試用期間中の給料を詳しく解説!低いと言われる理由や注意点も

仕事の悩み・転職

たとえ試用期間中であっても、労働した分の給料は受け取ることができます。しかし、企業によっては通常の給料よりも低く設定していたり、ボーナスや手当は支給しなかったりする場合もあります。そこで、本記事では試用期間中の給料について、詳しく解説します。試用期間中の給料はどれくらい減額される可能性があるのか、また給料をもらう上で注意すべきポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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1.試用期間中でも給料はもらえる?

まだ仕事に慣れていない試用期間中であっても、労働した分の給料は受け取ることができます。しかし、本採用と同額の給料はもらえない可能性があります。

1.1.そもそも試用期間とは

試用期間とは、本採用の前に設けられた言わば「お試し期間」です。企業は採用予定者に実務をさせることで、面接だけでは見極められなかった資質や適性を判断します。期間は企業ごとに異なりますが、一般的には3~6ヶ月程度、長くても1年以内が基本です。

【関連記事】「会社の試用期間とは?給料や社会保険、トラブルへの対処法を解説!退職の手順も」

1.2.試用期間中の給料は低い場合がある

試用期間でも正式な雇用契約は結ばれているため、正社員でもアルバイトでも労働分の給料は受け取ることができます。「試用期間中は給料なし」といった契約は、労働基準法第24条により無効となる可能性が高いでしょう。

ただし、試用期間中はまだ会社の利益に直接繋がるような仕事を任せられないことも多く、企業によっては試用期間中の給料を安く設定していることもあります。実際の額については次項で詳しく説明します。

【出典】e-GOV「労働基準法第二十四条」

1.3.ボーナスや会社独自の手当はもらえないことがある

ボーナスや会社独自で設けている手当に関しては法的な定めがないため、「試用期間中はボーナスと家族手当なし」という規定があっても違法ではありません。試用期間中のボーナスや手当に関しては、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

【出典】厚生労働省「しっかりマスター 割増賃金編」

1.4.試用期間中は社会保険加入の義務もある

被保険者としての条件を満たしているのであれば、試用期間中でも社会保険加入の義務があります。企業によっては「試用期間が終了してから加入すれば問題ない」と誤った解釈をしているケースもありますが、正社員の多くは、基本的に社会保険の加入対象者となると考えて良いでしょう。

具体的には、以下の事業所(強制適用事業所)に勤務する一般的な労働者は、強制的に社会保険加入の対象となります。

  • 株式会社などの法人事業所、または国や地方公共団体
  • 従業員を常時5人以上雇用している、個人の事業所(サービス業の一部、農林業、水産業、畜産業、法務など一部事業所を除く)

なお、強制適用事業所にあてはまらない事業所でも、半数以上の従業員の同意や厚生労働大臣の認可といった一定の条件を満たせば、社会保険加入は可能です。

【出典】地方厚生局「社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか?」
【出典】国土交通省「社会保険の適用関係について」

【関連記事】「試用期間中に退職はできる?申し出る方法や退職を迷ったときの判断基準を解説」

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2.試用期間中の給料はどれくらい?

実際、試用期間中は平均どれくらいの給料がもらえるのでしょうか。一般的に「低い」と言われる試用期間中の給与額について解説します。

2.1.最低賃金より低い場合がある

試用期間中の給料は、都道府県労働局長の許可を受けた場合、最低賃金より低く設定することができます

いくら減額するのかは企業ごとに異なるものの、最低賃金法施行規則第5条では減額率に関して20%を上限とすることが定められており、その期間は6ヶ月を最長とした必要最小限度の期間が求められます。

つまり、都道府県労働局長の許可を受けていれば、試用期間中の給料は最長6ヶ月間、最大20%が最低賃金よりも減額される可能性があるということです。

【出典】厚生労働省「最低賃金の減額の特例許可申請について」
【出典】e-GOV「最低賃金法施行規則第五条」

2.2.試用期間後の給料は上がる?変わらない?

上記のとおり、試用期間中の給料が最低賃金よりも減額されていた場合、規定の期間が終了すれば、少なくとも最低賃金を上回る必要があるため給料はアップすることになります。一方、もともと試用期間中の給料が減額されていない場合は、必ずしも上がるとは限りません。

なお、本採用後に正当な理由なく、「契約時に提示した額は支払えない」「減額に応じないと本採用しない」など、合意もなく一方的に給料の条件を変えられた場合は労働契約法違反の可能性があります。

【関連記事】「試用期間中でもクビになる?不当解雇になる場合や回避する方法を解説」

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3.試用期間中でも受け取れる手当

ボーナスや会社独自の手当は支払われない可能性があるものの、法定労働時間を超えたり法定休日に勤務したりした場合は、試用期間中でも規定の残業代や休日手当を受け取れます

【出典】e-GOV「労働基準法第三十六条」
【出典】e-GOV「労働基準法第三十七条」

3.1. 残業手当

残業手当とは、所定労働時間を超えて働いた場合に支払われる追加の賃金のことです。所定労働時間は企業が定める労働時間で、所定労働時間は法定労働時間の範囲内で設定する必要があります。

法定労働時間は労働基準法で定める労働時間の上限で、1日8時間、週40時間と定められています。

法定労働時間を超過した分については、通常賃金の25%以上、1ヶ月に60時間以上の超過勤務があれば50%以上の割り増し賃金が支払われます。

3.2. 休日手当

休日手当とは、法定休日(労働基準法で定められた週1回の休日、または4週を通じて4日の休日)に働いた場合に支払われる割増賃金のことです。

振替休日を取得せず、法定休日に働いた場合は、通常賃金の35%以上の割り増し賃金が支払われます。

なお、会社が独自に定めた「所定休日」における勤務に関しては、労働基準法上の休日労働にはあたらないものの、法定労働時間を超えた分には、通常の時間外労働と同様、賃金の25%以上の割増賃金を支払う必要があります。

3.3. 深夜手当

深夜手当とは、深夜時間帯(午後10時~翌午前5時)に働いた場合に支払われる割増賃金のことです。労働基準法では、アルバイトやパート、正社員などの雇用形態に関係なく、通常の賃金の25%以上の割り増し賃金を支払うことが義務付けられています。

なお、深夜手当は重複して支払われるケースもあります。例えば、深夜の時間帯に法定労働時間を超えて働けば、残業手当+深夜手当(25%+25%)となり、50%以上の割り増し賃金となる計算です。

また、法定休日の深夜時間帯に働けば、休日手当+深夜手当(35%+25%)で、60%以上の割り増し賃金が支払われます。

4.試用期間の給料で注意すべきポイント

ここでは、試用期間中の給料に関して注意すべきポイントをお伝えします。本採用後の不安を減らすためにも、事前にチェックしておきましょう

4.1.労働条件を事前にしっかり確認する

何より大切なのは、条件をしっかり確認しておくことです。

試用期間の明示義務は、労働者の募集時と、採用後の労働契約締結時にありますが、雇用契約書では試用期間についての明示義務がないため、求人票などで以下のようなポイントをチェックしておきましょう。

  • 試用期間は何ヶ月あり、給料は減額されるのか
  • 試用期間中のボーナスや手当はどうなるのか
  • 試用期間後の給料はどうなるのか

もしも、疑問に感じることがある場合は、人事担当者に問い合わせましょう。

【出典】e-GOV「職業安定法施行規則 第四条の二」

4.2.試用期間が延長される可能性も考慮する

例えば、「新規事業が立ち上がり、そこでの適性もチェックしたい」「休日が多く、適性が十分に判断できなかった」など合理的な理由がある場合は、試用期間延長の同意を求められる可能性もあります

給料が減額されている場合は、試用期間が延長されることで、本来得られるはずだった給料の総額が少なくなることも考えられるため注意が必要です。

【関連記事】「試用期間中の「社会保険なし」は違法?加入条件や入れない場合の対処法を解説」

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5.試用期間中の給料でよくある質問

試用期間中の給料に関してよくある質問を紹介します。給与明細や退職時の対応、税金について解説していきます。

5.1.試用期間中でも給与明細は発行される?

試用期間中であっても給与明細書は発行されます。このことは「給与を支払う者は給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならない」として、所得税法第231条に定められています。

【出典】e-GOV「所得税法第二百三十一条」

5.2.試用期間中に退職した場合でも給料はもらえる?

試用期間中に退職した場合でも、実際に労働した分の給料は全額もらうことができます。ただし、民法627条において「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められていることから、退職する場合は少なくとも2週間前までに申し出るようにしましょう。また、会社の規定で退職の際の規定がある場合はそれに従うことも大切です。

【出典】e-GOV「民法第六百二十七条」

5.3.試用期間中の給料からも税金は引かれる?

本採用と同様に、試用期間中の給料からも「所得税」や「住民税」といった税金が引かれます。税金のほか社会保険料も徴収されることから、実際に受け取る手取り額は、雇用契約書で提示された額面よりも少なくなるのが一般的です。

なお、住民税については給料からの天引きではなく、自分で納付する「普通徴収」を選択することも可能です。

【関連記事】「試用期間中の退職は履歴書に書くべき?理由別の書き方も紹介」

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6.試用期間中の給料に疑問を感じた場合の対処法

「試用期間中の給料が低すぎる」「試用期間が終了しても減額されたままになっている」など、試用期間中の給料に疑問を感じた場合の対処法を解説します。

6.1.人事部や給料担当者に申し出る

まずは、人事部や給料担当者に申し出て、納得のいく説明を求めましょう。この際、労働条件通知書や雇用契約書などに試用期間についての記載があれば、それらを提示した上で、条件が異なっていることを指摘するとスムーズです。

「試用期間中だから仕方ない」「少額だから言いづらい」と後回しにしていると、その後の給料にも大きな影響が出てしまう可能性があるため、問題に気づいた時点で相談することが大切です。

6.2.専門家に相談する

会社に申し出ても納得のいく回答が得られなかった場合は、労働基準監督署や都道府県労働局、弁護士に相談しましょう。中には試用期間中の従業員に対して、高圧的な態度を示す会社もあるため、個人で交渉するのに自信がないといった場合は、専門家に頼るのがおすすめです。

【参考】都道府県労働局「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」

6.3.早めの転職も一つの選択肢

試用期間中に給料や会社の対応に不満がある場合は、早めに転職するのも一つの選択肢です。「試用期間中の退職は転職の際によく思われないのでは?」という声もありますが、会社側に明らかな非がある場合は、転職で不利になることは少ないと考えられます。

違和感を感じながら仕事を続けるよりも、早めに見切りをつけて条件の良い企業に転職した方が、将来のメリットも大きくなるでしょう。

【関連記事】「新卒で会社を辞めたいと思ったら-転職のメリット・デメリットや注意点について解説」

【関連記事】「転職エージェント利用後にすぐ退職するのは問題?会社を辞める前の注意点」

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7.まとめ

試用期間でも出勤した分の給料は受け取ることができます。ただし、試用期間中の給料は「最低賃金の減額の特例」により最長6ヶ月間、最大20%最低賃金より減額される可能性があります。下げる額は企業ごとに異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

また、試用期間中のボーナスや手当の有無、期間の延長についてなど、給与額以外の条件についてもしっかり納得してから契約書にサインすることで、採用後のトラブルを防ぐことができるでしょう。

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