通年採用はいつから本格導入される? メリット・デメリットも解説

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大学生の就職活動と言えば、かつては3月から広報が始まり6月から実際の選考が始まる「新卒一括採用」が主流でした。しかしここ最近では、年間を通して採用活動を行う「通年採用」が広がりを見せています。

そこで今回は、通年採用のメリット、デメリット、通年活用の活用方法などを解説していきます。これから就職活動を控えている学生の方は、将来の選択肢を拡げるためにも通年採用についてしっかりと理解しておきましょう。

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1.徐々に広がりを見せる「通年採用」とは

通年採用とは企業が時期を定めることなく、1年を通じて採用をおこなうことです。

現状、日本の新卒採用は毎年3月に広報活動、6月に採用活動が解禁となり、すべての新卒採用実施企業が揃って採用活動をスタートさせています。これは日本独自の就職活動のルールで、その舵取りをしているのは「経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)」という団体した。経団連は、学生の本分である学業が就職活動によって疎かにならないための配慮としてこのルールを定めていたのです。

しかし2018年、経団連の中西会長が採用選考に関する指針、いわゆる就職活動のルールへの疑問を呈し、指針を撤廃する考えを示唆しました。その結果、2021年以降の採用選考に関わるルール作りは、経団連ではなく政府が主導することになりました。その流れの中で、「今後は徐々に通年採用が広がりを見せるのでは?」という声が聞こえるようになっています。

今後の就職活動のルールは政府主導で定められることになり、その流れの中で通年採用が広がると見られています。

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2.これまでの新卒一括採用の課題

現在の日本は少子高齢化による労働人口の減少が問題になっており、企業は人材確保に苦戦を強いられています。多くの企業で若手人材の需要が高く、従来の新卒一括採用のみでは十分な人員が確保できないケースも発生しています。また、たとえ十分な採用が行えたとしても、内定辞退者の発生により人員不足に陥る可能性もあります。

近年のグローバル化の流れも、新卒一括採用に対する否定的な要素の一つとなっています。より多彩で能力の高い人材を確保するためには、今まで新卒採用が難しかった留学生や海外大卒者にまでターゲットを拡大し、積極的に採用していく必要があるでしょう。しかし従来の新卒一括採用では、日本の大学生とは異なるスケジュールで学生生活を送っている留学生を迎え入れることは困難です。

このような経緯から、近年では通年採用、または秋採用を導入する企業が増えつつあるのです。

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3.新卒一括採用・中途採用と通年採用との違い

新卒一括採用と通年採用には、具体的にどのような違いがあるのかを以下でご説明します。また、中途採用と通年採用との違いについても解説します。

3.1.新卒一括採用と通年採用の違い

新卒一括採用と通年採用との違いは、主に以下の通りです。

・採用時期

一括採用では期間を限定して行われるのに対し、通年採用はその名の通り1年を通して常時採用活動を行います。

・採用対象者

従来の一括採用では、新卒予定者のみが対象でした。しかし、通年採用の場合は時期に縛られることがなくなるため、新卒者に限らず第二新卒や既卒、留学生、海外の大学生なども対象に含まれます。

3.2.中途採用と通年採用との違い

「中途採用」と「通年採用」は採用対象に違いがあります。

「中途採用」は既に社会人経験がある人が主な採用の対象となりますが、「通年採用」は年間を通して中途採用・新卒採用などほとんど全ての人が採用の対象に入ります。

また、中途採用の場合、応募できる人が限られやすい中、通年採用はジャンルを問わず自由に応募しやすいという違いもあります。

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4.新卒の通年採用はどれくらい進んでいる?

徐々に拡大すると見られる通年採用ですが、実際どれくらいの企業で導入されているのでしょうか。

また、今後本格的に導入が始まるのはいつごろからなのでしょうか。

4.1.通年採用を望む学生は6割以上

厚生労働省の発表によると、2018年の調査において通年採用の導入を望む学生は60.6%でした。約6割の学生が通年採用を希望しています。

その理由としては、「自分に合う企業を見極めるため、就職活動に時間をかけたいから」「就職希望先の採用スケジュールが重なるのを避けたいから」、などが上位に挙がっています。

【出典】厚生労働省「第5回 今後の若年者雇用に関する研究会事務局説明資料」

4.2.通年採用を導入している企業の割合

厚生労働省が発表している平成30年のデータによると、新卒の通年採用を導入している企業はそれほど多くないことがわかります。特に、1,000人以上の大企業では、およそ5%程度とかなり少ない割合となっています。

その理由に、「春季の一括採用で必要な人材を確保できるから」「通年採用では中途採用のみ採用しているから」「通年採用のためにあらたな人材や追加費用を捻出できないから」、などがあります。

【出典】厚生労働省「第5回 今後の若年者雇用に関する研究会事務局説明資料」

4.3.通年採用が本格的に始まるのはいつから?

政府は、2024年度(令和6年度)卒業予定者の採用活動についても、現行のルールを踏襲すると公表しています。つまり2024年2月現在、採用ルールに大きな変更はなく、通年採用が本格化しているとは言えない状況です。

一括採用の見直しが求められる一方で、急なルールの撤廃や変更は、学生達に大きな不安を与え、混乱を招くことになりかねません。そのため、今後も新卒一括採用が突然なくなったり、各社一斉に通年採用を導入したりする可能性は低いでしょう。

ただし、政府は「多彩な人材の育成」「採用時期を逸した学生への機会提供」、といった観点から、通年採用や秋期採用の積極的な導入を企業に促しています。

近年、外資系企業やベンチャー企業などではすでに通年採用を導入しているところも少なくないことから、徐々に広がりを見せることが予想されます。

【出典】内閣官房「2024年(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」

【出典】厚生労働省「通年採用や秋季採用の導入も」

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5.通年採用におけるメリット

通年採用のメリットはどのような点にあるのでしょうか。学生側、企業側の双方の視点からみていきます。

5.1.学生側のメリット

学生側のメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

5.1.1.ゆとりのあるスケジュールが組める

採用時期が限定されていないことにより、時間にゆとりを持って就職活動のスケジュールを組めるようになります。従来は1日に何件もスケジュールを詰め込みながら就職活動をする学生が多く見受けられましたが、通年採用であれば、他社の選考状況も加味し無理のないスケジュールを立てられるようになります。

5.1.2.しっかり準備をしてから選考に臨める

まずは自己分析やエントリーシートの作成、面接対策など、事前準備にしっかりと時間をかけられます。一つひとつの企業に対してじっくりと対策を練ることができ、より納得感・満足感の高い就職活動を行えるようになります。

5.2.企業側のメリット

一方、企業側のメリットは以下の2つが挙げられます。

5.2.1.新卒一括採用では出会えない人材にも出会える

通年採用によって、新卒一括採用では取り込みづらかった新たな層に対して積極的にアプローチをすることが可能となります。特に日本の大学生とは異なるスケジュールで学業生活を送っている留学生などは、これまで一括採用の解禁に合わせた動きが取りづらい状況でしたが、通年採用の実施により、多彩な能力を持つ人材の採用が期待できるようになります。

5.2.2.自社にマッチした人材を見極める時間が増える

通年採用は学生側のみならず企業側にとってもゆとりを生み出します。そのため従来よりも丁寧な採用活動が行えるようになり、より自社の望む人物像に合った人材を見極めることが可能となります。また、刻々と変化する社内の状況に合わせた臨機応変な採用活動も行えます。

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6.通年採用におけるデメリット

通年採用には上記のようなメリットがある反面、デメリットも存在します。リスクについてもきちんと認識し、備えておきましょう。

6.1.学生側のデメリット

学生側に考えられるデメリットは、以下の2つが挙げられます。

6.1.1.より能力を重視される

新卒一括採用に比べて時間的な余裕が生まれる分、企業側から求められるレベルも高くなる傾向にあります。一括採用のスピード感でなら見逃してもらえていたかもしれない部分も、通年採用では通用しなくなる可能性があります。そのため、より綿密な準備が必要となります。

6.1.2.情報収集のハードルが上がる

通年採用では各企業が独自に採用活動を行うため、一社ごとに採用スケジュールを調べていかなければなりません。他社と混同しエントリーシートの締め切りや面接日程を勘違いしてしまうようなミスが起こらないよう、正確なスケジュール管理が求められます。

6.2.企業側のデメリット

企業側のデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

6.2.1.採用・教育にかけるコストが高くなる

通年採用では年間を通して募集と選考を行うため、その分コストもかさみます。採用広告の掲載期間も長期化し、就職活動のイベント出展の機会も増えることが想定されます。また、採用時期にばらつきがあれば研修を複数回実施することになり、教育面でもコストが膨らみます。

6.2.2.採用担当者の負担が大きくなる

新卒一括採用は短期集中で業務に取り組むことができますが、通年採用は常に募集と選考が行われる状態のため、そのぶん採用担当者の負担も大きくなります。採用以外の業務を兼務しているような場合は、スケジュール管理がより難しくなる可能性があります。

6.2.3.知名度を上げるための施策がより求められる

通年採用であっても新卒一括採用のスケジュール感を無視することはできません。多くの学生が動き出す一括採用の解禁に合わせた広報活動もしなければ学生の目に留まらず、優秀な人材との接点を失ってしまうばかりか、一括採用で内定を獲得できなかった学生の滑り止めのような立ち位置になりかねません。

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7.さまざまな工夫で通年採用が活用されている

学生にとっても導入する企業にとっても「難しい」と感じる点がある通年採用ですが、実際に導入している企業によっては入社時期を限定していたり、独自の選考手法を組み込んでいたりと、様々な工夫をしています。

7.1.入社時期を限定する

企業側のデメリットでも説明したように、通年採用を行っていつでも入社できる状態にすると、採用や教育にかかるコストが増えてしまいます。

そのため、入社時期を春・秋もしくは春・夏・秋など年2~3回に限ったり、応募は通年可能だが入社は4月のみとしている企業もあります。

そうすることによって、一括採用と通年採用どちらのメリットも活かしつつ採用活動ができます。

7.2.募集する職種によって使い分ける

ひとつの企業の中で複数の職種を募集している場合、限られた職種のみ通年採用を行っているケースもあります。

職種が違えば求める人材像も変わってきます。

通年採用を導入することによって、その人材像にマッチした応募者が大幅に増えることもあります。

すべての採用を通年にするのではなく、より通年採用に合った職種に限定することで、できるだけ企業側の負担を小さくしながら自社にマッチした人材に出会うことができるのです。

7.3.独自の選考システム

通年採用導入にあたって、選考方法そのものを見直す企業も多いです。

従来の典型的な選考フローから脱却し、独自のシステムで選考を行う企業もあります。

例えば、エントリーの前段階としてユニークなワークショップを開いて学生を集めたり、学生のこれまでの活動や経験、能力をより評価しやすいよう多様な選考プログラムを作って学生の選択肢を広げたりしています。

また、海外留学中や海外在住の学生にも対応できるよう、エントリーから最終面接まですべてオンラインで参加できる企業もあります。

7.4.応募条件の緩和

通年採用を導入することによって、応募条件による制約も少なくなる傾向も出てきています。

通年採用を導入している企業においては、30歳以下など年齢制限はあっても新卒・既卒、就業経験問わず募集している企業がほとんどで、中には学年も問わない企業もあります。

学年に関係なく応募できることで、大学1~2年生のうちに内定を得てから学生生活に集中するという、今までは考えられなかったこともできるようになっています。

採用の間口が広がったことで学生側の選択肢も多様化し、より自分に合ったやり方で就職活動をできるような状況が生まれているのです。

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8.内定獲得を目指すには

この先転職を考えているという人は、さまざまなサポートを受けられる「転職エージェント」の活用をおすすめします。

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その他にも、内定獲得に向けての応募書類の添削や面接対策のサポートなども行います。

分からないことがあっても誰かに頼れる安心感があるので、スムーズに転職活動を行うことができるでしょう。

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9.まとめ

企業に自分を十分にアピールできるチャンスとなる通年採用。就活生、企業の双方にプラスとマイナスの側面がありますが、少子高齢化や価値観の多様化などを受け、今後は就職活動の主流となっていくことは間違いなさそうです。

通年採用下においても納得できる就職活動が行えるよう、自分ができること、やるべきことを今から整理して、丁寧に取り組んでいきましょう。


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