上場企業部長の96.9%がプレイングマネジャー、業務の43.9%がプレイヤー業務

上場企業部長の96.9%がプレイングマネジャー、業務の43.9%がプレイヤー業務

企業の管理職の多くが「プレイングマネジャー」で「マネジメント」に専念できない環境にあり、そのデメリットも指摘されることがありますが、産業能率大学総合研究所が行った調査では、なんと上場企業の部長の96.9%がプレイングマネジャーであるとの結果となりました。今回は同調査の結果の概要について紹介します。

産業能率大学総合研究所では、上場企業に勤務する部長の業務遂行に関する実態と課題を明らかにすべく、2019年3月に「上場企業の部長に関する実態調査」を初めて実施しました。その後、コロナ禍を経て「新しい日常」と呼ばれる大きな環境変化の中、経営戦略の一翼を担う部長の存在意義はますます高まっている現状を踏まえ、このたび第2回となる同調査を実施しました。

調査は、2021年9月14日~16日の3日間、調査会社を通じてインターネットリサーチで実施され、385人の有効回答を得ました。

1.コロナ禍前と比較して最も変化したのは「メールの送受信の増加」

コロナ禍による業務の変化について尋ねたところ、「顧客や取引先とのコミュニケーション」を筆頭に各方面でのコミュニケーションが減少(大幅に減った+やや減った)しています。逆に増加(大幅に増えた+やや増えた)したのが「メールの送受信」でした。

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(【画像出典】産業能率大学総合研究所発表資料)

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2.新しい日常では「リーダーシップ」の重要性が増す

コロナ禍を経た新しい日常において、マネジャーに必要なスキルの重要性の変化について尋ねたところ、重要性が増したスキルのトップ3「IT活用」「リーダーシップ」「タイムマネジメント」でした。

テレワークに求められるスキルに加えて、「リーダーシップ」の重要性が増していることが分かりました。

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(【画像出典】産業能率大学総合研究所発表資料)


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3.回答者の96.9%がプレイングマネジャー

現在の仕事におけるプレイヤーとしての役割を、「0%(なし)」から10%刻み(「1%~10%」、「11%~20%」...)で尋ねたところ、プレイヤーとしての役割が全くないのはわずか3.1%で、96.9%の部長がプレイヤーとマネジャーを兼務していることが判明。

加重平均を算出したところ43.9%となり、部長の業務の4割以上がプレイヤーとしての仕事になっています。

「前回調査の加重平均は39.9%であり、プレイヤー業務の比重の増加が見て取れます」(産業能率大学総合研究所)。

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(【画像出典】産業能率大学総合研究所発表資料)

また、部長として「多く時間を割いている業務」について尋ねたところ、1位が「部下とのコミュニケーション」2位が「資料作成」、で、この2つが他の業務を大きく引き離しており、前回調査との比較でも大幅に増えています。

4.さらに高まる「業務のデジタル化(DX)への対応」の重要性

2~3年前と比較して重要度が高まった業務課題を複数回答で尋ねたところ、「業務のデジタル化(DX)への対応」「コンプライアンスの順守」が4割を超え、1・2位となりました。

「多くの企業で取り組みが始まっているDXの重要性が高まっています」(同)。

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(【画像出典】産業能率大学総合研究所発表資料)

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5.まとめ

回答者の96.9%がプレイングマネジャーで、前回調査よりも1.1ポイント増加していますが、こうした状況について、約半数の部長が「業務に支障がある」と答えています。

上場企業部長の96.9%がプレイングマネジャーという結果には驚きですが、やはりマネジメントに専念できないという点で、日本企業の弱点の一つになっているように思えます。

こうした状況が改善できるかどうかも、日本企業の今後の課題といえそうです。

(【記事出典】産業能率大学総合研究所「上場企業の部長に関する実態調査(第2回)」)

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