新NISAとは? わかりやすく解説、デメリットや注意点も詳しく解説! (3)

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ファイナンシャル・プランナーであり、経済キャスターとして最新情報を伝えている鈴木ともみ氏が、若手社会人がライフプランファイナンシャルプランなど人生設計を立てる上で、いつのまにか罠に陥ってしまうことがないために、新NISAや資産形成投資に関する「デメリット」「注意点」について解説するコラムの第3回。今回は、投資対象を選ぶ際に重要となる「リスク許容度」を主に解説していきます。

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1.資産形成でポートフォリオの組む上での3つのポイント

2024年1月からスタートした新NISA(ニーサ)。少額からでも投資が可能である「少額投資非課税制度」です。

NISA口座を開設し、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」で投資した金融商品から得られる利益は非課税となり、非課税で保有できる限度額は最大1800万円(うち1200万円は成長投資枠)。

また、年間投資枠は「つみたて投資枠」が最大120万円、「成長投資枠」が最大240万円、2つの利用枠の併用により、最大360万円まで投資可能となりました。

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【図表出典】金融庁「NISAを知る」

前回のコラムでは、資産形成を始める際には、まずご自身の保有する(保有を予定している)資産の組み合わせや比率をどのように分散すべきかどのようなポートフォリオを組むべきか予算と目標を立てることが大切であるとお伝えしました。

そのポートフォリオの組み方は、ご自身の投資の目標によって異なります。

まずはご自身で、

(1) 最初に投資する金額はいくらか

(2)毎月どれくらい積立できそうか

(3)いつまでにどのくらいの金額を目標にしているのか

について整理し、その上で、資産形成で選ぶ金融商品については「安全性」・「流動性」・「収益性」という3つのポイントに分けてポートフォリオを組む必要があります

これら3つの特徴を持ち合わせた金融商品はほぼ存在しないといっていいかと思います。

◆「安全性」が高ければ ⇒「収益性」は低い。 「収益性」が高ければ ⇒「安全性」は低い。

◆「流動性」が高ければ ⇒「収益性」は低い。 「収益性」が高ければ ⇒「流動性」は低い。

3つの特徴を合わせ持った金融商品がまず存在しないからこそ、ご自身でそれぞれの特徴を持った金融商品を上手にバランスよく組み合わせて、ポートフォリオを組む必要があるのです。

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2.収益性のある商品を選ぶ際に重要となる「リスク許容度」とは?

これまでの日本では多くの方々がご自身の資産のうち5割以上を預貯金のままにし、安全性のある金融商品ばかりに偏りすぎている状態が続いていました。

一方、新NISAを利用できる金融商品は株式や投資信託となりますから収益性のある商品です。

この収益性のある商品を選ぶ際に重要なのが、リスク許容度という考え方です。

「リスク許容度」とは、その人がどこまでリスクを取ることができるのか(許容できるか)、その限度を示すものです。

リスク許容度は、個々人に合った主観的な尺度であるため、正確に測定することは難しいのでが、年齢、自分や家族のライフイベント、資産や収入、投資の情報や知識、経験値などで変わります。

リスクが高い金融商品はハイリスク・ハイリターンになるわけですから、大きな収益が出る可能性があるのと同時に大きな損失を被る可能性も高まります。

つまり、リスク許容度とは資産形成で投資した結果、どのくらいの損失であれば耐えられるかについて、その度合いを測るものとも言えます。

リスク許容度を見誤ると、生活資金に支障が出てきて家計が回らなくなったり、夜も眠れないほど精神的に追い詰められたりすることもあります。

一方で、リスクを取らないうちは、高い収益・リターンを得ることはできません。

金融商品の3つの特徴を押さえた上で、自分のリスク許容度を正確に把握しておくことは、失敗したり罠に陥ったりせずに資産形成していくために必要不可欠なことなのです。

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【関連記事】「【新NISA】初心者はつみたて投資枠から!商品選びや注意事項を解説」

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3.リスク許容度を把握するために必要な4つのポイント

リスク許容度を把握するために必要なポイントは、次の通りです。

3.1.年齢(時間)

一般的に年齢が若いほど長期的な運用が可能となるため、リスクを取れると考えられます。

長期に運用できる人の方が、万が一損失が出た場合でも、換金せずに保有し続けることができるため、リスク許容度は高くなります。

逆に資金を近い将来で使う予定がある場合は、リスク許容度は低くなります。

長い時間をかけて運用できる人ほど、損失が出ても資金が必要な時期までに損失をカバーできる時間があり、リスク許容度は高くなります。

3.2.自分や家族のライフイベント

家族構成や自分や家族のライフイベントの有無によって、リスク許容度は変化します。

教育費や住宅購入などは大きな支出であり、支出が多いと運用に回せる資金は少なくなるため、リスク許容度は低くなります。

人生の三大支出は「教育」「住宅」「老後」であるというポイントも押さえておきましょう。

3.3.資産や収入

収入が多い人やこれから増えていくと推測される人は、リスク許容度は高いと言えます。

逆に収入が少ない人やこれから減少していく人は、リスク許容度は低くなります。

また収入が多くても、そのほとんどが使用予定資金であれば、リスク許容度は低くなります。

つまり、資産や収入に余裕がある方が、リスク許容度は高くなるのです。

そのため、家計の収支バランスをしっかり把握しておくことが大切です。

3.4.投資の情報や知識、投資経験値

投資経験値の高い人は、これまでに投資を経験して損をしたこともあり、自分自身の感じ方やその時にどのように対応するかがわかっていますが、投資経験がない人は、実際に損をしてみないと自分がどのように感じるかの想像がつきません。

投資経験がない人は、ご自身のリスク許容度を過大評価せず、最初はリスクを低めに設定してスタートする方が賢明です。

実は、リスク許容度には一人ひとりの性格も影響します。どんなに資産に余裕があっても株価が下がると気になって仕方なく、他のことが手につかないし夜も眠れない、という方はリスク許容度を高く設定しない方が良いでしょう。

ご自身がリスクを含めた投資に積極的なタイプなのか消極的なタイプなのかは、投資経験を通して気づくこともありますので、リスク許容度は測る際に投資の経験値は重要なポイントとなります。

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4. リスク許容度の把握には、ライフイベントやファイナンシャルプランの把握が必要

このようにリスク許容度は年齢を含め、自分自身が置かれている状況やライフプラン=ファイナンシャルプランによって、大きく変わってきます。

若い世代で長期的な運用が可能であれば、新NISAを活用した株式や投資信託など、収益性のある金融商品を多めに組み込んだ資産形成が可能になりますし、年金での生活が始まるシニア世代は、預貯金や債券に比重を置いた安全性の高い金融商品で、リスクを低めに設定しておく方が良いでしょう。

そして、ご自身のリスク許容度を正しく把握するためには、ライフイベントやファイナンシャルプランを把握しておくことが肝心です。

資産形成は、ライフイベントやファイナンシャルプランに適したポートフォリオを組むことになるため、その都度見直しをする必要性が出てくるからです。

このライフイベントやファイナンシャルプランの基本については、注意点などを含め、今後のコラムで解説していきたいと思います。
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鈴木ともみがキャスターを務める『WORLD MARKETZ』(東京MXテレビ・ストックボイスTV)は平日夜22:00~23:00生放送(鈴木ともみは月曜日担当)。最新のグローバルな金融経済ニュースをリアルタイムでお伝えする国際金融報道番組。
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著者:鈴木ともみ

経済キャスター、国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、日本記者クラブ会員記者、ファイナンシャル・プランナー。
埼玉大学大学院人文社会科学研究科経済経営専攻博士前期課程を修了し、経済学修士を取得。地上波初の株式市況中継TV番組『東京マーケットワイド』『WORLD MARKETZ』、『Tokyo Financial Street』(ストックボイスTV)にてキャスターを務める他、TOKYO-FM、ラジオNIKKEI等ラジオ番組にも出演。NIKKEI STYLE、マイナビ、FinTech Journal、日経QUICK等にてコラムを連載。国内外の政治家、企業経営者、ハリウッドスター等へのインタビュー多数。主な著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)『資産寿命を延ばす逆算力』(シャスタインターナショナル刊)。

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