雇用形態には、「正社員」「契約社員」「派遣社員」「アルバイト」「パート」などの種類があります。それぞれの違いは何となく理解しているものの、細かい違いまではわからないという方は意外に多いかもしれません。
特に、同じ「社員」と名のつく「契約社員」と「正社員」の2つの雇用形態に関しては、曖昧な認識な方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、契約社員と正社員の定義や違い、それぞれのメリット、デメリットなどを解説します。
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1.契約社員と正社員の定義とは?
契約社員と正社員の違いを知るためには、まずそれぞれの定義を理解する必要があります。簡単にまとめると以下のようになります。
1.1.正社員
正社員の定義は、「期間の定めがない無期雇用契約で雇用され、フルタイムで働く社員」です。採用後に雇用期間の更新はなく、継続的に働き続けることが可能です。ただし、会社の指示により業務や勤務地の変更が生じる可能性があります。
1.2.契約社員
契約社員の定義は、「期間の定めがある有期雇用契約で雇用され、フルタイムで働く社員」です。雇用条件が限定的で、一定期間ごとに雇用契約を更新することになります。仕事の範疇や条件が明確なため、仕事以外に優先すべきことがある人などに適した雇用形態です。
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2.契約社員と正社員の違い
契約社員と正社員の違いには主に7つのポイントがあります。
2.1.雇用形態
正社員と契約社員の一番の違いは雇用形態です。前述の通り、契約社員は有期、正社員は無期の雇用となります。
世間一般的には正社員のほうが安定した経済基盤があると認識されることが多いため、プライベートで何かの商品やサービスに申し込んだり、賃貸や保険などの契約を締結したりする場合は正社員であることが有利に働くケースもあるでしょう。
2.2.雇用期間
契約社員は有期雇用契約のため、契約満了を迎えるタイミングで更新か終了かを判断されます。一方の正社員は無期雇用のため、中途退職をしない限り定年を迎えるまで働き続けることができることが前提となっています。
2.3.業務内容
契約社員は正社員と違い、基本的に任される仕事の範囲や内容が契約で決められています。そのため、契約社員が裁量権のある仕事を任されることは少ない傾向です。
ただし、東京都労働産業局が令和元年に公表した調査によると、業務内容が正社員と同じと答えた契約社員は64.7%にのぼりました。また、仕事の量が正社員と同じと答えた契約社員も66.4%とかなりの割合を占めています。つまり、正社員と同じ仕事をしている契約社員も一定数いることがわかります。
【参考】東京都労働産業局「令和元年度 契約社員に関する実態調査」
2.4.給与
毎月の給与も正社員と契約社員では異なるのが一般的です。正社員も契約社員も、雇用契約書などで定められた給与を受け取れる点では同じですが、正社員は昇進や昇給があることが多く、それに伴い給与も上がる可能性があります。
一方、契約社員には昇進や昇給はないため、給料は当初定められた額のままです。ただし、契約更新の際に給与査定が実施されて、初めの契約時よりも給与額がアップする可能性はあります。
2.5. 福利厚生
福利厚生の内容は企業により多種多様です。雇用形態を問わずすべての従業員を対象とする企業もありますが、契約社員は対象となる内容が制限されるケースも見受けられます。
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2.6.ボーナスや退職金
ボーナスや退職金は、企業が独自に定めるものであり、制度自体が設けられていないケースもあります。
就業規則で支給を定めている企業では支給されることになりますが、契約社員を対象としない企業もあります。たとえ支給対象となっても正社員よりも支給額が低い可能性もあるでしょう。
【関連記事】「【ボーナスの査定期間とは】査定前に退職を申し出る場合の注意点などを解説」
2.7.休日・休暇
休日や休暇の付与条件に雇用形態による区別はありません。労働基準法で定められた最低日数が契約社員にも正社員にも同等に付与されます。
ただし、企業が独自に設ける休暇制度に関しては正社員のみを対象とするケースもあるでしょう。
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3.契約社員から無期雇用になれる労働契約法改正の概要
2013年、改正労働契約法における「無期労働契約への転換」が施行されました。契約更新を繰り返し通算5年以上が経過した契約社員などのうち、自ら申し出をした者に対して、企業は無期雇用契約に転換しなければならないという内容です。
これは「5年ルール」や「無期転換ルール」ともいわれるもので、契約社員だけでなくアルバイトやパートなどに対しても適用される法律です。企業側に拒否権はないため、5年以上勤務した契約社員のうち、希望する人は誰でも無期雇用で働き続けることができます。ただし、原則として労働条件は有期雇用のときと同じとされています。
【参考】厚生労働省「改正労働契約法のポイント」
4.正社員のメリット
正社員になることにはメリットがあります。代表的な4点をご紹介します。
4.1.収入が安定している
正社員の大きなメリットの一つは、収入が安定する点です。給与は月給制もしくは年俸制が大半で、時給制のように祝日の日数によって出勤日が減っても給与額は大きく変動しません。
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4.2.キャリアアップのチャンスが多い
正社員はキャリアアップのチャンスに恵まれやすい雇用形態といえます。任される仕事の領域や伴う責任が大きいぶん、実務で成果を上げればそれだけ成長を実感できます。
会社によっては、その成果に合わせて昇格・昇給制度が設けられている場合もあります。
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4.3.社会的信用度が高まりやすい
正社員は対外的な信頼を得やすい雇用形態です。賃貸やローン契約、クレジットカードの発行など、正社員が有利な場面があります。
4.4.福利厚生が充実している事が多い
充実した福利厚生が受けられることが多いのも正社員のメリットの一つです。契約社員やアルバイト、パートの場合は受けられるものが限定的なケースがあります。
5.正社員のデメリット
正社員にもデメリットは存在します。以下の2点が自分にとってデメリットとなる要素かどうかを確認してみましょう。
5.1.転勤がある場合も
複数拠点を持つ企業で働く正社員は転勤を命じられる可能性があります。雇用契約や就業規則で定めがある場合は辞令を断ることが難しいです。
5.2.副業が難しい場合がある
近年副業解禁の波が訪れているものの、いまだ正社員の副業を良しとしない風潮が残っている企業もあります。また、副業に避けるような時間や精神的な余裕がない人もいるでしょう。
6.契約社員のメリット
一方、契約社員には以下のようなメリットがあります。
6.1.正社員になれる可能性もある
契約社員として入社しても正社員登用される可能性があります。会社独自に正社員登用制度を設けている場合もありますが、5年ルールでも実現可能です。
6.2.自分の能力やスキルを直接的に活かしやすい
自分の能力やスキルを直接的に活かした働き方ができる点も契約社員のメリットです。契約社員は業務範疇が雇用契約で限定されているため、仕事選びの段階で取捨選択ができます。
6.3.勤務時間を調整できる
契約社員は勤務時間の調整がしやすい場合もあります。勤務時間は雇用契約ごとに定められるため、自分の希望に合致した条件を選択できることが多いでしょう。
6.4.希望する場所で働くことができる
契約社員には転勤がないことが多いため、原則的に採用時に決定された勤務地で働き続けることができます。家庭の事情などで通勤時間が長くなったり住む場所を変えたりできない人にとっては大きなメリットといえるでしょう。
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7.契約社員のデメリット
メリットの反面、契約社員ならではのデメリットもあります。自分にとってメリットとデメリットのどちらが優位かを確認してみましょう。
7.1.長期的な雇用が保証されていない
契約社員は有期雇用契約のため、長期的に働き続けることが保証されていないというデメリットがあります。契約が更新される限りは働けますが、会社の業績などによっては契約が更新されないリスクがあります。
7.2.年収が少なくなる可能性がある
先述したとおり、契約社員は契約が満了するまで昇進や昇給がありません。そのため、長く勤めても労働に見合った収入アップが期待できない可能性があります。また、ボーナスや退職金も、企業によっては契約社員を対象外としている場合もあり、正社員と比較すると年収が少なくなることが懸念されます。
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8.まとめ
契約社員か正社員か、雇用形態の違いによって働き方や待遇は変わってきます。そして、それぞれに魅力的なポイントもあればマイナスに捉えられるポイントもあります。
正社員と契約社員、それぞれの違いを理解した上で、自分にとって最善のキャリアを選択しましょう。
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