30代は仕事にも慣れ、徐々に収入もアップしていく時期です。一方で、ライフステージの変化から支出が多くなる時期でもあります。そんな30代の方々は、一体どれくらいの額を貯金しているのでしょうか。
この記事では、30代の平均貯金額や中央値、理想の貯金額を詳しく紹介します。また、効率的に貯金を増やすための具体的な方法も解説するので、これから貯金を始める方や、貯金を増やしたいと考えている30代の方はぜひ参考にしてください。
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1 30代の約66%が金融資産を持っている
令和5年の金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、30代の66%が将来に備えて、貯金や株式、保険などの金融資産を保持しています。これは、20代の56.1%、40代の59.6%、50代の61.7%よりも高い割合です。
理由として、30代は経済的に安定して収入がアップすること、比較的自由になるお金が多いことなどが挙げられます。一方で、将来に向けた蓄えのない人が3割以上いるのも事実です。
【出典】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和5年調査結果」
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2 30代はいくら貯金している?
30代の多くは徐々に重要な仕事を任されるようになり、責任あるポジションに就くことも多くなります。そのため、20代の頃より収入がアップし、貯金額も増えていくと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。
ここでは、金融広報中央委員会が公表している数字を元に、30代の具体的な貯金額を紹介します。なお、紹介するデータは、世帯主が30代単身者のものを参考にしています。
【出典】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和5年調査結果」
2.1 30代の平均貯金額と中央値
金融広報中央委員会によると、令和5年の単身世帯における30代の預貯金と金融資産は以下の金額です。
平均 | 中央値 | |
---|---|---|
金融資産(株・保険などを含む) | 594万円 | 100万円 |
預貯金額 | 289万円 | - |
預貯金、株、投資信託、生命保険など、全ての金融資産を含めた30代全般の平均額は594万円、中央値は100万円でした。平均額は極端な数字の影響を大きく受けてしまうため、一般的には中央値の方が実際の傾向を反映しやすいと言われています。
この数字から、30代で高額な金融資産を保有している人は一定数いるものの、実際は100万円前後貯めている人が多いことがうかがえます。なお、預貯金だけを見ると、30代の平均額は289万円でした。預貯金の中央値は公表されていませんが、金融資産と同じく平均額よりも低くなる可能性があります。
2.2 30代の金融資産額ごとの割合
ここでは、30代における金融資産額ごとの割合を見ていきましょう。
金融資産保有額 | 割合 |
---|---|
非保有者 | 34% |
100万円未満 | 14.5% |
100~200万円未満 | 6.2% |
200~300万円未満 | 7.4% |
300~400万円未満 | 6.2% |
400~500万円未満 | 4.0% |
500~700万円未満 | 5.6% |
700~1000万円未満 | 3.4% |
1000~1500万円未満 | 7.4% |
1500~2000万円未満 | 1.9% |
2000~3000万円未満 | 3.1% |
3000万円以上 | 4.0% |
未回答 | 2.5% |
令和5年の単身世帯における30代のうち、34%は預貯金を含めた金融資産を保有しておらず、資産があっても100万円未満という人が14.5%います。
一方で、500万円を超える人は25.4%、1000万円を超える人も16.4%とかなりの人数いることがわかります。つまり、30代では貯金なし、もしくは額が少ない人と、多額の金融資産を保有している人との差が大きいと言えます。
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3 30代で大きな出費が予想されるライフイベント
30代は人生の転換期になることも多く、出費が増える時期でもあることから、早い段階で計画的に行動し余裕を持って備えることが大切です。ここでは、30代で特に大きな出費が見込まれるイベントについて解説します。
3.1 スキルアップのための費用
30代は仕事の幅が広がる時期であり、キャリアアップに向けた自己投資に出費がかさむ可能性があります。例えば、資格取得のための教材費や受験料、専門的な知識を身につけるためのセミナー参加料などが挙げられます。
これらの自己投資は、将来的な収入アップにも繋がるため大変重要です。お金がないという理由で自己投資を怠ると、せっかくのチャンスを逃してしまうこともあるため、必要資金をしっかりと確保しておきましょう。
3.2 結婚費用
30代で結婚を視野に入れている方は、結婚式や披露宴、新婚旅行などにかなりの金額が必要になるため、独身のうちから計画的に貯金を始めることが大切です。
さらに、結婚後の生活準備として、新居の初期費用、家具・家電の購入費用、引っ越し費用も加わることが多く、まとまった支出が予想されます。結婚費用は、ライフプランにおける大きな出費となることが多いです。
3.3 マイホーム購入費用
マイホーム購入は、人生において最も高い買い物になるのが一般的です。そのため、30代でマイホーム購入を目指す場合は、早めに資金を蓄えることが重要です。
マイホームを購入する際は、頭金や諸費用、引っ越し費用などが必要となる上、長期的なローン返済を視野に入れた資金計画が求められます。40代、50代と将来の収入も大切になってくるため、キャリアプランをイメージしながら慎重に検討しましょう。
3.4 出産・子育て費用
30代で家族を持つ場合は、出産・子育て費用についても早めに準備しておく必要があります。一般的な費用としては、出産にかかる医療費、育児に必要なベビー用品、育休明けに発生する保育料などが挙げられます。
また、段階的に増えていく教育費や生活費に備えることも大切です。さらに、近年は女性だけでなく男性の育休取得も広がりを見せているため、育休取得中の収入についても事前に確認しておくと安心でしょう。
3.5 介護・老後費用
30代後半になったら、親の介護についても考え始めなければなりません。今は元気でも、今後いつ介護が必要な状態になるかはわからないため、いざその時が来ても困ることのないようしっかり話し合っておく必要があります。
もちろん、親だけでなく自分の老後についても早めの準備が大切です。今すぐまとまったお金を準備する必要はありませんが、長期的な目線で計画的に備えておけば、老後を安心して迎えられるでしょう。
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4 30代の貯金額はいくらあれば安心?
ここからは、将来のライフイベントや急な出費に備えるために、30代でおおよそいくらの貯金額があればいいのかを解説します。安心できる金額は、生活スタイルや目的によって異なるため、一つの目安として参考にしてください。
4.1 半年分の生活費は貯金しておく
万が一、仕事を失ったり病気で働けなくなったりした場合に備えて、半年分の生活費を確保しておきましょう。特に、30代は出費が多い時期でもあるため、こうした緊急時の備えが重要です。また、貯金があることで、焦らずに次のキャリアを考えられるというメリットもあります。
具体的な金額は生活スタイルによって異なりますが、一人暮らしで30代独身の方の1ヶ月の生活費は13~18万円程度と言われているため、生活費分の貯蓄としては、78万円~108万円程度を目標にするのがおすすめです。
また、夫婦二人暮らしまたは子持ち世帯の生活費は25~35万円程度と言われており、150万円~210万円あれば当面は不安なく生活ができるでしょう。
4.2 一人暮らしなら手取りの10~20%、実家暮らしなら手取りの30~40%を貯金する
一人暮らしをしている場合は手取りの10~20%、実家で暮らしている場合は手取りの30〜40%を貯金に回すのが理想です。30代の平均月収と平均年収から、目標貯金額を見てみましょう。なお、手取り額は月収・年収の75%で計算しています。
【30代の平均月収と1ヶ月の目標貯金額】
平均月収 | 平均手取り月収 | 【一人暮らし】 1ヶ月の目標貯金額 | 【実家暮らし】 1ヶ月の目標貯金額 | |
---|---|---|---|---|
30~34歳 | 31万4100円 | 23万5575円 | 2万3557円~4万7115円 | 7万0672円~9万4230円 |
35~39歳 | 34万6700円 | 26万25円 | 2万6002円~5万2005円 | 7万8005円~10万4010円 |
【30代の平均年収と1年間の目標貯金額】
平均年収 | 平均手取り年収 | 【一人暮らし】 1年間の目標貯金額 | 【実家暮らし】 1年間の目標貯金額 | |
---|---|---|---|---|
30~34歳 | 425万円 | 318万8750円 | 31万8875円~63万7750円 | 95万6625円~127万5500円 |
35~39歳 | 462万円 | 346万6500円 | 34万6650円~69万3300円 | 103万9950円~138万6600円 |
30代前半と30代後半では平均収入が異なり、目標とすべき貯金額も変わるため、それぞれの数字を参考にしてください。
まず、一人暮らしの方は家賃や生活費などの出費が多く、毎月貯金に回す余裕がない場合も考えられます。そのようなときは無理をせず、できる範囲で節約したり賞与で補ったりして、少しずつ目標額に近づけていきましょう。
実家暮らしの方は、一人暮らしをするよりも自由に使えるお金が多くなるので、将来の安定に向けて積極的な資産形成を意識することが大切です。
【出典】国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
【出典】厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
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5 30代で貯金ができない原因
30代は比較的お金が自由になる時期にもかかわらず、金融資産を全く保有していない、もしくは十分な額を貯金できていない人が多くいます。そこで、ここでは30代で貯金ができない主な原因を4つ紹介します。
5.1 ライフステージの変化で支出が増えるから
30歳を過ぎると、多くの人が結婚や出産、住宅購入などを考え始めます。また、キャリアのステップアップを目指して資格取得に挑戦し始める人もいます。
こういったライフステージの変化によって、20代の頃よりも出費が増える可能性があります。さらに、同僚や上司、取引先との付き合いが多くなったり、健康や自分磨きに投資したりすることで、貯金にまわせるお金が足りなくなることもあるでしょう。
5.2 貯金の目標が曖昧だから
「何に対して貯金をするべきか」という具体的な目標がないと、支出における優先順位が曖昧になり、目の前の欲求を満たすためだけにお金を使ってしまうことがあります。
特に、結婚やマイホーム購入の予定がない方は、「貯金をしても意味がない」という感情が芽生え、「将来のためにお金を残したい」意識も薄れがちです。結果的に、収入が入るたびに無駄遣いしてしまうことが多くなるでしょう。
5.3 奨学金の返済があるから
学生時代に貸与型の奨学金を借りていた方は、一定期間での返済が求められるため、貯金する余裕が生まれない可能性があります。特に、収入が低めだったり、結婚して家族を養ったりしていると、奨学金の返済が大きな負担になることも考えられます。
どうしても返済が厳しい場合は、一時的に返済額を減らしてもらう「減額返済制度」や、一定期間返済を猶予してもらう「返還期限猶予」などの救済措置の利用を検討しましょう。
5.4 昇進や昇給が思ったように進まないから
30代はキャリアにおける重要な成長期であり、多くの人が管理職やリーダー職に昇進する時期です。それに伴い、昇給が行われて収入も増えているのが一般的です。
しかし、スキル不足や業績悪化などによって昇進や昇給が進まず、キャリアが停滞してしまうこともあります。そうなれば、当然ながら収入も増えないので、貯金にもお金がまわらなくなってしまいます。
もしも、今の給料に不満や疑問がある場合は、市場価値の高い30代のうちに転職するのも一つの選択肢です。その際は転職エージェントを利用すると、より効率的に自分に合った転職先を見つけられるでしょう。
【関連記事】「30代で仕事を「辞めたい」「疲れた」と感じたら...対処法や確認すべきポイントを紹介」
6 30代で無理なく貯金するためのポイント
30代は重要なライフイベントが多く、出費が増えがちな時期です。そんな30代が無理なく貯金するためのポイントを解説します。
6.1 具体的な目標を設定する
貯金の目標が具体的であればあるほど、モチベーションが高まり、計画的にお金を貯めることができます。例えば、「1年後には100万円貯める」「35歳までにマイホームの頭金を準備する」など、具体的な期限と目的を決めることで、毎月の貯金額が明確になり、計画的に貯めやすくなります。
また、大きな目標だけでなく、月ごとや週ごとに少額ずつ貯める小さな目標を設定すれば、達成感を味わいながらモチベーションを保つことができるでしょう。
6.2 自動で貯金する仕組みを取り入れる
貯金自体が苦手な方は、給料が振り込まれた際、自動的に一定額が貯金口座に振り分けられる「財形貯蓄」や「積立預金」を活用することで、無駄遣いを避けやすくなります。
これらの制度を使えば、毎月手動で貯金する手間がなくなるため、貯金を忘れる心配がありません。気づかないうちに毎月しっかり貯金ができているので、長期的な資産形成につながります。
6.3 家計簿をつけて収支を管理する
「毎月どれくらいお金を使っているのか把握できていない」という方は、家計簿を使ってお金の流れを把握するのがおすすめです。収入と支出を可視化することで、どれだけのお金を使い、どれだけ貯金に回せるかが明確になります。
また、 支出の詳細を把握できれば、節約可能な部分を見つけやすく、より効率的に貯金ができるようになるでしょう。面倒な作業が苦手な方には、スマホで簡単に収支管理ができるアプリがおすすめです。
6.4 ATMの利用回数を減らす
ATMで頻繁にお金を引き出すと、計画性のない支出が増える傾向があります。そのため、引き出す金額やタイミングを決めて、衝動的な支出を抑えることも貯金額アップにつながります。
また、ATMの利用回数を減らすことは、利用手数料の節約や、現金を持ち歩き過ぎないといった観点からも効果的です。なお、引き出した現金は、「食費」「交際費」など目的ごとに分けて保管しておくとより安心です。
6.5 資産運用を勉強する
近年は、銀行口座に貯金していても利息は期待できないため、資産運用について学び、効率的にお金を増やす努力が必要です。資産運用は限られた収入を増やす効果的な手段の一つなので、積極的に勉強して知識を蓄えましょう。
日本では2024年1月からは新NISA制度がスタートし、投資に興味を持つ人が増えています。リスクを抑えた長期的な投資が可能な30代は、新NISAの積立投資枠などを活用しながら、将来の経済的安定を目指すのがおすすめです。
【関連記事】「新NISAとは? わかりやすく解説、デメリットや注意点も詳しく解説! (1)」
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7 まとめ
30代の平均貯金額は、金融資産の中央値を参考にすると、収入やライフスタイルによってかなりばらつきがあることが分かります。一般的に、30代はライフステージの変化が大きく、結婚や出産、住宅購入など大きな出費が増える時期です。
30代の貯金額としては、生活費の6か月分を確保したうえで、生活形式に合わせて手取りの10〜40%ずつ貯めるのが理想です。明確な目標を設定し、毎月の自動積立や新NISAなどを活用して、将来に向け着実に資産を増やしていきましょう。
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