感情は言葉より視覚・聴覚で伝わりやすい!? "メラビアンの法則"意味と活用法

ビジネススキル・マナー

社会生活を送る上でコミュニケーションは避けて通れないものですが、コミュニケーションに関わる心理学の法則の一つとして、「メラビアンの法則」があります。今回はこのメラビアンの法則についての概要とビジネスや恋愛での活用方法について説明します。

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1.メラビアンの法則の概要

以下ではメラビアンの法則の概要を説明します。

1.1.メラビアンの法則とは

メラビアンの法則は1971年にアメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した心理学の法則の一つです。

メラビアンは実験により「コミュニケーションにおいて話し手の持つ情報のうち、言語情報(Verbal)が7%、聴覚情報(Vocal)が38%、視覚情報(Visual)が55%のウェイトで聞き手の印象に影響する」と提唱しました。

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1.2.実験の方法

メラビアンが行った実験は以下の2つです。

1つ目の実験

話し手が"maybe(=そうかもしれない、という意味)"と口調の強弱や表情を変えて言ったとき、聞き手はどのような印象を抱くのかを検証

実験結果

強い口調で言われた方が普通の口調で言われるよりも説得力が増した。

2つ目の実験

(1)被験者は「好き」、「普通」、「嫌い」からイメージされる単語を3つずつ選択

(2)(1)で選んだ合計9つの単語について、それぞれ「好き」、「普通」、「嫌い」を連想させる声色でレコーダーに録音

(3)さらに「好き」、「普通」、「嫌い」とイメージされる顔写真を1枚ずつ用意

(4)被験者に写真を見ながら録音した音声を聞いてもらい、その後どのような印象であったか検証

実験結果

言語情報(Verbal)、聴覚情報(Vocal)、視覚情報(Visual)が一致しない時には、視覚情報(Visual)が最も優先され、次いで聴覚情報(Vocal)、最後に言語情報(Verbal)が優先されると判明した。

1.3.「3V」の法則

前述の実験により、明らかにされたコミュニケーションにおける言語情報(Verbal)・聴覚情報(Vocal)・視覚情報(Visual)それぞれの相手への影響度合いのことを「3Vの法則」と言います。

言語情報(Verbal)が7%、聴覚情報(Vocal)が38%、視覚情報(Visual)が55%影響を与えるとされており、別名「7-38-55のルール」とも言います。

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1.4.コミュニケーションは大きく分けると2種類

コミュニケーションには言語コミュニケーション非言語コミュニケーションがあります。前述の3Vのうち、言語情報は言語コミュニケーションに該当します。

話したり書いたりすることで相手に伝える情報です。

一方、聴覚情報や視覚情報非言語コミュニケーションに該当します。言語を用いずに相手に伝える情報です。

ボディランゲージや話すトーンなどで伝わる情報は少なくありません。これが非言語コミュニケーションです。

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2回目以降の転職で気を付けるべきポイントを確認する。

2.メラビアンの実験から分かること

メラビアンの実験はあくまで「好き」「嫌い」などの態度や感情が伴うコミュニケーションをする時に、言語情報(Verbal)・聴覚情報(Vocal)・視覚情報(Visual)の3つが矛盾していると聴覚情報(Vocal)や視覚情報(Visual)が言語情報(Verbal)よりも優先されるということを立証したものです。

この実験は必ずしも全てのコミュニケーションに当てはまるというわけではありませんが、私たちが良好なコミュニケーションを行うために意識すべき重要なポイントを教えてくれています。

2.1.「3V」を一致させることが大事

この実験からわかることは、何らかの感情を相手に伝えたい場合、この3つのVが一致していないと相手に誤った感情が伝わってしまう可能性が高いということです。

自分の気持ちを正しく伝えるためには、表情や声のトーン、身振り手振りなどが言葉と矛盾しないように注意しなければならないのです。

人は何気ない相づち1つから相手の感情や意図を読み取ろうとするものです。

特に初対面の場合は、お互いに相手の情報をほとんど持っていない状態ですから、少しでも理解を深めようと話し方や表情などに敏感になります。

適切な言葉選びはもちろんのこと、言葉に感情を込め、時には身振り手振りも加えながら表情豊かに話すことが相互理解を深め、コミュニケーションを円滑にします。

2.2.無表情、棒読みはNG

例えば、言葉ではポジティブなことを言っているのに、無表情だったり抑揚のない言い方だったりすると、相手にポジティブな印象が伝わりません。

「言葉ではこう言っているけれど本心ではそう思っていないのかな」などと誤解を招いてしまいます。

人と話す時は以下のことに気を付けながら、言葉以外からも自分の気持ちが滲み出るように意識しましょう。

(1)話すテンポや間の取り方

(2)口調

(3)声の高さや抑揚のつけ方

(4)表情

(5)仕草や身振り手振り

これらをTPOに合わせて使い分けることができれば、どのような場面でもスムーズなやり取りができるようになるでしょう。

3.メラビアンの法則で分かるコミュニケーションの失敗例

以下のコミュニケーションの失敗例はメラビアンの法則を考慮すれば失敗の理由が分かります。

3.1.笑顔で怒る

例えば笑顔で怒った場合の相手への印象度合いを考えてみましょう。聴覚情報や言語情報では怒られていると感じる一方で、印象の過半55%を占める視覚情報では怒られていないポジティブな情報を受け取ってしまいます。

3.2.不満げな表情で褒める

前項とは逆で「不満である」という面が大きな印象として受け手に伝わってしまいます。

上の1と2、いずれの場合も言語情報と非言語情報が矛盾していると本来の意図が伝わりにくくなるばかりか、間違った印象を与えてしまう可能性もあり注意が必要です。

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4.活用の方法

メラビアンの法則をビジネスや恋愛に活用する方法について、以下で説明します。

4.1.メラビアンの法則によくありがちな誤解

メラビアンの法則によくある誤解は、「非言語コミュニケーションが何より大切で言語コミュニケーションは重要ではない」というものです。

たしかにメラビアンの法則では、聴覚情報(38%)と視覚情報(55%)が相手に与える影響は、合計で93%になり印象の重要な要素を占めます。

しかし、そのことは言語コミュニケーションをないがしろにして良い理由にはなりません。実際のコミュニケーションは長く複雑な言葉やボディランゲージも活用して多くの情報のやり取りを行いますし、受け手はそれらの情報を複合的に活用して判断する必要があります。

言語コミュニケーションも非言語コミュニケーションと同様に扱うことで話し手は聞き手に適切に自身の意図を伝えることができるでしょう。

4.2.ビジネスへの応用例

ビジネスにおいては電話やメール・チャットなどのツールを活用することは欠かせませんが、メラビアンの法則をちょっと意識しておくと、適切なタイミングと方法でそれぞれを活用することができます。

まず、電話では視覚情報がないため、聞きなじみのない言葉を伝えることは難しいかもしれません。使い慣れている言葉で、抑揚や間にも気を付けながら、会話をすることで適切なコミュニケーションに繋がります。

またメール・チャットは文字情報しかなく、感情や思いを伝えるには向かない可能性があるツールです。どちらかといえば事務的な連絡や情報を伝えるに適したツールと言えるでしょう。

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4.3.恋愛への応用例

恋愛においてもメラビアンの法則を意識しておくと、相手の印象を良くすることができるかもしれません。初対面の印象は9割方目や耳で認識できる情報で決まってしまいます。

いくら言葉で好きであると伝えたとしても、視覚情報(ヘアスタイル、身なり、肌、ファッション、表情など)や聴覚情報(話し方や、声の強弱)で相手に魅力的であると伝えられない場合、その恋愛は残念な結果に繋がってしまうかもしれません。

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5.メラビアンの法則活用のコツ

以下が、メラビアンの法則を活用するために考慮するべき事になります。

5.1.視覚以外の情報も大切

最後にメラビアンの法則活用のコツについて述べましょう。まずひとつは視覚情報以外の情報も大事であることをしっかりと認識することです。

本記事でも記載の通り、視覚情報はあくまでも受け取る情報の一部であり、コミュニケーションではボディランゲージや抑揚・声の強弱など視覚以外から受け取る情報も加味して最終的に受け取るメッセージが変わります。

相手に自分が何を伝えたくて、それを正しく伝えるためにどのような形でコミュニケーションを取るのかを意識することが肝心でしょう。

5.2.相手に伝わりやすい言葉で

前述のコツとも重なりますが、内容が伝わるよう言葉を選択する、つまり言語情報を疎かにしないことも非常に重要です。

7%の印象と捨象するのではなく、言葉はコミュニケーションの土台と考えて、相手に誤解を与えない正確な言葉を使うよう心がけていくと良いでしょう。

6.まとめ

心理学の法則の中でも有名な部類に属するメラビアンの法則ですが、誤解されている部分があるのは記事中でも述べた通りです。

ぜひ本記事を参考に、あなたの意図がより相手に伝わるコミュニケーションを実践していただければと思います。

原稿:酒井富士子

編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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