試用期間中に退職した場合でも、次の転職先に提出する履歴書には職歴として記入するべきです。なぜなら、隠していても雇用保険の手続きによって露見したり、経歴詐称を疑われたりするリスクがあるからです。本記事では、試用期間中に退職した事を履歴書に書く際の注意点や、具体的な履歴書の書き方、転職先に好印象を与えるコツなどを紹介します。
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1 試用期間中の退職は履歴書に必要?
冒頭でも述べましたが、試用期間中に退職した場合でも、履歴書の職歴には全て記入するのが基本です。例えば、「1ヶ月で退職した会社は書かなくてもいいだろう」などのように、短期間で辞めたことは隠しておいた方が有利と考える方もいるかもしれませんが、正確な職歴を記入せずに転職活動を行うと、転職後に大きな問題となる可能性もあります。
1.1 そもそも試用期間とは
試用期間とは採用予定者のスキルや適性が、業務にマッチしているかを確認するための期間です。企業は試用期間を設けることで、短い面接だけでは判断できない採用予定者の資質を見極めます。期間は3~6ヶ月程度であることが多く、特に問題がなければその後本採用となるのが一般的です。
もしも、企業側に「適性なし」と判断された場合は、本採用に至らず実質的な解雇となる可能性もあります。試用期間中の解雇は、本採用後の解雇と比べてやや自由度が高いと言えますが、試用期間でも正式な労働契約を結んでいる状態であり、合理的な理由がなく本人の同意もない解雇は認められません。
なお、試用期間中に労働者から退職を申し出ることは可能です。その際は、最低でも2週間前には退職の意思を伝える必要があります。また、退職に関しては企業ごとに規定を設けていることも多いので、就業規則などで確認しておきましょう。
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2 試用期間中の退職を履歴書に書くべき理由
なぜ、試用期間中の退職を履歴書に書かなければならないのでしょうか。ここでは、短い職歴でも履歴書に書いた方がいい理由を解説します。
2.1 隠しても露見する可能性が高い
職歴を隠しても、前職で加入していた社会保険などの履歴から露見する可能性があります。例えば、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ、31日以上の雇用見込みがあった場合は、会社が雇用保険に加入していた可能性が高くなります。
一度雇用保険に加入した履歴は残るため、転職先の企業が雇用保険の手続きをする際に雇用保険の加入記録を調べれば、簡単に職歴が分かってしまいます。
2.2 経歴詐称とみなされる可能性がある
履歴書には正確な情報を記入することが重要であり、故意に誤った職歴を記入した場合は、経歴詐称とみなされる可能性もあります。もしそうなれば会社からの信用を失うどころか、最悪の場合、解雇を言い渡されてしまうかもしれません。
社会保険の履歴が残っていなかったとしても、何かのきっかけで試用期間中に退職した事が分かってしまうことは大いに考えられるため、退職の事実は隠さず正確に記入するようにしましょう。
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3 履歴書に書かなくていい職歴とは
アルバイトやパートなど、正社員以外の短時間雇用や臨時雇用で勤務した職歴については、基本的に記入しなくても問題ないとされています。ハローワークに相談した場合も、記入を強制されることは少ないでしょう。
ただし、「転職先の業務に役立つ経験やスキルが身に付いた」「責任ある仕事を長期間続けており、転職先へ好印象を与えられる可能性がある」などの場合は、アルバイトやパートの職歴を記入した方が有利になることもあります。
【関連記事】「試用期間中の「社会保険なし」は違法?加入条件や入れない場合の対処法を解説」
4 試用期間中の退職理由は詳しく書いた方が良い?
試用期間中の退職は、採用担当者に「なぜ短期間で辞めたのだろう」「またすぐに辞めるのではないか」という懸念を抱かせてしまう可能性があるため、やむを得ない事情で退職した場合はその事情について詳しく書くべきです。
特に、「労働条件が異なっていた」「やむを得ない家庭の事情があった」などの場合は、詳しく書くことで採用担当者を安心させ、次の仕事への前向きな姿勢を示すきっかけにもなります。
ただし、「仕事が面白くなかった」「コミュニケーションがうまく図れなかった」などネガティブにとらえられがちな理由の場合は、「残念ながら力を発揮できませんでした」などという表現を使い、あまり深く記載しない方が良いでしょう。
いずれにしても、「問題なく働けること」「今後は長く働く意思があること」を前向きに伝えることが大切です。
5 【退職の理由別】履歴書の書き方
ここからは、退職理由ごとに履歴書の書き方を見ていきましょう。履歴書の職歴欄には「一身上の都合により退職」のみで構いませんが、職務経歴書の補足や面接の質問では退職理由を細かく説明した方が良いこともあるため、ぜひ参考にしてください。
5.1 労働条件が事前の説明と異なっていた
採用前に聞いていた条件と、実際に働いてみてからの条件が異なっていた場合の例です。
「入社前は試用期間の1ヶ月のみ非正規雇用とし、それ以降は正規雇用という説明がありました。しかし、会社の経営状態の悪化から、試用期間終了後も非正規雇用が継続される可能性があったため、試用期間中の退職を決意いたしました。」
5.2 仕事内容が自分に合っていなかった
実際に働いてみた結果、仕事内容が自分に合っていなかった場合の例です。
「前職では営業部に配属されたものの、残念ながら思ったような成果をあげることができず退職に至りました。元来、一人で黙々と作業をするのが得意なため、貴社で自分のスキルを活かしたいと思っております。」
5.3 やむを得ない家庭の事情があった
家族の健康問題や配偶者の転勤など、やむを得ない家庭の事情で退職を余儀なくされた場合の例です。
「試用期間中に家族の介護が必要となり、やむを得ず退職しましたが、現在は介護環境が整い、問題なく仕事に専念できる状況です。これまでの経験を活かし、貴社で長く働きたいと考えております。」
5.4 体調が悪化した
体調が悪化して退職した場合は、職歴に「体調不良により退職」と記入します。しかし、そのままでは「今後も業務に支障が出るのではないか」と思われてしまうため、「現在、体調に問題はありません」「治療を終え、医師からも勤務可能との診断を受けております」といった補足をしておくと安心です。
【関連記事】「試用期間中の給料を詳しく解説!低いと言われる理由や注意点も」
6 試用期間中の退職でも好印象を与えるコツ
「試用期間中の退職は、転職の際に良くないイメージを持たれるかもしれない」と心配される方も多いでしょう。しかし、伝え方によっては好印象を与えられる可能性もあります。ここでは、試用期間中の退職でも好印象を与えるコツを3つ紹介します。
6.1 嘘をついたり隠したりしない
入社後まだ日の浅い時期である試用期間中の退職は悪い印象を与えてしまうかもしれないという懸念などから、ごまかしたり隠したりしたくなることもあるかもしれません。しかし、後から露見したときは確実に印象が悪くなり、信用を失ってしまうことも考えられます。
自分が不利になるような理由を全て話す必要はありませんが、試用期間中の退職という事実は隠さず正直に伝えることが大切です。
6.2 退職先の悪口を言わない
会社に非があり退職を決意した場合でも、悪口を言ったり批判したりするのは避けましょう。
「職場の雰囲気が良くなかった」「パワハラ気質の上司がいた」など、たとえそれが事実であったとしても前職の愚痴や不満をことさらに言い立てるのは良い印象を与えないことが多いです。
会社の環境や対応が原因で退職したとしても、客観的な事実を伝えるのみに留め、個人的な感想や内部事情は言わないのが賢明です。
6.3 反省すべき点は素直に認める
退職理由に反省すべき点がある場合は、素直に認めることで誠実さを伝えられる可能性があります。
例えば、「前職では働きたい気持ちが先に立ち、業務内容を十分に理解しないまま入社を決めてしまいました」と認めれば、「自己分析や反省ができる人」という印象を与えられるでしょう。
そのうえで、「今回は応募するにあたり、業務内容や企業風土などをしっかりと理解して、長く働ける自信があること」をアピールするのがおすすめです。失敗を認め、反省を次に活かす姿勢は信頼につながります。
6.4 転職に向けて前向きな姿勢を示す
試用期間中に退職した事実があると、「また短期間で辞めてしまうのでは?」と思われる可能性があります。その懸念を払拭するためには、前向きでやる気のある姿勢を示すことが重要です。
「短期間であったが、前職では〇〇を身につけられた」「退職を経験して、自分には〇〇が足りなかったことがわかった」など、職務経験を今後どのように活用できるのかを具体的に伝えることも必要でしょう。
7 試用期間中に退職する際の注意点
試用期間中に退職する際は、いくつか注意しなければならない点があります。退職後に後悔することのないように、あらかじめチェックしておきましょう。
7.1 試用期間中の給料や社会保険について確認する
試用期間中であっても、正式な労働契約を結んでいることに変わりはないため、規定通りの給料は受け取ることができます。また、社会保険加入の義務は原則として「雇用契約の開始日(入社日)」から発生しますので、社会保険に加入している可能性が高くなります。
もしも、会社から「試用期間中に退職した場合は給料を支払わない」「試用期間中は社会保険に入っていない」と言われた場合は違法の可能性があります。
【出典】地方厚生局「社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか?」
7.2 本採用後の待遇や業務内容をもう一度確認する
「給料が安い」「仕事が合っていない」という理由で、試用期間中に退職を考えることもあるでしょう。しかし、試用期間中の給料は「最低賃金の減額の特例」により、最長で6ヶ月間、20%を限度として最低賃金より減額することが認められているため、本採用後の給料と比べて少ない可能性があります。
また、試用期間が終了すれば、もっと責任とやりがいのある仕事を任せてもらえるかもしれません。このように、本採用後は待遇や業務内容が改善されることもあるため、もう一度労働契約書を見直したり、上司に確認したりすることが大切です。
【出典】厚生労働省「最低賃金の減額の特例許可申請について」
【出典】e-GOV「最低賃金法施行規則第五条」
7.3 職選びに迷ったら転職のプロに相談する
試用期間中の退職を何度か繰り返している場合は、「長続きしない人」「根気がない人」と思われてしまう可能性もあり、なかなか次の職場が見つけられないという場合もあるかもしれません。そんなときは、マイナビエージェントなど転職のプロに相談するのがおすすめです。
試用期間中の退職は、採用前と採用後のギャップが原因であることも多いため、予め企業のことを徹底的にリサーチすればギャップが生じにくくなり、長く働ける可能性が高まると考えられます。
とはいえ、働きながら企業の細かい情報を収集するのは大変です。マイナビエージェントであれば、転職希望者に合う企業を提案してくれたり、知りたい情報を提供してくれたりするため、転職成功率のアップが期待できます。
【関連記事】「転職エージェント利用後にすぐ退職するのは問題?会社を辞める前の注意点」
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8 まとめ
試用期間中の退職は、転職の際あまり肯定的に捉えられないこともあり、「履歴書に書かない方がいいのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、たとえ隠したとしても雇用保険の記録などからばれる可能性があるため、職歴は正確に記入することが基本です。
また、面接で退職について問われた場合も、試用期間中の退職であることを正直に話したうえで、真剣に転職を考えていることを伝えましょう。その際は、試用期間中に得た経験やスキルを、次の職で活かしたいという前向きな姿勢が大切です。
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