ワーケーションとは?メリットや企業が抱える課題について解説

ワーケーションとは?メリットや企業が抱える課題について解説

政府は2020年7月に「ワーケーション」に関する施策を打ち出しました。リモートワークやテレワークが根付き始めた今、休暇と仕事の融合を実現する新しい働き方を推進し、働き方改革をより推進しようという意図がそこにはあります。

今回は、その「ワーケーション」の本来の意味や概要、メリットや課題、ワーケーションを導入している企業や地方について解説していきます。

1.注目を集めている「ワーケーション」とは?テレワークとの違い

ワーケーションは「ワーク(work)=仕事」と「バケーション(vacation)=休暇」から生み出された造語で、日常生活を離れリゾート地や観光地、地方などで休暇を過ごしながら働く新しいスタイルを示しています。2020年に世界的に大流行した新型コロナウイルスの影響もあり、今までにない新しい働き方の浸透を目指して政府が普及を推進しています。

企業の中にも、働き方改革の施策の一つとして、また福利厚生の一環としてワーケーションを取り入れようと考えている企業は多いようです。人事評価システムを提供する「あしたのチーム 」の調べによると、調査した企業の5割以上がワーケーションの自社への導入に興味を示しているとされています。

ワーケーションは、図らずも広く浸透することとなったテレワークと同様、オフィスから離れて働くスタイルです。最も大きな違いは「働く場所」にあり、リゾート地や観光地、地方など、働く場所を限定しません。また、ワーケーションの目的は以下2つに分類できます。

1.1.旅行目的型ワーケーション

旅行目的型ワーケーションとは、休暇をメインとし、その合間に仕事をするスタイルです。リゾート地や観光地、地方での観光やリフレッシュ休暇など、個人の楽しみを主な目的としています。

旅行目的型ワーケーションをさらに細分化すると、休暇活用型と休暇非活用型に分かれます。休暇活用型は適宜業務をこなしながら休暇を楽しみ、休暇非活用型は休暇を取得せず仕事を続けながら旅を楽しむ形です。

1.2.仕事目的型ワーケーション

一方、仕事目的型ワーケーションは、出張などの業務に休暇を併せるなど仕事に重きを置いたスタイルで、そのタイプは集中型と交流型に分類されます。

集中型は、非日常の環境に身を置き日常ではなかなか向き合えないクリエイティブな業務を集中的に行うものです。基本的に一人で自分の時間を確保することが多くなります。交流型は、複数人でのコミュニケーションをベースとし、さまざまな活動を行うものです。例としては、研修やミーティング、ボランティア活動などがあります。

2.ワーケーションのメリット

ワーケーションは、個人、企業、地域・地方自治体それぞれにプラスの効果をもたらします。そのメリットについて順番に見ていきましょう。

2.1.個人にとってのメリット

従業員側から見たワーケーションのメリットには以下のようなものが挙げられます。

・好きな場所で仕事ができる

働く場所にとらわれず、好きな場所で自由に働けるようになります。それにより、ストレス軽減やモチベーションアップ、生産性向上が期待できます。

・家族との時間を確保できる

長期休暇を取得し、家族で旅行を楽しむことも可能です。通勤もありませんので、時間を最大限に活用できます。

2.2.企業にとってのメリット

企業視点で見たワーケーションのメリットは以下の通りです。

・採用活動でのアピールポイントになる

他社との差別化が図れるため、新規人材の募集に有利です。働き方改革の一環として、求職者への大きなアピール材料となります。

・従業員の業務効率や生産性向上が期待できる

非日常空間で刺激を受けながら新たな気持ちで業務に集中でき、プライベートな時間も充実することから、メリハリをもって働けるようになります。また、それにより業務効率の向上や生産性の向上が期待できます。

2.3.地域・地方自治体にとってのメリット

ワーケーションを受け入れる地方・自治体から見たメリットは以下の通りです。

・地域経済が活性化される

少子高齢化やそれに伴う過疎化などによって疲弊した地域経済を立て直し、再び活気あふれる町へと再生するためのきっかけとなります。また、より多くの人々に地域の良さを知ってもらうことで将来的な移住も期待できます。

・関係人口の創出、拡大が期待できる

ワーケーションにより多くの人材を受け入れることで、新たに関係する人口が創出、拡大していきます。関係人口が増加すれば、未来の地域発展にもつながります。

3.企業におけるワーケーションの課題

上記のようなメリットが得られる一方で、ワーケーションを導入する上では企業側が取り組むべき課題もあります。

3.1.セキュリティ対策の強化

ワーケーションで従業員がそれぞれ別の場所で仕事をするということは、情報漏洩などのリスクが高まることにもつながります。持ち出すパソコンなどの情報端末自体はもちろん、ネットワーク関連のセキュリティ対策も万全に整えなければなりません。また、データの扱い方にも明確なルールを設ける必要があります。

3.2.勤務状況の把握

ワーケーションでは周囲に上司や同僚がいないため、勤務時間の把握が困難です。自己申告に依存するのではなく、勤怠管理システムを導入するなどワーケーションに即した管理方法を採用する必要があります。

3.3.コストがかかる

オフィスを離れ仕事ができる環境整備のために、企業側は VPN(Virtual Private Network)などを導入する必要があります。また、テキストでのやりとりがスムーズになるチャットツールや、音声や映像を活用できる会議システムも必要となります。導入コストはもちろん、ランニングコストも考慮しながら検討しなければなりません。

4.ワーケーションに取り組んでいる企業や地方自治体

ここからは、すでにワーケーションを導入している企業や、受け入れる地方自治体の事例について紹介していきます。

4.1.JAL

JALは、ワーケーションを制度化した日本初の大企業です。2018年に174名、2019年に247名がワーケーションを利用しています。適用職種は限定されているものの、国内外問わず5日間までのワーケーションが可能。ワーケーション中は出勤扱いとなりますが、業務はWeb会議やメール対応などライトなものに限定されるため負担は少なく、有給取得の推進や時間外労働の削減といった効果が得られたようです。

4.2.JTB

JTBでは、2019年に「ワーケーション・ハワイ制度」を設けました。ホノルルに構える支店にワーケーションスペースを設置し、社員が自由に使えるようにしているだけでなく、JTBを利用した旅行客にも開放しています。働き方改革の一環として、従業員のワークライフバランスの維持に成果を発揮しているとのことです。

4.3.三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、軽井沢にある自社の保養所を活用しワーケーションを実施しています。緑豊かな環境で日頃のストレスや疲労をリフレッシュし、家族の時間も持ちながら過ごせる制度となっています。「作業効率が各段に上がった」「クリエイティブな発想が生まれやすい」と、従業員からの評判は上々のようです。

4.4.和歌山県

全国に先駆けて2017年からワーケーションの受け入れに取り組んでいるのが和歌山県です。特に出張型ワーケーションに力を入れており、2017年度~2019年年度の3年間で104社、910名もの利用実績 があります。和歌山県は人口あたりのWi-Fi整備数で全国2位を誇っており、不自由を感じさせないワーケーション環境もしっかり用意されています。

4.5.長野県

信州の自然豊かで解放的な環境を生かした「信州リゾートテレワーク」を展開しているのが長野県です。避暑地として有名な軽井沢をはじめとした12のモデル地域にアクティビティを存分に楽しめるモデルプランを用意し、ワーケーションの受け入れを積極的に行っています。休暇を存分に楽しめるアクティビティが数多く用意されているため、オン・オフのメリハリをつけることができ、仕事効率の向上が期待できます。

5.まとめ

ワーケーションは、従業員や企業にとって働き方の概念を大きく変える制度であることがおわかりいただけたかと思います。

旅をしながら働けるワーケーションは、企業側、従業員側双方にとって非常に魅力的です。しかし、ワーケーションの順調な運用には、企業側の十分な準備や対策が欠かせません。そして従業員側にも、その意義や目的を正しく理解した適切な活用が求められます。

コロナ禍の時代を経て働き方にも多様性の時代が訪れる中、そのかたちの一つとして、ぜひワーケーションに対する理解を深めていただきたいと思います。