Uターン・Iターン・Jターンとは? 転職するメリットや成功するポイント

仕事の悩み・転職

Uターン・Iターン・Jターン転職とは、現在の居住地を離れて新たな土地に移住し仕事に就くことを指します。柔軟な働き方が浸透している近年、注目を集めている転職の形態です。

そこで今回は、Uターン・Iターン・Jターン転職の意味メリット・デメリットUターン・Iターン・Jターン転職を成功させるために押さえるべきポイントなどを解説していきます。

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1.コロナ禍が人の移動に影響

Uターン・Iターン・Jターン転職が注目されている背景にはいくつかの背景がありますが、その一つが新型コロナウイルスの感染拡大です。

1.1.コロナ禍の影響で東京23区が初の転出超

総務省統計局が調査した「2021年住民基本台帳人口移動報告」によると、外国人を含んで集計を開始した2014年以降、東京都特別区部の転出が初めて転入を上回りました。コロナ禍を機に、長らく続いていた東京一極集中の流れに歯止めがかかった形です。

1.2.東京一極集中是正のため、私立大学の定員が減少

東京一極集中は私立大学の学生募集にも影響を及ぼし、全国の私立大学のうち4割、主に地方にある私立大学が定員割れをおこしている状況にありました。文部科学省では平成30年度から、この状況を是正するため、東京23区の私立大学に対して定員の増枠を認めない「定員抑制」を打ち出しました。

有識者の間では賛否が分かれている取り組みですが、地方活性化の有効な策の一つとして今後の動向が注目されています。

1.3.働く場所も多様化する傾向

かねてより推進されていた働き方改革はコロナ禍により加速し、働く場所も多様化しています。

毎日決まった時間、決まった場所に出勤して働くという、以前は当たり前だった光景がコロナ禍により覆され、企業は積極的にリモートワーク(テレワーク)やワーケーションを導入しています。

外出制限などをきっかけに都会に住む必要性を感じなくなった人が増加したのも、働き方の多様化を後押しする要因となっています。

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2.Uターン・Iターン・Jターンの意味とそれぞれの違い

では、Uターン・Iターン・Jターンのそれぞれの意味について具体的に見ていきましょう。

2.1.Uターン

Uターンとは、都市部で進学や就職をした地方出身者が就職や転職を機に地元に戻ることを指します。

例えば、「岐阜県で生まれ育ち大学進学で上京したが、就職を機に岐阜県に戻る」といった場合です。あるいは「福岡県で生まれ育ち大学進学で上京してそのまま東京都で就職したが、福岡県の企業に転職した」といった場合も含まれます。

2.2.Iターン

Iターンとは、都市部で生まれ育った人が就職や転職を機に地方へ移住することを指します。

例えば、「神奈川県で生まれ育ち、大学卒業と同時に沖縄県に移住して現地で就職する」、あるいは、「千葉県で生まれ育ち東京都で就職したが、福岡県の企業に転職した」という場合です。

2.3.Jターン

Jターンとは、地方で生まれ育った人が都市部で進学や就職し、その後生まれ育った土地と別の地方へ移住することを指します。

例えば、「山口県で生まれ育ち大学を卒業し、就職を機に上京したが、3年後に滋賀県に移住し転職する」といった場合です。

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はじめて転職する場合のポイントを確認する。

3.Uターン・Iターン・Jターン転職をするメリット

Uターン・Iターン・Jターン転職には、いくつものメリットがあります。自分にとって魅力的な要素があるか確認してみましょう。

3.1.自治体のサポートが受けられる場合がある

転入者を増やすため、Uターン・Iターン・Jターン向けのサポートを行う地方自治体が増えています。役所の担当窓口では移住における障害を取り除けるよう親身に対応してくれ、希望者それぞれの希望に合ってカスタマイズをしてくれる場合もあります。

仕事に関するサポートを推進している地方自治体もあるため、公私ともに移住の不安を解消しやすい点がメリットです。

3.2.ストレスが少なくなる可能性がある

Uターン・Iターン・Jターン転職で地方に移住すると、ストレスの少ない日々を送れる可能性もあります。都市部は人口も多く、電車などの公共交通機関や店舗が常に混雑しており、ストレスになり得る要素が多くあります。

その点、地方は人口が少なく豊かな自然に囲まれた環境であることも多いため、ストレスを感じる機会が少なくなる可能性もあります。

3.3.ワークライフバランスの充実が図れる可能性も

ワークライフバランスが整う可能性があることも、Uターン・Iターン・Jターン転職の大きなメリットです。

Uターン・Iターン・Jターン転職の受け入れを推進する地方の企業では、優秀な人材確保のため、労働者が働きやすい職場環境の提供に力を入れています。

長時間労働や休日出勤がなかったり、休暇制度を充実させたりしている企業も見受けられるため、仕事とプライベートの心地良いバランスが維持できる可能性もあるでしょう。

3.4.Uターンの場合、住み慣れた環境で過ごしやすくなる可能性も

Uターンの場合は生まれ育った土地に戻ることなるため、慣れ親しんだ環境や人に囲まれて過ごせるメリットがあります。

都市部に住む地方出身者の中には、見知らぬ環境や希薄な人間関係に孤独を感じる人もいるでしょう。そのような場合はUターン転職で安心感を抱ける環境に戻ったほうが精神的な負担を感じずに生活できるかもしれません。

3.5.生活コストが抑えられる場合も

Uターン・Iターン・Jターン転職で生活する場となる地方自治体は、都市部と比べて物価が安いことがあるため、その場合は生活コストを抑えられる点もメリットの一つです。

特にインパクトが大きいのは、家賃や駐車場代などが抑えられる可能性がある点でしょう。部屋数が必要なファミリーの場合も、家計への負担を最小限に抑えることができるかもしれません。

3.6.子育てがしやすいケースも

Uターン・Iターン・Jターン転職すると、子供を伸び伸びとした環境で育てることができる可能性があります。

都市部では公園など子供が遊べる場所が少ない地域もありますが、地方であれば山や海などの自然がすぐ近くにあったり、広い場所で自由に子供を遊ばせたりすることができる場合もあります。子育て世帯に対する支援が充実している自治体もあります。

3.7.満員電車が避けられる場合も

満員電車による通勤が避けられる場合があるのもUターン・Iターン・Jターン転職の大きなメリットの一つです。都市部での朝の満員電車はよく見られる光景です。

しかし地方都市ではマイカー通勤をする人が多い場合もあるため、満員電車に乗らなくてすむ可能性があります。たとえ電車通勤となる場合でも、都市部ほどの混雑にはなりにくい場合もあります。

3.8.地域コミュニティ活動が活発な場合も

地方自治体では地域コミュニティ活動が活発なケースが多く、仲間が作りやすい場合がある点もメリットです。特にUターン・Iターン・Jターンによる移住者の受け入れを推進する地方自治体では地域ぐるみで歓迎しようとするケースもあり、すぐに溶け込める可能性もあります。

一人で見知らぬ土地で暮らすのが不安な場合は、あらかじめ地域活動についてリサーチしたうえでUターン・Iターン・Jターン転職先を選定するのもおすすめです。

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2回目以降の転職で気を付けるべきポイントを確認する。

4.Uターン・Iターン・Jターン転職のデメリット

魅力的なメリットが得られる可能性があるUターン・Iターン・Jターン転職ですが、デメリットになりうる面もあります。良い面ばかりではなくマイナス要素も理解した上で検討や判断を行うようにしましょう。

4.1.車がないと生活しづらい場合がある

移住する地方によっては、車がなければ日常生活に支障が出る場合があり、1世帯に1台以上は車がないと不便な生活を強いられる可能性もあります。徒歩圏内にスーパーやコンビニ、病院、銀行が必ずあるような都市部とまったく変わらない生活を地方暮らしに求めることは難しいかもしれません。

車を持つとなると、駐車場代やガソリン代、車検代などの維持費がかかるため、それらを踏まえてもしっかりと生活が成立するか、金銭面のシミュレーションが必要です。

4.2.人間関係が密でわずらわしさを感じる場合も

都市部に比べて人口が少ない場合も多いUターン・Iターン・Jターン転職先では、一つひとつのコミュニティが狭くなり、より濃い人間関係の中で生きていくこともあります。

都市部より人情を感じられる可能性もありますが、時にはわずらわしさを感じさせる場合もありえます。人との距離感をうまく保てる人、相手に距離を保ってもらえるよう自然に促せる人でなければ、精神的に疲れる場合もあるでしょう。

4.3.Iターン・Jターンの場合新しい環境に慣れない事も

Iターン・Jターンの場合は、環境になかなか慣れることができず苦労する可能性があります。まったく新しい土地での生活や仕事が始まるわけですので、多かれ少なかれ孤独を感じる瞬間もあるかもしれません。

環境や周囲の人間関係によっても慣れのスピードは変わりますが、それは実際にI・Jターン転職をして日常生活を送ってみなければわからない部分でもあります。

4.4.地元の大学出身者が多く社内に派閥がある場合がある

地域によっては、地元の大学出身者が地元の同じ企業に数多く就職するケースがあります。その場合、社内に出身大学による派閥ができている可能性もあります。

4.5.再度同じ場所に転職しようとした際に選択肢が限られるケースも

現在の居住地からUターン・Iターン・Jターン転職をした後、Uターン・Iターン・Jターン先の地域での転職が難しいケースがあります。地域によっては企業数も少ないこともあるため、応募できる求人も限られる場合があります。

そのため、Uターン・Iターン・Jターン転職の際には長いスパンでライフプランを立てることが重要です。

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【関連記事】「「人間関係の悩みで仕事辞めたい...」悩みを減らす方法と退職前に考える事

5.Uターン・Iターン・Jターン支援の取り組み

Uターン・Iターン・Jターンをする際には、国や地方自治体の助成金など支援を受けられる可能性があります。

以下に、Uターン・Iターン・Jターン移住者が受けられる国や地方自治体の支援内容の例をいくつか紹介します。

5.1.地方創生移住支援事業の支援金

東京23区に在住または通勤する人が東京圏外へ移住して起業や就業をする際に、都道府県・市町村共同の交付金が条件付きで支給されます。

全国の多くの市町村が実施しており、対象の条件に当てはまれば、1世帯当たり最大100万円18歳未満子どもがいる場合は18歳未満の者一人につき最大30万円を加算)、単身の場合は最大60万円が支給されます。

また、移住先で起業する場合これに加えて最大200万円の起業支援金が支給されます。

【参考】「内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生|移住支援金」

5.2.就職・転職支援

移住サポートセンターなどの窓口で、1人1人の経験や希望に合わせて企業とマッチングしてくれるサービスを提供している自治体もあります。

地元だけでなく東京や大阪などにも窓口を設置していたり、都市部でU・I・Jターン希望者のために説明会や相談会など就職・転職関連イベントを実施している自治体もあります。

また、移住を推進している多くの都道府県や自治体は独自のポータルサイトや移住に関する特設ページを運営しており、ネット上でも様々な情報を得ることができます。

5.3.子育て支援

既に子どもがいる人、子どもが欲しいと考えている人には、子育てをしやすい地域かどうかも重要な問題です。

移住支援を行う自治体の中には、地域一体となって子育てを応援しようと取り組みを行っているところもあります。

例として、18歳までの子どもの医療費無料化や給食費無料化、出産お祝い金などが挙げられます。

不妊治療費の助成を行っている自治体もあります。

5.4.住宅支援

移住者などに空き家情報を積極的に提供する「空き家バンク」という取り組みもあります。

費用を抑えて希望の住まいを借りる、または購入できる可能性もあり、住まい探しをする際には便利です。

専用のサイトで物件を探すことができます。

また、新婚世帯や子どもがいる世帯など一定の条件を満たせば住居に関する助成金が下りる場合もあります。

中には、自治体が所有する土地を一定期間貸与し、期間内に自宅を建て移住すれば土地を無償で譲渡するといった制度もあります。

【関連記事】「【仕事の辞め方】必要な準備と転職活動を含めた退職までの流れ・注意点」

6.Uターン・Iターン・Jターン転職を成功させるポイント

Uターン・Iターン・Jターン転職を成功に導くためには事前準備が必要です。移住の決断を後悔しないためにも、以下のポイントを確認しておきましょう。

6.1.移住したい地域の情報を収集しておく

Uターン・Iターン・Jターン転職を予定している地域の情報はしっかり収集しておきましょう。

移住後は多かれ少なかれ現在の生活とのギャップを感じるものですが、あらかじめより多くの情報を得ておけばそのギャップはある程度回避、あるいは受け入れることが可能です。

情報収集の際には、これから毎日の生活を営むための情報収集であることを意識し、旅行とは違った視点を持つようにしましょう。

6.2.出身大学の就職課に相談する

Uターン・Iターン・Jターンでうまく転職できるか不安な場合は、出身大学の就職課に相談してみるのも有効です。

大学の就職課は、大手求人サイトには掲載されていないような地域密着企業の求人情報を持っている場合があります。卒業生ということで仲介してくれたり、それが難しい場合でも何らかの有益な情報を教えてくれたりする可能性もあるため、一度相談してみるのもおすすめです。

6.3.就職先の目処がたってから退職する

Uターン・Iターン・Jターン転職をしたいと思う余り、勢いで今の仕事を退職してしまうようなことがないようにしましょう。一度冷静になり、きちんとUターン・Iターン・Jターン先での転職先が決まってから今の仕事を辞めることをおすすめします。

Uターン・Iターン・Jターン先の就職口は都心部ほど母数が多くないこともあるため、転職先の決定までに時間を要するケースもあります。長く働くためにも仕事選びは妥協せず、自分の希望条件に近い企業を探しましょう。

6.4.移住までのスケジュールを立てておく

Uターン・Iターン・Jターン転職を決めたら、移住日から逆算してスケジュールを立てるようにしましょう。

「まだ時間があるから大丈夫」と思っていると、現職が多忙になったりした時に対応しきれなくなります。ある程度の余裕を持ってスケジューリングし、想定外の状況にも対応できるように備えておきましょう。

6.5.お試し移住で実際の環境を確認してみる

情報収集を念入りにしても「自分がUターン・Iターン・Jターン転職に適応できるのか不安」という方は、休日や有給休暇を活用してお試し移住するのもおすすめです。

より多くの移住者を呼び込む活動の一環として、移住体験を提供する地方自治体は少なくありません。長期滞在用の施設や家具家電付き住宅での生活体験、住民との交流の機会などを提供している自治体もあります。

6.6.ワーケーションを試してみる

ワーケーションとは、観光地などで休暇を楽しみながらリモートワークで仕事をこなす働き方です。

現職でワーケーションが認められている場合は、移住をプチ体験することもできるでしょう。地方での暮らしと仕事の双方を体験できるため、U・I・Jターン転職をより具体的にイメージできるはずです。

【関連記事】「ワーケーションとは?メリットや企業が抱える課題について解説」

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7.「転職先企業の住所は現職の地域のまま移住してリモートワーク」という働き方も

Uターン・Iターン・Jターンというと、就職・転職先企業への転職がセットとなるイメージを抱く方も多いと思いますが、近年は現職と同じ地域にある企業に転職し、その上で地方移住ができるケースも少なくない時代になりました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴いリモートワークが浸透し、最近ではフルリモート可能な企業も増えつつあります。

「Uターン・Iターン・Jターンには興味はあるけれど移住先の企業が少ないのがネックで踏み切れなかった」という方にとっては、実現のハードルは大きく下がっているといえるでしょう。

【関連記事】「【仕事忙しすぎる】リモートワーク時の"働きすぎ"に注意すべき理由と対策」

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8.まとめ

Uターン・Iターン・Jターン転職を成功に導くために重要なのは、旅行と生活の違いを認識することです。

旅行と移住とでは、その土地に抱く印象や感想、気がかりとなるポイントも異なりますので、生活者視点での情報収集を意識しましょう。

そしてもちろん、仕事も移住前に決めておくべきでしょう。現職の近くの地域にある企業に転職した上でのリモートワークという選択肢がない場合は、Uターン・Iターン・Jターン先で就職先を探さなければなりません。

まずは、求人の傾向や、その中で自分ができる仕事、やってみたい仕事があるかをチェックするところから始めましょう。


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