のタスク管理」などがあがりました。副業にのめりこんでしまうと、本業に支障が出たり、体への負担が生じたりするリスクがあります。そうならないためにも、まずは副業を行う目的を明確にし、その目的に沿った仕事内容や働き方、スケジューリングを考える姿勢が大切です。
●副業の目的の明確化
・目的を明確にして、本業の業務に支障が出ないよう、意識的に睡眠時間、食生活など の自己管理に努める。(サービス/20代/女性)
・副業はあくまで副業と考え、最初から副業にあまり期待しすぎないほうがバランスよく行えると感じました。副業にのめり込んで本業がおろそかになってしまうのは本末転倒です。(IT・通信/30代/女性)
●心身の健康維持
・副業にも力を入れると心身がかなり疲れてしまうので、副業は休日の空いてる時間など、余裕のある時だけにするのが良いです。(サービス/30代/女性)
・体に負担がかかり過ぎないようにする。(その他/40代/男性)
●スケジュール調整
・生活に支障が出ない程度に、隙間時間に行います。(サービス/20代/女性)
・生活や仕事に支障が出ないように仕事終わりや休日に行う。(商社/20代男性)
・時間の管理が最も重要だと思います。自分の予定は全て一つのシート(カレンダー)に記載して、動ける日時を明確にすることで効率的な活動ができています。(サービス/20代/男性)
●副業のタスク管理
・日々のタスクに優先順位をつけて、上位のものから取り組む。時間を管理する。(サービス/20代/女性)
・タスク追跡アプリケーションを使用しています。(IT・通信/40代/男性)
また、これから副業を始める方に向けて、副業経験者からアドバイスをいただきましたので、ぜひ参考にしてください。
●「時間」について
・本業に支障がでないよう、長時間の副業は避けるのが良いと思います。(IT・通信/20代/女性)
・収入が増えるチャンスと同時に時間がなくなる。そこを犠牲にしてもいいのか天秤にかけるといいと思います。(運輸・物流/20代/男性)
・睡眠時間や休息時間を削らないよう、自分の都合に合わせて計画的に進められる副業を選ぶのが良いと思います。(IT・通信/30代/女性)
・私生活を疎かにしないことをまず第一に考えて、自分の体力・メンタルがどの程度耐えられるのかまできちんと精査した上で始めると苦しくなりません!もしステップアップなどの目標があれば無理のない範囲で短期目標を設定すると自信につながります!(その他/30代/女性)
●「内容」について
・ご自身の能力、経験(資格など)を活かせる、利益(報酬)が少なくてもすぐに作業を完了出来る案件から始めることをおすすめします。(「小さな成功」を確実に重ねていく)(その他/30代/男性)
・いきなり専門的な副業をしようとしても難しいので、まずは自分が出来る範囲のことから始めていくことが大事だと思います。(サービス/30代/女性)
・自身に合うか合わないかはとても重要であり、仕事を選択するうえでライフスタイルを崩さない選択をしないと本末転倒になります。本業への影響も出てくる可能性があるので割り切りを行いながら進めるのがベスト。(サービス/30代/男性)
●「継続」について
・私も始めたばかりなので、まだ小さなものしかやっていませんが、暇な時間で多少お金を稼ぐことができるのは嬉しいことなので、無理なくやってもらえたらなと思います。(その他/20代/女性)
・始めたてでの損失は仕方ないところがあると思います。不労所得の類は特に、一定の損失は授業料とみて後に活かしてゆくことが大切だと思います。(その他/20代/男性)
・収入は少しずつだと思いますが、徐々にアップできるよう諦めずに取り組むことが良いと思います。(マスコミ/30代/女性)
・一旦、始めてみて割りに合わなかったり、他のことに影響したりしたときには、潔く辞めること。その割り切りを持てる方には副業はオススメです。(マスコミ/30代/女性)
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6.多角的な観点から副業の意味を考えよう
本コラムでは、副業を始めたきっかけや副業のメリットについて、アンケート結果をもとに考察しました。副業は今の自分に不足するものを補いつつ、新しい知識やスキルなども身につけられるため、ポジティブにとらえている人が多いことが分かりました。
ただし、副業を始める際には事前の準備も大切です。現在勤務している会社の規則やルールにとどまらず、確定申告への対応やワークライフバランスの保ち方など、あらかじめ考えておくべき事柄が多々ある点も念頭に置く必要があるでしょう。
これから副業を始める方は、なぜ副業をしたいのか、何を得たいのかを整理してみると、次の打ち手が見えてくるかもしれません。例えば、収入アップが目的である場合、本業で評価をあげることや、転職を視野に入れることも1つの選択肢です。ぜひさまざまな観点から自身の目的やニーズを満たす方法を考えてみてください。副業を行う「意味」を明確にすることが、みなさんのワークライフを充実させる第一歩となるでしょう。
(調査・編集:VALUE WORKS)
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