「TOPIX(東証株価指数)」とは? インデックス投資って何?--"金融スキマ世代"に送る『鈴木ともみのわかりやすい経済ニュース解説』(13)

連載・インタビュー

経済キャスターの鈴木ともみです。

この連載では、私が経済キャスターとして培ってきた経済や金融の知識をもとに、旬の経済ニュースを「キーワード」を軸にわかりやすく解説していき、若手社会人の方の「経済や金融の話はちょっと...」といった苦手意識を取り除くとともに、激動の時代を乗り超えるための一助となるようなコラムを綴って参ります。

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1. 2024年3月4日、日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新

早いもので、年度末を迎える時期となりました。日本企業(特に上場企業)の多くが3月期決算を迎えます。

法人には個人と違って事業年度があり、自社の定款に事業年度を記載するのが一般的です。事業年度の最終日が決算日、決算日の次の日から新たな事業年度が始まります。

なお、上場企業は自社の株式を公開しているわけですが、3月にはその株主となっている株式投資家にとって重要な日がやってきます。それが権利付き最終売買日です。

株主が株主優待や配当金を受け取るためには、この権利付き最終日までに株を保有しておく必要があります。株主優待や配当金の権利を得るためには、権利付最終売買日の大引け時点で現物株式を保有していることが条件となっているのです。

今年の3月期末の権利付銘柄は、2024年3月27日(水)が権利付き最終売買日となっています。権利付き最終売買日の次の日は権利落ち日として、各銘柄の株価も下落することになりますので、ご注意下さい。

その株式が取引されている株式市場では、3月4日に日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し4万円台にのせたニュースが話題となりました。このニュースには海外の投資家も関心を寄せています。

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2. 「TOPIX(東証株価指数)」って何?

一方、以下の記事にあるように、日経平均株価の最高値更新とともに話題として上がっているのが、「TOPIX(東証株価指数)」の最高値更新はいつになるのか、です。

『"次の目標はTOPIX最高値=三木証券取締役商品本部長・高橋春樹氏』(出典:時事ドットコムニュース)

(今回のキーワード)

『TOPIX(東証株価指数)』

記事に出ている「日経平均株価」「トピックス」=「TOPIX(東証株価指数)」日本株を代表する株価指数です。

そのうちTOPIXはまだ最高値を更新していません。TOPIXの最高値は1989年12月18日に付けた2884.80ポイントとなります。

記事にもあるように、株式市場では、より多くの上場企業の値動きを示すTOPIXがいつ最高値を更新するのか、という点にも注目が集まっています。

では、そもそもTOPIXとは何を示しているのでしょうか?

日経平均株価(日経225)は、第11回でも解説しました通り、日本経済新聞社が東京証券取引所のプライム市場に上場している銘柄の中から225銘柄を選び、それらの株価を元にして算出している株価指数のことです。

単純な平均株価ではなく、株式の分割や併合、入れ替えで生じる株価変動などを考慮して修正された数値となっています。日本経済新聞社は日経平均株価の構成銘柄を定期的に見直しており、春と秋の年2回、市場流動性などを考慮して銘入れ替えを行っています。

一方、TOPIXは「Tokyo Stock Price Index」の略で、東京証券取引所に上場する銘柄を対象として算出・公表されている株価指数です。

TOPIXの構成銘柄の時価総額(※)を基準時価総額で割って計算し、1968年1月4日の時価総額を100ポイントとし、現時点の時価総額がどのくらい増減したかを表す時価総額加重方式で算出しています。

(※各銘柄の株価に浮動株比率を反映した上場株式数を乗じて算出)

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3. TOPIXの構成銘柄の条件?

東証が2022年4月4日に市場区分を、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」に再編したことに伴い、TOPIXの構成銘柄の条件は以下のようになりました。

(1)既存の構成銘柄の取り扱い

◆2022年4月1日まで

東証一部に上場している全ての国内企業の株式

◆2022年4月4日以降

◎選択した市場にかかわらず、2022年4月1日時点の構成銘柄は継続採用

◎流通株式時価総額100億円未満の銘柄については、「段階的ウエイト低減銘柄」として、2022年10月末から2025年1月末まで四半期毎に構成比率を引き下げ

(2)銘柄追加条件

◎プライム市場へ新規上場または市場区分変更をした場合

◎TOPIX構成銘柄を旧会社とするテクニカル上場の場合

(3)銘柄除外条件

◎整理銘柄に指定された場合や上場廃止した場合

◎特別注意銘柄に指定された場合

(4)1銘柄の構成比率の上限

10%

日経平均株価が日本を代表する225社を対象としているのに対し、TOPIXは2000社以上を対象にしていることから、日本の株式市場全体の動きが反映されやすいのが特徴です。

そのため、TOPIXは多くの国内機関投資家の運用指標とされています。

投資信託においては、資金を運用するための判断基準のことを「ベンチマーク」と言いますが、そのベンチマークには、TOPIXなどの指数が設定されます。

TOPIXは日本株の代表的なベンチマークとして、225社を対象とした指標である日経平均株価よりも多く利用されているのです。

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4.インデックス投資とは?

そのベンチマークとなる日経平均株価やTOPIXを株式市場では「指数」「指標」として、常に注目しています。

その「指数」「指標」を英語で意味するのが「インデックス」です。

日本の主なインデックスには日経平均株価やTOPIXが用いられていますが、海外のインデックスで代表的なものには、NYダウ(ダウ工業株30種平均株価)S&P500種株価指数NASDAQ総合指数などがあります。

そして、こうした特定のインデックスに連動させて同じように利益を得られるよう運用する投資手法のことを「インデックス投資」と言います。

インデックス投資は商品名ではなく、投資する場合の運用方法です。

インデックス投資は、主に投資信託で行います。インデックス投資による運用が行われている投資信託は「インデックスファンド」と呼ばれ、投資家から集めた資金をプロのファンドマネージャーが管理・運用し、投資家に還元する仕組みになっています。

インデックスファンドの場合、ファンドマネージャーはインデックスに連動した利益を得ることを目的に運用を行います。

投資信託の運用手法には、パッシブ運用とアクティブ運用の2種類がありますが、インデックス投資はベンチマークに連動する運用成果を目指すパッシブ運用の一つです。

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5. 自分自身にあった投資・資産形成をしていくことが何より大切

株式投資において個別銘柄を選ぶのはなかなか困難です。特に初心者は数多くの銘柄から何を選んで良いのかわからず迷ってしまうことでしょう。

その点、インデックスファンドは、インデックスに連動して設計されていますので、知識や経験の少ない初心者でも、銘柄選びに迷わず、市場全体に投資するのと同様に市場の値動きと連動した運用成果を得られます。

つまり、インデックス投資は長期的な運用で安定した利益を得るのに適した手法であると言えるのです。そのため、逆に市場平均を大きく上回るようなリターンや個別銘柄のように大きく値上がりするようなことはなかなか期待できません。

また、市場全体がマイナスになっている状況では利益が出ないこともありますので、短期的な投資でリターンを得たい人には向いていないとも言えます。短期間で積極的に利益を出したい場合には、アクティブ投資を選択した方が良いケースもあるのです。

日経平均株価の史上最高値更新や新NISAへのニースの高まりで、株式投資に興味を持ち始めた方々も増えていますが、自己資金の許容度や性格など、自分自身にあった投資・資産形成をしていくことが何より大切です。

そのためにも、まずは金融・経済に関する基礎知識を頭に入れた上で、皆さんの人生設計を着実に描いていく必要があるでしょう。

この連載では、毎回その一助となるテーマを取り上げ、今後も皆さんのキャリプランだけでなく、ライフプランのお役に立てる内容もお届けしたいと思っております。

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鈴木ともみがキャスターを務める『WORLD MARKETZ』(東京MXテレビ・ストックボイスTV)は平日夜22:00~23:00生放送(鈴木ともみは月曜日担当)。最新のグローバルな金融経済ニュースをリアルタイムでお伝えする国際金融報道番組。
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著者:鈴木ともみ

経済キャスター、国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、日本記者クラブ会員記者、ファイナンシャル・プランナー。
埼玉大学大学院人文社会科学研究科経済経営専攻博士前期課程を修了し、経済学修士を取得。地上波初の株式市況中継TV番組『東京マーケットワイド』『WORLD MARKETZ』、『Tokyo Financial Street』(ストックボイスTV)にてキャスターを務める他、TOKYO-FM、ラジオNIKKEI等ラジオ番組にも出演。NIKKEI STYLE、マイナビ、FinTech Journal、日経QUICK等にてコラムを連載。国内外の政治家、企業経営者、ハリウッドスター等へのインタビュー多数。主な著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)『資産寿命を延ばす逆算力』(シャスタインターナショナル刊)。

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