試用期間中に退職はできる?申し出る方法や退職を迷ったときの判断基準を解説

仕事の悩み・転職

試用期間中であっても退職は可能です。そもそも試用期間とは、従業員の適性や態度を見極める期間として3ヶ月~6ヶ月程度設けられているものであり、基本的には長期雇用を前提として導入されています。

そのため、「入社からまだ日が浅い試用期間中に退職したいと思ったときはどうすればいいのだろう」と、疑問に感じる方も多いでしょう。そこで、本記事では試用期間中の退職に関する情報をまとめました。具体的な退職手順や切り出し方も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

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1 そもそも、試用期間中に退職はできる?

結論から言うと、試用期間中であっても通常の社員と同じように退職できます

そもそも試用期間とは、企業が採用した労働者の能力や態度を見極めるために導入している一定期間のことですが、企業と労働者は正式な雇用契約を結んでいるので、労働者には退職する権利が与えられています

実際、令和6年に厚生労働省が行った調査によると、令和5年3月に大学を卒業した就職者約46万人のうち、1年以内に離職した人数は約5万人にのぼり、1年目までの離職率は約10%でした。

【出典】厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」

【関連記事】「会社の試用期間とは?給料や社会保険、トラブルへの対処法を解説!退職の手順も」

1.1 退職したい場合は希望日の2週間前までに申し出る

民法627条において、「雇用期間の定めがない場合はいつでも解約の申し入れができ、雇用は解約を申し入れた日から2週間を経過すると終了する」といった旨が記載されています。

つまり、基本的に無期雇用の場合は、試用期間中であっても退職希望日の2週間前に申し出ることで退職が可能ということです。一方、雇用の期間が定められている有期雇用の場合は、原則として契約期間が満了するまで退職はできません。

ただし、就業規則などで「退職は希望日の何日前に申し出る」と具体的に定められている場合は、その内容に従うようにしましょう。

【出典】e-GOV「民法第六百二十七条」

【関連記事】「新卒で会社を辞めたいと思ったら-転職のメリット・デメリットや注意点について解説」

1.2 即日退職が認められることもある

無期雇用の方が退職する場合は、2週間前にその旨を申し入れるのが基本です。しかし、体調の急変や家庭の事情などでどうしても勤務が難しい場合は、即日退職が認められるケースもあります。

また、給与の未払いやパワハラなど企業から不当な扱いを受けた場合も、2週間を待たずに退職できる可能性があります。

1.3 試用期間中の退職でも給与はもらえる

試用期間といっても、企業と従業員の間には正式な雇用契約が結ばれています。そのため、労働した分の給与は、全額もらうことができます

ただし、企業によっては試用期間中の給与を、本採用後の給与よりも低く設定していることがあります。そのため、試用期間中の給与については、労働契約書などでしっかり確認しておきましょう。

【関連記事】「試用期間中でもクビになる?不当解雇になる場合や回避する方法を解説」

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2 試用期間中に退職するメリット

入社後間もない時期の退職は、一般的にあまり良くないイメージを持たれがちです。しかし、試用期間中の退職にはいくつかのメリットも存在します。

2.1 将来のストレスを未然に防げる

希望を持って入った会社でも、実際に働いてみると想像とは全く異なり、理想と現実とのギャップに苦しむこともあるでしょう。また、どうしても気が合わない先輩や、パワハラ気質の上司がいて、仕事に行くこと自体が辛いと感じる方がいるかもしれません。

このように、仕事や職場に適応できない場合は、早期に退職することで、適応不良からくる将来のストレスを防ぐことができます

2.2 自分に合う仕事を見つけやすくなる

合わない仕事を無理に続けていると、将来のキャリアについて冷静に考える余裕がなくなり、本当にやりたいことが見えにくくなってしまうことがあります。その結果、自分に合わないキャリアの経歴を積んでしまうことにつながります。

転職市場では、これまでどのようなキャリアを積んできたかが重視されますので、自分に合わないキャリアの経歴を長く積むほど、本当にやりたい仕事をするためのキャリアチェンジが難しくなる可能性があります。

一方、早めに退職を決断すれば、本当にやりたい仕事を探すチャンスが生まれます。また、やりたい仕事を見つけられたら、自分に合わないキャリア形成を短縮した分、適性があるキャリアを長く築くことにつながるでしょう。

「本当にこの仕事を続けていいのか?」「これは自分がやりたかった仕事か?」という迷いが生じた場合は、早めに立ち止まり、自分が理想とするキャリアや働き方を見直すことで、将来のメリットは大きくなるでしょう。

2.3 第二新卒として転職活動を行える

試用期間中に退職し転職を目指す場合は、第二新卒として転職活動を行えます。第二新卒とは、学校卒業後に就職し短期間で転職を志す、社会経験がおよそ3年未満の人を指す言葉です。

社会経験のある第二新卒は、転職市場での需要も高い傾向があります。たとえ試用期間であっても、実務を経験したことは転職の際有利になるかもしれません。

【関連記事】「試用期間中でも社会保険に入れる?条件や入れない場合の対処法を解説」

【関連記事】「新卒入社後の転職に適したタイミングとは?転職活動のポイントを徹底解説!」

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3 試用期間中に退職するデメリット

上記のようなメリットがある一方で、試用期間中の退職にはデメリットも存在します。ここでは主に考えられる2つのデメリットを紹介します。

3.1 失業手当(雇用保険)がもらえない可能性がある

失業手当を受け取るには、「退職前の2年間で、雇用保険に通算12ヶ月以上加入していること」が基本条件です。

試用期間が12ヶ月未満の場合は、雇用保険の加入期間も12ヶ月未満となり失業手当の受給資格がありません。そのため、退職後にすぐ次の転職先が見つからないと、生活が苦しくなってしまう恐れがあります。

ただし、倒産や解雇など会社都合による退職の場合は、6ヶ月以上の加入で受給が可能となります。

【出典】厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」

3.2 転職に影響が出る可能性がある

退職理由にもよりますが、入社後すぐに退職していたり、試用期間中の退職を繰り返したりしている場合は、転職の際にあまり良い印象を持たれない可能性があります。

企業は人材を採用する以上、できるだけ長く働いてくれることを期待しています。そのため、転職の際は「採用しても、またすぐに辞めてしまうかもしれない」と思われないように、納得いく理由を準備しておくといいでしょう。

3.3 キャリアが築けないこともある

雇用保険に未加入のまま退職した場合は、職歴が残らない可能性があり、せっかく働いても無職の空白期間になってしまうかもしれません。

また、安易な理由で一度退職を経験してしまうと辞めぐせがつき、少しでも嫌なことがあるとすぐに「辞めたい」と思ってしまうこともあります。その結果、どの仕事も長続きしなくなり、なかなかキャリアが築けないということも起こりがちです。

このように、試用期間中の退職にはデメリットもあるため、本当に辞めるべきなのかを慎重に検討することが大切です。

【関連記事】「試用期間中の給料を詳しく解説!低いと言われる理由や注意点も」

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4 試用期間中の退職手順

ここでは、試用期間中に退職する手順を解説します。試用期間中であっても、退職の際は正しい手順を踏むことが大切です。

4.1 上司に口頭で退職の意思を伝える

退職の意思を固めたら、まずは上司に口頭でその旨を伝えましょう。勤務中や他の社員がいる場所は避け、しっかりアポを取って伝えることが基本です。もしも、まだ正式な配属前で直属の上司がいないという場合は、人事部の担当者に連絡します。

4.2 退職届を提出する

口頭での連絡が終わったら、退職届を提出します。「試用期間中の退職であれば退職届は不要ではないか」という声もありますが、正式な雇用契約を結んでいる以上、退職の際も正式な方法でおこなうのがいいでしょう。

もしも、会社独自に退職の際のルールがある場合はそれに従います。また、退職届は一度受理されると基本的に撤回することはできません。

4.3 仕事の引継ぎや必要な手続きを行う

退職日までに、仕事の引継ぎや手続きを滞りなく終わらせましょう。仕事を引き継いでくれる同僚が困ることのないように、引継ぎ書などを作成するのがおすすめです。また、試用期間中に指導してくれた先輩や上司に、感謝の気持ちを示すことも大切です。

【関連記事】「試用期間中の退職は履歴書に書くべき?理由別の書き方も紹介」

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5 試用期間中の主な退職理由と例文

「試用期間中に退職を申し出るのは気まずい」という方は多いでしょう。そこで、ここでは主な退職理由ごとの切り出し方を例文で紹介します。

5.1 社風が合わない

社風とは、企業の雰囲気や価値観、独自の文化のことです。実際に働いてみると、社風が自分には合っていないと気づくことがあります。その際は、社風が悪いのではなく、あくまで自分には合わないという内容を伝えることが大切です。

「入社前は活気ある社風に魅力を感じ、自分もその一員として働けるのを楽しみにしておりました。しかし、自分の性格上なかなか雰囲気に馴染めず、力を発揮することができませんでした。仕事へのモチベーションも上がらず、このまま続けても職場の皆さんにご迷惑をお掛けすることになると思い、悩みながらも退職を決意した次第です。試用期間中の退職となり、大変申し訳ございませんが、何卒ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。」

5.2 業務内容が想像と違う

入社前に想像していた業務内容と、実際の業務内容が大きく異なることもあります。その際は、はっきりそのことを伝えた上で、自分には合っていないという内容を述べましょう。

「私は元々事務志望で入社いたしましたが、実際の業務は顧客対応や営業補助が多く想像と大きく乖離しておりました。2か月間、自分なりに努力はしたものの、やはり今の業務に馴染むことができず、これ以上続けるのは難しいと感じました。
試用期間中の身でありながら、このような結論に至りましたことを大変申し訳なく思っております。ご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いいたします。」

5.3 自身の体調不良

体調が悪くなり退職を決めた場合は、その旨を正直に伝えましょう。場合によっては、退職ではなく病気休暇の取得を勧められる可能性もありますが、退職を決めているのであればはっきりと断ることが大切です。また、病気や怪我の診断書を提出するのも良いでしょう。

「数週間前より体調が悪化し、現在通院により治療を受けている状況です。これまで体と相談しながら無理のない範囲で業務をこなしてきましたが、長時間の勤務が難しくなっております。このままの状態では十分な力を発揮できず、職場の皆さんにもご迷惑をお掛けすることになるため、〇月〇日をもって退職させていただきたいと思います。」

5.4 介護や育児といった家庭の事情

介護や育児といった個人的な家庭の事情で退職する場合も、正直に理由を伝えるのがおすすめです。あまり細かく話す必要はありませんが、一身上の都合といった曖昧な内容ではスムーズに受け入れてもらえない可能性もあるため、おおよその理由は伝えるようにしましょう。

「私事で大変申し訳ございませんが、実母が介護を必要とする状態になってしまったため、〇月〇日をもって退職させていただければと思います。勤務時間や業務内容の変更をお願いすることも考えましたが、介護との両立は難しいと判断し、退職を決意いたしました。試用期間中の退職となり、職場の皆さんにはご迷惑をお掛けいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。」

【関連記事】「【仕事の辞め方】必要な準備や転職活動から退職までの流れと注意点を解説」

6 試用期間に退職するか迷ったときの判断基準

試用期間中の退職を決める際は、感情に流されず、冷静に「仕事の適性・職場環境・今後のプラン」を整理することが大切です。長期的にプラスになる選択かどうかを考えたうえで、退職するか続けるかを判断しましょう。

以下のチェックリストに当てはまる場合は、退職した方が後悔を少なくできる可能性があります

□ ハラスメント パワハラ・長時間労働・給与未払いなどの問題がある
□ 職場の雰囲気や人間関係で大きなストレスを感じ、心身に支障が出ている
□ 仕事内容が「難しい」ではなく「耐えられないほど苦痛」になっている
□ 次にやりたいことが明確に決まっている
□ 退職のデメリットを十分把握したうえで辞めたいと感じる

7 今後、試用期間中の退職を避けるには

試用期間中の退職は、理想と現実の乖離が原因であることが多い傾向です。そのため、試用期間の退職を避けるには、入社前と入社後のギャップをいかに小さくするかが重要と言えます。では、ギャップを感じずに働き続けるには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

7.1 応募前に企業について徹底リサーチを行う

まずは、応募前に企業のことを徹底的にリサーチしましょう。一見、華やかそうに見える職種でも、実際の業務は地味な単純作業が多いこともあります。また、配属される部署によって、想像とは全く違う仕事を任されるかもしれません。

さらに、給与や福利厚生、経営方針や企業風土などを調査し、自分の力を発揮できる場所かどうかを客観的に判断することが大切です。最近は、実際に働いて職場の雰囲気を体験できる「就業体験」や「インターンシップ」を実施している企業も多くなっているため、こういった制度を利用するのも良い方法です。

【応募前に確認しておくべき項目】

  • 企業理念や企業文化
  • 社員の定着率
  • 給与・手当・勤務時間などの労働条件
  • 具体的な業務内容
  • 求められるスキル
  • 研修やキャリアアップ制度の有無
  • 職場の雰囲気

7.2 転職のプロに相談する

企業の細かいリサーチは大変重要ですが、個人では限界があるのも事実です。そんなときは、マイナビエージェントなど転職のプロに相談するのがおすすめです。個人で調べるのが難しい企業情報を提供してもらえたり、自分の希望にぴったり合う企業を探してもらえたりすれば、入社後のギャップも感じにくくなるでしょう。

8 試用期間中の退職に関する疑問

ここからは、試用期間中の退職に関する疑問について解説します。「罰則はあるのか」「転職の際はどう対応すればいいのか」といった点を詳しく説明します。

8.1 試用期間中の退職に罰則はある?

正規の手続きを踏んだ上での退職であれば、試用期間中であっても罰則を求められることはないでしょう。もしも、「試用期間中に退職した場合は違約金が発生する」といった契約を求められたとしても、労働基準法第16条の「賠償予定の禁止」により、無効となる可能性が高くなります。

ただし、企業に大きな損害を与えたり、何の連絡もせず突然出社しなくなったりした場合は、何らかのペナルティが課せられることも考えられます。

【出典】e-GOV法令検索「労働基準法第十六条」

8.2 試用期間中の退職は履歴書に記入すべき?

試用期間中の退職も、履歴書には記入するようにしましょう。「印象が悪くなるから、試用期間中の退職は書かない方がいいのでは?」と考える方もいますが、雇用保険の手続きなどから職務経歴が判明した場合は、経歴詐称を疑われる可能性もあります。

退職の事実を隠したことでかえって印象を悪くし、働きづらくなったり解雇に至ったりすることも考えられるため、職務経歴は正確に記載することが重要です。

8.3 転職時の面接で理由を聞かれた場合の返答は?

確かに、短期間での退職は転職の際不利になるかもしれません。しかし、伝え方によっては好印象を与えられる可能性は十分にあります

例えば、「前職では希望の部署に配属されず、自分の力を発揮できませんでした。しかし、その中でも〇〇するなど自分なりの努力をしてきたので、その経験と反省を活かし、御社では〇〇の分野で頑張りたいと思います」など、退職した理由と努力してきたことを前向きに伝えることが大切です。

【関連記事】「面接でどう答える?イヤ~な質問の切り返し方」

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9 まとめ

試用期間中に社風や仕事が合わないと感じて、退職したいと思うこともあるでしょう。基本的に、試用期間中であっても退職は可能であり、給与も規定通り支払われます。あまりにも早い時期の退職は、転職の際に不利になることも考えられますが、経歴詐称を疑われないためにも、履歴書には正直に記入することが大切です。

試用期間中の退職を繰り返さないためには、入社前に徹底的なリサーチを行い、入社後にギャップを感じないようにする必要があります。自分にぴったり合う仕事を見つけたい場合は、マイナビエージェントなどの転職のプロを利用するのもいいでしょう。

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