20代はまだ就職したばかりで、貯金をする余裕がないことも少なくありません。一方で、学生時代から計画的に貯金をしている方もいます。
この記事では、20代の平均貯金額や中央値、理想の貯金額を詳しく紹介します。また、効率的に貯金を増やすための具体的な方法も解説するので、これから貯金を始める方や、貯金を増やしたいと考えている20代の方はぜひ参考にしてください。
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1 20代の約56%が金融資産を持っている
令和5年の金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、20代の56.1%が将来に備えて、貯金や株式、保険などの金融資産を保持しています。
一般的に、収入がそれほど多くない20代でも、半数以上の人が何らかの蓄えをしているということです。一方で、収入を貯金にまわす余裕がなく、将来に向けた備えができない人が一定数いるのも事実です。
【出典】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和5年調査結果」
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2 20代はいくら貯金している?
20代の多くは就職したばかり、もしくはまだ学生という方もいるため、30代以降と比べると貯金額は少ないと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。
ここでは、金融広報中央委員会が公表している数字を元に、20代の具体的な貯金額を紹介します。なお、紹介するデータは、世帯主が20代単身者のものを参考にしています。
【出典】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和5年調査結果」
2.1 20代の平均貯金額と中央値
金融広報中央委員会によると、令和5年の単身世帯における20代の預貯金と金融資産は以下の金額です。
平均 | 中央値 | |
---|---|---|
金融資産(株・保険などを含む) | 121万円 | 9万円 |
預貯金額 | 65万円 | - |
預貯金、株、投資信託、生命保険など、全ての金融資産を含めた20代全般の平均額は121万円、中央値は9万円でした。平均額は極端な数字の影響を大きく受けてしまうため、一般的には中央値の方が実際の傾向を反映しやすいと言われています。
つまり、20代で多額の金融資産を保有している人はそれほど多くないのが現状です。なお、預貯金だけを見ると、20代の平均額は65万円でした。預貯金の中央値は公表されていませんが、金融資産と同じく平均額よりも低くなる可能性があります。
2.2 20代の金融資産額ごとの割合
ここでは、20代における金融資産額ごとの割合を見ていきましょう。
金融資産保有額 | 割合 |
---|---|
非保有者 | 43.9% |
100万円未満 | 23.0% |
100~200万円未満 | 10.9% |
200~300万円未満 | 5.3% |
300~400万円未満 | 4.9% |
400~500万円未満 | 2.6% |
500~700万円未満 | 4.0% |
700~1000万円未満 | 2.2% |
1000~1500万円未満 | 1.6% |
1500万円以上 | 0.0% |
未回答 | 1.6% |
令和5年の単身世帯における20代のうち、43.9%は預貯金を含めた金融資産を保有しておらず、資産があっても100万円未満という人が23%を占めています。
この調査では、7割近くの人が前項目で紹介した平均金融資産額を下回っており、20代で多くの金融資産を保有するのは難しいことがうかがえます。
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3 20代で大きな出費が予想されるライフイベント
上述したように、貯金額も少ないことが多い20代ですが、突然大きな出費が必要になることもあります。そのため、早い段階から計画的に行動し、余裕を持って備えることが大切です。ここでは、20代で特に大きな出費が見込まれるイベントについて解説します。
3.1 一人暮らしの初期費用
就職するにあたり、実家を離れて一人暮らしを始めるという方も多いでしょう。通常、一人暮らしを始める際は、賃貸契約に伴う敷金、礼金、仲介手数料、また家具・家電の購入費用や引っ越し費用などがかかります。
これらの費用は、物件の条件や引っ越す地域によって異なりますが、まとまった金額が必要になることが一般的です。そのため、20代で初めて一人暮らしを始める場合は、計画的に貯金をしておくことが大切です。
3.2 スキルアップのための費用
社会に出たばかりの20代は、キャリアアップに向けた自己投資のための費用が必要になる場合があります。例えば、資格取得のための教材費や受験料、専門的な知識を身につけるためのセミナー参加料などです。
これらの自己投資は、将来的な収入アップにも繋がるため大変重要です。お金がないという理由で自己投資を怠ると、せっかくのチャンスを逃してしまうこともあるため、必要資金をしっかりと確保しておきましょう。
3.3 結婚費用
結婚を視野に入れている場合は、結婚式や披露宴、新婚旅行などにかなりの金額が必要になるため、早い段階で計画的に貯金を始めることが大切です。
さらに、結婚後の生活準備として、新居の初期費用、家具・家電の購入費用、引っ越し費用も加わることが多く、まとまった支出が予想されます。結婚費用は、ライフプランにおける大きな出費となることが多いです。
3.4 マイホーム購入費用
マイホーム購入は、人生において最も高い買い物になるのが一般的です。そのため、20代でマイホーム購入を目指す場合は、早めに資金を蓄えることが重要です。
マイホームを購入する際は、頭金や諸費用、引っ越し費用などが必要となる上、長期的なローン返済を視野に入れた資金計画が求められます。30代、40代と将来の収入も大切になってくるため、キャリアプランをイメージしながら慎重に検討しましょう。
3.5 出産・子育て費用
20代で家族を持つ場合は、出産・子育て費用についても早めに準備しておく必要があります。一般的な費用としては、出産にかかる医療費、育児に必要なベビー用品、育休明けに発生する保育料などが挙げられます。
また、段階的に増えていく教育費や生活費に備えることも大切です。さらに、近年は女性だけでなく男性の育休取得も広がりを見せているため、育休取得中の収入についても事前に確認しておくと安心でしょう。
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4 20代の貯金額はいくらあれば安心?
ここからは、将来のライフイベントや急な出費に備えるために、20代でおおよそいくらの貯金額があればいいのかを解説します。安心できる金額は、生活スタイルや目的によって異なるため、一つの目安として参考にしてください。
4.1 半年分の生活費は貯金しておく
万が一、仕事を失ったり病気で働けなくなったりした場合に備えて、半年分の生活費を確保しておきましょう。特に、20代はまだ収入が不安定なこともあるため、こうした緊急時の備えが重要です。また、貯金があることで、焦らずに次のキャリアを考えられるというメリットもあります。
具体的な金額は生活スタイルによって異なりますが、一人暮らしで20代独身の方の1ヶ月の生活費は13万円~18万円程度と言われているため、生活費分の貯蓄としては、78万円~108万円程度を目標にするのがおすすめです。
4.2 一人暮らしなら手取りの10~20%、実家暮らしなら手取りの30~40%を貯金する
一人暮らしをしている場合は手取りの10~20%、実家で暮らしている場合は手取りの30〜40%を貯金に回すのが理想です。20代の平均月収と平均年収から、目標貯金額を見てみましょう。なお、手取り額は月収・年収の75%で計算しています。
【20代の平均月収と1ヶ月の目標貯金額】
平均月収 | 平均手取り月収 | 【一人暮らし】 1ヶ月の目標貯金額 | 【実家暮らし】 1ヶ月の目標貯金額 | |
---|---|---|---|---|
20~24歳 | 24万800円 | 18万600円 | 1万8060円~3万6120円 | 5万4180円~7万2240円 |
25~29歳 | 28万1700円 | 21万1275円 | 2万1127円~4万2255円 | 6万3382円~8万4510円 |
【20代の平均年収と1年間の目標貯金額】
平均年収 | 平均手取り年収 | 【一人暮らし】 1年間の目標貯金額 | 【実家暮らし】 1年間の目標貯金額 | |
---|---|---|---|---|
20~24歳 | 273万円 | 204万7500円 | 20万4750円~40万9500円 | 61万4250円~81万9000円 |
25~29歳 | 389万円 | 291万7500円 | 29万1750円~58万3500円 | 87万5250円~116万7000円 |
20代前半と20代後半では平均収入が異なり、目標とすべき貯金額も変わるため、それぞれの数字を参考にしてください。
まず、一人暮らしの方は家賃や生活費などの出費が多く、毎月貯金に回す余裕がない場合も考えられます。そのようなときは無理をせず、できる範囲で節約したり賞与で補ったりして、少しずつ目標額に近づけていきましょう。
実家暮らしの方は、一人暮らしをするよりも自由に使えるお金が多くなるので、将来の安定に向けて積極的な資産形成を意識することが大切です。
【出典】国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
【出典】厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
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5 20代で貯金ができない原因
平均貯蓄額の項目で紹介したように、20代で十分なお金を貯金している人はあまり多くありません。20代は比較的お金が自由になる時期にもかかわらず、なぜ貯金ができないのでしょうか。ここでは、20代で貯金ができない主な原因を4つ紹介します。
5.1 収入が少ないから
社会経験が乏しく、重要な仕事や責任あるポジションを任される機会が少ない20代は、まだ高い給与を得ることが難しい年代です。特に、一人暮らしの場合は生活費などの出費がかさみ、自己投資や趣味に使うと「貯金にまわすお金がない」という状態に陥りやすくなります。
もしも、周囲と比較して明らかに収入が低かったり、業績が悪化して会社の将来性が不透明だったりする場合は、早めに転職を検討するのも一つの方法です。20代は転職市場で価値の高い存在なので、選択肢が多く、希望の条件で働ける可能性があります。
今の仕事を続けながらの転職活動に不安がある方は、転職エージェントを活用するのがいいでしょう。転職エージェントでは、求職者の希望や適性に合った仕事を紹介してくれるため、効率よく転職活動が進められます。
5.2 貯金の目標が曖昧だから
働き始めたばかりの20代は、「何に対して貯金をするべきか」という具体的な目標を持ちにくい年代でもあります。目標がないと、支出における優先順位が曖昧になり、目の前の欲求を満たすためだけにお金を使ってしまうことがあります。
また、「貯金をしても意味がない」という感情が芽生え、「将来のためにお金を残したい」意識も薄れてしまいます。結果的に、収入が入るたびに無駄遣いしてしまうことが多いです。
5.3 奨学金やローンの返済があるから
奨学金やローンの返済があると、毎月の固定支出が増え自由に使える金額が減ります。これにより、貯金に回す余裕がなくなることがあります。
特に、入社したての20代前半は収入が限られているため、返済と生活費支出の両立が難しいことがあります。さらに、返済額が高額な場合は、将来的にも貯金を増やす余裕が生まれにくくなってしまいます。
5.4 お金を使う機会が多いから
社会人としての生活が始まると、さまざまな理由で出費が増えてしまう可能性があります。 まず、一人暮らしを始めると、家賃、光熱費、食費などの固定費が発生します。また、同僚との外食や旅行など、社会的な活動が増えることも考えられます。
さらに、資格の勉強、趣味への投資、最新の電化製品やファッションアイテムの購入なども、20代における支出の特徴です。
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6 20代で無理なく貯金するためのポイント
20代は、収入が低いにもかかわらず出費が増えがちな時期です。そんな20代が無理なく貯金するためのポイントを解説します。
6.1 具体的な目標を設定する
貯金の目標が具体的であればあるほど、モチベーションが高まり、計画的にお金を貯めることができます。例えば、「1年後には30万円貯める」「年末までにこのバッグを買う」「来年の夏はヨーロッパ旅行に行く」など、具体的な期限と目的を決めることで、毎月の貯金額が明確になり、計画的に貯めやすくなります。
また、大きな目標だけでなく、月ごとや週ごとに少額ずつ貯める小さな目標を設定すれば、達成感を味わいながらモチベーションを保つことができるでしょう。
6.2 自動で貯金する仕組みを取り入れる
給料が振り込まれた際、自動的に一定額が貯金口座に振り分けられる「財形貯蓄」や「積立預金」を活用することで使えるお金が減り、無駄遣いを避けやすくなります。
これらの制度を使えば、毎月手動で貯金する手間がなくなるため、貯金を忘れる心配がありません。気づかないうちに毎月しっかり貯金ができているので、長期的な資産形成につながります。
6.3 家計簿をつけて収支を管理する
「毎月どれくらいお金を使っているのか把握できていない」という方は、家計簿を使ってお金の流れを把握するのがおすすめです。収入と支出を可視化することで、どれだけのお金を使い、どれだけ貯金に回せるかが明確になります。
また、 支出の詳細を把握できれば節約可能な部分を見つけやすく、より効率的に貯金ができるようになるでしょう。
6.4 ATMの利用回数を減らす
ATMで頻繁にお金を引き出すと、計画性のない支出が増える傾向があります。そのため、引き出す金額やタイミングを決めて、衝動的な支出を抑えることも貯金額アップにつながります。
また、ATMの利用回数を減らすことは、利用手数料の節約や、現金を持ち歩き過ぎないといった観点からも効果的です。
6.5 資産運用を勉強する
資産運用は限られた収入を増やす手段の一つです。近年は、銀行口座に貯金していても利息は期待できないため、資産運用について学び、効率的にお金を増やす努力が必要です。
2024年1月からは新NISA制度がスタートし、投資に興味を持つ人が増えています。20代はリスクを抑えた長期的な投資が可能な年代なので、新NISAの積立投資枠などを活用しながら、無理のない範囲で資産の構築を目指しましょう。
【関連記事】「新NISAとは? わかりやすく解説、デメリットや注意点も詳しく解説! (1)」
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7 まとめ
20代の平均貯金額は個人の収入やライフスタイルに大きく左右されますが、中央値は比較的低めです。理想の貯金額は、月々の生活費の6か月分程度が目安とされ、将来の大きな支出に備えるためには、計画的に貯金をする必要があります。
賢い貯め方として、貯金目標を明確にし、家計簿をつけて収支を管理することが効果的です。また、自動積立や資産運用など、無理なく資産を増やす仕組みを取り入れることも貯金を増やすためのポイントです。
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