プロジェクトなどを管理する上で大切な事の一つに「マイルストーン」の設定があります。今回はマイルストーンとは、その意味と設定方法、マイルストーンを設定するメリットなどについて解説します。
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1.マイルストーンとは
マイルストーン(milestone)とは、プロジェクトを完遂するための中間目標のことです。
大規模なプロジェクトは数年以上にもわたることがあり、ゴールだけを目標に進めていると、計画通りに進んでいるかどうかがわからなくなったり、問題が発生していることに気がつかなくなったりすることがあります。
そこで、中間目標を設定し、そこで計画通りに進捗していることを確認し、同時に振り返りをして隠れている課題を抽出し、スケジュールの調整や手法の修正を行います。
英語では、距離の単位であるマイル(mile)と石(stone)を合わせた言葉です。
街道を整備したローマ帝国が、1ローママイルごとに里程標を設置したことが語源だと言われています。
日本の「一里塚」も同じような発想のもので、同様の意味に用いられることがあります。
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2.マイルストーンを設定する方法
マイルストーンは時間間隔で設定することはあまり意味がありません。毎週金曜日、月末などに設定してしまうと、マイルストーンの効果が薄れてしまいます。
マイルストーンはタスクの節目になる箇所に設定します。
2.1.クリティカルなタスクを抽出する
マイルストーンを設定するには、クリティカルな関係になっているタスクを抽出するところから始めます。
AとBという2つの作業があり、Aというタスクを終わらせなければ、Bというタスクが始められないという関係がクリティカルな関係となります。
例えば、ラーメンをつくるプロジェクトでは、「お湯を沸騰させる」タスクを終わらせないと「麺を茹でる」タスクは始められません。この2つのタスクはクリティカルな関係にあります。
一方、「焼き豚を切る」は他のタスクと並行して行えるために、クリティカルな関係にはありません。
2.2.マイルストーンを設定する
マイルストーンを設定すべき箇所は、クリティカルなタスクが接続する場所です。
ラーメンの例では「お湯を沸騰させる」タスクが完了した時点にマイルストーンを設定します。
2.3.マイルストーンで状況を確認する
マイルストーンで確認すべきことは以下の3つです。
2.3.1.スケジュールの進捗
予定したスケジュールより遅れているのか、進んでいるのかを確認します。
遅れている場合は、次のマイルストーンまでに遅れを取り戻すことができるのかを検討し、不可能な場合はスケジュールを変更します。
2.3.2.これまでの手順に問題はないか
品質、完成度などのチェックを行います。
ここできちんと確認をしておくことで、先々問題が発生した時に、確認する範囲を限定することができるようになり、トラブルに短時間で対処することができるようになります。
2.3.3.次のステップに進むことは可能か
次のタスクを始めるために必要な材料、人員などがそろっているかを確認します。
この確認をすることで、スムースにタスクを遂行することができ、スケジュール通りに次のマイルストーンに到達することができるようになります。
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3.マイルストーンとガントチャート
マイルストーンを設定するプロジェクト管理に役に立つのがガントチャートです。
ガントチャートは縦に人員(担当者)、横に時間軸を配したチャートで、ここに各タスクを棒グラフのような図形で記入していきます。
スケジュールが可視化され、タスク調整などもしやすい便利なチャートです。
ガントチャートを作成するには次のような手順で行います。
3.1.すべてのタスクを抽出する
プロジェクトを達成するために必要なタスクをすべて抽出します。
この時、過去の事例からそのタスクを達成するのに必要な標準時間と、誰が担当をするのかの情報を付け加えます。
ガントチャートでは、タスクに必要な時間はバーの長さとして表現されます。
3.2.タスクを担当別に遂行順に並べる
担当者ごとにタスクを分け、遂行していく順番に並べます。
3.3.クリティカルパスを発見する
このタスクの中からクリティカルな関係を発見します。
前述のように、クリティカルな関係とは先行するタスクが完了しないと次のタスクに進めない関係にあるタスクのことです。
クリティカルな関係にあるタスクを発見したら、それに従ってタスクの実行時期を移動させていきます。
また、クリティカルな関係にある先行タスクの終わりにマイルストーンを設定します。
3.4.スケジュールを割り出す
多くのプロジェクトで、クリティカルな関係は連続し、プロジェクトの最初から最後までつながることになります。
このクリティカルな関係にあるタスクの連続がクリティカルパスと呼ばれます。
クリティカルパスは、「先行する作業が完了しないと次の作業に入れない」タスクの連続ですから、このプロジェクトはどんなに効率的に進めても、最長のクリティカルパスにかかる時間よりも早く終えることはできません。
つまり、クリティカルパスを見つけることで、プロジェクト全体に必要な最短時間が決定できます。
スケジュールが確定できたら、実際の納期と比べて、細部の調整を行なっていきます。
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4.ガントチャートの作成手順とマイルストーンの設定手順
ガントチャートを作成し、マイルストーンを設定するには一定の手順があります。
ここでは、「即席ラーメンを調理する」という簡単なプロジェクトを例にして、ガントチャートの作成方法とマイルストーンの設定方法を説明します。
4.1.すべての人材とタスクを書き出す
まずやるべきことは、すべての人材リソースを表にし、同時にすべてのタスクを書き出すことです。
ここからタスクを移動して、各人材がやるべき手順を決めていきます。
4.2.タスクを人材に割り振る
次にやることは、各タスクを人材に割り振ることです。
ここでは職人がメインの調理、助手1がスープと具、助手2はゆで卵の調理を担当することにしました。
必要なタスクを各人材に割り振ります。人材が持っているスキルに適したタスクを割り当てていきます。
4.3.クリティカル関係を可視化する
次に、各タスク間のクリティカルな関係を可視化します。
例えば、湯を沸騰させないと麺ゆでのタスクは始められません。
このようなクリティカルな関係を線などで可視化をし、それぞれのタスクを開始することが可能な時間に移動させます。
4.4.品質を考えてタスクのスケジュールを調整する
麺ゆで、スープの2つのタスクは、早く始めればいいというものではありません。早く麺を茹でで、他のタスクが終わるのを待っているとすると、麺が伸びてしまうからです。
このように、開始時間を後ろにずらした方が、品質を高められるタスクもあります。このような調整を行います。
4.5.マイルスストーンを設定する
タスクの調整を行うと、職人に空き時間が生まれてしまいます。また、ゆで卵のゆでは、待っている時間が多いタスクであり、並行して具材の用意のタスクをこなすことができます。このような調整をすると、助手が1人不要になりました。
また、クリティカルパスは湯の沸騰→ゆで卵の茹で・具の用意→盛りつけになります。
クリティカルパスに接続する場所にマイルストーンを設定します。マイルストーンでは以下の確認を行います。
- 湯の温度は規定に達しているか。具に使う食材はそろっているか
- 麺の硬さは規定通りになっているか。
- 具はすべてそろっているか。
このようにマイルストーンで確認をすることでミスを早期発見することができ、プロジェクト全体の品質とスケジュールを確保することができるようになります。
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5.マイルストーンを設定するメリット
マイルストーンを設定すると次のようなメリットがあります。
5.1.プロジェクトの進捗管理がしやすくなる
マイルストーンを中間目標として設定することで、プロジェクトの進捗管理がしやすくなります。
5.2.可視化することで全員に共有ができる
マイルストーンを設定したガントチャートを関係者全員に配布をすることで、進捗の共有ができるようになります。
関係者に広く情報を共有することで、隠れている課題の予兆情報が集まるようになり、早め早めの対処が可能になります。
5.3.工程以外の管理も合理化が可能になる
例えば、一部のタスクを外注委託する場合もマイルストーンが大きな効果を発揮します。
一般に、外注委託の報酬支払いは、そのタスクが完了した時ですが、毎回、成果物の確認をし、支払い業務をしなければなりません。効率も悪いですし、予算管理も煩雑になります。
そのため、近年ではマイルストーンで締めて報酬を支払うことも増えています。
これにより、成果物の品質確認や支払い業務が一括して行えるようになります。予算管理もしやすくなります。
マイルストーン支払いであれば、外注先もわずかな期間入金が遅くなるだけで大きなデメリットはありません。
5.4.関係者のモチベーションを維持しやすい
マイルストーンは工程上の節目であるために、関係者の心理的な直近目標にもなります。
遠大なプロジェクトのゴールだけを目標にしていると、モチベーションを維持するのは簡単ではありませんが、直近のマイルストーンであればモチベーションを維持しやすくなります。
また、マイルストーンに達した場合、関係者でささやかな食事会などを開いて、次のマイルストーンに向けて気持ちを新たにすることも効果的です。
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6.まとめ
マイルストーンとは、プロジェクトを完遂するための中間目標のことです。
通常はガントチャートを活用してマイルストーンを設定していきます。
マイルストーンを設定すると、プロジェクトの進捗管理が管理しやすくなり、管理作業の効率化も図れるようになり、さらに直近の目標を設定することで、関係者のモチベーションも維持しやすくなります。
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