「ITリテラシー」や「リテラシーが高いor低い」などリテラシーという単語が含まれた会話を聞くことが多いですが、リテラシーとはそもそもどういう意味で、ビジネスとどのように関わってくるのか、やや漠然としている方もいらっしゃるかと思います。
今回は、リテラシーの意味、ITリテラシーなどビジネスで必要とされるリテラシーの種類、また、特にITリテラシーが低いことによるデメリットなどについて解説します。
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1.リテラシーとは
リテラシー(Literacy)とは、本来は読み書きをする能力のことです。
リテラシーと合わせて基本的な加減算ができることが現代人に求められる基本的な能力で、国家は国民に対してリテラシーを学んでもらう義務があり、国民は学ぶ義務があると考えられました。
現在では、そこから転じて、ある分野で活動していくのに必要な基礎知識、技能のことを指すようになっています。
例えば、「ITリテラシー」と言えば、ITを使う上で知っておかなければならない基本的な知識、技能を指します。
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2.ビジネスで必要とされるリテラシー
ビジネスで必要とされるリテラシーには次のようものがあります。
リテラシーは「身につけておく必要がある基本的な知識、技能」のことですから、どのようなリテラシーを必要とするかは業界や企業によって異なってきます。
一般の企業で必要とされる傾向が高い順にご紹介します。
2.1.ビジネスリテラシー
ビジネスの現場で必要とされる知識や技能のことです。
社会人の基礎力といってもいいかもしれません。挨拶の仕方や名刺交換の仕方といった基礎的なこともありますが、近年の企業で要求されるのは「論理的思考力」と「コミュニケーション能力」です。
課題を発見して分析し、解決をするには論理的にものごとを考えることが必要です。
また、自分の考えを正確に伝える、人の考えを正確に理解するのにも論理的思考能力は必要で、これがコミュニケーション能力に結びついていきます。
どのような業務においても必要とされることから、ビジネスリテラシーとして位置づけられています。
2.2.ITリテラシー
現代のビジネスでは、IT機器やITサービスを活用することが多くなっています。そのため、このようなIT機器やITサービスを使いこなすことができるリテラシーが必要になります。
キーボードの使い方、Excelの簡単な使い方といった基本的な操作方法だけではなく、近年では情報漏洩やSNSによる炎上などが企業にとって致命傷になることから、セキュリティに関するリテラシーも重要視されるようになっています。
2.3.AIリテラシー
ビジネスの現場でもAIの活用が必須となりつつあります。
AIを使いこなして業務を効率的に行い生産性をあげる必要があり、Microsoft Officeなどのコパイロットを使いこなす技能が要求されるようになっています。
その他、Salesforceなどのビジネスツール、Adobe製品のなどのクリエイティブツールにもコパイロットAIが搭載されるようになり、これらを使いこなせる技能が必要になってきています。
2.4.メディアリテラシー
新聞やテレビ、インターネットといったメディアから得られる情報を取捨選択し、理解する能力です。
メディアには有用な情報からフェイク情報までがあります。この中から有用な情報を抽出し、立体的に組みわせて業務に活用する能力が要求されます。
また、企業の内部情報を外部に発信してしまったり、不用意な発言をして炎上を招いたりといった事をしない能力も必要になります。
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2.5.金融リテラシー
業務からは離れますが、確定拠出年金の運用などに関する基礎知識も必要になります。
その仕組みがどうなっているのかを理解し、安定した運用をする必要があります。
また、生活する上で、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードなどの金融サービスを利用することもありますが、計画的に利用し、事故を起こさないように利用する基本的な知識も必要です。
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2.6.ヘルスリテラシー
健康情報を入手し、正しい情報を選び取り、また自分にとって適切かどうかを判断して活用する技能です。
質の高い仕事をするには健康であることが重要ですので、社会人として必要なリテラシーのひとつになっています。
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3.リテラシーと混同してしまいがちな用語
リテラシーは「基礎知識」「基礎能力」というニュアンスですが、よく似た使われ方をする言葉もあり、混同をしてしまうこともあります。
3.1.スキルとリテラシーの違い
スキル(skill)とは技能、技量のことで、専門的なトレーニングによって得られるものです。特に、特定の分野に必要な技能、技量のことを指します。
一方、リテラシーは社会人であればほぼ全員が必要となる知識、技能のことを指します。
基本的なリテラシーは全員が身につけて、その上で業務に必要とされるスキルを身につけていきます。
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3.2.モラルとリテラシーの違い
モラル(Moral)とは、善良な行動をするのに守るための規範のことです。主に倫理や道徳意識を指します。
これに対し、リテラシーは知識や技能のことです。
例えば、情報モラルは、他者と情報をやり取りする時に危険を回避し、責任ある行動ができる態度や姿勢のことを指します。
一方、情報リテラシーとは情報モラルに基づいた行動が取れるように、実際の機器を扱ったり、発信する内容を整えたりすることができる技能のことを指します。
3.3.コンピテンシーとリテラシーの違い
コンピテンシー(Competency)とは、成功する人に共通して見られる行動特性のことです。
優れた業績を上げている人の行動を分析して、それを自分に取り入れることで自分を高めようとするものです。
例えば、「どのような事態になっても冷静さを失わない」などが典型的なコンピテンシーです。コンピテンシーは高い成果を出すために学び取る行動特性のことです。
一方、リテラシーは基本的な成果を出すために、誰にとっても必要な知識、技能のことです。
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4.ITリテラシーが低いことによるデメリット
多くの企業が従業員に求めるのがビジネスリテラシーとITリテラシーの2つです。
特に現代ではITリテラシーの低い企業は、業績をあげることが難しくなっています。
4.1.情報の正確さと伝達の速さが失われやすい
業務に関わる情報は、多くの場合、ネット経由でやり取りされます。しかも、チャットツールや共有ツールなどを使い、すぐに伝わるようになっています。
このようなツールを使いこなせないと、情報が共有されるまでの時間がかかり判断が遅れることになります。
また、正確な情報を入手するリテラシーがないと誤った情報を社内で共有することにもなります。
4.2.社内に情報格差が生まれやすい
リテラシーは、誰もが身につけなければならない知識や技能のことです。
この「ほぼ全員が身につけている」ということが重要で、その場合、業務はほぼ全員が一定のITリテラシーを持っていることを前提に進みます。
ITリテラシーが低いと、情報の共有が遅れる、共有できないという問題が起こり、業務上のミスやトラブルを引き起こす原因となりやすいのです。
4.3.コミュニケーションロスにより生産性が低下しやすい
ITリテラシーが全員に備わっていないと、業務を円滑に進めることができないため、従業員はITリテラシーのない人のことも考えて行動しなければならなくなります。
例えば、緊急で話し合う必要があるため、ビデオ会議で善後策を検討したいという場合でも、ビデオ会議が使えない人がチームにいると、会議室に全員を集めなければならなくなります。その場合、生産性や業務の遂行スピードも低下しがちになります。
4.4.情報漏洩のリスクが高まりやすい
企業が最も恐れるのが情報漏洩です。顧客情報や企業秘密が外に漏れてしまうと取り返しがつきません。
情報が漏れるのは些細なミスが発端になることが少なくありません。
発信元のわからない電子メールを不用意に開いたためマルウェアが侵入をした、セキュアなファイル共有ではなく、USBメモリーを安易に使ったため情報が漏洩した、などという事故が跡を断ちません。
このような事故はマニュアルなどを定めることで防げますが、次から次へと新しい手口が登場するため、マニュアルだけでは対応に限界があります。
どのような行為が情報漏洩のリスクがあるかを全員が理解をして行動することが求められます。
4.5.SNSによる炎上の懸念も高まりやすい
現代は多くの人がプライベートでSNSを楽しんでいますが、あの企業の従業員がこんな不謹慎な発言をしたと非難されることもあります。
匿名で発言をしても、さまざまな情報から、どこの企業に属しているかを明らかにされてしまうことがあります。
そのため、プライベートであっても、従業員は一定の節度を持った発言をすることが求められます。
ITリテラシーが重要になり、従業員みずから「プライベートとはいえこういう発言は不適切だ」と判断できるようになる必要があります。
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5.従業員のITリテラシーを高めるには
リテラシーとは基本的な知識と技能であるため、従業員のITリテラシーを高めることは難しくありません。
ただし、重要なのは継続的な取り組みをすることです。必要とされるITリテラシーは時代とともに変わっていきますし、新しい技術やサービスも登場します。
また、従業員も時間が経つと忘れてしまいます。常にリテラシー研修をアップデートし、継続をしていくことが必要です。
5.1.ITリテラシーを定義する
ITリテラシーは「全員が身につけておくべき基礎知識と技能」です。
そのため、どこまでをITリテラシーと考えるのか定義する必要があります。
そして、ITリテラシーに関しては全社研修を行い、それ以上の部門ごとに必要とされるスキルに関しては、部門ごとで研修を行います。
5.2.オンライン学習を活用する
ITリテラシーは基礎知識であるので、内容としては初歩的なものになります。
そのため、大げさな研修プログラムを組まなくても、適切なオンライン学習サービスと契約をし、各自、都合のいい時間に学んでもらうことでITリテラシーを身につけることができます。
5.3.リテラシー研修を行う
オンライン研修サービスで得られるのは知識が中心となり、その知識を定着させる必要があります。この定着には、対面で行う社内研修が向いています。
実際に起きた情報漏洩事故などをケーススタディにすることなどで、実際に活用できるITリテラシーが身につきます。
5.4.資格取得の奨励
ITリテラシーが身についたことを示す資格の1つとして、ITパスポート試験があります。経済産業省が実施をしている国家試験です。
対象となるのは「職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者」であり、ITパスポート試験に合格すると、一定程度のITリテラシーがあるといえそうです。
このような試験を受けることを奨励する施策も効果があります。
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6.まとめ
リテラシーとは、本来は読み書きをする能力のことです。そこから転じて、ある分野で活動をしていくのに必要な基礎知識、技能のことを指すようになっています。
例えば、「ITリテラシー」と言えば、ITを使う上で基本的に知っておかなければならない知識、技能を指します。
特に、企業にとってITリテラリーは必須になっており、ITリテラシーがないと生産性の低下や情報漏洩などの事故につながりやすいです。
従業員のITリテラシーを高めていく継続的な取り組みが必要になっています。